第171回国会 参議院内閣委員会 平成21年6月30日(火曜日) 議事録2009-06-30

http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0101/171/17106300058011c.html

略--
○山本香苗君 促すんじゃなくて、必ず入るという形にしていただきたいと思い
ます。
 不登校と一言で言っても様々な要因がございます。その中で、不登校が発達障
害の二次的な現象であるケースが少なくないといったことも指摘をされておりま
す。発達障害の子どもへの支援の遅れが授業に付いていけない子どもたちを生ん
でいます。どんどん勉強が遅れていく自分が嫌いになって、自尊意識を喪失する
ことによって学校に行きたくても行けなくなってしまう、不登校になってしまう
という事態をつくり出しております。
 五月三十一日付けの朝日新聞の朝刊の「声」の欄にDAISYコンソーシアム
の代表の河村先生という先生が「デジタル化は教科書優先で」というタイトルで
投稿されておられました。
 その内容はといいますと、平成二十一年度の補正予算で約百二十六億円が国立
国会図書館のデジタル化について付いたことに端を発しているわけでありますけ
れども、ちょっと御紹介させていただきますと、発達・学習障害などで読める教
科書がない子どもたちも国内に多数おり、デジタル化には教科書整備を優先すべ
きではないだろうかと。DAISY図書は文章に音声、画像が付いて、検索が容
易で、視聴覚障害のみならず、発達・学習障害児を含む人々が自力で読めると。
日本では視覚障害児のために拡大教科書は予算化されているが、発達・学習障害
児にも有効なDAISY版教科書はボランティア頼りで供給が足りていないと。
教科書のDAISY化は昨年の著作権法改正で認められ、国会図書館がDAIS
Y版教科書を提供するための法的環境は整った、読める教科書のない子どもたち
や高齢者の存在に心を配った蔵書のデジタル化を切に望むといった御意見でござ
いました。
 国会図書館は、すべての出版物というものを収集して書誌情報を国民に提供す
るという重要な役割を担っておりまして、教科書も所蔵しております。他方、文
部科学省ではDAISY形式の教科書の効果の実証のために二年間の研究委託を
始めたところです。この研究は研究で進めていただいて結構なんですが、それと
同時並行で、国会図書館とも連携を取っていただいて、教科書や図書のデジタル
化も一緒に早く進めていってもらいたいというか、進めるべきだと考えておりま
すが、いかがでしょうか。

○政府参考人(徳久治彦君) 昨年九月に施行されました障害のある児童及び生
徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律によりまして、教科書
発行者は教科書デジタルデータの提供が義務付けられてございます。具体的には、
拡大教科書等を製作するボランティア団体等から希望のあった教科書のデジタル
データすべてを文部科学省に提供いただいているところでございまして、これら
のデジタルデータは本年二月よりボランティア団体等に提供されているところで
ございます。
 一方、この教科書デジタルデータにつきましてでございますけれども、拡大教
科書や音声読み上げ教材など多様な用途に活用しやすいようその編集方式や活用
方法を検討していくことが重要と考えてございまして、そのための必要な調査研
究を現在進めているところでございます。また、発達障害の子どもの障害の状況
に応じた教科書デジタルデータを活用した教材等につきまして、学校教育におけ
る教育的効果や指導方法等についても研究を進めることにいたしております。
 委員御指摘のように、国立国会図書館では出版物等の所蔵資料を後世に継承す
ることを責務としてございまして、保存の手段としての利用のしやすさなどの観
点からデジタル化による複製を中心に進めていることと承知をしております。
 いずれにいたしても、文部科学省といたしましては、このような国立国会図書
館と必要な情報交換など連携を進めまして、教科書デジタルデータの円滑な提供
を一層促進してまいりたいと考えてございます。

○山本香苗君 DAISY形式の文はパソコンで見れて身近な存在ですから、い
つでも開けるわけです。自分の好きなときに人の手を借りないでできると。今ま
では読むことというのに、普通の本を読むのに全神経を傾けていたのに内容まで
理解ができていなかった、お母さんや学校の先生たちに読んでもらうまでできな
かった、けれども、このツールを使えば自分一人でできるようになると、本人に
とって本当に大きいことなんだなということを実感しております。
 国会図書館とも話をしたんです。確かに、今回のデジタル化、即、今申し上げ
たDAISY化とは違うわけでありますけれども、そこまで視野に入れてデジタ
ル化を進めていくことが必要であります。今国会で成立いたしました著作権法の
改正案の附帯決議のところにおいても、そういったデジタル化された、「国会図
書館において電子化された資料については、情報提供施設として図書館が果たす
役割の重要性にかんがみ、読書に困難のある視覚障害者等への情報提供を含め、
その有効な活用を図ること。」とありまして、この「等」の中に発達障害のある
方も含まれているわけであります。是非すぐに国会図書館と連携を取っていただ
いて、できるところからどんどん進めていっていただきたいと思いますし、また、
二年間の調査結果が出てくるまで何もやらないというわけではなくて、発達障害
のある子どもたちにDAISY形式の教科書や図書を一刻も早く提供できるよう
な体制をつくらねばならないと思っております。
 このことについては、子ども・若者に対する支援策の一つとしても、新たに策
定されますいわゆる子ども・若者育成推進大綱にもきちんと組み込んでいってい
ただきたいと思いますが、統括官、いかがでしょうか。

○政府参考人(松田敏明君) 先生のおっしゃった趣旨を踏まえまして、大綱の
策定の検討に当たりましては十分それを踏まえながら頑張ってまいります。

○山本香苗君 頑張るんじゃなくて、書いていただきたいんです。--以下略

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以下の参議院ウェブ中継のライブラリで見られます。字幕はありません。映像と
音声のみです。山本香苗議員の質問部分で、開始後6分30秒あたりから12分
20秒あたりまでです。

http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/library/reference.php?page=1&cd
=3342&tx_mode=consider&sel_kaigi_code=0&dt_singi_date_s
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