第1回 日本におけるインクルーシブ教育についての協議会/東京学芸大学 2010/06/132010-06-13

2006年12月に障害者の権利条約が国連で採択され、わが国では2007年4月に特別
支援教育が実施されました。昨年誕生した鳩山内閣は平成21年12月8日の閣議決
定で、「障がい者制度改革推進本部」を設置し、その推進本部の下に、「障がい
者制度改革推進会議」を設けました。「障がい者制度改革推進会議」は多くの障
害者が委員となっていることもあって、これまでの国の審議機関とは随分と異な
った様相となっています。現在、「障がい者制度改革推進会議」は2010年4月26
日で9回を数え、とりわけ第5回の会議では、障害児の教育の問題が一つの中心議
題となり、学籍の一元化や特別支援教育の差別性が指摘され、私たちも看過でき
ない審議状況になっています。このような状況のなか、障害者の権利条約におい
て条文化されているインクルーシブ教育をどのように考えていけばいいのか、現
在の課題を整理しながら、今後のあるべき教育を考えていきたいと思い協議会を
設定いたしました。皆様の参加と多くの意見を期待しております。

日本におけるインクルーシブ教育を考える会

代 表  渡邉健治(東京学芸大学)

日 時 : 2010年6月13日(日) 午後13時30分から16時30分

会 場 :東京学芸大学 N410教室

話題提供:
  半澤 嘉博(東京家政大学)
   「障がい者制度改革推進会議」の審議をふまえての提言
  東京都教育委員会
   東京における特別支援教育第3次計画に向けて
  新井英靖(茨城大学)
   イギリスにおけるインクルーシブ教育の現状と課題

参加費 : 資料代(500円)

呼びかけ人:
 半澤嘉博(東京家政大学准教授) 渡邊和弘(竹早教員保育士養成所学生部長)
 濱田豊彦(東京学芸大学准教授) 大田裕子(品川区立鈴ケ小学校長)
 明官茂(都立青鳥特別支援学校長) 岩井雄一(都立教職員研修センター教授)

なお、当日配布の資料の準備のため、参加を希望されている方は必ず事前の申し
込みをファックスかEメールでお願いいたします。

申し込み先:〒184-8501東京都小金井市貫井北町4-1-1
東京学芸大学特別支援科学講座 濱田豊彦研究室(考える会事務局長)
ファックス:042-329-7395   Eメール:hamachin@u-gakugei.ac.jp

第174回 国会 参議院 厚生労働委員会 会議録・抜粋 2010/06/012010-06-13

http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0108/174/17406010062021c.html

平成22年6月1日(火) 第21回

○山本博司君 是非更に強力な推進をお願いしたいと思います。
 最後に、障害者施策に関しましてお聞きをしたいと思います。
 今回、障害者自立支援法の改正案が衆議院から送付されて、この後審議がござ
いますけれども、その中でも発達障害の方々の支援の対象を明記されております。
また、それ以外にも障害児の支援とかグループホームの家賃助成、大変障害者団
体の方々も是非やっていただきたいという強い要望もあるわけでございます。
 そういう中で、この発達障害者の方々の支援ということでは、平成十四年の文
科省のサンプル調査では小中学生の生徒の約六・三%、六十八万人というふうに
も言われておりまして、大人など含まれておりませんから、百二十万人以上いる
とも言われているわけでございます。そういう中で、この厚生労働省の平成二十
二年度予算は十二億六千万円と、ほぼ同じ金額でございます。まだまだ予算が少
ないのではないかと思うわけでございまして、乳幼児から成人期までこのライフ
ステージごとの支援というのは大変大事でございます。
 大臣に、この発達障害者支援に関する決意をお聞かせいただきたいと思います。

○国務大臣(長妻昭君) これも大変大きな問題でございまして、この発達障害
については障害者の範囲に含まれるということを、これも国会議員各位の御尽力
で議員立法がございまして、衆議院を通過をいたしましたけれども、その法案に
も障害者に発達障害については範囲に含まれるということが明記をされているこ
とになるというふうに聞いております。そういう意味でも、我々としては更にそ
のサポートをしていかなければならないというふうに考えております。
 これは、今モデル事業を通じて標準的支援手法の確立を目指していくというよ
うな事業、これ成人期に重点化しておりますけれども、これにも力を入れ、ある
いはこの発達障害の親御さんがほかの方の相談に乗るペアレントメンターという
育成事業なども力を入れて、きめ細かく地域も含めた御家族を支えていくという
体制を拡充をしていきたいというふうに考えております。

○山本博司君 是非ともよろしくお願いします。
 それでは、高井政務官、済みません、最後になりました。
 個別の問題でございますけれども、特別支援教育という面で、この支援員とい
うことの拡充ということが地方によってばらつきがあるということもございます。
また、先日、鳥取に参りまして、定時制通信教育、高等学校の、そこに行ってお
話を聞きました。約一五%が学習障害の、発達障害の方が多いということで、こ
ういう方への対応、大変厳しいということでございまして、支援員を高等部でも
付けていただきたいと、こういう点の要望と、もう一つは、全体的な特別支援学
校の教室が足りない。これは何度もそういう指摘をされていると思いますけれど
も、やはり都内でも一学年三十八名から倍の七十名というような形のところで大
変厳しい状況でございます。
 この二点に関しまして最後にお聞かせいただきたいと思います。

○大臣政務官(高井美穂君) 山本委員はチャレンジドの方々への深い御理解に
基づく御支援を今まで続けてこられて、本当に敬意を表したいと思っております。
 御指摘の件でございますけれども、現在、高等学校における発達障害のある生
徒の在籍数というのは、全国データ等はございませんけれども、ニーズは大変増
えてきていて、本当に支援員の拡充配置というのは大変大事なことであるという
のは私どもも強く認識しているところでございます。
 そして、現在は、学校における日常生活の介助や学習活動上のサポートなど、
障害のある児童生徒に必要な支援を幅広く行うための特別支援教育支援員の配置
に係る経費というものについては、平成十九年度から公立小中学校の地方財政措
置が開始をされているところであります。高等学校につきましては、現在、各自
治体の自主財源によって配置が行われているところでございますが、平成二十一
年度は全国で十六都道府県、二百十九人が配置を活用されているというところで
ございますが、御指摘のとおり、まだまだ少ないと思います。
 そして、文部科学省の中で、特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議
高等学校ワーキング・グループ報告というのが平成二十一年の八月二十七日に出
されておりまして、この中に、高等学校における専門性ある支援員の配置に係る
財政措置の必要性も提言をされていることでもございますし、委員からの御指摘
もございますので、これから全国的な配置実績等を勘案しながら障害のある児童
生徒に対して適切な支援がなされるように努力をしていきたいと思っています。
 そして、特別支援学校の教室不足のことでございますが、現状は、平成二十一
年の二月にアンケート形式で聞き取ったところではありますが、全国で約二千八
百教室程度が不足しているというふうに回答をいただきました。そして、二十一
年度の当初予算及び補正予算によって約千八百五十教室の教室不足が解消された
ということになりましたけれども、全国的にはいまだ九百四十五教室分が不足し
ているというのが現状でございます。
 文部科学省といたしましても、この対応について都道府県に対して適切な取組
を求める通知を出すとともに、今後新たに発生する教室不足と併せて、地方公共
団体、地域、現場のニーズをきちんと踏まえた上で計画的な整備が行われるよう
に努力をしていきたいと思っております。

○山本博司君 終わります。

------

○委員長(柳田稔君) 次に、障がい者制度改革推進本部等における検討を踏ま
えて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援する
ための関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。
 まず、提出者衆議院厚生労働委員長鉢呂吉雄君から趣旨説明を聴取いたします。
鉢呂吉雄君。

○衆議院議員(鉢呂吉雄君) 衆議院の厚労委員長の鉢呂吉雄です。よろしくお
願い申し上げます。
 ただいま議題となりました障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえ
て障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するた
めの関係法律の整備に関する法律案について、その提案理由及び内容を御説明申
し上げます。
 本案は、障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施
策を見直すまでの間において、障害者及び障害児の地域生活を支援するため、関
係法律の整備について定めようとするもので、その主な内容は次のとおりです。
 第一に、障害福祉サービス等を利用した場合の負担について、利用者の家計の
負担能力に応じたものとし、障害福祉サービス等に要する費用から利用者の家計
の負担能力に応じて定める額を控除した額を給付することを原則とすること。
 第二に、発達障害者が障害者に含まれることを明示すること。
 第三に、相談支援体制を強化するため、地域における相談支援の中核的な役割
を担う基幹相談支援センターを市町村に設置できることとするほか、成年後見制
度利用支援事業を市町村の地域生活支援事業の必須事業とすること。
 第四に、現在障害種別に分かれている障害児の施設について、障害種別を超え
た利用ができるよう一元化するとともに、通所による支援の実施主体を市町村と
すること。また、児童デイサービスについて、二十歳に達するまで利用できるよ
う特例を設けること。
 第五に、グループホーム、ケアホームの利用に伴い必要となる費用の助成制度
を創設すること。
 第六に、政府は、障害保健福祉施策を見直すに当たって、難病の者等に対する
支援及び障害者等に対する移動支援の在り方について必要な検討を加え、その結
果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。
 なお、この法律は、一部を除き、平成二十四年四月一日から施行することとし
ております。
 以上が本案の提案理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
 以上でございます。

○委員長(柳田稔君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 政府にまず伺います。
 本法案は、障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉
施策を見直すまでの間の措置として提案をされておりますが、二〇一三年八月ま
でに障害者自立支援法を廃止をして新法制定と。この政府の立場に変更はあるん
でしょうか。

○国務大臣(長妻昭君) 私どもは、障害者自立支援法は廃止をして新たな制度
をつくるということは、これはもうマニフェストでも明言をしているところであ
りまして、平成二十五年八月までに障害者自立支援法を廃止して新たな総合的な
制度を実施するという政府の方針に何ら変更はございません。
 そして、これは今年の一月七日に障害者自立支援法違憲訴訟原告団・弁護団と
国との基本合意文書というのがございまして、国はこれを厳守するという立場で
あります。
 この中にも、国は、速やかに応益負担制度を廃止し、遅くとも平成二十五年八
月までに障害者自立支援法を廃止し新たな総合的な福祉法制を実施するというふ
うに明記をされておりますし、国は、障害者自立支援法を、立法過程において十
分な実態調査の実施や障害者の意見を十分に踏まえることなく、拙速に制度を施
行するとともに、応益負担の導入等を行ったことにより、障害者、家族、関係者
に対する多大な混乱と生活への悪影響を招きというような反省に立って、我々と
しては、新しい制度については十分に障害者、当事者の、あるいは御家族の御意
見をお伺いして決定をしていくということで、今も総合福祉部会という会議で議
論をしているということであります。

○小池晃君 今いろいろとおっしゃいましたけれども、そういうことを言いなが
ら、この法案には平成二十五年八月という期限も障害者自立支援法の廃止という
文言も入っておりません。旧与党が衆議院に提出した法案の段階ではその文言が
明記されています。
 提案者にお聞きしますが、何で明記されていないんですか、この法案には。

○衆議院議員(園田康博君) お答えを申し上げます。
 今委員からも御指摘がありましたように、委員長提案として衆法で出たものに
ついては、平成二十五年八月まで、あるいは自立支援法の廃止という文言は入っ
ておりません。
 今般、私ども与党として提出をさせていただきましたときに、やはり大臣も先
ほど御答弁をされましたように、平成二十五年八月までにということを様々なと
ころでお約束をさせていただき、あるいは違憲訴訟団との基本合意文書の中にも
その旨が盛り込まれ、そしてなおかつ、福島前担当大臣もいらっしゃいますけれ
ども、今、本部とそして推進会議、さらには福祉部会というところでこの二十五
年八月までにという政府方針、これは全くもう変わっていないということでござ
いました。
 それを踏まえて、私どもとしてはそれをより明確にしていこうということで法
案を提出をさせていただいたところでございますけれども、与野党協議の中でそ
の文言につきましては削除をさせていただいたわけでありますが、一方で、先ほ
ど政府からもお約束をさせていただいているように、二十五年八月までにという
ところは何ら変わっていないということと、それから、今回、委員長提案の第一
条、ここに「障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉
施策を見直すまでの間において、」ということで、きちっとその期限といいます
か内容が記されているというふうに私は理解をさせていただいておりまして、規
定の表現は変わったんだけれども、しっかりと従来の民主党の考え方あるいは与
党の考え方、あるいは衆における様々な議論の中においての方向性というものは
変わっていないというふうに考えておるところでございます。

○小池晃君 説明になっていません。だって、その文言が入らない議案を自ら提
案しているんですよ。ということは、結局基本合意の立場を変えるということに
なっちゃうじゃないですか。そういうふうになりませんか。私は、そう取られた
って仕方ないですよ、これ。

○衆議院議員(園田康博君) いえ、決して文言が削除されたから方針が変わっ
たということではなくて、もう一度申し上げますけれども、この委員長提案とい
う形で一条に盛り込まれているのは、制度改革推進本部等の議論を踏まえてとい
う形で、その議論がきちっと、福島前担当大臣もおっしゃっておられたように、
ちゃんと当事者の皆さん方の御意見を聞きながらその約束を履行していくという
方針は制度改革推進本部等で約束されているというふうに私は理解をさせていた
だいています。

○小池晃君 基本合意が実行される間の措置であるといいながら、基本合意に盛
り込まれている二〇一三年八月の期限も障害者自立支援法の廃止すら明記されて
いないということについては、これは与野党合意だからということ以外の説明は
ありませんでした。結局、合意先にありきに、当事者の意見も聞かずに強引に進
めようとしているからこういうことになるんだと思います。
 今回の法案は、医療については家計の負担能力その他の事情をしんしゃくする
ということが盛り込まれていて、これは応能負担ということなんだというふうに
衆議院の委員会で説明されていますが、この規定は公布後一年六月以内に施行さ
れるということになっています。一方、基本合意では自立支援医療の負担軽減策
は当面の重要な課題というふうになっていて、今年度予算でも予算計上するかど
うか大きな問題になった。来年度予算でもこれは大きな問題です。これは結局、
一年六月ということで先送りされれば更にその約束が先送りされるということに
なっちゃうんじゃないですか。

○衆議院議員(園田康博君) 御指摘のとおり、この利用者負担の関係につきま
しては一年六月以内というふうに、あくまでも以内という形で明記をさせていた
だいているところでございまして、したがって、これから、この法案が成立をさ
せていただければ、政府も、来年度予算に向けてまず概算要求があり、そして年
末の予算編成へとその動きが活発化してくるものではないかなと。
 最終的にはその中で来年度の中身が決まっていくものだというふうに私は理解
をさせていただいておりますが、今般、そしてその中で、昨年から今年にかけて
政府の方でしっかりと、まず今年度予算の中においては福祉サービスとそれから
補装具に関してのサービス、これは低所得者一、二の方々も含めて無料になった
ということがまず第一歩進められたと。そして、来年度以降に向けてはきちっと
私どもも制度全般の見直しの中で努力をしていきたい、そしてまた、与党として
も政府に対してそのことをしっかりと検討するようにということで申し上げてい
きたいというふうに思っております。

○小池晃君 緊急措置だったら別に法律作らなくたって、政令、省令、予算措置
でできることはいっぱいあるんですよ。それをかえって法律作って一年六月なん
てなったら先送りすることにつながっていきますよ、こんなことをやったら。
 それから、何よりもやっぱり重大な問題は、先ほどからあるように、障害当事
者の声を聞いていないということです。これは、自立支援法違憲訴訟の訴訟団と
国との基本合意文書には、立法過程において十分な実態調査の実施や障害者の意
見を十分に踏まえることなく、拙速に制度を施行した、これが問題だったんだと。
そして、原告らを始めとする障害者及びその家族に心から反省の意を表明すると
ともに、この反省を踏まえて今後の施策の立案、実施に当たる、こういう合意を
しているわけですよ。
 与党提案者に聞きますけれども、この現在審議されている委員長提案となった
法律案はもちろんですが、当時の与党三党で提出し撤回された改正案について、
国会に提出する前に、障害者、とりわけこの基本合意の一方の当事者となった自
立支援法違憲訴訟原告団・弁護団に意見を聞きましたか、いつ聞きましたか。

○衆議院議員(園田康博君) 今御指摘のあるように、今般のこの議員立法……

○小池晃君 簡潔にお願いします。

○衆議院議員(園田康博君) 分かりました。はい。失礼いたしました。
 今般の議員立法で提出をさせていただく中で、私どもも、昨年来、あるいは自
立支援法の、昨年政府から提出をされているわけでございますけれども、その提
出をされてから党としてもあるいは国会の内部でも様々な議論がなされてきたと
いうふうに承知をいたしておりますし、また党の中においても、政権交代後にお
いては、原告団、弁護団に限らず、幅広く当事者の方々やあるいは家族の方々の
御意見を聞くという努力は積み重ねさせていただいていたところでございます。
 そして、今般、この本改正案といいますか、本法律案に関連する形でも様々な
御意見をいただいてきたというふうに思っております。そして、その中で、今後
ともそういった皆さん方に御理解いただけるように更に努力を積み重ねてまいり
たいというふうに思います。

○小池晃君 答えてないですよ。だから、聞いていることにちゃんと答えてくだ
さいよ。
 旧与党案を原告団、弁護団に説明したのはいつですかと言っているんですよ、
提出する前に。

○衆議院議員(園田康博君) この法律、旧与党として提出をさせていただいた
法律をベースに議論をするということはありませんでしたけれども、しかしなが
ら、関連する形で、五月十二日には民主党の厚生労働議員政策研究会において、
障害者団体の皆様方に緊急に講じる措置はないのかというような話、あるいは自
立支援法の改正をどのように考えるかというところの御意見はいただいてきたと
ころでございます。

○小池晃君 だから、要はこの改正案について説明していないんですよ、出す前
にも。五月二十四日に会ったと聞いていますけれども、そのときは何も示さなか
ったというふうに聞いていますよ。それで突然こういう分厚い法案が出てくるわ
けですよ。これで当事者の皆さんが納得できるかと、納得できるわけないじゃな
いですか、こんなやり方に。
 私は、やっぱりこの間、障害者自立支援法を作る議論の中で一番問題になった
のは、私たち抜きに私たちのことを決めないでという声だったわけであります。
やっぱり障害当事者の声を聞かずに作ったから、ああいう法案ができて大問題に
なって、廃止をするんだと。新しい法制度を作る際には障害者の皆さんの声を聞
いて作るんだということを確認もしたにもかかわらず、この当事者抜きに進めて
きた反省に立って結ばれた基本合意も無視して、とりわけこの訴訟にかかわって
いる原告団、弁護団から意見も聞かずにこんなの進めていいんですか。

○衆議院議員(園田康博君) 先ほど二十四日とおっしゃいましたけれども、恐
らく御指摘のお話は二十五日ではないかと思うんですが、そのときには法案が提
出をされるという新聞報道等で、原告団の一部の方でありましたけれども、今定
期協議をやろうということで、その定期協議の中の事務的な話合いの中で、私も
そこに参加をさせていただいて、今般のその新聞報道にあるような動きも確かに
御説明は、私の説明させていただける範囲では説明をさせていただいたことはご
ざいます。
 しかしながら、御指摘のように、新たな総合的な福祉制度を作るということは、
政府も、作る過程においては、当事者の皆さん方の御意見を聞きながら、そして
当事者の皆さん方に御議論をしていただく、そういう場をきちっと政府の中に設
けていただいているわけでございまして、その法改正の過程の中で、やはり立法
府としても、私ども党としても、いろんな御意見を今日までいただいてまいりま
したので、その中で緊急に法整備をすることができるものであるならば、少しで
も障害当事者の皆さん方あるいは障害児の生活を一歩でも前進をさせるというこ
とは立法府としてもやらせていただきたいというふうに思っておるところでござ
います。

○小池晃君 二十四日か二十五日かは分からないけど、その翌日には法案を出し
ちゃったわけですよ、与党は。こういうやり方がやっぱり私は一番の怒りを呼ん
でいるんだと思う。
 大臣、この法案の施行準備に当たって、やっぱり十分に意見聞いてやらなきゃ
いけないんじゃないですか。そういうふうにしなければ私は理解が得られない、
そして、そんな制度はうまく進むわけはないですよ。当事者ないがしろにするよ
うなやり方で理解が得られると思いますか。大臣、お答えください。

○国務大臣(長妻昭君) 先ほども御答弁申し上げましたけれども、一つの基本
合意というのが、基本合意文書という今年の一月七日に原告団と交わしたもの、
これを政府としては厳守をしていくという立場でございまして、今後、新たな福
祉制度については御意見を、今も障がい者制度改革推進会議あるいは総合福祉部
会等においてきちっと御意見を聞いて、平成二十五年八月までに新たな制度を実
施をしていくということであります。
 今回の議員立法については、私が承知しておりますのは、現行の制度が今ある
わけでありまして、新しい制度というのはスタートが四年後である、その間につ
いて、一定の時間を要するということで、それらについての改善点について検討
をし、それが議員各位で国会に出てきたものであるというふうに承知をしている
ところであります。
 いずれにしても、四年後には新たな制度をスタートをさせるという方針に変更
はありません。

○小池晃君 意見を聞いて合意をつくってやっているんだったら、こんなふうに
障害者団体の皆さん声を上げるはずありません。今日もこんなふうにたくさんの
方が傍聴にお見えになって、かたずをのんで見守るなんて事態が起こるわけあり
ません。やっぱりやり方間違っていたんです。そのことをしっかり私はもう一度
申し上げたい。こういうやり方でやっても私は不信を広げるだけであるというこ
とをやはり強く申し上げておきたいというふうに思います。
 終わります。

○委員長(柳田稔君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと
認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

○小池晃君 私は、日本共産党を代表して、障害者自立支援法改定案に対する反
対討論を行います。
 反対の最大の理由は、障害者のことを障害者抜きで決めないということを約束
をした国と自立支援法違憲訴訟原告団・弁護団との基本合意に反して、障害者の
意見も聞かず、強い抗議の声を押し切って強行しようとしているからです。
 基本合意に基づいて、自立支援法廃止後の総合福祉法については障がい者制度
改革推進会議で、また、総合福祉法制定までの措置についても制度改革推進会議
の総合福祉部会で障害を持つ当事者も参加して議論が進められてきています。今
回の法案は、その立法過程に障害者が参加しておらず、また基本合意に基づいて
制度改革推進会議などで進められた議論が全く反映されていないという点でも二
重に基本合意を裏切るものであり、断じて容認できません。
 総合福祉法制定までの緊急対策を否定するものではありませんが、そもそも本
法案の施行日は最長で二〇一二年四月と二年も先であります。緊急措置というな
ら予算措置や政省令でかなりの部分は実現できるはずであり、そのことを障害者
の意見を十分に踏まえて実行すべきであります。このような形で進めるべきでは
ありません。
 反対の第二の理由は、本法案が総合福祉法制定までといいながら、基本合意に
盛り込まれた障害者自立支援法廃止も、そのための二〇一三年八月という期限も
明記していないということです。政府は二〇一三年八月までの自立支援法廃止の
方針は変わらないと本日も答弁いたしましたが、その期限も廃止も明記をしない
本法案を成立させることは、自立支援法の延命に道を開くものと言わざるを得ま
せん。
 本法案は、長年制度のはざまに置かれてきた発達障害を障害に位置付けたこと、
障害児の放課後活動の保障を義務的給付にするなど評価すべき点もありますが児
童入所施設の三障害の枠組みを取り払うなど、関係者の合意が得られていないも
のも含まれています。
 また、自己負担について「家計の負担能力その他の事情をしん酌」という文言
を入れましたが、旧与党は既に実質応能負担になっていると主張していたのであ
り、利用する量に応じて定率の負担を支払う仕組みが撤廃されるかどうかは不明
確であります。
 このように本法律案は、関係者の中でも大きく意見が分かれているなど、当事
者も含めて更に議論をしなければならない内容が多く含まれています。
 本法案は、要綱だけでも二十一ページ、法案は二百十七ページ、改正する法律
は三十本にもわたる本格的な改正法案であり、当事者の意見も聞かずに本日わず
かな質疑時間で採決する、このこと自体、民主主義の原則に照らしても許されな
いということを申し上げたいと思います。
 私は、国会の責任は、立場の違い、意見の違いはあっても、やっぱり国民の皆
さんにきちんと納得をしていただける、それだけの議論をやるということが国会
の私は責務だと、それをやらなかったことがまさに自立支援法のあの痛苦の教訓
ではないかというふうに思っております。
 こういう形でこの法案を通してしまうということは私は断じてやるべきでない
という反対の理由を述べて、討論を終わります。

○委員長(柳田稔君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと
認めます。
 これより採決に入ります。
 障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直
すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関す
る法律案に賛成の方の挙手を願います。

   〔賛成者挙手〕

○委員長(柳田稔君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どお
り可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存
じますが、御異議ございませんか。

   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(柳田稔君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 提出者は御退席いただいて結構であります。

見直すまでの間の障害者等の地域生活を支援する関係法律整の備法律案2010-06-13

障害者自立支援法等の一部を改正する法律案 [撤回]
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g17401017.htm

障害者自立支援法等の一部を改正する法律案要綱 [撤回]
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/youkou/g17401017.htm

障害者自立支援法の廃止を含め障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害
者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律案 [撤回]
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g17401023.htm

障害者自立支援法の廃止を含め障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害
者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律案要綱 [撤回]
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/youkou/g17401023.htm

障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直す
までの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する
法律案 [参議院で審議中]
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g17401027.htm

障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直す
までの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する
法律案要綱 [参議院で審議中]
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/youkou/g17401027.htm

----------比較対照

【解説】「障害者自立支援法の廃止」という文言がなくなっています。

○ 障害者自立支援法等の一部を改正する法律案 [撤回]
第一 改正の趣旨
 障害者及び障害児が自立した日常生活又は社会生活を営むことができるように
するための支援の一層の充実を図るため、利用者負担の見直し、障害者及び障害
程度区分に関する定義規定の見直し、相談支援の充実、障害児支援の強化、地域
における自立した生活のための支援の充実等制度全般について所要の見直しを行
うこと。

○ 障害者自立支援法の廃止を含め障害保健福祉施策を見直すまでの間において
 障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律案 [撤回]
 (趣旨)
第一条 この法律は、平成二十五年八月までに障がい者制度改革推進本部等にお
ける検討を踏まえて障害者自立支援法の廃止を含め障害保健福祉施策を見直すま
での間において、障害者及び障害児の地域生活を支援するため、関係法律の整備
について定めるものとする。

○ 障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見
 直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に
 関する法律案 [参議院で審議中]
 (趣旨)
第一条 この法律は、障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害
保健福祉施策を見直すまでの間において、障害者及び障害児の地域生活を支援す
るため、関係法律の整備について定めるものとする。