コンテンツ強化専門調査会(第5回)議事録 (抜粋) 2011/01/172011-02-17

知的財産による競争力強化・国際標準化専門調査会
コンテンツ強化専門調査会(第5回)議事録

日 時 : 平成23年1月17日(月)15:00~17:00
場 所 : 知的財産戦略推進事務局会議室

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/contents_kyouka/2011/dai5/gijiroku.html

○長尾氏
 それでは、資料2-1-1と2-1-2を用いてご説明いたします。
 国立国会図書館のアーカイブの活用ということでございまして、1ページを開
いていただきますと、NDL(国立国会図書館)におけるアーカイブについてで
ございます。どの国におきましても、自国の出版物をすべて収集・保存し、利用
に供することは国としての使命であると認識されておりまして、国立国会図書館
は現在、納本制度によって出版物を網羅的に集めるという使命を果たしているわ
けでございます。
 集めた資料は情報技術によりまして、日本中どこにいても利用できるようにす
ることが望ましいということは当然かと思います。国立国会図書館は国の税金に
よって賄われているわけでございますので、来館する人たち、来館できる人たち
だけではなくて、日本中どこにいても同じような利用ができるようにするという
のが理想的でございます。
 そのためには、何と言いましても情報通信技術を使わなければいけないわけで、
所蔵資料のデジタル化を一生懸命やり始めておりまして、先ほどの資料にもござ
いましたように、1968年までの図書のデジタル化を今年の3月末までに行うとい
うことになっております。
 その他に、国の関係のWebサイトの収集をやっております。最近は貴重な情報
がWebサイトに出ておりますので、国、地方公共団体、それから、国公立大学、
独立行政法人のWebサイトをとりあえず集める。国関係につきましては毎月1回、
それから、大学あるいは独立行政法人等につきましては年に4回ぐらい集めると
いうことで、昨年の4月から本格的にやっております。
 それから、もう一つはオンライン出版物がどんどん増えてきておりますので、
これの電子納本ということが大切になってくるわけでございます。紙にはプリン
トされていなくて、電子的にだけ出版されているものを含めて、全部を将来の日
本の人たちのために集めて保存し、活用されるという環境をつくっていかなけれ
ばならないということでございまして、世界各国そういう方向で頑張っておりま
す。
 オンライン出版物の電子納本が行われますと、これはタイムスタンプというも
のを押しますから、そうすることによって電子著作物の先取権が明確にできると
いうこともあり得るわけでございます。
 2ページにいきまして、アーカイブされました資料は種々の利用目的に合うよ
うに適切に組織化される必要がございます。
 書誌検索、これはOPAC検索と言っておりますけれども、その他に目次検索
や本文テキスト検索機能によって、OPAC検索では得られない情報探索が可能
であるようにすべきであるというわけで、現在色々な検索のソフトウエアを我々
も開発しておりますし、世の中にもあるということでございます。
 しかし、これは必ずしも検索した結果すべての全文が検索した人の目に触れる
ということではございませんで、グーグルなどがやっておりますようなスニペッ
ト表示であるとか、色々な制限された表示をするのは当然のことかと思いますが、
検索については色々なことを自由にできるようにすべきだということ。つまり情
報の所在を明確にしていくということが最も必要とされることでございます。
 次の3ページからにつきましては、資料2-1-2という図を見ながらお聞き
いただけるとありがたく思います。NDLのアーカイブシステムと言いますのは、
図の黒の箱になっておりますけれども、そこは出版者にとりましては一種のクラ
ウドであるとみなすことができるのではないかと思っております。つまり、出版
者の方々は出版物をNDLアーカイブに置きまして、買いたい人にはそこから販
売することがあり得ると。
 それから、販売価格は当然出版社が設定なさる。それから、読みたい方々は過
去からのすべての出版物について検索するということがやりたいことでございま
すから、現在市販されているものだけではなくて、それ以前のものも一括して検
索して自分の読みたいものを探し出したいということでございますので、NDL
のアーカイブを中心として流通プラットフォームがつくられていく可能性もある
のではないかと考えているわけでございます。
 次に4ページですけれども、NDLアーカイブを使って販売する時の著作権処
理、あるいは、売上金の出版社、著作権者への配分ということにつきましては、
出版物流通センターと仮称で言っておりますところが世話をすることがよろしい
のではないかというふうに考えているところでございます。
 この流通センターは複数あっていいわけでございまして、それぞれに特徴のあ
る付加的サービスをすることが当然考えられるわけでございます。
 著作権の切れたもの、あるいは、著作権処理のなされたもの、オーファンワー
クス、孤児出版物で文化庁長官の裁定を得たものは、NDLアーカイブから無料
で取り出して利用できるということになろうかと思います。
 次に5ページですけれども、NDLの貸出しサービスでございます。アーカイ
ブからは、出版社はそれを使って販売ということをやるわけですけれども、図書
館というのは貸出しサービスをすることが仕事でございます。NDLアーカイブ
の資料につきましては、館内にお出でになる方には当然無料で閲覧できるべきだ
ということでございます。
 公共図書館への貸出しというものは、適当な料金が伴わなければ出版社側は成
り立たないということになると思いますから、適当な料金を出版社に支払うこと
によって、公共図書館に国会図書館から出していくということがあり得るのでは
ないか。ただ、その料金、お金はどこから出したかということにつきましてはい
ろいろな可能性がある。例えば公共図書館側で持つということもあり得るかもし
れませんし、韓国がある程度やっておりますように、国としてそれを支援すると
いうこともあるかもしれません。
 あるいは、現在市場で入手できない出版物に限って、国会図書館から公共図書
館に貸出しをするというふうに、資料の種類を限定することもあり得るかもしれ
ません。こういったことについては、色々な関係者の議論によって決めていけば
よろしいのではないかということでございます。
 6ページですけれども、公共図書館に貸し出しました資料につきましては、何
人もが自由に見るというわけにはいかないわけでございまして、特別の端末で要
求した人に対してだけ行うということを考えてもいいのではないかと。
 それから、その次の黒ポツですけれども、NDLから個人への貸出しというこ
とももちろんあり得るわけでございまして、その場合は1日当たり、あるいは、
1週間当たり、適当な単位で料金を出版社が指定することによって、出版社に貸
出しをした時のお金が入っていくというふうにすることも十分考えられるのでは
ないか。
 そういうふうにしまして、NDLにあります、あるいは、NDLに入ってきま
す電子出版物について、貸出しあるいは販売等によって日本中の人に渡す代わり
に、それに対応する料金を適切な形でとって、それを出版社あるいは権利者にお
渡しすると、そういうマネジメントをやるものとして出版物流通センターという
ものを考えることができるのではないかということでございまして、その出版物
流通センターは権利処理もやるということになろうかと思っております。
 次に、7ページ、最後のページですけれども、いずれにしましても最も大切な
ことは、せっかく国の税金でやっております国会図書館の資料、しかも、それを
大々的にデジタル化するために相当なお金を使わせていただいているわけでござ
いますから、その資料ができるだけ円滑に日本中のすべての人に利用されるシス
テムをつくることが必要である。win-winの関係を考える。つまり、利用者も権
利者もそれによってベネフィットを受ける、満足できるという形のビジネスモデ
ルを是非とも構築する必要があるのではないかということでございます。
 2つ目は、電子読書端末がどんどん出てきておりますけれども、その電子読書
端末の種類に関係なく、種々の情報資源を使えるように、利用者の立場に立った
電子書籍配信プラットフォームをつくることが大切である。利用者の囲い込みと
いったことが新聞などにちょこちょこ出たりしておりますけれども、利用者とし
てはどの端末装置を買っても、どこにある電子情報資源も自由に使える。そして、
適切なお金を払う、そういうモデル、システムを実現していくことが必要ではな
いかということでございまして、2-1-2の図もそのための一つのモデルでご
ざいまして、いろいろ議論を煮詰めていくことによって妥当なものをつくること
が、現時点で最も大切なことではないかというふうに思っているところでござい
ます。
 以上でございます。

【資料2-1-1】 長尾氏提出資料
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/contents_kyouka/2011/dai5/siryou2_1_1.pdf
【資料2-1-2】 長尾氏提出資料
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/contents_kyouka/2011/dai5/siryou2_1_2.pdf

障害者の生活保障を要求する連絡会議(障害連)声明 2011/02/172011-02-17

http://www9.plala.or.jp/shogairen/faxletter.html#3255

  2011年2月17日 障害者基本法改正案に関する声明

  障害者の生活保障を要求する連絡会議(障害連)

  代表 伊藤雅文 事務局長 太田修平

私たち障害者の生活保障を要求する連絡会議(障害連)は、この40年近く、全国
の全身障害者を中心とする人たちの権利と生活確立に向け、運動をしてきました。
今なお施設で暮らしている仲間や、親元で暮らしている仲間も多くいます。

 障がい者制度改革推進会議はこの1月、第二次意見書をまとめ、差別禁止や障
害者の権利の確立、そして谷間をつくらないために、障害の定義を抜本的に見直
すなど障害者基本法の改正への提言を、国連の障害者権利条約の批准に向けて、
行いました。

 しかし2月14日開催された第30回障がい者制度改革推進会議において、内閣府
から発表された「基本法改正概要イメージ」は、差別禁止規定の差別の定義も盛
り込まれず、また諸権利の規定も不明確で、障害の定義もほぼ現行通りのものに
なっていて、到底障害者権利条約の批准に耐えられる内容にはなっていません。
私たちは大きな期待を持って、この1年間推進会議の議論を見守ってきました。
この1年間はいったいなんだったのかという腹立たしい気持ちでいっぱいです。

 長妻前厚労大臣は、「制度の谷間をつくらない新法をつくる」と明言されてい
たはずです。にもかかわらず、障害の定義を見直さないとしたら、谷間に置かれ
た障害の問題の解決は行わないことを意味しています。

 冒頭にも申し上げたように、私たち障害連には施設で暮らしている仲間が多く、
無権利の状況に置かれ、個人の尊厳を踏みにじられた生活を余儀なくされている
現状がたくさんあります。

 残されている時間は決して多くないかもしれませんが、推進会議の構成員の皆
さま、国会議員の皆さま、政府の皆さま、すべての関係者の皆さま、障害者基本
法改正が、第二次意見書にしたがって、障害者権利条約の精神が盛り込まれた内
容のものとなるように、一層のご尽力をお願い申し上げます。

【加盟団体】 船橋障害者自立生活センター 東京清瀬療護園自治会 全国頸髄
       損傷者連絡会 仰光会 東京都日野療護園入居者自治会 しのの
め会 心の灯 静岡障害者自立生活センター 全国脊髄損傷者連合会 どろんこ
作業所 東京都多摩療護園入居者自治会 療護施設自治会全国ネットワーク ス
タジオI ピアサポート八王子 特定非営利活動法人 たんぽぽ

【事務局】〒101‐0054 東京都千代田区神田錦町 3-11-8武蔵野ビル5階
     TEL:03-5282-0016 FAX:03-5282-0017