衆院 青少年総合対策推進法案に対する修正案(議事録) 2009/06/182009-07-06

【追加】子ども・若者育成支援推進法が成立
 http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20090701AT3S0100401072009.html
 ニートや引きこもりの若者の支援体制を整備する子ども・若者育成支援推進法
が1日の参院本会議で可決、成立した。政府の原案では「青少年総合対策推進法
案」だったが、青少年の範囲を明確にすべきとの民主党の主張を与党が受け入れ
名称変更した。--略

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○泉委員 民主党の泉健太でございます。
 きょうは、この法案、修正案が提出されたということで、大変評価をしたいと
いうふうに思います。政府案とあわせて、まず、幾つか変わった点についての確
認からさせていただければというふうに思います。
 政府案の中では、二条のところでございますけれども、さまざま書かれており
ましたが、そういう中で、「青少年が自立した社会生活を営むことができるよう
にするための支援その他の施策を定める」という当初案に対して、議員提出の修
正案では「自立した」という部分があえて除かれたというふうに認識をしており
ます。これはどのような理由によるものなのか、御説明をいただければと思いま
す。

○吉田(泉)委員 端的に申し上げますと、今回の修正案で、対象者を、十五歳
未満の若い方々も対象にする。そうしますと、十五歳未満の方々は経済的自立に
なじまないということもあって、自立という言葉を外したということであります。
 もう少し根本的に言いますと、今回問題にしているひきこもりのような問題、
これは自立社会の落とし穴であるという専門家の御意見がございます。
 我々、五十年前に育ったころには、素直で人の言うことを聞くおとなしい子が
いい子だという環境で育ったんですが、三十年前ぐらいからですか、それよりも、
自分の考えをしっかり持って、それをしっかり主張して、結果、責任をとる、そ
ういう自立型の子どもがいい子どもだと、だんだん時代の価値観が変わってきた
と思います。しかしながら、なかなかその新しい自立という価値観になじめない
方々もおって、そうかといって前の価値観にも戻れない、その二つのはざまで落
とし穴に落ちている、こういう見解であります。私は、大変本質的な指摘だろう
と思っております。
 要するに、そういう、自立を余り強調することがひきこもりの原因になってい
る可能性があるということを踏まえて削除したという面もございます。

○泉委員 そして、同様に、もともと政府案でいいますと二条の五号、そして修
正案でいいますと二条の七号でございますが、政府案の二条五号には、「自助の
責任を踏まえつつ、必要な支援を行うこと。」ということになっていたわけです
ね。もう少し長く読めば、「修学及び就業のいずれもしていない青少年で、自立
した社会生活を営む上での困難を有するものに対しては、その困難の内容及び程
度に応じ、自助の責任を踏まえつつ、必要な支援を行うこと。」これは政府案で
ございました。
 それに対して、「自助の責任を踏まえつつ、」という言葉は議員提出の案から
は省かれておりまして、さらに、加えられたのは、「当該子ども・若者の意思を
十分に尊重しつつ、」という言葉に変わっております。この趣旨についても御説
明願います。

○吉田(泉)委員 修正案では、先ほど申し上げましたように、十五歳未満の低
年齢の子どもも支援の対象とするということであって、そういう方々に自助の責
任を求めるのは適切ではないという考えでございます。
 それから、引きこもっているような方は、先ほど菊田先生からの御意見もござ
いましたが、かえって自助の責任感が非常に強い子が多い、そういうタイプの人
に余り自助の責任感ということを強調するとかえって負担となる、逆効果となる、
そういうおそれがあるということで削除した次第でございます。

○泉委員 要は、小渕大臣、今の議論、これはまだ修正案の段階でございますの
で、採決をされて決定したわけではございませんけれども、政府案では、自立、
自助、そういう原案があり、そこにも一つの哲学はあったんだと思うんですね。
一方で、議員修正案、出されたものについては、自助や自立というある種のキー
ワードは、時には精神的なプレッシャーを与え、逆効果を与える可能性がある、
こういう指摘をもってこの修正に至ったということでございます。
 私は、ぜひ大臣にその趣旨を理解していただいて今後この青少年施策を進めて
いただきたいというふうに思いますけれども、御見解をお願いいたします。

○小渕国務大臣 委員におかれましては、前回の委員会あるいは少子化対策につ
いての御質問の中でも触れていただいたんですけれども、やはり、大人の目線よ
りは子どもですとか若者当事者の視点というものを決して忘れてはならないとい
う御指摘をいつもこれまでの御質問を通じていただいているように思っておりま
す。
 今回の法案の、自立を削除したということ、また、子どもの意思を十分に尊重
しつつという文言を加えたということ、先ほどより修正案提出者の方からの御意
見を伺っておりました。これにつきましても、同じ思いがあるのではないかとい
うふうに思っております。
 これは、大臣としてというより、大人の一人として反省しなければならないこ
とでありますけれども、実際に子どもや若者がその姿を望んでいるのか、それと
も、大人がそうなってほしいというものを望んでいるのか、そのあたりでギャッ
プが生じているのではないかと思っております。自立した姿の子どもというもの
をどうしても大人は望んでしまいますし。
 アウトリーチにつきましても、これは青少年問題を考える上での第一歩として
私は大事な視点ではないかと思いますが、おっしゃるように、負の面ということ
を考えなければなりませんし、やはり、こういうものはバランス感覚を持って進
めていかなければならないと思っております。
 そうした意味で、今回提出をいただいた修正部分につきましては、一定の評価
をするところであります。

○泉委員 もとより、自立という言葉全部を否定するわけではありません。しか
し、丁寧な表現をすれば、恐らく、青少年というのは自立をする過程の段階であ
って、青少年の時代に完全なる自立をするというのは、よっぽどの青少年である
ということなんだと思います。ですから、そういう温かみを持った、自立する過
程であるという認識を持ってこの青少年施策をやっていくということがまず共通
認識でなくてはいけないというふうに思っております。
 次でございます。
 また、今回、政府原案では、麻生総理のそもそもの指示もあってということも
あったと思いますが、特にニート、フリーターを頭出しをしてというか、ニート、
フリーター対策を前提とした地域協議会をつくっていくという仕掛けになってい
たと思います。
 一方で、修正案二条においては、これも少し変化がございます。支援対象者で
ございます。
 ニート、フリーターを前提としながら、しかし、それだけではなく、その他の
子どもたちということも今回新たに盛り込まれているというふうに認識をしてお
りますけれども、その他の子どもたちということは、いろいろな子どもが入って
くることになるのではないかと思います。
 修正案の二条の七号、「修学及び就業のいずれもしていない子ども・若者その
他の子ども・若者であって、社会生活を円滑に営む上での困難を有するもの」で
ありますから、その他の子どもであって社会生活を円滑に営む上で困難を有する
もの、この子どもたちに必要な支援を行っていくということになります。
 これは我が党でもいろいろ指摘があったところなんですが、非行問題から始ま
って、学習障害ですとかADHDあるいは被虐待、そしてまた、根本的には、障
害者ですとか家庭内暴力、摂食障害、うつ、社会生活を円滑に営む上でのいろい
ろな困難を有する若者たちがいるわけですね。今回「その他の」という言葉が入
ったことによって、こういったさまざまなほかの障害というものを持った子ども
・若者が支援対象に入るというふうに提出者は考えられていますでしょうか。
    〔笹木委員長代理退席、委員長着席〕

○吉田(泉)委員 今回の修正案によりまして、支援の対象が広がったわけでご
ざいます。
 そして、例えば障害のある方、今お話しになりましたが、そういう方の場合で
も、軽度の発達障害のような場合であれば、医療的ケアに加えて修学・就労支援、
こういうこともあわせて行うということも考えられるわけでありますので、本法
の対象になり得るということだと思います。しかしながら、今度は逆に、重度の
障害という場合には、医療面でのケアが支援の大半を占めるということになりま
す。そうしますと、今回のこの協議会を中心とした支援というのは、ほとんど意
味がなくなる可能性もある。
 したがって、具体的に、それぞれの個人の抱える状況によって、この法案で対
応すべきか、別の個別法で対応すべきか、ケース・バイ・ケースであるというこ
とだと思います。

○泉委員 ここは、もしこの修正案が成立をするということになれば、政府側に
は、ある種、今までの発想をどこまで練り直しをしていただくのかということが
必要になってくると私は思うんですね。
 今まで政府から御説明のあった法案の説明資料によりますと、やはり、ニート、
フリーターを前提にこの地域協議会をつくっていくということで、よく言われる
アウトリーチの手法が取り入れられるということでありました。
 しかし、一方で、さまざまな困難を持つ若者を支援対象に含めるという今回の
修正案が出てくる中で、特に、青少年総合相談センターが今後機能していく、そ
して地域協議会が機能していくに当たって、当然いろいろな方々を対象にしなく
てはいけなくなると思うんですね。そこの現在の認識、今、どのように考えてお
られますか。

○松田政府参考人 今、支援対象が拡大したことをどのように受けとめているか
という御質問でございます。
 一つは、十五歳未満の者を外しておったわけでございますが、これはやはり、
就労を自立の出口ということで考えております関係で、労働基準法上、雇用が原
則禁止となる十五歳未満を対象に含めるのはいかがかということで、まずはニー
トということで原案はなっておったわけでございます。今回、こうしたものがな
いということで、十五歳未満がなくなるという意味では、まず、長期にわたる不
登校、これが入ってくるわけでございます。
 先生が今御質問ございました非行問題、ADHD、それから虐待や障害の子は
どうなるのか、家庭内暴力はどうなるんだと。
 長期にわたる状態ということであれば、社会生活を円滑に営む上での困難を有
する者ということであれば、摂食障害とか発達障害の方は多分入る。
 虐待の関係は、別途、児童福祉法で、本当に命に危害が及ぶおそれがあれば、
警察に通報するとか、別な協議会のネットがございますので、そういう事象に対
する地域ネットワークということで、これは、直接に対処するよりも、うまく地
域ですみ分けをしていただくのかなと思っております。
 家庭内暴力も、当人が家庭内暴力を振るうということは、ひきこもりの方にあ
りがちなことでございますので、これは対象にも入り得るし、うつ病の方で引き
こもっておられたりあるいはニート状態にあるということは当然あり得ますので、
そういった意味で、対象はもちろん広くなるわけでございます。
 私どもが想定していたのを超えたという意味では、一つは、不登校が確実に入
ってきた。それから、摂食障害ということが御指摘にありました。本当にふらふ
らの状態で摂食障害状態で長期間ということであれば、では、その原因を要する
に地域レベルでいろいろな分野で相談してあり方を決めようということで、対象
になり得ると思っております。
 そういう意味で、広がるということですが、それに対応いたしまして、私ども
も、今後どういうふうに協議会を運営していくかということを、そうしたいろい
ろな対象者がいらっしゃることを前提として、きちっとした運営要領をつくって
まいりたいというふうに考えております。

○泉委員 委員長、ここは、恐らく政府側は、この法案、先ほどから指摘をして
おりますけれども、地域協議会というのは、ニート、フリーター対策を前提に構
成をしたものである、それは恐らく、さまざまなNPOや関係団体にもそのよう
な説明をされてきたと思うんですね。一方で、もしこの修正案が成立をすれば、
今御説明ありましたように、対象者が大分広がるということになると思います。
 一つは、いろいろな困難を有する、私が例示をしたもの以外にもそれはいっぱ
いあるかもしれませんが、そういったものに対して、最終的には、一番下の項目
に、その他困難を有する若者というものが入ることにはなると思うんですが、や
はりどこかで、対象はこういった方々ですよというものは例示をしていただきた
いし、それを委員会にお出しをいただきたい、お示しをいただきたいというふう
に思っております。
 ですので、これはぜひ今後理事会で御協議をいただいて、そういった、政府の
側がどのような若者、青少年を対象としようとしているのか、このことについて
は、判明次第、提出をお願いしたいと思いますが、いかがでございますか。

○末松委員長 それは、理事会にて協議をさせていただきます。

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