障害のある児童生徒の教材の充実について 報告 平成25年 8月28日2013-08-28

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/1339114.htm

(2)国等の役割
○ 障害のある児童生徒のための教材や支援機器についてのデータベースに関し
ては、国等において自治体や団体、学校等と連携しつつ、教材や支援機器、こ
れらを活用した指導方法、活用事例等について体系的なデータベースを構築す
るなど、アクセスしやすい環境を整備することが必要である。なお、国等にお
けるデータベースの構築に当たっては、各自治体等における教材等の情報を効
果的に収集・提供できるような仕組みとすることが望ましい。
○ また、国として、障害のある児童生徒がより使用しやすく、適切な価格の教
材や支援機器の研究開発について支援することが必要である。
○ さらに、現在、実証研究が進められている音声教材として複製された教科用
特定図書等については、その一層円滑かつ効率的な教材提供のため、国として、
ボランティア団体等による製作を支援していく必要がある。
○ 加えて、視覚障害のある児童生徒のための高等学校段階の拡大教科書につい
ては、特別支援学校(視覚障害)高等部において、拡大機能を有するタブレッ
ト型情報端末により教科書デジタルデータを活用し、拡大教科書と同等に使用
しうるための諸条件等に関する調査研究等を行うことにより、一層の推進を図
ることが必要である。
○ なお、上記に関連した国による事業等を充実させていくとともに、特に、特
別支援教育におけるICTを活用した教材等の在り方について整理していくこ
とが必要である。
○ また、国は、特別支援教育就学奨励費を確保し、障害のある児童生徒につい
て、学用品としての支援機器の充実及び活用に努めることが必要であるほか、
各学校においてICTや支援機器の技術的支援を行う外部専門家による支援が
図られるように取り組むことが重要である。特に、ICTや支援機器の技術的
支援を行う外部専門家の活用に関する好事例等については、教育委員会、学校、
教員等への周知を図ることが必要である。
○ さらに、各学校において教員が、障害のある児童生徒のための教材や支援機
器を活用して効果的に指導を行うことができるよう、これらの教材や支援機器
の活用方法や指導方法について、各都道府県等の指導者層を養成するための研
修等を実施することが必要である。また、指導に関する実践例を収集する中で、
効果的にそれらの教材等を活用するために必要となる専門性(教材等の選定方
法、指導方法、それらを盛り込んだ個別の指導計画の作成等)について、整理
していくことが求められる。
○ 一方、教科書や教材の製作に当たっては、文章の読み方の順番の明示等、音
声教材としての教科用特定図書等を効率的に製作するため、教科書や教材の構
成を分かりやすくすること(構造化)の推進及び提供される図や写真データの
高精細化を図る必要がある。このほか、例えば、単語の途中で行替えをしない
ようにレイアウトを工夫した教材や、いわゆるカラーバリアフリーに配慮し、
色覚に障害のある児童生徒にも判別しやすい教材の開発の推進を図ること等が
望まれる。
○ これらを踏まえ、例えば、国の特別支援教育のナショナルセンターである国
立特別支援教育総合研究所においては、障害のある児童生徒のための教材や支
援機器の研究・普及に関するセンターの役割を果たすものとして、以下の取組
を行うことが必要である。
・ 前述の教材等のデータベース化を行うこと。
・ 各都道府県の指導者層を対象として、障害のある児童生徒のための教材や
 支援機器を活用した具体的な指導場面を想定した実践的な研修を実施すると
 ともに、ICTや支援機器の技術的支援を行う外部専門家の活用に関する好
事例等について情報提供を行うこと。
・ 教材等のアクセシビリティに関する調査研究を一層推進すること。
・ 米国等を参考とした障害のある児童生徒のための教材の標準規格の制定に
 向けた研究等を実施すること。
・ 障害の状態や特性を踏まえた効果的な支援機器の選定・調整方法、活用に
 ついて調査研究を実施すること。