障害者権利条約批准と完全実施~国内法制の課題と取組み 2013/12/042013-12-04

http://www.normanet.ne.jp/~jdf/20131204/index.html

2013年 JDF全国フォーラム
障害者権利条約の批准と完全実施 ~国内法制の課題と取り組み~

13の障害者団体・関係団体で構成される「日本障害フォーラム(JDF)」は、その
設立以来、「障害者権利条約」の推進のための活動を行っており、国内ではその
批准に向けた「障害者制度改革」に、民間の立場から取り組んでいます。
 障害者差別解消法の成立をはじめとする法制度の整備を経て、今国会には権利
条約の締結について承認を求める議案が提出されています。このような中、今年
の全国フォーラムでは、国際障害同盟(IDA)より基調講演者を招くとともに、
内外の関連動向について学びながら、「障害者権利条約」の批准と完全実施に向
けて、共に話し合います。
 皆様のご参加を心よりお待ちしています。

日時:2013年12月4日(水) 10:00~16:30
場所:全国社会福祉協議会 灘尾ホール(千代田区霞が関3-3-2新霞が関ビル)
参加費:1,000円(資料代として) ※点字資料、手話通訳、要約筆記あり

【次第】(敬称略)
10:00 開会
    開会挨拶 嵐谷 安雄(日本障害フォーラム代表)
    来賓挨拶 国会議員、助成財団等
    基調報告 森 祐司 (JDF政策委員長)
10:40 基調講演 「障害者権利条約の批准と締約国の責務について(仮題)」
    ヴィクトリア・リー(国際障害同盟(IDA)事務局(人権担当))
※IDAの人権担当の幹部職員として、権利条約等の実施過程への障害者団体の参
加について助言・調整等を行っている。国連や欧州の関係機関で、人権に関わる
さまざまな役職を歴任。
※日英同時通訳有り
12:10~13:10 昼休み
13:10 特別報告
(1)「障害と開発」ハイレベル会合、インチョン戦略等に関わる動向について
    寺島 彰(JDF国際委員長)
(2)手話言語法、情報アクセス関連施策の動向について
    石野 富志三郎(全日本ろうあ連盟理事長)
13:40 パネルディスカッション「国内法制の課題と取り組み」
    <コーディネーター>
    藤井 克徳 (JDF幹事会議長)
    <シンポジスト/一部調整中>
    尾上 浩二 (JDF権利条約小委員長/DPI日本会議事務局長)
    田畑 美智子(日本盲人会連合国際委員)
    山本 真理 (全国「精神病」者集団)
    マスコミより
     <コメンテーター>
    東 俊裕 (内閣府障害者制度改革担当室長)
16:30 閉会

障害者権利条約の批准にあたって (声明) 日本障害者協議会(JD)2013-12-04

http://www.jdnet.gr.jp/opinion/2013/131204.html

2013年12月4日
   特定非営利活動法人 日本障害者協議会(JD) 代表 田中 徹二
              障害者権利条約の批准にあたって(声明)

 本日、2013年12月4日、参議院本会議は、衆議院(11月19日)に続いて障害者
権利条約(権利条約)の締結(批准)を全会派一致で承認した。まさに、日本社
会にとっての新たな夜明けと言ってよかろう。

 権利条約は、2006年12月13日に国連総会で採択された。その採択に至る過程に
おいて、JDをはじめ日本の障害者団体は、国連の特別委員会に延べ200名を派遣
し、世界中の障害者団体と連携してさまざまなロビー活動にとりくんだ。
"Nothing about us without us:私たち抜きに私たちのことを決めないで"は、
そうした運動のスローガンであるとともに、権利条約の基礎をなす理念である。

 日本政府は、権利条約に2007年9月28日、署名し、2009年3月批准にむけて動い
た。しかし、障害者団体は、国内法制が未だ不十分な現状であり、その整備が先
決であるという認識から、時期尚早との強い要請を行い、その結果、閣議決定寸
前に案件から外された。その後、制度改革の議論を政府とともにすすめることと
なったが、その際、2008年10月の全国一斉提訴に始まる障害者自立支援法違憲訴
訟の結果、国と交わした「基本合意」は、権利条約とともに、制度改革推進の羅
針盤となった。そして、課題は残しながらも、障害者基本法を改正し、障害者総
合支援法、障害者差別解消法などを成立させた。

 公定訳については、障害者団体の意見を聞き、若干修正はされたものの、指摘
された問題点は依然として残っている。「特定の生活施設」は、「特定の生活様
式」あるいは「特定の生活環境」と訳すべきであろうし、「インクルージョン」
や「コミュニケーション」「アクセシビリティー」などは、原語のままとすべき
ではないか、など改善されるべき課題は多い。

 また、総合福祉部会の「骨格提言」を反映した総合福祉法制をめざすとりくみ
を継続し、差別解消法のガイドラインなどを、今後の運動で実効性のあるものに
していく必要がある。さらに、東日本大震災での障害者死亡率2倍という事実の
検証と改善、福祉的就労で働く障害者の85%の所得が相対的貧困線の年収112万
円以下であるという現実、家族依存、社会的入院・社会的入所、制度の谷間の障
害、65歳をこえると障害者政策から外されてしまう問題など、今後への課題は山
積している。

 権利条約の批准は、「他の者との平等」「分け隔てのない社会」という理念に
より、憲法に次ぐ効力を持って、新しいステージを切り拓いていくものと確信す
る。

 私たちは、障害を理由に、苦難や悲しみが生じない社会にしていかなければな
らない。世界保健機関(WHO)によると、この地球上の全人口の15%(約10億人)
が何らかの障害を有するという。これまで以上に日本の役割と責任が大きいこと
を自覚しながら、権利条約の批准を、ゴールではなく新たなスタートとして位置
づけるべきである。

 日本障害者協議会は、権利条約の批准を機にさらなる連帯と制度改革に向けて
運動をすすめていく決意である。

  2013年12月4日