「読書バリアフリー法」(案)賛同団体呼びかけ主意書/2010年国民読書年に向けて障害者・高齢者の読書バリアフリーを実現する会2009-06-10

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 「読書バリアフリー法」(案) 賛同団体呼びかけ主意書

  2010年国民読書年に向けて障害者・高齢者の読書バリアフリーを実現する会
                            会長 笹川 吉彦

 国連では2006年12月、「障害者の権利条約」が採択され、我が国でも現在批准
に向け国内法の整備が進められているところです。この条約では、合理的な配慮
の下、「利用可能な様式を通じて、文化的な作品を享受すること」を確保するた
めのすべての適当な措置をとることが義務付けられております。また、第二十一
条には「障害者が、第二条に定めるあらゆる形態の意思疎通であって自ら選択す
るものにより、表現及び意見の自由(他の者と平等に情報及び考えを求め、受け、
及び伝える自由を含む。)についての権利を行使することができることを確保す
るためのすべての適当な措置をとる。」と定められています。
 一方国内では、国民の「活字離れ」が叫ばれて久しくなりますが、国民的な読
書活動を推進するために「子ども読書推進法」や「文字・活字文化振興法」が制
定されております。また、2008年6月には国会で2010年を「国民読書年」とする
決議が全会一致で採択され、国民すべてが更に読書に親しめるような読書の環境
と読書文化の高揚が期待されているところです。
 このような情勢の中、障害者や高齢者の読書環境を改善し、「読みたくても読
めない」という読書困難者が一冊でも多くの本と触れ合えるように下記のような
「読書バリアフリー法」案の制定を国会議員に陳情することになりました。そこ
で国会でのロビー活動において関係者の総意を伝えるために賛同団体を募り、そ
の一覧も合わせて提出したいと考えております。つきましては、数は力ですので、
多くの団体の賛同を表明していただければ、大変有難く存じます。もし賛同を表
明していただける場合は、下記アドレスまでご連絡いただけますでしょうか。
 多くの関係者の方々のご理解とご支援を賜れますよう宜しくお願い申し上げま
す。

連絡先メールアドレス unokazuhiro@ybb.ne.jp

「読書バリアフリー」として実現したい事項
1.出版社による活字図書のアクセシビリティ保障
(出版社による拡大図書や音声図書、点字図書の発行の促進と電子図書販売の義
 務化)
2.図書館内のバリアフリー媒体の充実
(地域の公共図書館や学校図書館における拡大図書や音訳図書などの蔵書の充実)
3.国立国会図書館の電子図書館アーカイブのアクセシビリティ確保
(国立国会図書館の電子図書館の拡大表示やスクリーンリーダーによる読み上げ
 対応)

「障害者及び高齢者の読書環境の改善に関する法律(読書バリアフリー法)」
(案)

(目的)
第一条 この法律は、通常の活字図書を読むことができない、若しくは読むこと
に著しく困難のある視覚障害者、上肢障害者、発達障害者等の障害者(以下、
「読書障害者」という。)及び加齢が原因で視力が著しく低下したことにより通
常の活字図書を読むことができない、若しくは読むことに著しく困難のある者
(以下「読書困難高齢者」という。)の読書環境の改善に関し、基本理念を定め、
並びに国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、読書障害者及び読書
困難高齢者(以下、単に「読書障害者等」という。)の読書環境の改善に関する
必要な事項を定めることにより、障害の有無や身体的条件に関わらずすべての国
民が等しく文字・活字文化の恵沢を享受し、知的で活力ある文化の形成に寄与す
ることを目的とする。

(定義)
第2条 この法律において「商業図書出版」とは、図書を営利を目的に発行し、
業として販売することをいう。
2 この法律において「活字図書」とは、もっぱら小説、論文その他の言語の著
作物を掲載する図書をいう。
3 この法律において「拡大文字」とは、工業標準化法(昭和二十四年法律第百
八十五号)に基づく日本工業規格Z八三〇五に規定する22ポイント以上の文字
をいう。

(基本理念)
第三条 読書障害者等の読書環境の改善に関する施策の推進は、読書活動がすべ
ての国民にとって障害の有無や身体的条件その他の要因にかかわらず社会に積極
的に参画し、人生をより深く心豊かに生きる上で欠くことのできないものである
ことにかんがみ、すべての読書障害者等があらゆる機会とあらゆる場所において
自主的に読書活動を行うことができるよう、積極的にそのための環境が整備され
ることを旨として、行われなければならない。

(国の責務)
第四条 国は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、読書
障害者等の読書環境の改善に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を
有する。
2 国は、出版社が、活字図書の商業図書出版を行うに当たり、第六条に定める
責務を遂行するための必要な設備投資等に関し、資金の確保、税制上の優遇措置
等を講ずるよう努めるものとする。

(地方公共団体の責務)
第五条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、その地
域の実情を踏まえ、読書障害者等の読書環境の改善に関する施策を策定し、及び
実施する責務を有する。

(出版社の責務)
第六条 出版社は、活字図書の商業図書出版を行うに当たっては、基本理念にの
っとり、読書障害者等が読書できるよう、出版物の拡大文字、点字及び音声によ
る図書の提供又は提示に努めるものとする。
2 出版社は前項の拡大文字、点字及び音声による提供又は提示を行わない場合、
読書障害者等が知覚可能な形式の電磁的記録の提供又は提示を行うものとする。

(図書館の責務)
第七条 図書館法第二条に定める公立図書館及び私立図書館(以下、「公共図書
館」という。)及び学校図書館法第二条に定める学校図書館は、読書障害者等の
読書活動の機会の充実及び読書活動の習慣化に積極的な役割を果たすとともに拡
大文字、音声及び電磁的記録による図書の蔵書の充実に努めるものとする。

(財政上の措置)
第八条 国及び地方公共団体は、前条に定める図書館の責務が円滑に遂行される
よう、必要な財政上の措置を講じなければならない。

(関係機関等との連携強化)
第九条 国及び地方公共団体は、読書障害者等の読書環境の改善に関する施策が
円滑に実施されるよう、出版社、書店、図書館その他の関係機関及びボランティ
ア団体等の民間団体との連携の強化その他必要な体制の整備に努めるものとする。

(読書環境改善基本計画)
第十条 国は、読書障害者等の読書環境の改善に関する施策の総合的かつ計画的
な改善を図るため、読書障害者等のための読書環境の改善に関する基本的な計画
(以下「読書環境改善基本計画」という。)を策定しなければならない。
 2 読書環境改善基本計画には、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 読書環境改善の意義及び目標に関する事項
二 読書環境改善のために出版社及び図書館等が講ずべき措置に関する基本的な
事項
3 国は、情勢の推移により必要が生じたときは、読書環境改善基本計画を変更
するものとする。
4 国は、読書環境改善基本計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、
これを公表しなければならない。

附則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令
で定める日から施行する。

(図書館法の一部改正)
第二条 図書館法の第三条に次の一項を加える。
十 障害者、高齢者の利用に資するため、拡大図書、音声図書、電子図書等の蔵
書の充実に努め、それを提供すること。

(学校図書館法の一部改正)
第三条 学校図書館法の第四条に次の一項を加える。
六 拡大図書、音声図書、電子図書等の資料を収集し、障害のある児童又は生徒
及び教員の利用に供すること。