「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進」について〔初等中等教育局特別支援教育課〕2012-08-13

障害者の権利に関する条約(以下「条約」という。)の批准に向け、政府全体で、
障害者制度改革の検討が行われており、教育では、主に、障害のある子どもと障
害のない子どもが共に学ぶ、という条約にあるインクルーシブ教育システムの構
築が課題になっています。

文部科学省では、中央教育審議会初等中等教育分科会の下に設置された特別支援
教育の在り方に関する特別委員会において、平成22年7月から条約の理念を踏ま
えた特別支援教育の在り方について審議が行われ、本年7月23日の中央教育審議
会総会において、初等中等教育分科会報告として報告されました。
 
本報告書では、
 1.共生社会の形成に向けて
 2.就学相談・就学先決定の在り方について
 3.障害のある子どもが十分に教育を受けられるための合理的配慮及びその基
  礎となる環境整備
 4.多様な学びの場の整備と学校間連携の推進
 5.特別支援教育を充実させるための教職員の専門性向上等
について、まとめられており、このうち、「1.共生社会の形成に向けて」にお
いては、

○インクルーシブ教育システムにおいては、同じ場で共に学ぶことを追求すると
ともに、個別の教育的ニーズのある幼児児童生徒に対して、自立と社会参加を見
据えて、その時点で教育的ニーズに最も的確に応える指導を提供できる、多様で
柔軟な仕組みを整備することが重要である。小・中学校における通常の学級、通
級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった、連続性のある「多様な学
びの場」を用意しておくことが必要である。

○特別支援教育は、共生社会の形成に向けて、インクルーシブ教育システム構築
のために必要不可欠なものである。そのため、以下の(1)から(3)までの考え
方に基づき、特別支援教育を発展させていくことが必要である。このような形で
特別支援教育を推進していくことは、子ども一人一人の教育的ニーズを把握し、
適切な指導及び必要な支援を行うものであり、この観点から教育を進めていくこ
とにより、障害のある子どもにも、障害があることが周囲から認識されていない
ものの学習上又は生活上の困難のある子どもにも、更には全ての子どもにとって
も、良い効果をもたらすことができるものと考えられる。
(1)障害のある子どもが、その能力や可能性を最大限に伸ばし、自立し社会参
  加することができるよう、医療、保健、福祉、労働等との連携を強化し、社
  会全体の様々な機能を活用して、十分な教育が受けられるよう、障害のある
  子どもの教育の充実を図ることが重要である。
(2)障害のある子どもが、地域社会の中で積極的に活動し、その一員として豊
  かに生きることができるよう、地域の同世代の子どもや人々の交流等を通し
  て、地域での生活基盤を形成することが求められている。このため、可能な
  限り共に学ぶことができるよう配慮することが重要である。
(3)特別支援教育に関連して、障害者理解を推進することにより、周囲の人々
  が、障害のある人や子どもと共に学び合い生きる中で、公平性を確保しつつ
  社会の構成員としての基礎を作っていくことが重要である。

  次代を担う子どもに対し、学校において、これを率先して進めていくことは、
 インクルーシブな社会の構築につながる。

○基本的な方向性としては、障害のある子どもと障害のない子どもが、できるだ
 け同じ場で共に学ぶことを目指すべきである。その場合には、それぞれの子ど
 もが、授業内容が分かり学習活動に参加している実感・達成感を持ちながら、
 充実した時間を過ごしつつ、生きる力を身に付けていけるかどうか、これが最
 も本質的な視点であり、そのための環境整備が必要である。

○今後の進め方については、施策を短期(条約批准まで)と中長期(条約批准後
 の10年間程度)に整理した上で、段階的に実施していく必要がある。
 
 短期:就学相談・就学先決定の在り方に係る制度改革の実施、教職員の研修等
    の充実、当面必要な環境整備の実施。「合理的配慮」の充実のための取
    組。それらに必要な財源を確保して順次実施。
 中長期:短期の施策の進捗状況を踏まえ、追加的な環境整備や教職員の専門性
    向上のための方策を検討していく。最終的には、条約の理念が目指す共
    生社会の形成に向けてインクルーシブ教育システムを構築していくこと
    を目指す。
等について指摘されています。

 今後は、本報告を踏まえ、共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システ
ム構築のための特別支援教育が推進されることが期待されます。

 報告書の詳細については、以下のホームページを御覧ください。
 (報告書概要、本文、別表、参考資料、別添へのリンク)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/houkoku/1321667.htm

(お問合せ先)初等中等教育局特別支援教育課 企画調査係
       TEL:03-5253-4111(内線3193)

障害者の高等教育に関する提言 -進学を選択できる社会に向けて-2012-08-13

http://www.tkfd.or.jp/research/project/news.php?id=1005

障害者にとって大学進学は「ぜいたく」なことなのでしょうか。実態は、高い能
力がありながら、全ての人間に平等に確保されるべき「教育参加権」が保障され
ていないために、進学を諦めている障害者が少なくありません。雇用や義務教育
などと比べると、国の政策も手薄となっており、高等教育に関する障害者政策は
「忘れられた存在」となっています。

しかし、意欲と能力を持つ障害者の社会参加機会を拡大するには、障害者がもっ
と高等教育機関に進学できる環境を作らなくてはなりません。

東京財団は障害者の自立支援などを展開する日本財団と連携し、障害者の進学を
妨げている3つの壁(情報不足、コスト、タテ割り)を検証し、その改善に向け
て国や大学が取り組むべき課題や政策・制度を研究し、障害者が大学進学を自然
な選択肢にできる社会の実現へ向け、政策提言をまとめました。

「障害者の高等教育に関する提言-進学を選択できる社会に向けて-」の全文
(PDF:1.2MB)はこちら http://www.tkfd.or.jp/admin/files/2012-04.pdf

文部科学省「学びのイノベーション事業」デジタル教科書 2012/08/132012-08-13

http://itunes.apple.com/jp/app/wen-bu-ke-xue-sheng-xuebinoinobeshon/id510546764?mt=8

文部科学省「学びのイノベーション事業」デジタル教科書
開発: 光村図書出版株式会社

http://www.mext.go.jp/a_menu/hyouka/kekka/1297364.htm

「学びのイノベーション事業」事業概要

 情報通信技術を活用した教育の可能性に関する実証研究や学校と地域の新しい
共助の在り方の検討などを行う。
 学びのイノベーション事業においては、下記の取組を実施し、情報通信技術の
特性を最大限生かした学びを展開する。
21世紀を生きる子どもたちに求められる力をはぐくむ教育を実現するために、小
・中・高、特別支援学校の各学校種、子どもたちの発達段階、教科等を踏まえつ
つ、デジタル教科書・教材の提供、一人一台の情報端末、デジタル機器、無線
LAN、校務の情報化、教員へのサポート体制の構築等に関する総合的な実証研究
等を実施する。
教員同士が教材を共有等してよりわかりやすく深まる授業を実現するため、国立
教育政策研究所のサイトである教育情報ナショナルセンター(NICER)に関する
機能・体制の強化とともに、教育の情報化に関する調査研究やその成果等の普及
を図る。
21世紀の高度通信技術人材を確保するため、デジタルネイティブといわれる若い
世代の能力を活かせる環境を整備し、初等中等教育段階の子どもたちを対象に、
プログラミングやデジタルコンテンツ制作等について、集中的かつ継続的な講座
を展開する。