特別支援教育の在り方に関する特別委員会 第6回 議事録 2010/11/052010-11-05

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/siryo/1299860.htm

【山岡委員】 あと30分ぐらいで退席させていただきますので、最初に意見を述
べさせていただきます。日本発達障害ネットワークの山岡と申します。よろしく
お願いいたします。1つ目は質問です。2ページの総論で、前回、私が質問しまし
た「general education system」を、今回は「普通教育制度」と訳を変えていた
だいています。先ほどの判例でも普通教育や普通学級などが出てきましたが、普
通教育とは何を示しているのか。普通教育制度には、例えば、特別支援学級や特
別支援学校は含まれると判断されているのか、その辺を後ほどお答えいただきた
いと思います。
 2つ目は、先ほど委員長から、今後の進め方については、短期的、中期的、長
期的に行う制度改正として段階的に実施していく必要があるということを総論に
謳っているとのことでしたが、その点について私は個人的に賛成です。中央教育
審議会の答申としては余りふさわしくないかもしれません。どちらかというと、
協力者会議的なものになるかもしれませんが、こういった場合に、長期的にどこ
を目指すのだということを示しておいて、とりあえず、今の段階ではこうするの
だということがあるのかなと思ったのですが、そこがちょっと見えなかったので
す。
 今回の特別委員会は、障害者の権利に関する条約を批准するということが1つ
あって、その批准に向けたインクルーシブ教育の制度を審議するということが1
つの目標だと思います。その場合、どの段階まで到達すれば批准できるのかとい
うことを考えると、まず、この報告書では主として短期的にはどこまで行くのか
ということが示されているのだと思います。では、長期的にはどこを目指すのか
ということを記載すべきだろうと思います。
 3つ目は意見ですけれども、総論で、「カスケード」という言い方で連続的な
教育制度、図も示していただいたのですけれども、どこかで議論があったと思い
ますが、現在の図に示していただいているような連続性のある教育制度かどうか
というところが、実は、就学指導とか、いろいろなところで問題になるのだろう
と思います。現在の制度は、特別支援学校があって、特別支援学級があって、通
級による指導があって、通常の学級がありますが、そのところの連続性は少し欠
けるのではないか、落差がすごく大きいのではないかということが言われてきま
した。一度議論していただきたいということで申し上げたことがあるのですが、
例えば、特別支援教室という構想が以前ありました。それは、通常の学校の特別
支援学級や通級による指導を、今よりも連続性のあるものにしようという構想だ
ったと思いますが、余りこの特別支援教室構想について議論がなされないまま、
このまとめに入っています。どこかに、その特別支援教室構想については入れて
いただきたいと思います。質問が1点と意見が2点です。ありがとうございました。

【宮崎委員長】 それでは、質問に関して、まず、私から、「general
education system」の訳について、外務省訳を直接記載しなかったことについて
回答させていただきます。外務省訳は「教育制度一般」とされているのですが、
通り一遍で言うと「一般教育制度」というように取っていいだろうということで
解釈をしています。その上で、「general education」というのは非常に幅広い
概念ですが、ここに「system」という言い方をしているので、すべての学校教育
法第1条に含まれる学校の制度すべてを指すという理解を今回はとっております。
それが第1点目の質問に対する私の解釈です。
 それから、2点目ですが、非常に難しいところですが、前回、石川委員長代理
から短期的、中期的、長期的に目指すべきところをきちっと押さえなければいけ
ないだろうという御意見がありました。私どもは、当然のことながら、推進会議
が求めている22年度内の目標、つまり、批准に向けた点については短期的に対応
しなければいけない部分としてあるだろうと思います。それが就学相談に係わる
部分と思いますが、それ以外に、多くのさまざまな課題が残されたので、私とし
ては、「中長期的に」という言い方で押さえたのですが、目指すべき一番の考え
方は、障害者基本法の理念であります共生社会の実現ということであると思って
います。そこがゴールです。これは簡単な道のりではないと思いますが、国民の
御理解も得て、それから、教育だけではなくて、さまざまな領域の方々と御一緒
に力を合わせて進めていかなければいけない問題と思っています。
 それから、カスケードを出しましたのは、確かに山岡委員が前から御指摘され
たとおり、今のところ連続性が十分であるとは言いがたいという問題があると思
います。そういう意味で、例えば、通級による指導などの時数の改善などの細々
したことがあると思いますので、こうした連続性のある学びの場を提供するとい
うようなことを考えてみたいということです。補足があれば、どうぞ。よろしい
でしょうか。それでは、大南委員、お願いいたします。

【大南委員】 全国特別支援教育推進連盟の大南です。2点あります。まず第1点
は、先ほど山岡委員も話されたのですが、特別支援教室について私も提案をして、
ここで議論をしてほしいとお願いしたわけですが、第4回に資料が配付をされて、
事務局より説明がありました。この案は、平成15年に出ました「今後の特別支援
教育の在り方について」で、まず提言がなされて、委員長試案の3ページの○5に
ある、中央教育審議会の平成17年の答申でも、この特別支援教室の構想が述べら
れているわけです。このことは、実は、4ページの○3、「インクルーシブ教育シ
ステムの構築のため、特別支援教育を発展させ、必要な制度改革を行う必要があ
る」となっているわけで、その1つの考え方として、私は、特別支援教室構想を、
今すぐではなくて、少し時間をかけて検討することです。その特別支援教室構想
を推進するための第一番に挙げられているのが、前回、私、言葉が足りなかった
のですが、特別支援学級の担当教員の活用というのが一番に出ています。ところ
が、この活用が十分にできているかどうか。後でまた申し上げますが、特別支援
学校のセンター的機能は書かれているわけですけれども、実は、市町村の中で、
特別支援学級の担当教員がしっかりしているところは、市町村の中でセンター的
機能を果たしているわけです。まとまりが非常によくできている。そういう点が
あるので、このあたりを議論していただきたい。
 2点目は、委員長試案の8ページの就学先決定にかかわるガイダンス、これは本
人・保護者に対してということですが、私もこれは大事なことだと思います。保
護者が適切な、あるいは的確な判断をする情報を持っていなくて保護者が意見を
述べるというのは、好ましいことではないと思います。実は、この考え方は、
1960年代に既に当時の特殊学級の中にはありました。そして、1971年には墨田区
で、就学前の障害のある子どもを持っている保護者を対象とした家庭教育学級が
開かれています。そこで的確な情報を提供していきませんかといったように。で
すから、私は、この就学先決定にかかわるガイダンスは非常に重要なことである
と思います。以上です。

【宮崎委員長】 ありがとうございました。特別支援教室構想は、確かに、前の
中央教育審議会の特別委員会のときに提言されたことでもあります。この点は、
ぜひ、また皆さんで御議論をいただきたいのですが、実は、学校クラスターとい
う仕組みの中に、その特別支援教室構想も組み込んでいるのです。私の説明が十
分でなくて、まだ十分ここでは皆さんの理解に資する中身になっていないのです
が、この図が、特別支援学校の活用のみでなく、小学校、中学校、高等学校、あ
る一定の地域の学校間にそれぞれ有する資源を互いに活用していくという考え方
です。特別支援教室をすべてに同じように、同じ規模で置くには大変厳しい状況
があるので、それぞれの学校の持つ優位性、特性を生かしながら、そこを互いに
活用していくという仕組みをつくったらどうだろうかというのが、特別支援教育
における学校クラスターの基本的な考え方です。
 このため、センター的機能のみならず、先ほど大南委員からお話がありました
特別支援学級の先生の活用等が、すべてこの中に入る構想と考えたものです。ま
だ未整備なもので、修文も十分ではなかったということは反省しつつ、ちょっと
補足をさせていただいているところです。

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