障がいのある人の権利条約の批准と国内法整備に関する日弁連会長声明 2009/03/132009-03-21

http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/statement/090313.html

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政府は、障害のある人の権利条約(以下「権利条約」という。)の批准に対する
承認を今国会中にも求める方針である。権利条約は、障がいを理由とする差別の
禁止などを通じて障がいのある人に人権が等しく保障されるべきことを規定する
画期的なものであり、当連合会は、その批准を強く求めるとともに、条約が規定
する水準にふさわしい国内法の整備を求めるものである。

ところで、権利条約は、障がいのある人に対する合理的な配慮を行わないこと自
体が差別にあたると明記したうえで、生活のさまざまな場面で差別を排除するた
めの立法上の措置を行うこと、条約実施の促進、保護、監視にあたる国内モニタ
リング機関を設置することなどを求めているが、これらの人権保障システムは未
だ日本には存在しない。

政府は、今般の条約批准の承認と併せて、障害者基本法の中に、合理的配慮の否
定を含むいくつかの差別の定義規定を設け、障害者基本法24条に定める中央障
害者施策推進協議会に国内モニタリング機関の機能を持たせる改正を行おうとし
ている。しかし、障害者基本法は、元来国や自治体などの施策のあり方を定める
ものであって、改正によっても、障がいのある人に対して、具体的な権利を認め
るものとなっていない。また、中央障害者施策推進協議会は、恒常的な組織体制
を持たないばかりか、人事及び予算の面からの独立性が担保されておらず、救済
の権能も有していないなど、人権救済機関としての実態を有するものとはなって
いない。

国内法の整備がされないまま権利条約が批准されると、権利条約が求めている人
権保障システムの確立が先送りされる結果だけをもたらさないかが強く懸念され
る。

当連合会は、権利条約の批准と併せて当連合会がかねて求めてきたとおり、具体
的な裁判規範性を有し、行政救済の仕組みを伴う実体法体系としての差別禁止法
を制定すること、国内モニタリング機関を政府から独立した内閣府の外局として
設置し、救済機能を有する恒常的な組織とすることなど、障がいのある人の基本
的人権を保障するシステムの基本的枠組みを構築することを強く求めるものであ
る。

2009年(平成21年)3月13日

                    日本弁護士連合会 会長 宮﨑 誠

障害者権利条約 3月上旬に国会提出へ JDF「唐突で驚いている」 福祉新聞 2009年2月9日 2421号2009-03-21

福祉新聞 2009年2月9日 2421号

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JDFの藤井克徳・幹事会議長は「唐突で驚いている。3月上旬という提出時期
は考え直してほしい。JDFは批准を望んでいるが、形式的な批准ではダメだと
いう姿勢だ。--略

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/pdfs/treaty171_list.pdf
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/pdfs/treaty171_gaiyo.pdf

※ 2009/03/10に行われたJDF等との政府意見交換会ののち、今期国会での提
  出は見送られたもよう。