日本発達障害ネット 障害者自立支援法の一部改正についての緊急要望2010-05-26

http://jddnet.jp/index.files/archives2010/pdf/20100527_kinkyuyoubou.pdf

                            平成22年5月26日
   衆議院厚生労働委員会の議員の皆様へ
   障害者自立支援法の一部改正についての緊急要望

                日本発達障害ネットワーク 代表 田中康雄

平素は、障害者福祉の推進にご尽力いただきありがとうございます。
今回は、報道されている障害者自立支援法の一部改正の実現についてのお願いで
す。
障害者福祉制度については、現在、障がい者制度改革推進会議や総合福祉部会で
新しい制度作りに向けて議論が行われており、私たち発達障害関係者も推進会議
の傍聴ならびに総合福祉部会への参加をしております。
しかしながら、新しい枠組みに向けての議論を経て、新たな法律ができ、実現さ
れるまでには、少なくとも数年単位の時間がかかるものと考えられます。
超党派による議員立法で今国会に提出される予定の新制度開始までの暫定的な現
行法改正法案においては、「応益負担」から支払い能力に応じた「応能負担」に
するとともに、発達障害を支援の対象と明記し、障害福祉制度の枠組みに明確に
位置づけるという意義を持ちます。また、地域の身近な形で実施する障害児支援
の充実、障害者の地域生活を勧めるためのグループホームの家賃助成の創設、さ
らには自分で意見を言うことが難しい発達障害児者の支援に必要な相談支援の強
化などが盛り込まれています。私たちとしても是非実現いただきたいと切に願う
ものです。
改正の内容は、今、議論されている新しい枠組みに影響を与えるものであるよう
には認識されませんし、経過的なものとしては必要なものであると考えられます。
是非とも、早期の成立に向けた取り組みを何卒よろしくお願い致します。

以上

障害者自立支援法「改正」案の廃案を求める緊急アピール 2010/05/262010-05-26

                             2010年5月26日

      さよなら!障害者自立支援法 つくろう!私たちの新法を!
            10.30全国大フォーラム実行委員会

障害者自立支援法の一部を「改正」した法案が、今国会に提出される動きがある
ことに私たちは強い怒りと驚きを禁じえない。私たちは障害当事者の声を聞くこ
となく作成された同法「改正」案の廃案を強く求める。
私たちは、障害者の地域生活を阻害する障害者自立支援法の廃止を求めて運動し
てきた。昨年9月に成立した新政権はその声を真摯に受け止め、障害者自立支援
法の廃止を約束した。長妻昭厚生労働大臣は、昨年の就任時に「応益負担を基本
とする障害者自立支援法を廃止し、任期中に制度の谷間をつくらない新しい法律
を当事者の意見を十分に聞いてつくる」と明言し、さらに、昨年10月30日(金)、
日比谷野外音楽堂で行われた10.30全国大フォーラムにおいて、参加者一万人の
前で「一期4年の間に自立支援法を廃止し、みなさま(障害者)や家族、広く利
用されるみなさまの意見に謙虚に耳を傾けながら、新しい制度をつくりたい」と
述べた。そして、新政権の公約によって設置された「障がい者制度改革推進会議」
のもとに「総合福祉部会」が作られ、現在、新法(障害者総合福祉法(仮称))
制定までの「当面の課題」について議論の真っ最中という状況である。
また、障害者自立支援法違憲訴訟に関連して、「障害者自立支援法違憲訴訟原告
団」は国の提案を受け入れ、基本合意を交わした。その中で、障害者制度全般の
改革のため、障害者を中心とした推進本部で総合的福祉制度を策定し、障害者の
参画の下に十分な議論を行う、とし、これらの実施状況を検証していくために、
国・厚労省は「訴訟団」との定期協議を行うことを約束した。
このような経緯にも拘らず、今回、「改正」案が提出されようとしている。看過
出来ないのは、まず、法案の作成から提出に至るまでの当事者参画などの手続き
の問題である。これまで、この件に関して、与党と障害当事者や関係団体との話
し合いが全く行われていない。5月12日に日本障害フォーラム(JDF)とのヒアリ
ングの際にも与党からは全く示されず、5月20日の新聞報道等を通して、5月末の
衆議院での採択の動きがあることを初めて知った次第である。
次に、内容の問題である。昨年3月、旧政権下で政府提案として提出した法案と
ほぼ同じ内容である。谷間の障害者の問題の解決が先送りされ、移動支援や手話
通訳・コミュニケーション支援事業など、地域生活支援事業の市町村間格差問題
は何も解決されていない。また、障害者の自己決定を尊重しないサービス利用計
画拡大の問題や、自立支援医療の応益負担の廃止が盛り込まれていない等、基本
合意の水準を下回っている部分もある。
こうした当事者抜きの拙速な決定は決して許されるものではない。障がい者制度
改革推進会議および総合福祉部会の議論を優先させるべきである。私たち10.30
フォーラムは、粘り強く同法案廃止を求め、運動を展開する。
「私たち抜きに私たちのことを決めてはならない」。

                記

1、国会は、今国会提出の障害者自立支援法一部「改正」案を廃案とし、新しい
  総合福祉法(仮称)のあり方とそれに向けた当面の課題等、障がい者制度改
  革推進会議のとりまとめと同総合福祉部会の議論を踏まえ、今後の対応を行
  うこと

                                  以上