第4回 文部科学省政策会議 (平成21年10月28日)(水曜日)08時~2009-10-28

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第4回文部科学省政策会議(平成21年10月28日)

3.議題
(1)行政刷新会議の動向について
(2)平成22年度税制改正要望について
(3)平成22年度概算要求に関する質疑

4.概要
【中川副大臣挨拶】
行政刷新会議を中心に進められる歳出の見直しについて、皆で議論していきたい。
最先端の科学技術の現状を把握するため、研究所等に足を運んでほしい。また、
勉強会を発足し、研究者の方のお話を伺う機会を設けたい。

(1)行政刷新会議の動向について
【高井政務官説明】
 先週第1回会議が開催された。今後は、ワーキンググループが事業仕分け(歳
出見直し)を行い、11月中に報告をまとめて、来年度予算編成に反映させていく。
歳出見直しにあたっては、「予算編成等の在り方の改革について」(平成21年9
月29日閣議決定)等を踏まえ、予算編成・執行プロセスの透明性を徹底すること
とし、既存予算の必要性を含めて、予算執行の実態を踏まえながら議論する。当
省の担当である第3ワーキンググループには、私と国会議員、有識者が加わる予
定であり、人選を進めている。

(質疑応答)
○ どういう観点で人選をしているのかが不明確。やる気のある議員が参加でき
るようにするべき。

○ 各省庁にまたがる内容なので、各委員会のメンバーを均等に参加させるべき
ではないか。

(回答)
選ばれた方だけでなく、皆さんから広くご意見をいただき、議論に反映させてい
きたい。

(2)平成22年度税制要望改正要望について
【中川副大臣説明】
租税特別措置については、情報開示を進め、本則に入れるものと廃止するものを
区別していく。
寄附税制については、所得控除から税額控除・手当への移行、対象法人の拡大等
について政府全体で検討が必要。扶養控除については、子ども手当の実施に伴っ
て廃止する方針であるが、子ども手当と対象年齢が異なる特定扶養控除について
は、維持する方針。
その他、オリンピックメダリストに対する金品の非課税措置、研究開発促進税制
の延長、公益法人改革に伴う非課税措置等の要望を検討しており、全体として十
数億円程度の減収を見込んでいる。

(質疑応答)
○ 税制調査会では、租税特別措置をどうするかという大きな議論と、各省庁の
要望のような小さな議論とが混在している。

○ 税制調査会では、政治家の意見を集める機会が設けられていない。個人の金
融資産が1400兆円もある中で、所得税率を上げるなどして、担税力のあるところ
から財源を見いだすことが重要。

○ オリンピックメダリストへの賞金を非課税とする必要があるのか。所得があ
るところには課税すべきであるし、軽減を考えるなら10%の源泉分離課税とすべ
きだ。

○ 野球やサッカーのワールドカップ等もあるが、なぜオリンピックだけなのか。

○ スポーツ選手の金銭的負担が深刻化している現状に対して、個別の減税施策
としてではなく、全体としてどう取り組むかを検討すべき。

○ 家庭の教育費負担の軽減策として、塾の費用も対象にして欲しい。また、ス
ポーツ施設の固定資産税を軽減して欲しい。

○ 特定扶養控除を縮減する方針との報道があるが、どのように捉えているのか。

(回答)
まずは、租税特別措置の情報開示を進める透明化法案の検討を進める。2年後く
らいには本格的な見直しに着手できるのではないか。所得税の在り方については、
所得控除から税額控除や手当へという基本方針の下、議論をする必要がある。そ
の上で、まずは来年度の要望をまとめなければならない。子ども手当は15歳まで
という年齢制限がある。特定扶養控除は安定感のある制度であるため、議論しつ
つも維持したい。

(3)平成22年度概算要求に関する質疑
○幼稚園等耐震化の前提となる耐震診断について、予算措置はどうなっているの
か。また、教員養成課程が6年制になった場合、教育費負担の増加に対してどう
対応するのか。教員採用のハードルを高くすることなどで対応できないのか。来
年度の調査で検討いただきたい。

○ 高速増殖炉サイクル技術については、各地域でプルサーマル計画が進行して
いるが、「もんじゅ」は完成までにあと50年かかると聞いている。「もんじゅ」
の完成までに、一体いくらかかるのか。ストップすべきものは、ストップしなけ
ればならないのではないか。原子力発電に対する研究開発投資については、文部
科学省のお金を使うべきなのか慎重に検討いただきたい。

○ 教育で一番大事なのは徳育である。道徳の時間の副読本である「心のノート」
の廃止に関しては、慎重に検討する必要がある。「心のノート」がより多くの学
校で活用されるように、内容の再検討を行ってほしい。

○ 「心のノート」に関しては、慎重な検討をお願いしたい。また、私立高校の
教育費に対する支援措置について教えていただきたい。さらに、給食費の滞納に
対する取組について教えていただきたい。また、義務教育課程においても、教材
や学用品の購入が負担となっている実態があり、リサイクルを促す仕組みを構築
するべきではないか。

○ 学用品等の義務教育段階における家庭の費用負担については、支援を必要と
する家庭が増えている。就学援助制度は一般財源化されており、自治体間の財政
格差も大きい中で、十分な支援をできないところも多い。文部科学省として、義
務教育の機会均等を保障するという観点から、就学援助の在り方等について、検
討していただきたい。

○ 学力調査について、40%という抽出率は適切なのか。私立学校や、進学志向
の高い学校は、参加率が低いのではないかという予測がある中で、正確なデータ
を抽出できるのか。
また、ポスドク支援として示されている特別研究員事業、自立的研究環境整備促
進等の措置は一時的な居場所の確保に過ぎないのではないか。生涯設計を描ける
ような制度構築が望まれる。

(回答)
○ 耐震化については、基本的には耐震診断も含めて措置している。

○ 教員養成については、実践能力を育成するため、教育実習をきっちりしたい。
修士部分については、奨学金の新設等の方策を検討する。採用時のハードルを高
くすればよいという議論があるが、採用段階では、その時点での数値化できる能
力しかみることができないため、教員の質の向上という観点からは対策として不
十分。特に都市部では採用数が多いため、面接や、模擬授業等により数値化出来
ない能力まで測ることは難しい。また、近年、教員には、非常に高度な知識及び
技能が求められている一方で、教員養成課程の学生は、子どもと接する時間や発
達障害、虐待等の実態に触れる機会を十分に得られていない。このような実態を
踏まえ、志のある優秀な学生を教員として養成していけるよう、養成制度の構築
や必要な支援措置等について検討していきたい。

○ 我々は道徳教育については重視している。ただし、「心のノート」を配るだ
けで道徳教育施策が完結しているのはおかしい。今まで作っていただいた「心の
ノート」は引き続きホームページにアップする。一方で、道徳教育のあり方を考
えた場合、例えば難病の方々と直接お話する経験なども必要であると考え、その
ような教育現場での実践的な取組を応援する予算に組み替える。

○ また、私立高校については、年収500万円以上の世帯には年間12万円、500万
円以下の世帯には24万円の支援を行う。350万円以下の世帯には24万円の支援に
加え、さらに地方交付税措置等を要求した。このほか、基金等を活用して、都道
府県が地域の実態に応じて支援する。これらにより、平均でみると、実質的に私
立の授業料はカバーできる。加えて、入学金と教科書代については、公立も含め
別途対象とする。

○ 「もんじゅ」については、施設等整備費・運転費のほかに、原子力の安定し
たエネルギー供給のあり方等に関する研究開発にかかる費用が含まれている。現
在、安全な運用の確保という観点から試験運転を進めており、来年度からは、運
転を再開する予定。

○ ポスドクについては、進路に応じた支援措置を考えていきたい。

お問い合わせ先 大臣官房総務課法令審議室