姉を殺害したと起訴されたの男の裁判員裁判アスペルガー症候群と認定2012-08-03

判決文要旨
http://www.jngmdp.org/wp-content/uploads/20120730.pdf

姉を殺害したとして起訴された42歳の男の裁判員裁判で大阪地裁は、被告を広
汎(こうはん)性発達障害の一つ、アスペルガー症候群と認定したうえで、殺人
罪の有期刑の上限となる懲役20年を言い渡した。

http://mainichi.jp/select/news/20120731k0000m040067000c3.html

 発達障害者を支援する団体の全国組織、日本発達障害ネットワークの市川宏伸
理事長(67)は「発達障害があるから犯罪を起こすわけではない。アスペルガ
ー症候群の人の多くは、社会生活を営めており、独特な考え方や行動様式を周囲
が理解し社会のルールを説明していれば、今回のような事件は起きなかった」と
指摘する。

 「発達障害者支援センターなど受け皿施設は整いつつあり、再犯を防ぐことは
可能だ。今回の判決のように、障害を理由に社会復帰させないのは、差別と偏見
でしかない」と訴えた。

DO-IT Japan 2012 夏季プログラム同時企画/東大先端研 2012/08/042012-08-04

<同時開催企画のお知らせ>

場所:東京都目黒区駒場4丁目6番1号
    東京大学先端科学技術研究センター
会場:3号館南棟大ホール(一般公開シンポジウムと同じ会場)
参加費:無料,予約不要
※ 公開シンポと同様,当日の会場には要約筆記による情報保障あり,車いすで
 の会場への入場可能

9:40 - 10:40 一般公開セッション1:
「DO-IT Japan2012 障害学生による海外研修報告会」
 話題提供者:山崎 康彬(DO-IT Japan 大学生リーダー)
・車椅子ユーザかつDO-IT Japanの大学生リーダープログラムに参加している
  山崎さんから,支援技術に関する世界最大の会議の一つであるCSUNカンファ
  レンス参加や,南カリフォルニア大学での障害学生支援や学生生活の見学を
  目的地とした今年度のDO-IT Japan海外研修から得た経験について発表します。

11:00-12:00 一般公開セッション2:
「国際的な障害者への配慮の考え方と障害学生の自立:合理的配慮を知る」
 話題提供者:近藤武夫(東京大学先端科学技術研究センター 講師)
・国際的に障害者差別禁止法の整備が進みつつあります。この枠組に基づいて
  提供される合理的配慮は,障害学生の高等教育への参加にどのように影響し
  てきたのでしょうか。米国の例と日本の最近の障害学生支援の進展/残され
  た問題を通じて考える話題提供を行います。

S.E.N.Sの会神奈川支部 公開研修会/神奈川歯科大研修セ 2012/08/042012-08-04

主催者からのご案内です。

日 時 2012年8月4日(土) 9:50~16:30 ※受付9:30~

会 場 神奈川歯科大学付属横浜研修センター 6階教室

研修タイトル 「知的に遅れのない発達障害者の自立を見据えた支援」

午前の部(10:00~12:30)
1 「就労の実際について」甲方裕之先生(横浜戸塚就労支援センター所長)
2 「発達段階に応じたライフスキル」 小貫 悟先生(明星大学)

午後の部(13:30~16:30 途中休憩あり)
1 「グループディスカッションでの事例検討」事例提供 鈴木弦先生(NPOフ
 トゥーロLD発達相センターかながわ)
2 講師の先生からの講評

交 通 (JR横浜駅北・西口より徒歩5分)
http://www.hama.kdcnet.ac.jp/access/index.html

定 員 60名(定員になり次第締め切ります)

主 催 S.E.N.Sの会神奈川支部

参加費 5000円(神奈川支部会員の方は3000円)

申込み方法  参加ご希望の方は、事務局まで「8月4日の研修参加希望」とい
う件名でメールしてください。折り返し、申込用紙や要項をメールでお送りしま
す。(添付文書があるため、携帯メールは不可。PCアドレスをお持ちで無い方
は、お電話ください。)E-mail:sens_kanagawa@futuro.or.jp

発達障碍の理解・支援セミナー/名古屋ウイルあいち 2012/08/042012-08-04

日程 2012年8月4日(土)午前10時~12時(開場9時半)

 『今、発達障碍のこどもたちに必要な支援とは?』
  ~学校でも家庭でもできる、特性から考える支援方法~

講師 月森久江先生
       東京杉並区立済実教育センター指導教授
       元中瀬中学校「通級指導教室」担当

通常学級の中で、特別なニーズをもつ子どもたちをどのように支援をしたらいい
のか?一斉授業の中で、他の子どもたちとのバランスを考えながら何ができるの
か?子どもたちの認知特性をどのように見抜くか? どのようなサポートがよい
のか?通常学級や通級指導教室での支援や家庭での支援、また保護者との連携な
どについて月森久江先生の長年のご経験からより具体的な支援方法についてお話
をしていただきます。

場所 ウイルあいち2階、特別会議室
   名古屋市東区上竪杉町1番地 TEL : 052-962-2511(代表)
   地下鉄「市役所」駅 2番出口より東へ徒歩約10分
   市バス幹名駅1「市政資料館南」下車 北へ徒歩約5分

参加費  1000円(正会員は無料)
主催  ディスレクシア協会名古屋

 お申込みは、 komkom@sb.starcat.ne.jp まで

【DO-IT Japan2012 新規スカラー募集】 2012年8月1日(水)~8月4日(土)2012-08-04

 DO-IT Japanでは、障害や病気による困難を抱える高校生・高卒者に、パソコ
ンと、それぞれの困難に応じた支援機器・ソフトを提供し、大学進学や将来の就
職といった本人の希望の実現をお手伝いします。大学生活の体験を通して、将来
や社会のバリアフリー化について、一緒に考えてみませんか?
※詳しくは、DO-IT Japanホームページをご覧ください
 ( http://doit-japan.org/index.html

[参加者募集]
◆高校生・高卒者プログラム
・対象: 大学進学を目指している障害や病気による困難を抱える高校生、高卒者
   (学年・障害や病気の種類や程度・希望大学は問いません)
・募集定員: 約10名

◆小学生プログラム
・対象: 大学進学を目指している「読み書き障害」のある小学生
(2~3年生以上の小学生.障害の程度・希望大学は問いませんが、診断書が必要
です)
・募集定員: 若干名(ただし、各参加者に保護者1名の同伴が必要です)

◆夏季プログラム
・開催日時(予定):
 高校生・高卒者 2012年8月1日(水)~8月4日(土)
 小学生     2012年8月2日(木)~8月4日(土)

・場所: 東京大学先端科学技術研究センター
   (http://www.rcast.u-tokyo.ac.jp/ja/maps/index.html

・参加費用: 各参加者に必要な機器が提供され、宿泊費が補助されます

◆応募の流れ(予定)
 (高校生・高卒者、小学生 共通)

 2012年5月14日(月)~6月1日(金) 応募受付
 2012年6月末 選考結果郵送
 ※予定は予告なく変更されることがあります

◆募集要項
・高校生・高卒者向けプログラム用募集要項(Wordファイル)
 →ホームページにて掲載( http://doit-japan.org/index.html

・小学生向けプログラム用募集要項(Wordファイル)
 →ホームページにて掲載( http://doit-japan.org/index.html

◆お問い合わせ DO-IT Japan 事務局
〒153-8904 東京都目黒区駒場4-6-1
 東京大学先端科学技術研究センター 3号館309
 電話 :03-5452-5064  Fax :03-5452-5064
 E-Mail:info@doit-japan.org

DO-IT Japan 2012 夏季プログラム特別企画 一般公開シンポジウム/東京大学先端科学技術研究センター 2012/08/042012-08-04

DO-IT Japanには,大学進学を目指す,さまざまな障害のある小学生や高校生が
参加しています。現在,国内でも教育における障害者差別禁止の制度変更が準備
されつつあります。障害のある児童生徒たちが高校や大学を受験する際,また進
学後も,障害により生じている困難があっても,他の生徒と同様,フェアに試験
や授業を受けられるよう,将来的に「合理的配慮」の提供が学校や大学に求めら
れるようになると考えられます。

本公開シンポでは,以下の3つのテーマに関して,障害学生にとっての教育と社
会の将来像についてゲストや会場の皆様と議論したいと思います。ご関心お持ち
の皆様のご参加をお待ちしております。

テーマI:DO-IT Japanの参加者からも,肢体不自由のある生徒が代筆やパソコン
を使用して,また,視覚障害のある生徒が点字や時間延長を受けて受験するとい
った事例が報告されていましたが,昨年,読字障害のある生徒が代読により受験
して高校進学したり,書字障害のある生徒がワープロ利用により大学合格を果た
すといった事例も登場してきました。また障害学生数は統計上1万人を超え,試
験での配慮も変革が進みつつあります。現時点での最新の状況を情報共有します。

テーマII:しかしながら,これらの配慮が得られるかどうかは,地域や学校,教
育機関ごとに大きな格差があり,社会的な合意や認知を得るまでには至っていな
いという現状も変わらず存在します。そこでシンポ中盤では,どのような配慮な
らば合理的で公平といえるのかに関して,「学校の学習や指導において,本質的
に生徒に求められているものは何か」という問いかけから試験の本質を考えます。

テーマIII:こうした配慮のある社会実現のためには,国・大学だけの取り組み
では限界があります。社会全体に配慮があることへの理解と取り組みが必要です。
そこでDO-IT Japanでは,企業の方々のお力を積極的に借りながら,未来の配慮
ある社会の実現を目指しています。シンポ後半では,DO-IT共催企業の方々に,
将来への展望を語ってもらいます。

※ 公開シンポ開催日午前中に,同会場にて米国の障害学生支援に関する公開セ
ッションを開催しております。文末の同時開催企画のお知らせをご覧ください。

<開催概要>

日時:2012年8月4日(土)13:30~17:00
場所:東京都目黒区駒場4丁目6番1号
    東京大学先端科学技術研究センター
    3号館南棟大ホール(一般公開シンポジウム)
    4号館2階講堂(交流会)
    地図:http://www.rcast.u-tokyo.ac.jp/ja/maps/index.html
参加予約:必要(後述の「お問い合わせ・参加申し込み」をご参照ください)
参加費:無料(交流会参加者のみ軽食費千円を当日会場にて申し受けます)
※当日の会場には要約筆記による情報保障あり,車いすでの会場への入場可能

<プログラム>
13:30 - 14:30 テーマI:
「高等教育における障害学生支援の最新情報 2012」
  田中 久仁彦(日本学生支援機構 学生生活部 特別支援課 課長)
 「全国の高等教育機関における障害学生に関する実態調査・結果報告」
  上野 一彦(独立行政法人大学入試センター 特任教授)
 「大学入試センター試験における障害者特別措置の現状と今後」
  司会:近藤 武夫(東京大学 先端科学技術研究センター 講師)
  14:30 - 14:45 休憩
14:45 - 15:45 テーマII:
「試験の本質を考える:書字障害の生徒に漢字書き取りの出題は適切か?」
  西辻 正副(文部科学省 初等中等教育局 視学官)
 「国語における学習指導要領が達成を求める教育目標の本質とは」
  DO-IT Japan大学生リーダー
 「さまざまな障害のある学生における読み書きの困難と代替手段」
  司会:中邑 賢龍(東京大学 先端科学技術研究センター 教授)
  15:45 - 16:00 休憩
16:00 - 17:00 テーマIII:
「産学官連携でつくる配慮ある社会」
 (1)「配慮ある社会への取り組み」
   加治佐 俊一(日本マイクロソフト 業務執行役員 最高技術責任者)
   加藤 晋平(株式会社エデュアス 取締役)
   板東 久美子(文部科学省高等教育局 局長)
   油井 元太郎(KCJ GROUP 株式会社 教育開発部 部長)
 (2)「クロージング:DO-IT Japan2012でのチャレンジ」
   DO-IT Japan 2012スカラー/2012ジュニアスカラー
   中野 義昭(東京大学 先端科学技術研究センター 所長)
   藤田 正美(富士通株式会社 副社長)
   司会:巖淵 守(東京大学 先端科学技術研究センター 准教授)

<交流会>
17:20 - 19:00
「公開シンポジウム参加者,DO-IT Japan参加者との交流会」

<お問い合わせ・参加申し込み>
  以下の予約サイトで参加申し込みをお願いします
    http://kokucheese.com/event/index/46271/

  DO-IT Japan事務局
   〒153-8904 東京都目黒区駒場4-6-1
   東京大学先端科学技術研究センター 3号館309
   電話: 03-5452-5064 Fax : 03-5452-5064
   メール:info@doit-japan.org ホームページ:http://doit-japan.org/

大阪地裁判決に関する緊急声明 日本児童青年精神医学会 2012/08/072012-08-07

http://bit.ly/Rpxa7W

  平成24年8月7日  大阪地裁判決に関する緊急声明
               日本児童青年精神医学会 理事長 齊藤万比古

平成24年7月30日に大阪地方裁判所第2刑事部は、アスペルガー症候群を有する
とされる42歳の男性被告人に対し、懲役16年の求刑は軽きに失するとして、殺人
罪の有期刑の上限である懲役20年を言い渡した。被告人は30年間のほとんどを自
宅で引きこもる生活を送っていたが、被告人宅に生活用品を届けていた姉を包丁
で突き刺し、死亡させたとされている。
判決要旨は、
(1)本件犯行の動機の形成に関して、アスペルガー症候群が影響していること
は認められるが、量刑上大きく考慮することは相当ではないとしている。
他方で、
(2)十分な反省のないまま被告人が社会に復帰すれば同様の犯行に及ぶことが
心配される、
(3)家族が被告人との同居を明確に断り、社会の受け皿が何ら用意されていな
い現状では、再犯のおそれが更に強く心配されると述べている。したがって、許
される限り長期間刑務所に収容することで内省を深めさせる必要があり、そうす
ることが社会秩序の維持にも資するというのである。

しかし、この判決には少なくとも3つの問題がある。

(1)アスペルガー症候群自体は「動機」を形成することはないが、同症候群を
有する人が適切な支援がないために孤立した状況に追いつめられたならば、現実
を曲解してとらえてしまう場合はありうる。したがって、障害を有する被告人に
対しても、また被告人を取り巻く家族に対しても、まったく支援が提供されない
中で本件が惹起されたものであることに鑑みるならば、そのような支援なき状況
がもたらされた事情を剔抉し改善への方途を探ることこそが、市民感覚の反映を
旗幟に掲げる裁判員裁判の趣旨にかなうはずである。

(2)被告人が反省へ至るためには、アスペルガー症候群の特性を熟知した上で
彼を支えようとする人々との信頼関係が、まず樹立されねばならない。にもかか
わらず、日本の刑事施設には、アスペルガー症候群を有する受刑者のためのスタ
ッフやプログラムは存在しない。そのため、刑務所への単なる収容を長期間にわ
たって続けることは、予防拘禁以外のなにものでもなくなる。

(3)近年は障害を有する出所者のために、未だ十分とはいえないにしても各地
に地域生活定着支援センターが設置されているし、発達障害者支援センターの整
備も進行している。すなわち、家族にのみ「受け皿」の役割を押しつける状況か
らは脱しつつあるといいうる。したがって、上記を含む社会資源のさらなる充実
を進めることこそが重要なのであり、「受け皿」がないという認識に基づいて刑
務所への収容を主張することは、明らかな誤りだといわざるをえない。

アスペルガー症候群を含む発達障害を有する人の裁判員裁判においては、裁判員
に対する正確な医学的知見と社会福祉的情報の提供が不可欠である。当学会は、
本件判決の誤りを正確な知見・情報をもとに控訴審がただすことはもとより、不
幸にも発達障害者が被告人となったすべての裁判において、裁判員に正しい医学
的・社会福祉的情報が提供されるよう求めるものである。

以上

「姉刺殺大阪地裁判決」についての談話 大阪弁護士会会長 藪野恒明 2012/08/072012-08-07

http://www.osakaben.or.jp/web/03_speak/kanri/db/info/2012/2012_5021d6f2e13e7_0.pdf

「姉刺殺大阪地裁判決」についての会長談話

2012年(平成24年)7月30日、大阪地方裁判所(第2刑事部)は、発達
障害を有する男性が実姉を刺殺した殺人被告事件において、検察官の求刑(懲役
16年)を上回る懲役20年の判決を言い渡した。

同判決は、検察官の求刑を超える量刑をした理由として、被告人が十分に反省す
る態度を示すことができないことにはアスペルガー症候群の影響があり、通常人
と同様の倫理的非難を加えることはできないとしながら、十分な反省のないまま
被告人が社会に復帰すれば同様の犯行に及ぶことが心配され、社会内でアスペル
ガー症候群という障害に対応できる受け皿が何ら用意されていないし、その見込
みもないという現状の下では更に強く心配されるとした。そのうえで、被告人に
対しては、許される限り長期間刑務所に収容することで内省を深めさせる必要が
あり、そうすることが、社会秩序の維持にも資するとして、検察官の求刑を超え
る上記の量刑を行った。

同判決には、少なくとも看過することのできない2つの重大な問題点がある。

第1に、刑法の責任主義の原則に反する点である。

発達障害を有することは何ら本人の責めに帰すべきことではなく、これに対応で
きる支援体制を整備することは国及び地方自治体の責務である。にもかかわらず、
これらの事由をもって再犯のおそれを強調し、刑を加重することは、まさに刑法
の責任主義に反するものである。しかも、被告人に対しては、許される限り長期
間刑務所に収容することで内省を深めさせる必要があり、そうすることが、社会
秩序の維持にも資するというのは、まさに保安処分の理念に基づいて量刑判断が
なされたものと言わざるを得ない。

第2に、発達障害の障害特性及び発達障害者支援法の趣旨への無理解に基づき、
発達障害者に対する偏見、差別を助長するおそれがある点である。

同法は、発達障害を早期に発見し、発達障害者の自立及び社会参加に資するよう
その生活全般にわたる支援を図ることを目的とし、その実現のために、国及び地
方公共団体の責務として、支援センターの設置など必要な措置を講じるものとし
ている。大阪府及び大阪市においても発達障害者支援センターが設置されている。
また、矯正施設(刑務所等)から退所してくる障害者や高齢者の社会復帰を支援
するための地域生活定着支援センターも設置されるなど、必ずしも十分であると
はいえないものの支援体制は年々拡充されてきている。ところが、同判決は、社
会内でアスペルガー症候群という障害に対応できる受け皿が何ら用意されていな
いし、その見込みもないという誤った認識をし、国及び地方自治体の責務にもふ
れず、その必要性すら言及していない。また、発達障害の特性として、収容して
内省を深めることが困難であるにもかかわらず、収容することで内省を深めさせ
る必要があるとする。発達障害の障害特性及び発達障害者支援の現状にあまりに
も無理解である。のみならず、意に沿わない者に対して同様の犯行に及ぶおそれ
があるなどと再犯のおそれを強調するあまり、あたかも発達障害と犯罪が関連性
を有するかのような誤解と偏見を与えるおそれがある。そして、明らかに、障害
を有することを不利益に斟酌しているのであって、障害を理由とした差別的判決
であると言わねばならない。

当会は、同判決の有する重大な問題点を指摘することによって、各方面において
発達障害の正しい理解を深めることを求め、また、発達障害者が社会経済活動に
参加することに協力することは国、地方自治体のみならず国民の責務でもあるこ
とを確認し、さらに、発達障害者が「自分は大切にされている」と思える社会の
形成に寄与していくことを決意して本談話を発表するものである。

     2012年(平成24年)8月7日 大阪弁護士会 会長 藪野恒明

アスペルガー症候群の被告人に対する大阪地裁の判決についての声明/一般社団法人日本発達障害ネットワーク 2012/08/082012-08-08

http://jddnet.jp/index.files/archives2012/pdf/20120809_osakasaiban.pdf

                              2012年8月8日
 アスペルガー症候群の被告人に対する大阪地裁の判決についての声明
         一般社団法人日本発達障害ネットワーク 理事長 市川宏伸

大阪地方裁判所において、アスペルガー症候群と精神鑑定された被告の殺人事件
で、検察官の求刑を超える懲役20年の判決が言い渡されました。この判決文を読
むと、被告人は十分な反省をしておらず、アスペルガー症候群に対応できる受け
皿が何ら用意されておらず、その見込みもないという状況のもとでは再犯のおそ
れが強く心配されるので、許される限り長期間刑務所に収容することで内省を深
めさせる必要があり、そうすることが社会秩序の維持に資するとして、有期懲役
刑の上限である懲役20年に至ったとされています。この判決は、アスペルガー症
候群をはじめとする発達障害者に対する差別及び、刑罰という点で大きな問題を
抱えており、到底許されるものではありません。当事者、家族、支援団体などか
らなる日本発達障害ネットワークは、この判決を見過ごすことのできないものと
して、下記の問題点を指摘します。行政にはより正しい発達障害の理解の促進と
対応を、司法には正しい理解に基づく適切な判断が行われることを求めます。

1.障害を理由に罪を重くすることは差別ではないのか。

以下の2、3の点を考慮せずに被告人がアスペルガー症候群であることを以って刑
罰を重くしていることは明らかに差別的判決です。

2.発達障害を正しく理解した上での判決となっているのか。

犯行の動機の形成に関して、またその後の反省について、被告人にアスペルガー
症候群が影響していることが認められています。しかし、アスペルガー症候群へ
の適切な対応や支援がなかったこと、アスペルガー症候群のような発達障害者の
特徴として、相手の感情や周囲の空気を読み取るのが苦手で、自ら深く反省する
気持ちがあってもそれを表現することがうまくできないことがあること等の発達
障害の障害特性に対する適切な検討がなされていません。

これらの点が顧慮されていない判決には重大な問題があるものと考えます。

3.受け皿が用意されていないこと、その見込みもないというのは本当か。

アスペルガー症候群をはじめとする発達障害者に対しては、法務省矯正局所管の
施設、矯正施設退所者に対する“地域生活定着支援センター”等、年々専門的な
対応が可能となってきています。また発達障害者支援センターをはじめ福祉施設
や地域の福祉サービス提供事業所の支援が受けられるなど、決して十分とは言え
ませんが、罪を犯した障害者への支援は作られつつあり、その支援に何らかの形
でアクセスすることは可能であり、支援やサービスに対する認識不足があります。

以上指摘したように、我々が知り得るアスペルガー症候群についての知識と比較
しても、判決のアスペルガー症候群の認識に重大な誤りがあると言わざるを得ま
せん。そもそもこの被告は育ってくる過程で、アスペルガー症候群の存在が知ら
れず、適切な支援が得られぬままに、不登校、ひきこもりとなりました。社会か
ら隔絶された中で犯行に及んだ上、有期懲役刑の上限に処されることは二重に不
幸だと考えます。アスペルガー症候群の存在が分からず、支援が得られぬために、
対応に苦労した家人も同様に不幸だと言わざるを得ません。

行政に対しては、アスペルガー症候群を含む発達障害者当事者及び家族への早期
支援の一段の充実を求めるとともに、不幸にして犯行に及んだ者への、充実した
受け皿の確立を求めます。

司法に対しては、「刑事事件のプロ」の目から検討するのであれば、「アスペル
ガー症候群のプロ」の視点での検討も必要なことを指摘します。また、このよう
な判決が判例となって誤った判決が生じないように、今後は配慮していただきた
いと考えています。

なお、この判決を報道した英文紙の報道に対して、英国、米国、豪州のこの分野
の専門家は、このような判決がでること、受け皿が存在しないことに驚きと悲し
みのコメントを寄せていることを付記します。

以上

日本自閉症協会 大阪地方裁判所の判決に関する緊急声明 2012/08/082012-08-08

http://www.oyajilink.net/library/source3.pdf

         2012年8月8日 社団法人 日本自閉症協会 会長 山崎晃資

  アスペルガー症候群を有するとされる被告人に対する
  大阪地方裁判所の判決に関する緊急声明

平成24年7月30日、大阪地方裁判所において、小学校5年生から不登校となり、約
30年間、自宅に引きこもる生活を送ってきたアスペルガー症候群を有するとされ
る42歳の男性被告人が、生活用品を届けに来た実姉を刺殺した殺人事件で、検察
官の求刑16年を超える懲役20年の判決が言い渡された。

「判決要旨」によると、その量刑判断の理由は次の2点に要約される。

1) 被告人は、本件犯行をおかしながら、未だ十分な反省に至っていない。確か
に、被告人が十分に反省する態度を示すことができないことにはアスペルガー症
候群の影響があることは認められる。しかし、十分な反省がないままに被告人が
社会に復帰すれば、そのころ被告人と接点を持つ者の中で、被告人の意に沿わな
い者に対して、被告人が本件と同様の犯行に及ぶことが心配される。

2) 被告人の母や次姉が被告人との同居を明確に断り、社会内で被告人のアスペ
ルガー症候群という精神障害に対応できる受け皿が何ら用意されていないし、そ
の見込みもないという現状の下では、再犯のおそれが強く心配されるといわざる
を得ず、この点も量刑上重視せざるを得ない。被告人に対しては、許される限り
長期間刑務所に収容することで内省を深めさせる必要があり、そうすることが、
社会秩序の維持にも資する。

この判決には、アスペルガー症候群に対する無理解および偏見があり、少なくと
も5つの問題点がある。いずれも極めて重要な問題であり、アスペルガー症候群
を有する人々やその家族にとって看過しがたいものであるので、(社)日本自閉
症協会としては以下のとおり緊急声明を出す。いうまでもなく、以下の問題指摘
は「判決要旨」と新聞報道のみによるものである。

(1) 本判決は、被告人が十分に反省する態度を示すことができないことはアス
ペルガー症候群の影響があるとしながら、被告人は未だ十分な反省に至っていな
いと断じ、しかも被告人は将来的にも反省ができないかのように論じている。し
かし、アスペルガー症候群であるからといって、反省ができないというのは明確
な誤認である。確かに、アスペルガー症候群の場合、言葉の意味の取り違えや不
適切な言動(語義・語用障害)などに基づくコミュニケーションの障害があるた
め、反省のかけらもないと誤って受け取られることがある。したがって、本件の
場合、被告人がはたして本当に十分な反省に至っていないのかを正しく認定でき
ているのかは甚だ疑問である。また、アスペルガー症候群があるからといって反
省ができないという医学的根拠はない。自己の行動の意味を理解し、社会のルー
ルの意味を理解することができるような適切な支援が根気強くなされれば、十分
に反省することは可能である。

(2) 十分な反省のないまま被告人が社会に復帰すれば、そのころ被告人と接点
を持つ者の中で、被告人の意に沿わない者に対して、本件と同様の犯行に及ぶこ
とが心配されるとしている。しかし、アスペルガー症候群と犯罪との因果関係は
ないことは医学的に明確に証明されている。アスペルガー症候群があれば、まる
で、意に沿わなければすぐに犯行に至るかのような認定は、何ら根拠のない偏見
と差別に基づくものである。

(3) 「被告人の母や次姉が被告人との同居を明確に断り、社会内でアスペルガ
ー症候群という障害に対応できる受け皿が何ら用意されていないし、今後も用意
される見込みがない」とする点については誤解を生じる可能性がある。そもそも、
成人した本人と親・きようだいが一緒に住む義務はないし、「社会の受け皿」は
グループホームやケアホームなど、社会が提供すべきものであり、安易な家族責
任論に立脚している。一方、平成17年に発達障害者支援法が施行され、各都道府
県・政令指定都市に発達障害者支援センターが設置されはじめ、平成21年以降、
矯正施設などからの退所者への支援として「地域生活定着支援センター」が設置
されており、「受け皿」は徐々にではあるが整いつつある。しかし、アスペルガ
ー症候群のような高機能の発達障害のある人々への対応に特化したところは現在
のところ皆無に等しいし、専門性があるといわれる発達障害者支援センターにし
ても、そうしたケースに常時関わっていけるような人的・物的資源を持ち合わせ
ているところはなく、その意味では「受け皿がない」という指摘は、現時点にお
いて正鵠を射ているとも言える。上記の種々のセンターの充実と真の意味での専
門家の養成は急を要するものである。

(4) アスペルガー症候群の人々は社会で暮らしていく上でさまざまな「生活の
困難さ」や「暮らし難さ」を持っており、事件にはなっていないが、その瀬戸際
にある事例を少なからず経験している。そもそも、本被告人の場合、社会の支援
が十分に行われていなかったからこそ、不登校となってから約30年間も引きこも
り状態となり、25、26歳の頃、漠然と自殺を考え、34歳の頃にインターネットで
自殺の方法を調ペようとしたが、その間に被害的な思いが強まってきたものと考
えられる。その意味では、不登校を放置して教育を放棄した教育行政の責任が問
われるし、暴力を受けた母が施設入所した時点で、家庭内の問題を社会的に認知
することができたはずである。このような問題を、被告人にすべて転嫁して厳罰
に処する理由とすることは許されるべきではない。

(5) このようなアスペルガー症候群に対する誤った認識を基に、本判決は、許
される限り長期間刑務所に収容することで内省を深めさせる必要があり、そうす
ることが、社会秩序の維持に資するとして、検察官の求刑よりも重く、かつ、怯
定刑の上限を被告人に課して、厳罰に処している。これは、けスペルガー症候群
を有する人々を社会から隔離することで、社会秩序を維持すペきである」と言っ
ていることと同義であり、アスペルガー症候群の人々を社会から排斥しようとす
るものであり、到底受け入れることはできない。まさに障害を理由とする差別的
な判決と言わざるをえない。さらにいえば、アスペルガー症候群の人々は枠組み
が明確な刑務所に入所すると安定した状態になることはよく知られている。刑務
所内で、どのようなスタッフによって、どのようなプログラムが組まれるのかが
重要な問題である。

アスペルガー症候群に限らず、自閉症圏内の人々とその家族は、これまでもいわ
れのない偏見や差別に苦しめられてきた。本件事件の遠因にそういった社会の無
理解があったのではないかということは容易に推察できる。当協会は、本件判決
により、かかる偏見や差別がさらに助長されるのではないかと強く危倶してやま
ない。アスペルガー症候群を有する人々やその家族が障害を隠して暮らさなけれ
ばいけない事態はけっしてあってはならない。平成19年に国連で「世界自閉症啓
発デー」が制定された理由は、まさにこの点にあった。

アスペルガー症候群および自閉症圏の人々とその家族が地域で排斥されることな
く暮らせるよう、司怯関係者はもちろんのこと広<すペての国民が、アスペルガ
ー症候群をふ<む自閉症スペクトラム障害についての正しい理解を深めることが
可能となる仕組みが早急に構築されること、およびそれにより偏見や差別のない
社会となることを強く要望する。

以上