障害者に関する施策の在り方に関する要望事項 全国LD親の会 2008/08/052010-04-21

http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kacho_hearing/d-15/pdf/s2-5.pdf

第15回障害者施策推進課長会議 平成20年8月5日

障害者に関する施策の在り方に関する要望事項

                     全国LD親の会 会長 内藤 孝子

【基本的な方針】
1.「障害者基本法」「障害者自立支援法」において発達障害を明確に位置づけ
 ること
(1) 身体障害・知的障害・精神障害に加え、発達障害も対象とする
(2) サービスの障害別格差や地域間格差の是正
(3) 医師・認定調査員等を対象とした発達障害に関する研修の充実

【分野別施策の基本的方向】

啓発・広報
1.LD等の発達障害に対する、社会的理解の向上
(1) 保護者向け理解啓発リーフレットの発行
・小学校入学時に保護者全員に配布 -毎年120万部発行
(2) 一般の児童・生徒の理解向上
・総合学習の時間等で障害理解のカリキュラム
・子ども向けの発達障害の絵本等の学校・幼稚園・保育所・保育園への配布
(3) PTA活動等を利用した一般保護者向け啓発活動の推進
(4) 発達障害教育情報センターの充実

生活支援
1.発達障害者支援センターの整備と充実
(1)職員の発達障害に対する研修の充実(LD,ADHDの研修の充実)
(2)職員の増員、長期的展望に基づく育成、処遇改善
(3)センターの増設
(4)センターの相談時間の弾力的運用(土日や17時以降の相談受付など)
2.発達障害者の家族に対する支援体制の整備
3.発達障害者を含めた障害者全体への差別を禁止する法律の早期の実現
4.障害基礎年金などによる所得保障制度の拡充

生活環境
1.LD等の発達障害等のある人たちの情報保障や学習権保障等促進
(1) 「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関す
 る法律」第七条で示されたように、発達障害等の児童生徒のための教科用特定
 図書に関する調査研究推進に係る予算措置を講ずること。
(2) 著作権法の抜本的見直し
・現行著作権法の抜本的見直しにあたっては、国連障害者権利条約第30条第3項
 の「知的財産権を保護する法律が、障害者が文化的な作品を享受する機会を妨
 げる不当な又は差別的な障壁とならないことを確保する」との趣旨を最大限尊
 重すること。
・発達障害等のある人の著作物利用については、政府が進めている「知的財産推
 進計画2008」で検討されている「包括的な権利制限規定」の導入や、その関連
 で課題となる、いわゆる「フェアユース規定」を盛り込んだものとすること

2.LD等の発達障害を含めたすべての障害者に対しその状態に応じた移動支援
 を行うこと
・現行制度では、身体障害と知的障害については、JRや高速道路の割引制度が
 有るが、精神障害や発達障害は対象となっていない。精神障害者や発達障害者
 もその状態によっては、移動に支援者が必要な場合もあることから、その個々
 の状態や必要性に応じ移動支援の対象とするようお願いしたい。
教育・育成
1.LD、ADHDを対象とした通級加配の人員を計画的に確保していくこと
・5年間で、最低5000名程度を確保

2.特別支援教室の実現に向けた検討について、時間を置かずに開始すること
・平成17年12月8日付、「特別支援教育を推進するための制度の在り方について
 (答申)」の答申内容の履行

3.個別支援計画、個別の教育支援計画等、生涯を通じて利用できる支援計画の
 策定・活用の推進
・新たな「重点施策実施5ヵ年計画」個別の教育支援計画策定率 50%
 (平成24年まで)

4.小中学校および通常の学級における特別支援教育体制の整備

5.幼稚園における適切な支援体制の整備・人材の育成

6. 後期中等教育におけるLD等の発達障害のある生徒に対する支援体制の整備
(1) 高等学校における発達障害支援モデル事業の拡充
・私立高校における支援体制の整備
(2) 発達障害を対象とした、特別コースや、特別支援学級、通級指導教室の設置
(3) 職業自立を推進するための実践研究の事業の拡充(普通高校での実践研究)
(4) 高等学校における職業準備教育の充実
(5) 厚生労働省の就労支援施策との連携の強化

7.大学等の高等教育におけるLD等の発達障害のある学生に対する理解啓発、
 支援体制の整備

8.教員の専門性の向上、教員への支援体制の整備
(1) 教員養成課程におけるLDを含む障害児に対する教育の基礎理論の履修
 義務化
(2) 専門家の育成と活用教員への指導事例等の情報提供の拡充
(3) 教員への指導事例、教材、指導法等の情報の体系化と情報提供体制の整備
(4) 教員支援の体制整備
(5) 管理職の研修強化と、管理職登用時の特別支援研修義務化

9.学校外の人材・資源・資格等の活用
(1) 親の会やNPO法人等の研究活動や検討活動における活用
(2) 特別支援教育士(LD・ADHD)等の資格を特別支援教育コーディネータ
 ー登用の要件として活用
(3) 特別支援教育支援員の研修
(4) PT、OT、ST等の外部専門家の活用の推進

雇用・就業
1.発達障害者への対応を含めた「障害者の雇用の促進に関する法律」の改定
(1) 発達障害者の雇用義務(雇用率のカウント)
(2) 発達障害者の雇用に際しての、特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難
 者雇用開発援助金)の支給

2.雇用・就業関係機関職員や事業所に対する発達障害関係の研修の充実

3.相談体制の整備と多様かつ効果的な職業訓練、職場実習制度の充実

4.雇用機会の拡大

5.障害者就業・生活支援センター事業の拡充と整備
(1) 障害者就業・生活支援センターの拡充と一体的支援の充実
(2) 雇用、福祉、教育等の関係機関との連携強化
・後期中等教育、高等教育機関との連携を強化し、就労への円滑な移行を図る

6.公的機関におけるLD等の発達障害のある人の雇用の促進
保健・医療
1.LD等の発達障害の早期発見・早期発達支援のための実施体制の確立
(1) 早期発見のための取り組みの強化
(2) 早期発達支援の充実

2.発達障害の専門医師の養成や保健師等関係者に対するLD等の発達障害つい
 ての研修の充実
(1) 専門の医師(小児医療、精神医療等)の養成
(2) 保健師・看護士・療育等関係者に対する研修の充実
(3) 一般診療機関(眼科、耳鼻咽喉科等)の医師や歯科医の研修の充実

3.乳幼児から成人までの発達障害に対応できる医療機関の拡充
(1) 診断できる医療機関の拡充
(2) 専門的な医療機関の確保と一般への周知

4.保育所・保育園における発達障害に対する適切な対応のための諸施策の実施
(1) 保育士に対するLD等の発達障害についての研修の充実
(2) 保育所・保育園の支援体制の整備
(3) 児童相談所、保健所・保健センター、小学校との連携

【推進体制等関係】
調査研究、情報提供
1.「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関す
 る法律」第7条「発達障害等のある児童及び生徒が使用する教科用特定図書等
 に関する調査研究等の推進」
(1)いわゆる文科省検定教科書が、発達障害等のある児童・生徒に対して特別
 支援教育等の現場で実際にどのように使用されているかについて、早急に実態
 調査をすること。併せて発達障害等の障害特性のゆえに、文科省検定教科書に
 代えて使用されている教材等についても調査すること。
(2)発達障害等のある児童・生徒のための、いわゆるバリアフリー教科書や教
 材の開発研究に対し助成するための予算措置を講ずること。

2.複製の方式について、DAISY準拠のデジタル教科書等の作製と活用を促
 進。
(1)現在「拡大教科書普及推進会議」で進められている検討内容として、DA
 ISY準拠のようなデジタル教科書等の作製と活用を促進するための方策を加
 えること。
(2)将来のデジタル教科書等の原稿用デジタルデータ集中管理システム構築に
 向けて、海外での先進事例の調査研究や国内での条件整備等に着手すること

障害を活かせる社会へ~アスペルガー症候群と向き合う 2010/04/212010-04-21

2010年4月21日(水) 19:30~ 放送 NHKクローズアップ現代

障害を活かせる社会へ~アスペルガー症候群と向き合う~(仮題)

引きこもり、うつ病など20~40代の間で深刻化する問題の背後の多くに、実
はアスペルガー症候群が潜んでいることがわかってきた。アスペルガー症候群は
脳の機能障害で、知的障害はないが他人の気持ちを推し量ったり、暗黙のルール
を理解できないため、職場では「変わった人」と見られ、孤立を深めて社会から
ドロップアウトしていく人が少なくない。一方でIT技術など特定の分野におい
て秀でた能力を持っている人も多く、周囲が障害を理解し、対応を工夫すれば、
目覚しい活躍をすることも分かってきた。企業でも今、アスペルガー症候群の人
を積極的に採用し、その力を活かそうという取り組みが始まっている。“アスペ
ルガー症候群の人”たちが社会で活躍するためには何が必要なのか、当事者と雇
用する側双方の取材を通して考える。

正高 信男さん(京都大学霊長類研究所 教授)