障害者施策推進本部決定 「重点施策実施5か年計画」(抜粋) 2007/12/25 ― 2007-12-25
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/5sinchoku/h19/5year_plan.pdf
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重点施策実施5か年計画 ~障害の有無にかかわらず国民誰もが互いに支え合い
共に生きる社会へのさらなる取組~
平成19年12月25日
障害者施策推進本部決定
障害者施策において、政府は、平成14年に、15年度から24年度までの10年間を
計画期間とする「障害者基本計画」(以下「基本計画」という。)を策定し、併
せて、基本計画に基づく諸施策の着実な推進を図るため、前期5年間に係る現行
「重点施策実施5か年計画」を策定した。
基本計画においては、我が国が目指すべき社会を障害の有無にかかわらず、国
民誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う共生社会とすることを掲げ、そのた
めの課題、分野別施策の基本的方向等を規定したところである。
以来、我が国の障害者施策は、基本計画及び現行「重点施策実施5か年計画」
に基づき、共生社会の実現に向けて着実に推進され、各分野で法制度の改正等が
行われてきたところである。
[法制度の改正等]
平成16年
・障害を理由とする差別の禁止等を内容とする障害者基本法の改正
・発達障害者に対する生活全般にわたる支援の促進等を図るための発達障害者支
援法の制定
平成17年
・精神障害者に対する雇用対策の強化等を行うための障害者の雇用の促進等に関
する法律の改正
・障害者が地域で安心して暮らすことができるよう、障害福祉サービスを質・量
共に充実すること等を目的とした障害者自立支援法の制定
平成18年
・複数の障害に対応した教育を行うことのできる特別支援学校の制度化等を行う
ための学校教育法等の改正
・教育の機会均等に係る規定に障害者の教育に係る支援を盛り込んだ教育基本法
の改正
・公共交通機関、道路、建築物等の一体的・総合的なバリアフリー化の促進等を
内容とする高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の制定
[国連の動向等]
平成18 年
・国連総会における、障害者の権利及び尊厳を保護し、及び促進するための包括
的かつ総合的な国際条約である障害者権利条約の採択
平成19 年
・国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)における「びわこミレニアム
フレームワーク」に係る後期5年間の行動指針としての「びわこプラスファイ
ブ」の採択
・障害者権利条約の署名
共生社会は、障害の有無にかかわらず、国民誰もが相互に人格と個性を尊重し
支え合う社会であるとともに、障害者が社会の対等な構成員として人権を尊重さ
れ、自己選択と自己決定の下に社会のあらゆる活動に参加、参画し、その一員と
して責任を分担する社会である。
本計画においては、現行「重点施策実施5か年計画」期間において行われた法
制度の改正の施行状況等を踏まえ、自立と共生の理念の下に、共生社会の実現に
真に寄与するようにするため、以下に重点を置き、施策展開を図ることとするも
のである。
☆ 地域での自立生活を基本に、身体障害、知的障害、精神障害、発達障害等の
障害の特性に応じ、障害者のライフサイクルの全段階を通じた切れ目のない総
合的な利用者本位の支援を行うこと。
☆ 障害者の地域における自立や社会参加に係る障壁を除くため、誰もが快適で
利用しやすいユニバーサルデザインに配慮した生活環境の整備等を推進すると
ともに、IT(情報通信技術)の活用等により障害者への情報提供の充実等を
図ること。
☆ 障害者自立支援法の抜本的な見直しの検討を進め、その結果を踏まえ必要に
応じ本計画の見直しを行うこと。
☆ 障害者の権利及び尊厳を保護し、及び促進するための包括的かつ総合的な国
際条約である障害者権利条約の可能な限り早期の締結を目指して必要な国内法
令の整備を図ること。
本計画においては、これらを基とし、基本計画の後期5年間における諸施策の
着実な推進を図るため、平成20年度からの5年間に重点的に取り組むべき課題に
ついて、120の施策項目並びに57の数値目標及びその達成期間等を定めるもので
ある。
1 啓発・広報(抜粋)
○精神障害、知的障害、発達障害等に係る一層の理解促進
国民の障害及び障害者に対する理解を引き続き促進する。とりわけ、国民の理
解が遅れているとされる精神障害、知的障害、発達障害等については、その障害
の特性や必要な配慮等に関し、国民の理解と協力が得られるよう一層の啓発・広
報を推進する。
また、地域社会における障害者への理解を促進するため、福祉施設、教育機関
等と地域住民等との日常的交流の一層の拡大を図る。
○障害者権利条約及び障害者関連法令の周知
我が国が署名し、今後締結を目指している「障害者の権利に関する条約」への
関心を高めるため、同条約の国民への周知を図る。
また、国民の障害者に対する理解を促進し、障害者の人権の確保等を図るため、
同条約等に係る関連法令を含む障害者関連法令の国民への周知を図る。
2 生活支援(抜粋)
○発達障害者施策の推進
発達障害者支援法を踏まえ、発達障害者の乳幼児期から成人期までの一貫した
支援を推進する観点から、保健・医療・福祉・就労・教育等の制度横断的な関連
施策の推進を図る。
ア 発達障害者には幅広い領域の支援が必要となっていることを踏まえ、各自
治体においてネットワーク作りを効果的に促進するためのモデル事例集を平
成21 年度までに策定する。
イ 標準的な支援方法が確立されておらず、幼児期から成人期まで一貫した支
援が十分ではないことを踏まえ、平成21年度までに地域において実施されて
いる支援方法を把握し、支援マニュアルを策定する。
ウ 発達障害児やその保護者に対応できる技能を持つ専門家が少ないことを踏
まえ、地域で核となって支援を進める人材を育成するための研修を行う。
4 教育・育成(抜粋)
[1]一貫した相談支援体制の整備
○個別の支援計画の策定・活用の推進
教育、福祉、医療、保健、労働関係機関等が緊密な連携の下、一人一人のニー
ズに応じた適切な支援を一貫して行うため、学校において、個別の教育支援計
画の位置付けの明確化、その策定・活用の推進を図る。
(数値目標・達成期間)
○個別の教育支援計画策定率
・小・中学校 20%〔18 年〕→50%〔24 年〕
○校内委員会の設置や特別支援教育コーディネーターの指名などの支援体制の整
備
発達障害を含む障害のある幼児児童生徒への支援のため、幼稚園・小学校・中
学校・高等学校等において校内委員会の設置や特別支援教育コーディネーター
の指名などの支援体制を整備する。特に幼稚園、高等学校を重点的に整備する。
○基本方針
発達障害を含む障害のある子ども一人一人のニーズに応じた一貫した支援を行
うために、各関係機関等の連携によりすべての学校における特別支援教育の体
制整備を進めるとともに、特別支援教育に携わる教員の専門性の向上等により、
特別支援教育の更なる充実を推進する。
また、障害のある社会人等に対しても、ニーズに応じた学習の機会を提供して
いくことにより、着実な支援の推進を図る。
(数値目標・達成期間)
○校内委員会の設置
・幼稚園(公立) 32.7%〔18 年〕→70%〔24 年〕
・高等学校(公立)25.2%〔18 年〕→70%〔24 年〕
○特別支援教育コーディネーターの指名
・幼稚園(公立) 29.4%〔18 年〕→70%〔24 年〕
・高等学校(公立)18.5%〔18 年〕→70%〔24 年〕
[2]専門機関の機能の充実と多様化
○特別支援学校の小・中学校等に対する支援の推進
幼稚園・小学校・中学校及び高等学校等の教員への支援、障害のある幼児児童
生徒への指導・支援、特別支援教育に関する相談・情報提供、関係機関との連
絡・調整等、特別支援学校の小・中学校等に対する支援を推進する。
[3]指導力の向上と研究の推進
○特別支援学校教諭免許保有率の向上
特別支援学校において、教員の特別支援学校教諭免許状の保有率向上を図る。
(数値目標・達成期間)
○特別支援学校教諭免許保有率向上を中期計画(5年以内)等に位置付ける都道
府県の割合
都道府県〔18 年度〕→全都道府県〔24 年〕
○特別支援教育に関する教員研修の促進
特別支援教育に携わるすべての教員の専門性を向上させるため、都道府県の講
習や校内研修の促進を図る。各種指導者養成研修など、都道府県の指導者に対
する研修を推進する。
○障害に関する外部専門家の学校における活用
発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対し適切な支援を行うため、専門的
知識・経験を有する外部専門家が教員に適切な指導・助言を行えるよう、外部
専門家の活用を促進する。
○国立特別支援教育総合研究所における教育現場のニーズを踏まえた重点的な研
究や研修の実施、教育情報の提供
独立行政法人国立特別支援教育総合研究所は我が国唯一の特別支援教育のナシ
ョナルセンターであることから、国の喫緊の課題や教育現場のニーズを踏まえ
研究や研修を重点的に実施するとともに、特に新たな課題となっている発達障
害を含めた教育情報の提供を行う。
[4]社会的及び職業的自立の促進
○特別支援学校と関係機関等の連携・協力による、現場実習先の開拓・新たな職
域の開拓
特別支援学校卒業後の職業的自立を推進するため、特別支援学校・教育委員会、
労働関係機関、企業等の緊密な連携・協力の下、現場実習先の開拓や新たな職
域の開拓を図る。
○障害者の職業自立に対する理解啓発の促進
障害のある生徒及びその保護者等に対し、障害者の一般雇用や雇用支援策に関
する理解の促進を図る。
○特別支援学校高等部と連携した効果的な職業訓練の実施
卒業後の就職先が内定していない就職希望者に対し、より早い段階で職業訓練
を活用することにより職業能力の向上を図り、就労に向けた切れ目のない支援
を実施する。
○障害学生の支援の充実
ア 独立行政法人日本学生支援機構が行う「障害学生就学支援ネットワーク」
(全国の大学や関係機関がネットワークを作り、障害学生就学支援制度の整
備を目指す。)等の事業を推進することにより、障害のある学生が学びやすい
環境をつくる。
イ 「新たな社会的ニーズに対応した学生支援プログラム」において採択され
たプログラム(障害学生支援関係を含む。)について、財政支援を行うととも
に、今後、広く社会に情報提供することで、各大学等における学生支援機能の
充実を図る。
ウ 大学入試に関し、障害者の受験機会等を確保する観点から、障害の種類に
応じた配慮(試験時間の延長、点字・拡大文字による出題、介助者の付与等)
を行うことを各大学に要請する。
○放送大学における視聴者のニーズに応じた多様な字幕番組の制作
聴覚障害のある学生等からの要望を受け、希望の多いテレビ番組について字
幕を制作し、字幕付与番組として放送する。
[5]施設のバリアフリー化の促進
○特別支援教育に係る施設整備計画策定事例の周知
特別支援教育に係る施設の計画的な整備のため、特別支援学校や小・中学校
等の具体的な整備計画の事例を取りまとめ、各都道府県等への周知を図る。
5 雇用・就業(抜粋)
○精神障害者、発達障害者等の雇用促進
精神障害の特性に応じた支援の充実・強化を通じて、精神障害者の雇用機会
の拡大を図る。
また発達障害者等について、調査研究や支援のための技法開発を進め、企業
等の理解の促進等を図ることにより雇用の促進を図る。
(数値目標・達成期間)
○精神障害者の雇用
・56人以上の規模の企業で雇用される精神障害者数
0.4 万人〔19 年〕→1.5 万人〔25 年〕
・精神障害者ステップアップ雇用
常用雇用移行率 60%〔24 年度〕
○職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援の推進
職場での適応に課題を有する障害者及び事業主に対してきめ細かな支援を行
う職場適応援助者(ジョブコーチ)の養成を進め、障害者の円滑な就職及び職
場適応を推進する。
(数値目標・達成期間)
○ジョブコーチ養成数
1,500 人〔18 年度〕→5,000 人〔23 年度〕
○ジョブコーチ支援
支援終了後の定着率 80%以上〔24 年度〕
6 保健・医療(抜粋)
○基本方針
障害者に対して、適切な保健サービス、医療、医学的リハビリテーショ
ン等を充実し、障害者のQOL(生活の質)を高めるとともに、障害の原
因となる疾病等の予防・治療が可能なものについては、これらに対する保
健・医療サービスの適切な提供を図り、障害の予防・早期発見・早期治療
に努める。
また、こころの病についても医療的ケアの充実を図り、「うつ」や自殺の
防止を推進する。
7 情報・コミュニケーション(抜粋)
[3]情報提供の充実
○聴覚障害者情報提供施設の整備の促進
聴覚障害者情報提供施設について、全都道府県での設置を目指し、その整備
を促進する。
○字幕番組、解説番組及び手話番組の制作の促進
ア NHK総合及び在京キー5局等において、字幕付与可能なすべての放送番組
(注1)に字幕を付与する。
また、NHK総合及び在京キー5局等において、対象の放送番組(注2)の10%、
NHK教育において、対象の放送番組の15%に解説を付与する。
注1)複数人が同時に会話を行う生放送番組など技術的に字幕を付すこと
ができない放送番組等を除く7時から24 時までのすべての放送番組に
範囲を拡大
注2)権利処理上の理由等により解説を付すことができない放送番組を除
く7時から24 時までのすべての放送番組
(数値目標・達成期間)
○字幕放送時間の割合
NHK総合100%、在京キー5局平均77.8%〔18 年度〕→ 100%〔29 年度〕
※現行指針における字幕付与可能な放送時間(生放送番組など技術的に字幕
を付すことができない放送番組等を除く7時から24時までの新たに放送す
るすべての放送番組の放送時間)に占める字幕放送時間の割合
※新たな指針においては、字幕付与可能な放送番組の範囲を拡大し、その中
に占める字幕放送時間の割合
○解説放送時間の割合
NHK総合3.7%、NHK教育8.8%、在京キー5局平均0.3%〔18 年度〕
※総放送時間に占める解説放送時間の割合
→
NHK総合及び在京キー5局等10%、NHK教育15%〔29 年度〕
※対象放送番組の放送時間に占める解説放送時間の割合
イ 字幕番組、解説番組及び手話番組の制作費に対する必要な助成を行う。
○映画の字幕付与の促進
日本の映画の字幕付与について、映画関係団体とともに引き続き取組を促進す
る。
○視覚障害者用図書情報ネットワーク運営事業等の利用の促進
視覚障害者がITを利用して、自宅から点字図書や録音図書の検索や貸出予約
等を行うことができる「視覚障害者用図書情報ネットワーク運営事業」等の利
用を促進する。
○視覚障害者を対象とした広報の充実
視覚障害者向け資料「音声広報CD」及び「点字広報誌」について、引き続き
発行する。
また、広報媒体の特性等に応じて可能なものについて、音声コードの活用に配
慮する。
○障害者の自立した食生活の実現に資する情報提供の推進
障害者の自立した食生活の実現のための関連情報の提供を推進する。
○障害者の情報へのアクセスに配慮した著作権制度の在り方の検討
障害者の情報へのアクセスに配慮した著作権制度の在り方について検討を進め、
必要に応じて法整備を行う。
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重点施策実施5か年計画 ~障害の有無にかかわらず国民誰もが互いに支え合い
共に生きる社会へのさらなる取組~
平成19年12月25日
障害者施策推進本部決定
障害者施策において、政府は、平成14年に、15年度から24年度までの10年間を
計画期間とする「障害者基本計画」(以下「基本計画」という。)を策定し、併
せて、基本計画に基づく諸施策の着実な推進を図るため、前期5年間に係る現行
「重点施策実施5か年計画」を策定した。
基本計画においては、我が国が目指すべき社会を障害の有無にかかわらず、国
民誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う共生社会とすることを掲げ、そのた
めの課題、分野別施策の基本的方向等を規定したところである。
以来、我が国の障害者施策は、基本計画及び現行「重点施策実施5か年計画」
に基づき、共生社会の実現に向けて着実に推進され、各分野で法制度の改正等が
行われてきたところである。
[法制度の改正等]
平成16年
・障害を理由とする差別の禁止等を内容とする障害者基本法の改正
・発達障害者に対する生活全般にわたる支援の促進等を図るための発達障害者支
援法の制定
平成17年
・精神障害者に対する雇用対策の強化等を行うための障害者の雇用の促進等に関
する法律の改正
・障害者が地域で安心して暮らすことができるよう、障害福祉サービスを質・量
共に充実すること等を目的とした障害者自立支援法の制定
平成18年
・複数の障害に対応した教育を行うことのできる特別支援学校の制度化等を行う
ための学校教育法等の改正
・教育の機会均等に係る規定に障害者の教育に係る支援を盛り込んだ教育基本法
の改正
・公共交通機関、道路、建築物等の一体的・総合的なバリアフリー化の促進等を
内容とする高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の制定
[国連の動向等]
平成18 年
・国連総会における、障害者の権利及び尊厳を保護し、及び促進するための包括
的かつ総合的な国際条約である障害者権利条約の採択
平成19 年
・国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)における「びわこミレニアム
フレームワーク」に係る後期5年間の行動指針としての「びわこプラスファイ
ブ」の採択
・障害者権利条約の署名
共生社会は、障害の有無にかかわらず、国民誰もが相互に人格と個性を尊重し
支え合う社会であるとともに、障害者が社会の対等な構成員として人権を尊重さ
れ、自己選択と自己決定の下に社会のあらゆる活動に参加、参画し、その一員と
して責任を分担する社会である。
本計画においては、現行「重点施策実施5か年計画」期間において行われた法
制度の改正の施行状況等を踏まえ、自立と共生の理念の下に、共生社会の実現に
真に寄与するようにするため、以下に重点を置き、施策展開を図ることとするも
のである。
☆ 地域での自立生活を基本に、身体障害、知的障害、精神障害、発達障害等の
障害の特性に応じ、障害者のライフサイクルの全段階を通じた切れ目のない総
合的な利用者本位の支援を行うこと。
☆ 障害者の地域における自立や社会参加に係る障壁を除くため、誰もが快適で
利用しやすいユニバーサルデザインに配慮した生活環境の整備等を推進すると
ともに、IT(情報通信技術)の活用等により障害者への情報提供の充実等を
図ること。
☆ 障害者自立支援法の抜本的な見直しの検討を進め、その結果を踏まえ必要に
応じ本計画の見直しを行うこと。
☆ 障害者の権利及び尊厳を保護し、及び促進するための包括的かつ総合的な国
際条約である障害者権利条約の可能な限り早期の締結を目指して必要な国内法
令の整備を図ること。
本計画においては、これらを基とし、基本計画の後期5年間における諸施策の
着実な推進を図るため、平成20年度からの5年間に重点的に取り組むべき課題に
ついて、120の施策項目並びに57の数値目標及びその達成期間等を定めるもので
ある。
1 啓発・広報(抜粋)
○精神障害、知的障害、発達障害等に係る一層の理解促進
国民の障害及び障害者に対する理解を引き続き促進する。とりわけ、国民の理
解が遅れているとされる精神障害、知的障害、発達障害等については、その障害
の特性や必要な配慮等に関し、国民の理解と協力が得られるよう一層の啓発・広
報を推進する。
また、地域社会における障害者への理解を促進するため、福祉施設、教育機関
等と地域住民等との日常的交流の一層の拡大を図る。
○障害者権利条約及び障害者関連法令の周知
我が国が署名し、今後締結を目指している「障害者の権利に関する条約」への
関心を高めるため、同条約の国民への周知を図る。
また、国民の障害者に対する理解を促進し、障害者の人権の確保等を図るため、
同条約等に係る関連法令を含む障害者関連法令の国民への周知を図る。
2 生活支援(抜粋)
○発達障害者施策の推進
発達障害者支援法を踏まえ、発達障害者の乳幼児期から成人期までの一貫した
支援を推進する観点から、保健・医療・福祉・就労・教育等の制度横断的な関連
施策の推進を図る。
ア 発達障害者には幅広い領域の支援が必要となっていることを踏まえ、各自
治体においてネットワーク作りを効果的に促進するためのモデル事例集を平
成21 年度までに策定する。
イ 標準的な支援方法が確立されておらず、幼児期から成人期まで一貫した支
援が十分ではないことを踏まえ、平成21年度までに地域において実施されて
いる支援方法を把握し、支援マニュアルを策定する。
ウ 発達障害児やその保護者に対応できる技能を持つ専門家が少ないことを踏
まえ、地域で核となって支援を進める人材を育成するための研修を行う。
4 教育・育成(抜粋)
[1]一貫した相談支援体制の整備
○個別の支援計画の策定・活用の推進
教育、福祉、医療、保健、労働関係機関等が緊密な連携の下、一人一人のニー
ズに応じた適切な支援を一貫して行うため、学校において、個別の教育支援計
画の位置付けの明確化、その策定・活用の推進を図る。
(数値目標・達成期間)
○個別の教育支援計画策定率
・小・中学校 20%〔18 年〕→50%〔24 年〕
○校内委員会の設置や特別支援教育コーディネーターの指名などの支援体制の整
備
発達障害を含む障害のある幼児児童生徒への支援のため、幼稚園・小学校・中
学校・高等学校等において校内委員会の設置や特別支援教育コーディネーター
の指名などの支援体制を整備する。特に幼稚園、高等学校を重点的に整備する。
○基本方針
発達障害を含む障害のある子ども一人一人のニーズに応じた一貫した支援を行
うために、各関係機関等の連携によりすべての学校における特別支援教育の体
制整備を進めるとともに、特別支援教育に携わる教員の専門性の向上等により、
特別支援教育の更なる充実を推進する。
また、障害のある社会人等に対しても、ニーズに応じた学習の機会を提供して
いくことにより、着実な支援の推進を図る。
(数値目標・達成期間)
○校内委員会の設置
・幼稚園(公立) 32.7%〔18 年〕→70%〔24 年〕
・高等学校(公立)25.2%〔18 年〕→70%〔24 年〕
○特別支援教育コーディネーターの指名
・幼稚園(公立) 29.4%〔18 年〕→70%〔24 年〕
・高等学校(公立)18.5%〔18 年〕→70%〔24 年〕
[2]専門機関の機能の充実と多様化
○特別支援学校の小・中学校等に対する支援の推進
幼稚園・小学校・中学校及び高等学校等の教員への支援、障害のある幼児児童
生徒への指導・支援、特別支援教育に関する相談・情報提供、関係機関との連
絡・調整等、特別支援学校の小・中学校等に対する支援を推進する。
[3]指導力の向上と研究の推進
○特別支援学校教諭免許保有率の向上
特別支援学校において、教員の特別支援学校教諭免許状の保有率向上を図る。
(数値目標・達成期間)
○特別支援学校教諭免許保有率向上を中期計画(5年以内)等に位置付ける都道
府県の割合
都道府県〔18 年度〕→全都道府県〔24 年〕
○特別支援教育に関する教員研修の促進
特別支援教育に携わるすべての教員の専門性を向上させるため、都道府県の講
習や校内研修の促進を図る。各種指導者養成研修など、都道府県の指導者に対
する研修を推進する。
○障害に関する外部専門家の学校における活用
発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対し適切な支援を行うため、専門的
知識・経験を有する外部専門家が教員に適切な指導・助言を行えるよう、外部
専門家の活用を促進する。
○国立特別支援教育総合研究所における教育現場のニーズを踏まえた重点的な研
究や研修の実施、教育情報の提供
独立行政法人国立特別支援教育総合研究所は我が国唯一の特別支援教育のナシ
ョナルセンターであることから、国の喫緊の課題や教育現場のニーズを踏まえ
研究や研修を重点的に実施するとともに、特に新たな課題となっている発達障
害を含めた教育情報の提供を行う。
[4]社会的及び職業的自立の促進
○特別支援学校と関係機関等の連携・協力による、現場実習先の開拓・新たな職
域の開拓
特別支援学校卒業後の職業的自立を推進するため、特別支援学校・教育委員会、
労働関係機関、企業等の緊密な連携・協力の下、現場実習先の開拓や新たな職
域の開拓を図る。
○障害者の職業自立に対する理解啓発の促進
障害のある生徒及びその保護者等に対し、障害者の一般雇用や雇用支援策に関
する理解の促進を図る。
○特別支援学校高等部と連携した効果的な職業訓練の実施
卒業後の就職先が内定していない就職希望者に対し、より早い段階で職業訓練
を活用することにより職業能力の向上を図り、就労に向けた切れ目のない支援
を実施する。
○障害学生の支援の充実
ア 独立行政法人日本学生支援機構が行う「障害学生就学支援ネットワーク」
(全国の大学や関係機関がネットワークを作り、障害学生就学支援制度の整
備を目指す。)等の事業を推進することにより、障害のある学生が学びやすい
環境をつくる。
イ 「新たな社会的ニーズに対応した学生支援プログラム」において採択され
たプログラム(障害学生支援関係を含む。)について、財政支援を行うととも
に、今後、広く社会に情報提供することで、各大学等における学生支援機能の
充実を図る。
ウ 大学入試に関し、障害者の受験機会等を確保する観点から、障害の種類に
応じた配慮(試験時間の延長、点字・拡大文字による出題、介助者の付与等)
を行うことを各大学に要請する。
○放送大学における視聴者のニーズに応じた多様な字幕番組の制作
聴覚障害のある学生等からの要望を受け、希望の多いテレビ番組について字
幕を制作し、字幕付与番組として放送する。
[5]施設のバリアフリー化の促進
○特別支援教育に係る施設整備計画策定事例の周知
特別支援教育に係る施設の計画的な整備のため、特別支援学校や小・中学校
等の具体的な整備計画の事例を取りまとめ、各都道府県等への周知を図る。
5 雇用・就業(抜粋)
○精神障害者、発達障害者等の雇用促進
精神障害の特性に応じた支援の充実・強化を通じて、精神障害者の雇用機会
の拡大を図る。
また発達障害者等について、調査研究や支援のための技法開発を進め、企業
等の理解の促進等を図ることにより雇用の促進を図る。
(数値目標・達成期間)
○精神障害者の雇用
・56人以上の規模の企業で雇用される精神障害者数
0.4 万人〔19 年〕→1.5 万人〔25 年〕
・精神障害者ステップアップ雇用
常用雇用移行率 60%〔24 年度〕
○職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援の推進
職場での適応に課題を有する障害者及び事業主に対してきめ細かな支援を行
う職場適応援助者(ジョブコーチ)の養成を進め、障害者の円滑な就職及び職
場適応を推進する。
(数値目標・達成期間)
○ジョブコーチ養成数
1,500 人〔18 年度〕→5,000 人〔23 年度〕
○ジョブコーチ支援
支援終了後の定着率 80%以上〔24 年度〕
6 保健・医療(抜粋)
○基本方針
障害者に対して、適切な保健サービス、医療、医学的リハビリテーショ
ン等を充実し、障害者のQOL(生活の質)を高めるとともに、障害の原
因となる疾病等の予防・治療が可能なものについては、これらに対する保
健・医療サービスの適切な提供を図り、障害の予防・早期発見・早期治療
に努める。
また、こころの病についても医療的ケアの充実を図り、「うつ」や自殺の
防止を推進する。
7 情報・コミュニケーション(抜粋)
[3]情報提供の充実
○聴覚障害者情報提供施設の整備の促進
聴覚障害者情報提供施設について、全都道府県での設置を目指し、その整備
を促進する。
○字幕番組、解説番組及び手話番組の制作の促進
ア NHK総合及び在京キー5局等において、字幕付与可能なすべての放送番組
(注1)に字幕を付与する。
また、NHK総合及び在京キー5局等において、対象の放送番組(注2)の10%、
NHK教育において、対象の放送番組の15%に解説を付与する。
注1)複数人が同時に会話を行う生放送番組など技術的に字幕を付すこと
ができない放送番組等を除く7時から24 時までのすべての放送番組に
範囲を拡大
注2)権利処理上の理由等により解説を付すことができない放送番組を除
く7時から24 時までのすべての放送番組
(数値目標・達成期間)
○字幕放送時間の割合
NHK総合100%、在京キー5局平均77.8%〔18 年度〕→ 100%〔29 年度〕
※現行指針における字幕付与可能な放送時間(生放送番組など技術的に字幕
を付すことができない放送番組等を除く7時から24時までの新たに放送す
るすべての放送番組の放送時間)に占める字幕放送時間の割合
※新たな指針においては、字幕付与可能な放送番組の範囲を拡大し、その中
に占める字幕放送時間の割合
○解説放送時間の割合
NHK総合3.7%、NHK教育8.8%、在京キー5局平均0.3%〔18 年度〕
※総放送時間に占める解説放送時間の割合
→
NHK総合及び在京キー5局等10%、NHK教育15%〔29 年度〕
※対象放送番組の放送時間に占める解説放送時間の割合
イ 字幕番組、解説番組及び手話番組の制作費に対する必要な助成を行う。
○映画の字幕付与の促進
日本の映画の字幕付与について、映画関係団体とともに引き続き取組を促進す
る。
○視覚障害者用図書情報ネットワーク運営事業等の利用の促進
視覚障害者がITを利用して、自宅から点字図書や録音図書の検索や貸出予約
等を行うことができる「視覚障害者用図書情報ネットワーク運営事業」等の利
用を促進する。
○視覚障害者を対象とした広報の充実
視覚障害者向け資料「音声広報CD」及び「点字広報誌」について、引き続き
発行する。
また、広報媒体の特性等に応じて可能なものについて、音声コードの活用に配
慮する。
○障害者の自立した食生活の実現に資する情報提供の推進
障害者の自立した食生活の実現のための関連情報の提供を推進する。
○障害者の情報へのアクセスに配慮した著作権制度の在り方の検討
障害者の情報へのアクセスに配慮した著作権制度の在り方について検討を進め、
必要に応じて法整備を行う。
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