特別支援教育の在り方に関する特別委員会(第5回) 配付資料 障害の種別を超た教育から障害個別及び個人のニーズに対応した教育へ2010-10-25

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/attach/1298641.htm

特別支援教育の在り方に関する特別委員会(第5回) 配付資料

障害の種別を超えた教育から障害個別および個人のニーズに対応した教育へ

         2010年10月25日 財団法人 全日本ろうあ連盟 久松三二

 学校教育法で定める現行の特別支援教育制度は、障害の種別を超えた教育を理
念とし統合的な特別支援教育を目標にしてきましたが、統合を推進することによ
り障害個別教育の「専門性」「集団性」が損なわれてきていることが指摘されて
いるところです。
 今後、障害者権利条約の第24条に定める「教育」の条項に即して、現行の特別
支援教育制度がインクルーシブ教育システムを推進する役割を担うことができる
よう、発展的に制度改良を図っていく必要があると考えます。
 障害者権利条約第24条1項(e)「学問的及び社会的な発達を最大にする環境に
おいて、完全な包容という目標に合致する効果的で個別化された支援措置がとら
れることを確保すること。」および同条3項の「締約国は、障害者が地域社会の
構成員として教育に完全かつ平等に参加することを容易にするため、障害者が生
活する上での技能及び社会的な発達のための技能を習得することを可能とする。
このため、締約国は次のことを含む適切な措置をとる。(a)点字、代替的な文
字、意思疎通の補助的及び代替的な形態、手段及び様式並びに適応及び移動のた
めの技能の習得並びに障害者相互による支援及び助言を容易にすること。
(b)手話の習得及び聴覚障害者の社会の言語的な同一性の促進を容易にするこ
と。(c)視覚障害若しくは聴覚障害又はこれらの重複障害のある者(特に児童)
の教育が、その個人にとって最も適当な言語並びに意思疎通の形態及び手段で、
かつ、学問的及び社会的な発達を最大にする環境において行われることを確保す
ること。」(政府仮訳)の条文に即して、現行の特別支援教育制度の学校制度を
改良し、新規に学校内に個別支援センターを設置し、以下のとおりの内容にする
必要があると考えます。

(1)特別支援学校体制(特別支援、聾、盲の三体系とする)
(a)特別支援学校(病弱、知的障害、肢体不自由)

特別支援学校に「個別支援センター」機能をもった機関を設置する。

(b)聾学校

聾学校に「個別支援センター」機能をもった機関を設置する。

(c)盲学校

盲学校に「個別支援センター」機能をもった機関を設置する。

(2)「個別支援センター」における早期教育システムおよび保護者サポートシ
  ステムの構築
(a)特別支援学校、聾学校、盲学校において、0歳から6歳までの就学前の障害
  をもった子どもへの個別教育を推進する。

(b)0歳から6歳までの就学前の障害をもった子どもの保護者の経済的、移動等
  にかかる負担を軽減するシステムを構築する。

(c)0歳から6歳までの就学前の障害をもった子どもの保護者への相談システム
  を構築し、特別支援学校等の教育内容、教育方法等並びに地域学校での教育
  内容、方法等に関する情報を提供し助言を行う。

(d)障害者福祉、医療、心理学、言語学等に精通した専門家の配置を促進する。

添付資料(聴覚障害をもつ教職員の職能集団である全国聴覚障害教職員協議会か
らの意見書を添付します。)

1.全国聴覚障害教職員協議会意見書
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/attach/1298642.htm

特別支援教育の在り方に関する特別委員会(第5回) 配付資料 2010/10/252010-10-25

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/attach/1298641.htm

特別支援教育の在り方に関する特別委員会(第5回) 配付資料

障害の種別を超えた教育から障害個別および個人のニーズに対応した教育へ

         2010年10月25日 財団法人 全日本ろうあ連盟 久松三二

 学校教育法で定める現行の特別支援教育制度は、障害の種別を超えた教育を理
念とし統合的な特別支援教育を目標にしてきましたが、統合を推進することによ
り障害個別教育の「専門性」「集団性」が損なわれてきていることが指摘されて
いるところです。
 今後、障害者権利条約の第24条に定める「教育」の条項に即して、現行の特別
支援教育制度がインクルーシブ教育システムを推進する役割を担うことができる
よう、発展的に制度改良を図っていく必要があると考えます。
 障害者権利条約第24条1項(e)「学問的及び社会的な発達を最大にする環境に
おいて、完全な包容という目標に合致する効果的で個別化された支援措置がとら
れることを確保すること。」および同条3項の「締約国は、障害者が地域社会の
構成員として教育に完全かつ平等に参加することを容易にするため、障害者が生
活する上での技能及び社会的な発達のための技能を習得することを可能とする。
このため、締約国は次のことを含む適切な措置をとる。(a)点字、代替的な文
字、意思疎通の補助的及び代替的な形態、手段及び様式並びに適応及び移動のた
めの技能の習得並びに障害者相互による支援及び助言を容易にすること。
(b)手話の習得及び聴覚障害者の社会の言語的な同一性の促進を容易にするこ
と。(c)視覚障害若しくは聴覚障害又はこれらの重複障害のある者(特に児童)
の教育が、その個人にとって最も適当な言語並びに意思疎通の形態及び手段で、
かつ、学問的及び社会的な発達を最大にする環境において行われることを確保す
ること。」(政府仮訳)の条文に即して、現行の特別支援教育制度の学校制度を
改良し、新規に学校内に個別支援センターを設置し、以下のとおりの内容にする
必要があると考えます。

(1)特別支援学校体制(特別支援、聾、盲の三体系とする)
(a)特別支援学校(病弱、知的障害、肢体不自由)

特別支援学校に「個別支援センター」機能をもった機関を設置する。

(b)聾学校

聾学校に「個別支援センター」機能をもった機関を設置する。

(c)盲学校

盲学校に「個別支援センター」機能をもった機関を設置する。

(2)「個別支援センター」における早期教育システムおよび保護者サポートシ
  ステムの構築
(a)特別支援学校、聾学校、盲学校において、0歳から6歳までの就学前の障害
  をもった子どもへの個別教育を推進する。

(b)0歳から6歳までの就学前の障害をもった子どもの保護者の経済的、移動等
  にかかる負担を軽減するシステムを構築する。

(c)0歳から6歳までの就学前の障害をもった子どもの保護者への相談システム
  を構築し、特別支援学校等の教育内容、教育方法等並びに地域学校での教育
  内容、方法等に関する情報を提供し助言を行う。

(d)障害者福祉、医療、心理学、言語学等に精通した専門家の配置を促進する。

添付資料(聴覚障害をもつ教職員の職能集団である全国聴覚障害教職員協議会か
らの意見書を添付します。)

1.全国聴覚障害教職員協議会意見書
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/attach/1298642.htm

特別支援教育の在り方に関する特別委員会(第5回)開催 2010/10/252010-10-25

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/kaisai/1298548.htm

特別支援教育の在り方に関する特別委員会(第5回)の開催について

                      平成22年10月20日 文部科学省

特別支援教育の在り方に関する特別委員会(第5回)を下記のとおり開催いたし
ますので、お知らせいたします。

1.日 時 平成22年10月25日(月曜日)15時00分~18時00分

2.場 所 文部科学省 東館3階 第1講堂
     東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議 題
  1.自由討議
  2.その他

4.傍聴・取材

・会議は、原則として一般に公開する形で開催いたします。
・会議の傍聴を希望される方は、10月22日金曜日12時までに、お問い合わせ先に
 記載のメールアドレスに氏名、所属、連絡先(送付したメールアドレスと異な
 る場合のみ)をご記入の上、お申し込みください。お申し込みをされない場合
 には、会場に入場できない場合がございます。
・車椅子で傍聴を希望される方・手話通訳等を希望される方は、その旨お書き添
 えください。また、介助の方がいらっしゃる場合は、その方の氏名も併せてお
 書き添えください。
・席に限りがありますので、当日傍聴を希望される方が多数の場合には、抽選と
 なる場合もございます。あらかじめご了承ください。
・報道関係者は、原則として1社1人とさせていただきます。
・カメラ撮影を希望される場合は、傍聴登録時にその旨も併せて記入してくださ
 い。
・カメラ撮影は、原則として、冒頭(議事の開始まで)のみとさせていただきま
 す。(会議冒頭以降の撮影を希望される場合は、傍聴希望登録時に御相談願い
 ます。)

お問い合わせ先 初等中等教育局特別支援教育課 企画調査係
   電話番号:03-5253-4111(内線3193)
   ファクシミリ番号:03-6734-3737
   メールアドレス:tokubetu@mext.go.jp

特別支援教育の在り方に関する特別委員会(第5回) 議事録 2010/10/252010-10-25

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/siryo/1299329.htm

【石川委員長代理】 石川です。4点ありますので、なるべく簡潔に述べたいと
思います。まず、この会議が一体どのようなミッションを持って進められている
かをもう一回想起したいのですけれども、障害者の権利に関する条約の批准に向
けて、国内の制度を点検し、必要な改正を行っていくという、そのための具体的
な実装について議論して、方向性を出していくということだと思います。つまり、
この権利条約との適合性という観点から現状の問題点を確認するという作業はや
はり不可欠だと思います。現在のスキームの中で関係者の皆さんが大変な努力を
して頑張っていらっしゃるということはとてもよくわかりますし、また、だから
こそ、現状でまだいろんな問題があって、それを解決していかなければいけない。
つまり、現状の枠組みの中でもできることはあるし、しなければいけないことが
あるということはそのとおりだと思いますけれども、今求められているのは質的
な跳躍ということではないかと思います。この権利条約における基本的な考え方
は何かというと、集約すると合理的配慮、社会モデル、インクルージョンという
ことだと思います。一挙に100点満点ということは不可能な話ですけれども、100
点でないものは0点だということではないので、私たちはインクルーシブ教育に
向けて短期的に何点取れるのか、中期的に何点取れるのか、長期的に何点取れる
のかという目標を設定して、それを国際社会に対して示していくという、それに
よってモニタリング評価を受けるという、そういう枠組みになっていると私は理
解しています。特別支援学校も、その意味でインクルーシブ教育の中に位置付け
直されるべきもの、統合されるべきものとして、その存在価値は失われないのみ
ならず重要です。これが1点目です。
 2点目ですけれども、合理的配慮ということが言われてきていますけれども、
そのほんとうの意味というのは必ずしも理解されていない可能性があると思いま
すので、口幅ったいのですが、私の考えを申し上げたいと思います。合理的配慮
というのは、何も一方に多数の配慮を必要としない健常者がいて、他方に少数の
特別な配慮を必要とする障害者がいて、だから合理的な配慮を障害者に対しては
提供しなければならないということを言っているわけではありません。そうでは
なくて、合理的な配慮が提供されている人々と、合理的な配慮が提供されていな
い人々がいるという社会的な認識に立っていて、合理的な配慮を与えられている
人のことを健常者と呼び、合理的な配慮が十分に与えられていない人のことを障
害者と呼ぶというのが、障害者権利条約における合理的配慮や社会モデルの考え
方だということです。この2つは随分違っていて、前者の認識に立っても大体話
が通じるような感じになりますけれども、根本的なところで違ってくる可能性が
あるということです。
 3つ目ですけれども、学校教育法の施行令における「認定就学者」って一体何
だろうということですけれども、これは、要は「みなし健常児」ということだと
思います。つまり、医学モデル的には障害児なのだけれども、さほどの合理的な
配慮を提供しなくてもまあ何とか学校でやっていけるというのを認定就学者とし
て扱っているというのが現在のスキームではないかと思います。これは権利条約
で言うところの「インクルージョン」や「社会モデル」や「合理的配慮」とは考
え方が違っていて、適合性という点で問題があるので、ここは制度改正が必要な
点だと考えています。もう一つ言うならば、本人もしくは本人に一番近いところ
にいる他者としての親の同意、これが必須条件です。十分に話をして、専門家、
さまざまな立場からアドバイスをして、アシストして、親は判断する。地域の学
校は歓迎する、それから特別支援学校も歓迎する。みんなが歓迎し、肯定し、承
認しているという中で、親は冷静に自分の子どもにとってどちらがいいかを一番
よい条件で選択できる。拒絶されている、否定されているという中で、時に人は
意固地になったりすることもあるでしょう。そうではなくて、歓迎されている、
地域の中に包含されているという、そういうメッセージが十分ある中で、親は果
たして自分の子どもにとって利益にならない選択をするだろうか。そういう可能
性は低いと思います。これが3点目です。
 4点目ですけれども、これはやや個別な話で、今日の資料として用意したもの
ですが、資料5です。障害のある児童生徒のための特定教科書の普及の促進等に
関する法律という、通称「教科書バリアフリー法」と呼んでいる法律です。現在、
小・中の検定教科書は428点あるそうです。教科書バリアフリー法によって、検
定教科書の4割強が拡大教科書として提供されています。小学校については来年
度から100%達成、中学校についても再来年度からほぼ100%達成の見込みである
と聞いています。教科書バリアフリー法には2つの方法論が内蔵されています。1
つは、出版社に標準規格の拡大教科書の発行を義務付けたことです。フォントの
大きさは3種類決めまして、18ポイント、22ポイント、26ポイントですけれども、
この3種類の教科書については、教科書会社に発行することを義務付けている。2
つ目として、拡大図書を制作するボランティアグループに教科書の電子データを
提供することを義務付けている。この結果として、拡大あるいは点字教科書につ
いては随分改善がなされたのですけれども、現状のスキームでは、電子教科書と
いう形での提供はできないということになっています。単に、拡大教科書や点字
教科書を発行する者に対してデータを提供することができるだけだということに
なっています。だから、児童生徒にはそれは渡してはいけない。学校の先生もち
ょっとグレーだということになっています。さまざまなニーズを持った子どもた
ちへの合理的配慮として、指導法ももちろん大事だし、ハードウェアも大事だし、
いろんなものがありますが、やっぱり教科書も大事です。それだけで十分だとい
うことを言うつもりは全くありませんけれども、必要条件であると思います。そ
ういう意味で、教科書バリアフリー法及び著作権法第33条の改正趣旨を生かして、
アクセシブルな電子教科書を生徒にまで届ける仕組みをつくっていく必要がある
と考えます。以上です。

----------

【山岡委員】 ありがとうございます。日本発達障害ネットワークという発達障
害の団体から参加させていただいております、山岡と申します。今日は団体とし
ての意見ではなくて、個人的な見解、意見、あるいは質問として発言させていた
だきます。
 事務局から配られました資料2で、「general education system」の解釈が示
されまして、かつ、石川委員も言われましたとおり、今回の議論の中では、中央
教育審議会として、general education system の中で特別支援学校や特別支援
学級、あるいは通級指導教室というものをどう扱っていくのかということも議論
しなくてはいけないと思います。「general education system」という訳語につ
いても異論があるところで、ぱっと私が読んでも、「一般」は前のほうに来るの
ではないかなと思うところです。そうすると、「一般的教育制度」あるいは「一
般教育制度」と訳すとしたら、特別支援学校や特別支援学級、あるいは通級によ
る指導が入るのか入らないのかという議論が必要だと思います。この点は、先ほ
ど事務局から説明をいただいた外務省の見解が正しいのかもしれませんけれども、
それはそれとして、我が国としてこれをどういうふうに扱っていくかを考えてい
くべきだろうと思っています。
 昨日、実は国連のホームページのこの権利条約のページを見てみたのですけれ
ども、昨日現在で95カ国が批准をしていると出ていました。その国を見てみます
と、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、ヨーロッパの国をはじめ、カナダ、
オーストラリアがもう批准をしていると出ていました。ということは、今、我が
国で特別支援学校とか特別支援学級とかいうものがインクルーシブ教育の中で必
要なのか、あるべきなのか、あるいは国連のこの権利条約の中で認められている
のか、認められていないのかという議論をするときに、他国での状況とか検討状
況というのは参考になるだろうと思います。
 実は調べておりましたら、また中澤委員にお願いになりますけど、昨年位に特
別支援教育総合研究所で、たしかイギリスとかフランスとかドイツとかの検討状
況について検証されていた報告書がありました。そのときはまだ検討段階だった
と思いますけれども、各国が批准された段階でどうかということです。盲、聾、
身体、知的等の障害種別によって多少扱いは異なるかもしれませんけれども、批
准されている国で特別支援学校がないという国は、私の知る限りなかったはずで
す。そうすると、批准されたときに各国ではどう検討されたのか、どういうふう
にこれから持っていかれようとしているのかということが参考になると思います。
それから、さっき石川委員がおっしゃったとおりだと思いますけれども、最初か
ら100%の状態でなければ批准できないとすると、決めた途端に例えば特別支援
学校が要らないとなったら、明日から特別支援学校は要らなくなってしまいます
けれども、今通っていらっしゃるお子様もいますし、どのようにしていくのかと
いうことですね。私も発達障害の子どもを持っていますが、私の子どもの場合は
特別支援学校や特別支援学級がないと困った子どもでしたので、ぜひこれからも
あってほしいと思っています。そういうことも含めて、各国ではどのように検討
されて、今批准されている国の中でいきますと、どういう状態になっているのか。
国立特別支援教育総合研究所では、多分、去年お調べいただいているので、その
延長線上でデータをお持ちなのかもしれませんけれども、ぜひ各国の検討状況と
か現状についてお知らせいただいて、また議論の参考にさせていただければと思
います。以上です。

【宮崎委員長】 ありがとうございました。今のことについてはいかがしましょ
うか。それでは、中澤委員、申し訳ございませんが、今のことも踏まえてお願い
できますでしょうか。

【中澤委員】 国立特別支援教育総合研究所の中澤と申します。今、山岡委員か
ら御指摘があった、ほかの国々では特別支援学校がインクルーシブな教育制度の
中でどう位置付けられているのかということで、今回、私、主にイギリスとアメ
リカ中心に情報を提供させていただきます。
 アメリカは、ニーズという言葉は使っておりませんが、子どもたちのニーズに
対応するために教育サービスの場の連続体を確保するという文言が法律の中に明
確にあります。教育の場の連続体というのは、最も制約の少ない通常の学級から
特殊学級、リソース、それから通学制の特別支援学校、寄宿制、病院内というよ
うな一連の場を子どもに応じて提供するために確保するというふうに書いてあり
ます。すなわち、教育制度の中で位置付けられているということです。ただ、ア
メリカは、障害者権利条約に署名はしておりますが、批准しておりません。
 一方、イギリスについても、特別支援学校は制度の中に位置付けてあると明確
に記しています。2001年の法改正で、よりインクルーシブな方向に動きましたが、
その中でインクルーシブ教育とは、とのガイドラインをつくっていますが、その
中で子どものニーズに応じて、また親の希望に応じて対応できるように維持して
いるということが明確に記されています。
 ほかの国々については、また改めて次回、山岡委員の御期待に添えるよう提供
したいと思います。
 これのほかに、1つ、インクルーシブな教育システムということで、総論の時
期に発言しないといけないと思いますので、一言発言させていただきます。私の
立場は、海外のデータと比べて日本の特色を考えながら提言できることを考える
という立場だと思います。1つ明確に言えるのは、アメリカ、イギリスだけです
が、基本的にほかのいわゆる先進国に比べて、障害のある、あるいは特別な対応
を必要としている子どもの率が、日本は極端に低いです。データとして2%少し
です。アメリカが11%、そして、イギリスは、学習困難も含めると20%となりま
す。裏を返して言いますと、日本の場合、これほど高い率ではないとしても、通
常の学級の中に既に支援を必要としている子どもたちが支援を受けないままにい
る可能性がとても高い状況だろうと思います。
 インクルーシブな教育システムというのは、単に通常の学級に入れるというこ
とではなくて、そこで適切な支援があったり、あるいは、仕組みとして多様な子
どもに対応できる柔軟な制度になるということがインクルーシブな教育制度だと
思います。そうしますと、先ほど北住委員から御指摘がありましたように、その
中には認定就学の方々もきっと含まれると思いますし、実はかなり知的障害が重
くても、親の判断で支援がなくてもいいから入れてくださいという子どもたちも
かなりいます。また、ちょっとボーダーラインの方、それから軽度の知的障害の
方々、実はこういった方々が既に通常の学級にいるという事実が、海外の統計か
らの比較から、日本では伺えます。
 そういった事態の中で日本が何とかやってこられたのは、優秀な先生方と学校
側ののみ込んでいく力だったと思うのですが、最近もうそれが限界に来ているの
だろうというのが、こちらの学校の校長先生方からの御意見、これ以上来られた
ら破綻するという悲鳴に似た声が出ているところにつながっているものと思いま
す。
 長くなって済みません。私の意見としては、インクルーシブ教育を進めるとい
うと、どうしても分離型に入っている子をどうやって通常の学級に入れようかと
いうことから考えますが、日本の特長は、まず既に通常の学級に入っているかな
りニーズの高い子どもたちを、どうやってインクルーシブに合理的な配慮なり、
学級としての取組なり、人員の増加なり、そこをまず優先的にやっていかないと、
通常の学級がもう苦しくなっているところに、支援なしに次の障害の重い子ども
が入ってくるのは、ちょっと破滅的な状況になるのかなと危惧するところです。
海外では通常の学級に支援なしに障害児を入れるのはインクルージョンと言わず、
ダンピング──それは極端な言葉ですが、そう言われていますが、日本はまずそ
の状況、通常の学級の状況をインクルーシブな環境に変えていくということがま
ず喫緊的に必要なステップで、より分離型の状況に入っている生徒を受け入れら
れるような通常の学級にしてから、次のステップに進むべきではないか。そこが
北住委員のおっしゃった長期的な戦略を持って進めていくというところにもつな
がるものと思いました。それが1点。
 もう1点。「教育制度一般」について、単純に英語の訳から言うと、やはり教
育制度一般というよりは、「一般的教育制度」なんだろうとは思いますが、先ほ
ども申し上げましたように、批准をしているイギリス等でも、特別支援学校は教
育制度の中に位置付けているということは、海外の例からも、特別支援学校が入
った形で、ただしインクルーシブな方向に漸進的に向かっていくという理解の上
でやっていくべきものだろうと私も理解しています。以上です。

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【石川委員長代理】 石川です。まず、この委員会で議論を調整して合意形成を
していくために必要なことということで感じますのは、1つは、この特別委員会
の所掌範囲は一体どこまでなのかということを明確にする必要があると思います。
私は支援技術の開発をやっていますけれども、こういうことは実現したいという
目的、夢が語られて、そうすると、それに対して、開発する側は、仕様を決めて、
実装について考える。しかし、そのときにもう一つ、どうしても必要なファクタ
ーが開発費です。どれだけの開発費があるという話なのかによって、仕様も実装
も違ってきます。開発費、実装コストまでこの特別委員会で考えるということな
のか、そこは考えなくてよいということなのか、考えると言われても考えられな
いかもしれませんけれども、そこのところがはっきりしないと、議論は収束しな
いように感じます。
 それから、2つ目に、これも似た話ですが、人によって何を定数として何を変
数とするかというのが違っていて、あるものを定数とするとここまでしか行けな
い、ここまではこれも変数だというふうに考えるともっと行けるという、そうい
うところでも議論がすれ違う可能性があるので、ここもはっきりさせる必要があ
ると感じます。
 それから、合理的配慮についてですが、非常に簡単に言うと、もし手話通訳や
要約筆記が合理的配慮だとすれば、マイクやスピーカーも合理的配慮です。逆に、
マイクやスピーカーや資料が当たり前のものだったら、手話通訳や要約筆記も当
たり前のものです。どちらの言い方でもいいけれども、どちらかに合わせないと
おかしいということです。
 それから、質的跳躍ですが、私の先ほどの議論では、1,000メートルとか1万メ
ートルいきなり跳ぶということでなくてよくて、1メートルでも2メートルでもい
いから跳ぶ、跳躍する。それを続けていくということが大事で、100点でなけれ
ば0点に等しいというふうにして止まってしまうのではなくて、短期的、中期的、
長期的にどこまで行くのかということの計画を策定していく必要がある、そうい
うことを思います。
 それから、インクルーシブ教育で大事なことは、これは乙武委員の意見に全く
全面的に同意しますけれども、障害のない子にとっても、ある子にとっても、そ
れがメリットになるようなものとする必要があると考えています。以上です。

【宮崎委員長】 ありがとうございました。
 約束の時間をかなり超過してしまいました。まだ議論が尽くせないということ
は重々承知で締めざるを得ないことをお許しください。
 これから論点整理に向けて、いろんな御意見がまだまだおありだと思いますの
で、それにつきましては、事務局のほうへぜひお寄せいただきたいと思います。
それから、事務局に何点かの宿題が出されておりますので、その点もよろしくお
願いします。
 それから、もう一つ、石川委員長代理からお話があった、この委員会のミッシ
ョンと所掌範囲ですが、実際どんどん広がっていくので、私もいろいろ考えなが
らおります。いずれにしても、障害者権利条約の第24条を今後きちっとやらなけ
ればいけないとは思っておりますし、それと同時に、さまざまな子どもの権利条
約との整合性なども念頭に置きながら対応してまいりたいと思っています。
 皆様からいただいた御意見を踏まえて、私と石川委員長代理とも相談の上で、
次回の委員会までに、とりあえず中間的論点整理案をつくってみたいと考えてい
ます。そのように進めていきたいと思いますが、いかがでしょうか。

中央教育審議会初等中等教育分科会特別支援教育の在り方に関する特別委員会(第5回)配付資料2010-10-25

http://ldnews2000.web.fc2.com/20101025.html

中央教育審議会初等中等教育分科会特別支援教育の在り方に関する特別委員会(第5回)配付資料

議事次第

日 時 平成22年10月25日(月)15:00-18:00

場 所 文部科学省東館3階 第1講堂

議 事
(1) 自由討議
(2) その他


配付資料
資料1:特別支援教育の在り方に関する論点(例)
資料2:General Education System(教育制度一般)の解釈について
資料3:学校評価について
資料4:特別支援教育の在り方に関する特別委員会における論点整理に向けた主な意見等
資料5:石川委員提出資料
資料6:尾崎委員提出資料
資料7:佐竹委員提出資料
資料8:久松委員提出資料
資料9:特別支援教育の在り方に関する特別委員会の当面の進め方

参考資料1:特別支援教育の在り方に関する特別委員会委員名簿
参考資料2:特別支援教育の在り方に関する特別委員会(第3回)議事録

特別支援教育の在り方に関する特別委員会 (第5回) 配付資料 (公式版) 2010/10/252010-10-25

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/siryo/1298629.htm

1.日 時 平成22年10月25日(月曜日)15時00分~18時00分

2.場所 文部科学省東館3階 第1講堂

3.議題
 1.自由討議
 2.その他

4.配付資料
資料1:特別支援教育の在り方に関する論点(例)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/attach/1298632.htm
資料2:General Education System(教育制度一般)の解釈について
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/attach/1298633.htm
資料3:学校評価について
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/attach/1298634.htm
資料4:特別支援教育の在り方に関する特別委員会における論点整理に向けた主
な意見等
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/attach/1298635.htm
資料5:石川委員提出資料
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/attach/1298638.htm
資料6:尾崎委員提出資料
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/attach/1298639.htm
資料7:佐竹委員提出資料
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/attach/1298640.htm
資料8:久松委員提出資料
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/attach/1298641.htm
資料9:特別支援教育の在り方に関する特別委員会の当面の進め方
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/attach/1298644.htm
参考資料1:特別支援教育の在り方に関する特別委員会委員名簿
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/meibo/1298552.htm
参考資料2:特別支援教育の在り方に関する特別委員会(第3回)議事録
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/siryo/1298631.htm

お問い合わせ先 初等中等教育局特別支援教育課

教科書・教材のアクセス問題への提案 静岡県立大学国際関係学部教授 石川 准 2010年10月25日2010-10-25

中央教育審議会初等中等分科会特別支援教育の在り方に関する特別委員会第5回会議提出資料

教科書・教材のアクセス問題への提案
2010年10月25日
静岡県立大学国際関係学部教授
NPO法人全国視覚障害者情報提供施設協会理事長
石川 准

1.問題の所在

教育における合理的配慮の必須条件の一つである、自分で読んで理解できる教科書・教材が保障されていない生徒が少なからず存在する。
その結果、学習機会から疎外され、社会的自立が損なわれてしまう人々が多くいる。

2.最近の成果と残された課題

教科書バリアフリー法(平成20年6月18日公布「障害のある児童及び生鍵のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律」)の成立と著作権法の改正(平成21年6月19日公布、平成22年1月1日施行)が行われ、点字教科書、拡大教科書の提供が実現した。

この制度を評価しつつも、先送りとなり、いまも取り残されている問題があることを指摘する。

3.解決案

教科書バリアフリー法の立法趣旨および著作権法の改正趣旨を活かして、すべての障害児者が教科書・教材のアクセスを保障される環境をつくるために、以下の改正を行う必要がある。

3.1.アクセシブルな電子データでの教科書、教材の保障を国の責任において実現する。

3.2.教科書会社自らが上記の電子化ファイルを紙の教科書と共に出版することを時限で奨励し、一定期間後に義務化する。