参議院 予算委員会 議事録(抜粋) 平成22年3月5日(金)2010-03-05

参議院 予算委員会 平成22年3月5日(金)

○大島九州男君 教科書といえば我々が作らせていただいたバリアフリー法案、
このバリアフリー法案について質問をさせていただきますが、バリアフリー法案
が施行後二度目の新年度を迎えるようになっております。
 この第六条には、教科書図書発行者は指定種目の検定教科書用図書に係る標準
教科書用特定図書等の発行に努めなければならないという教科書出版者の努力義
務を規定されてありますけれども、今この努力義務が果たされているかどうかと
いう見解をお伺いしたいと思います。

○副大臣(鈴木寛君) 小学校、中学校においては、この法律によって相当な改
善が見られているというふうに思っております。
 高等学校段階でございますが、これも従前がほとんど対応が皆無であったと。
例えば高等学校段階の拡大教科書というのは昔はゼロですから、それが三十一種
類といいますか、三十一点になりました。それから、冊数もゼロ冊だったわけで
ありますけれども、それが千六十二冊ということでございますので、進展はいた
しておりますが、なお努力は求めたいというふうに思っております。
 しかしながら、教科書会社の努力はもちろん促すといたしましても、学生生徒
にとっては貴重な一年一年でございますので、視覚障害特別支援学校についてと
いうことではありますけれども、三十一点は拡大教科書対応ができておりますが、
十四点が残っております。この十四点につきましては文部科学省の調査研究事業
ということで位置付けさせていただいて、十四点についてもきちっと拡大教科書
対応をさせていただくということで、本来は教科書会社に努力義務があるわけで
ありますが、その分は文部省が応援をするという形で、視覚障害特別支援学校に
ついては足しました四十五点全部について対応ができるようにこの平成二十二年
度からなったということが現状でございます。

○大島九州男君 ありがとうございます。
 まさしくその十四点についてこのような形での拡大教科書、今まではボランテ
ィアの方がお作りになられていたわけですけれども、そういう拡大教科書を今年
はそういった調査研究ということで文科省にやっていただいたことに大変感謝を
申し上げます。
 お隣の韓国では、先ほど副大臣言われました電子教科書というような形の取組
が始められたというふうにお聞きしておりますけれども、我が方のバリアフリー
法案の第五条には、文部科学大臣に提出される教科書データは教科書用特定図書
を発行する者しか提供できないというふうになっているから、子供たちにそうい
うデータが渡せないんだというような意見があるんですが、そこについての御見
解をお伺いしたいと思います。

○副大臣(鈴木寛君) まず、現状は、発行者に加えまして、今委員も御指摘い
ただきましたけれども、拡大教科書の運動を拡大に努めていただいておりますボ
ランティア団体にはデジタルデータはお渡しをいただけるようになっております。
 今御指摘のそれぞれの生徒にというところでございますが、生徒が放課後や自
宅等々でと、こういうことでございますが、これは非常に有効だというふうに思
っておりますが、若干クリアすべき課題がございまして、著作権法の問題、これ
は非常に悩ましいわけでありますけれども、著作権法の問題でありますとか、こ
れはデジタルデータだけ持って帰りましてもフォーマットの問題とかセキュリテ
ィーの問題で直ちに使えない場合もあるということでありますので、そうしたこ
とも含めて、そうしたデジタル環境の改善も含めて今後精力的に研究してまいり
たいというふうに思っております。

○大島九州男君 ありがとうございます。
 そのように進めていただけることを心から願っております。
 最後に、このバリアフリー法案、教科書会社は努力義務でありましたけど、我
々民主党は努力じゃなくてしっかり義務として規定をしたいという思いがあった
わけでありますけれども、今後この教科書改訂が二十三年度に行われたその以降
これが進まないというようなことがあれば、これを義務化するとかいうようなこ
とも必要になるんじゃないかという思いもあるんですが、そこら辺の見解はどう
でしょうか。

○副大臣(鈴木寛君) 私も大島委員とこの法律の制定について御一緒にやらせ
ていただいたわけでありますが、政権が交代をいたしまして我々立法者が政権に
着いたということもあってか、急速に努力を開始していただいているようでござ
いまして、今九割ぐらい努力義務が履行されております。ですから、大手におい
てはほぼやっていただいていると。
 ただ、中小の部分が若干、特に先ほど申し上げましたように、高校になります
と種類が多くなるとかいろんな課題がございますので、もう少し努力義務、そし
て自主的な御努力、それから先ほど申し上げましたような一部文部科学省の御支
援といったところでまず実態をより良くしていただくと。その上で、どうしても
必要だということになれば法改正についても検討はしてまいるという可能性は否
定いたしませんけれども、まずは現行法でやれるだけのことをやると、あるいは
やっていただくということだというふうに理解をいたしております。

○大島九州男君 ありがとうございます。
 そういう中小の出版会社にもできるだけ配慮をしていただきながら御指導をい
ただければというふうに思います。