障害児の権利促進 国連ニュース Innocenti Digest No.13 2007/102008-01-06

http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/071030_rights_children/index.html

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「障害児の権利促進」に関するイノチェンティ・ダイジェストでは、世界の約二
億人の障害児の状況を検討し、その権利の実現を支援する方法を確認する。障害
児は、常にその権利の享受と社会参加を阻む障壁に直面している。しかし時代の
流れは変わりつつあり、多くの国々が過去二十年の間に、社会の正式な一員とし
ての障害児の参加を促進する法律および体制の改革に着手してきた。

ダイジェストでは、そのような参加を促進し、教育、医療サービスおよびリハビ
リテーション、社会的および法的支援、余暇および文化活動、職業および生活ス
キル訓練などへのアクセスを含む、障害児の発達に関連するあらゆる局面につい
て検討する。そして、子どもの権利条約の規定に基づいて制定された、障害児の
権利の確保において新時代を切り開く、障害者権利条約に焦点を当てる。

エグゼクティブサマリー(要旨)
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/071030_rights_children/summary.html

障害児とその家族は常に、基本的人権の享受と社会参加を阻む障壁を経験してい
る。障害児の能力は見過ごされ、才能は過小評価され、ニーズには低い優先順位
しか与えられない。しかし、障害児が直面する障壁は、その障害が原因であると
いうよりは、彼らが生活している環境が原因であることの方が多い。

このような子どもたちの状況は好転しているが、その一方で、今なお深刻な格差
が存在する。プラス面としては、過去二十年以上の間に、障害者自身に由来する、
また市民社会や政府の多大な支援による、世界的な気運の高まりが見られように
なったことがあげられる。多くの国々では、地域の小規模なグループが協力して
地方組織や全国組織を結成し、法制度の改革や改正のためのロビー活動を進めて
きた。その結果、地域社会の正式な一員としての障害者の参加を阻む障壁が、一
つずつ取り除かれ始めている。

しかし、国の中でも、そして国によっても、進捗状況は異なっている。多くの国
々は、障害者を保護する法律を何も制定しておらず、そのため、障害者の権利は
侵害され続けている。

「障害児の権利促進」に関するイノチェンティ・ダイジェストでは、約二億人の
障害児の状況を世界的な視点から見た見解を提供することを試みている。ダイジ
ェストの内容は、さまざまな地域の国々からの、そして幅広い情報源からの報告
に基づいている。報告には、国際人権条約の実施を監督する責任を負う人権条約
団体に提出されたものも含め、加盟国から国連に提出されたカントリーレポート
に加え、障害者、その家族および地域社会の人々、専門家、ボランティア、そし
て非政府組織による報告も含まれている。

ダイジェストは特に子どもの権利条約(CRC)と障害者権利条約(CRPD)に焦点
を当てている。後者は2007年3月30日の開放の日に、前例を見ない81カ国によって
署名された。2007年8月15日現在、101カ国がCRPDに署名し、4カ国が批准してい
る。同条約の発効のためには、20カ国によって批准される必要がある。障害者権
利条約は各国および各地域社会に、その法律と制度を再検討し、障害者が他のす
べての人と同じ権利を保障されることを確保するために必要な変更を促進する、
またとない機会を提供する。そして、基本的人権を、障害者の特別なニーズと状
況に取り組む手段として示し、それらの権利が実現されることを確保するための
枠組みを提供する。

インクルージョンを阻む障壁の理解

障害の社会的モデルでは、社会や社会制度への参加を妨げるものは、個人の中に
ではなく、むしろ環境の中に存在し、そのような障壁は防止、削減、あるいは撤
廃することができ、またそうされなければならないと認めている。

環境上の障害は、数多くの形で現れ、あらゆる社会レベルにおいて認められる。
それらは政府によって作成される政策と規則に反映される。このような障害は、
たとえば公共施設や交通機関および余暇施設における障壁のように物理的な場合
もあれば、態度に関連している場合もある。広くはびこっている障害児の能力と
可能性への過小評価は、低い期待、低い成績、そして資源配分における低い優先
順位という悪循環を生みだす。 --略

1. はじめに
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/071030_rights_children/introduction.html

子どもの権利条約(CRC)では、障害児を含むすべての子どもの人権を認めてい
る。同条約には、障害児の権利を認め、これを促進する条文が特に盛り込まれて
いる。CRCに加え、2006年12月に国連総会によって採択された障害者権利条約
(CRPD)も、すべての障害児の人権の促進に新たな弾みをつける。

ほぼ全世界で子どもの権利条約が批准され、障害者権利条約の採択をもたらした
社会的かつ政治的機動力の存在が認められるにもかかわらず、障害児とその家族
は、その権利の享受を危うくする難題を日々突きつけられ続けている。障害に関
連した差別や排除は、あらゆる国、あらゆる社会部門、あらゆる経済的、政治的、
宗教的および文化的環境において発生している。

インクルージョンの促進

人権擁護は、障害児のインクルージョンに向けた活動を感化するとともに、その
基盤も提供してきた。インクルージョンのためには、年齢、性別、民族性、言語、
貧困あるいは障害にかかわらず、すべての子どもを社会の正式な一員として認め、
そのすべての権利を尊重する必要がある。インクルージョンには、これらの権利
の享受を妨げる可能性がある障壁の除去が含まれ、さらに適切な支援環境および
保護環境の整備も必要とされる。

国連教育科学文化機関(UNESCO)は、ともすれば「異なっている」と思われてし
まう子どものインクルージョンは、「彼らが地域社会の生活と文化に、完全かつ
平等に参加し貢献できるよう、個人や組織、および連携の姿勢と慣習を変えるこ
とであり、インクルーシブな社会とは、違いが尊重され、高く評価される社会で
あり、差別と偏見に対する積極的な取り組みが、政策や慣習において見られる社
会である」と述べている。1994年、UNESCOの主催によりスペインのサラマンカで
開催された特別なニーズ教育に関する世界会議では、インクルーシブ教育を標準
とすることが勧告された。これは現在、新たな障害者権利条約の中で再確認され
ている。 --略

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(財)日本障害者リハビリテーション協会注:
イノチェンティ・ダイジェスト(Innocenti Digest No.13)のエグゼクティブサマ
リー(要旨)とイントロダクション(はじめに)の日本語訳を掲載いたします。
全文のPDF版(英語)は以下URLからダウンロードできます。
http://www.un.org/esa/socdev/unyin/documents/children_disability_rights.pdf

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