共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための 特別支援教育の推進 (報告) 平成24年7月23日 中央教育審議会初等中等教育分科会2012-07-23

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共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための
特別支援教育の推進 (報告)
平成24年7月23日 中央教育審議会初等中等教育分科会

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「合理的配慮」の定義
○ 「障害者の権利に関する条約」においては、第24条(教育)において、教
育についての障害者の権利を認め、この権利を差別なしに、かつ、機会の均等を
基礎として実現するため、障害者を包容する教育制度(インクルーシブ教育シス
テム;inclusive education system)等を確保することとし、その権利の実現に
当たり確保するものの一つとして、「個人に必要とされる合理的配慮が提供され
ること」とされている。
○ また、第2条の定義において、「合理的配慮」とは、「障害者が他の者と平
等にすべての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための
必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるもので
あり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう」とされている。
なお、「負担」については、「変更及び調整」を行う主体に課される負担を指す
とされている。

○ さらに、同条において、「障害を理由とする差別」とは、「障害を理由とす
るあらゆる区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市
民的その他のあらゆる分野において、他の者と平等にすべての人権及び基本的自
由を認識し、享有し、又は行使することを害し、又は妨げる目的又は効果を有す
るものをいう。障害を理由とする差別には、あらゆる形態の差別(合理的配慮の
否定を含む。)を含む」とされている。(参考資料2:障害者の権利に関する条
約(抄)、参考資料20:合理的配慮について)

本報告における「合理的配慮」の定義
○ 上記の定義に照らし、本報告における「合理的配慮」とは、「障害のある子
どもが、他の子どもと平等に「教育を受ける権利」を享有・行使することを確保
するために、学校の設置者及び学校が必要かつ適当な変更・調整を行うことであ
り、障害のある子どもに対し、その状況に応じて、学校教育を受ける場合に個別
に必要とされるもの」であり、「学校の設置者及び学校に対して、体制面、財政
面において、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」、と定義した。なお、
障害者の権利に関する条約において、「合理的配慮」の否定は、障害を理由とす
る差別に含まれるとされていることに留意する必要がある。

「均衡を失した」又は「過度の」負担について
○ 「合理的配慮」の決定・提供に当たっては、各学校の設置者及び学校が体制
面、財政面をも勘案し、「均衡を失した」又は「過度の」負担について、個別に
判断することとなる。各学校の設置者及び学校は、障害のある子どもと障害のな
い子どもが共に学ぶというインクルーシブ教育システムの構築に向けた取組とし
て、「合理的配慮」の提供に努める必要がある。その際、現在必要とされている
「合理的配慮」は何か、何を優先して提供する必要があるかなどについて、共通
理解を図る必要がある。