日本発達障害ネットワーク 文部科学大臣宛要望書 2099/07/022009-07-02

                           平成21年7月2日

文部科学大臣 塩谷 立 殿 

               要 望 書


               日本発達障害ネットワーク 代表 田中 康雄

平成20年9月17日、「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の
普及の促進等に関する法律」が施行され、あわせて「著作権法第33条の2」も
改正され、LD等の発達障害のある児童生徒が学習できるように、適切な配慮が
なされた検定教科用図書等の普及のために必要な措置が講ぜられることとなりま
した。
 しかしながら特別支援教育の現場において、LD(学習障害)やディスレクシ
ア(読字障害)等の発達障害のある児童生徒に対しての情報保障はいまだ不十分
であり、適切な配慮がなされた検定教科用図書等の提供もほとんどなされていな
いのが現状です。
 また、第171国会において、去る6月12日障害者の情報格差是正等を目的
として「改正著作権法」が成立し、平成22年1月1日より施行されることとな
りました。今回の改正は日本政府として批准を目指している、「国連障害者の権
利条約」の趣旨をふまえたものとも言われております。つきましては、LD等の
発達障害のある児童生徒の情報保障や学習権保障の観点から、下記のとおり要望
します。

                 記

1.発達障害のある児童生徒の中には、「視覚や聴覚による表現の認識に障害が
  ある」場合があることから、今回の改正著作権法で規定されている、「視覚
  障害者等」「聴覚障害者等」の範囲について、政省令による規定および運用
  に際しては、発達障害を含め、対象を極力広く捉えるよう配慮すること。

2.「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関す
  る法律」に則り、発達障害のある児童生徒のための、バリアフリー化された
  教科用特定図書の普及のための予算措置を行うこと。(特に義務教育段階に
  おいては、無償給与のための予算措置)

3.発達障害のある児童生徒のための教科用特定図書に関する調査研究を引き続
  き拡充して実施すること。

4.検定教科書のデジタル化、テキスト化、デイジー化については、製作には多
  大な労力と資金が必要なことから、需要に追い付いていない状況にある。こ
  れらに積極的に取り組むとともに、国立国会図書館で計画されているデジタ
  ルアーカイブ事業と連携し、同図書館に納本済みとなっている検定教科書の
  デジタル化に取り組むこと。
                                  以上