障害者の権利条約批准に寄せて 全日本ろうあ連盟 2013/12/052013-12-05

http://www.jfd.or.jp/2013/12/05/pid11500

12月4日(水)13:38 に、参議院本会議において障害者権利条約の日本批准が可
決・決定しました。今後所定の手続きを経て、2014年1月以降、条約が発効する
ことになります。

http://www.youtube.com/watch?v=KES9smPXqJg

障害者の権利条約批准に寄せて

 2013年12月4日、国会において、ようやく障害者権利条約が批准されました。

 思い起こせば、2006年には、国連で障害者権利条約について大変な議論がなさ
れ、その結果、第2条に「言語に手話を含む」という文言が入りました。この時、
「手話は言語として認めない」という強い意見も出されましたが、国連での粘り
強いロビー活動の結果、入れることができました。

 これまでの7年間を振り返ってみると、改正障害者基本法の中に、「手話を言
語に含む」と明記され、その後手話言語条例がじわじわと広まり、各地で様々な
動きが出てきている中で、障害者権利条約が批准されました。私たちにとって、
大変喜ばしい日になったと思っております。

 先ほど聞いたことですが、昨日(12/4)のJDFフォーラムで「12月4日は権利
条約生誕の日」と、なるほどと思いました。今後、この権利条約を日本の中でど
のように成長させていくのか、私たちはただ見守るのではなく、皆様と共々に権
利条約の条項を一つ一つ、すべて実現できるようにしていかなければならないと
考えておりますので、ぜひご協力をお願い致します。

一般財団法人 全日本ろうあ連盟
理事長 石野富志三郎

声明 障害者権利条約批准はゴールではなくスタートです 全障研2013-12-05

http://www.nginet.or.jp/news/opinion/20131204_kenrijyoyaku.html

声明 障害者権利条約批准はゴールではなくスタートです

2013年12月4日

全国障害者問題研究会常任全国委員会

 障害者権利条約は、11月19日衆議院本会議、12月4日参議院本会議で批准が承
認され、締結することになりました。国連総会(2006年12月13日)の採択後、
138カ国(EU含む、9月末現在)が批准しています。

 権利条約は、障害者がおかれた厳しい現状を認識し、特別な権利ではなく同年
齢の市民と同等の権利として、「障害に基づくいかなる差別もなしに、全ての障
害者のあらゆる人権及び基本的自由を完全に実現すること」を約束しています。
また、締約国の義務として、条約に違反する法律・制度や社会環境を改めること
を定めています。

 日本政府は2007年に署名し、2009年3月には批准に動きましたが、「名ばかり
の批准ではなく国内法の見直しを」「私たち抜きに私たちのことを決めないで」
などの障害者団体の強い要請により、関連する国内法整備を待つことになりまし
た。これには、障害の重い人ほど負担が重くなる「応益負担」を強いる障害者自
立支援法を、日本国憲法に違反し、権利条約にも反するとした違憲訴訟の運動も
大きく影響しました。

 2009年12月、「障がい者制度改革推進本部(本部長=内閣総理大臣)」が設置
され、翌2010年1月7日、訴訟団との「基本合意」のもとに、障害者団体といっし
ょに本格的な制度改革議論がすすめられ、不十分さは残しながらも障害者基本法
の改正、自立支援法に代わる総合支援法、障害者差別解消法などを制定させてき
ました。

 しかし一方で、権利条約の公定訳は、2009年当時のものとほとんど変わってい
ません。概念を具体化するキーワードとして改善意見が寄せられていた「インク
ルージョン」は「包容」に、「コミュニケーション」は「意思疎通」に、「アク
セシビリティ」は「施設及びサービス等の利用の容易さ」に訳されるなど、課題
は残されたままです。

 権利条約の到達点から見れば問題は山積していますが、批准された権利条約は、
憲法と実定法の間に位置づき法的効力を持ちます。このことを運動のテコにしな
がら、現状を明らかにして、その改善にとりくみたいと思います。

 権利条約批准はゴールではなくスタートです。私たちがこの間の障害者運動で
かちとった「基本合意」「骨格提言」、そしてこの「権利条約」を大きな力とし
て、社会保障切り捨ての厳しい情勢の中で、多くの人びととしっかりと手を結ん
で、障害者の権利を守り、発達を保障していきましょう。