「図書館利用における障害者差別の解消に関する宣言」 2015/12/182016-01-10

「図書館利用における障害者差別の解消に関する宣言」

2015年12月18日
公益社団法人日本図書館協会

 2016年4月1日に予定される「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法
律」(障害者差別解消法)の施行を控え、

国際障害者年(1981年)の全国図書館大会(埼玉大会)全体会における「著作
権問題の解決を求める決議」とその後の著作権法改正活動を含む図書館利用に
障害がある人々へのサービス(障害者サービス)の発展を回顧し、

障害者の権利に関する条約(障害者権利条約)が、その第二十一条で締約国に
「障害者に対し、様々な種類の障害に相応した利用しやすい様式及び機器によ
り、適時に、かつ、追加の費用を伴わず、一般公衆向けの情報を提供すること」
を求めていることに特に留意するとともに、障害者との意思疎通に努め、

全国のすべての図書館と図書館職員が、合理的配慮の提供と必要な環境整備と
を通じて、図書館利用における障害者差別の解消に、利用者と手を携えて取り
組むことを宣言する。

(この宣言は、2015年第101回全国図書館大会(東京大会)障害者サービス分科
会に提案し参加者に承認されたものである。日本図書館協会ではこれを協会宣
言として発表し、全国のあらゆる図書館及びその職員に対し、障害者権利条約
でいう合理的配慮の提供と基礎的環境整備を行うことで、図書館利用における
障害者差別の解消、つまりすべての人が利用できる図書館に図書館自らが変わ
るべきことを求める。)

出典:日本図書館協会.図書館利用における障害者差別の解消に関する宣言.
http://www.jla.or.jp/demand/tabid/78/Default.aspx?itemid=2785
(参照 2016-1-4)

学校図書館の整備充実に関する調査研究協力者会議 (第1回) 議事録2016-01-10

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/115/gijiroku/1362935.htm

学校図書館の整備充実に関する調査研究協力者会議(第1回) 議事録

1.日時 平成27年8月26日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所 文部科学省3階第2特別会議室

3.議題
 座長の選任等について
 学校図書館の現状について
 今後の学校図書館の望ましい在り方について(自由討議)
 その他

4.議事録(抜粋)

【品川委員】 皆さん、こんにちは。私は教育ジャーナリストで編集者でもあり
ます品川と申します。私の経歴を少しだけ御紹介申し上げますと、もともとは出
版社でずっと編集者をしておりました。2000年に会社をやめて独立しましたが、
サラリーマン時代からずっと子供たちの取材、特にいじめられたり、不登校だっ
たり、引きこもっていたり、あるいは非行に走ったり、ADHDやディスレクシア、
アスペルガー症候群など発達障害を持つ子供たち、摂食障害やリストカット等の
子供たちをずっと取材し、独立後は子供たちが長くいる場ということで教育に関
わる取材も続けております。取材先は国内では公立学校がメインでして、海外で
はいい教育を提供している公立および私立学校を取材しております。子供の取材
も含めると、年間100校ぐらいはいろいろな現場を見させていただいております。
そういった取材等を通して学校の図書館、図書室は拝見させていただいておりま
す。
 その経験から申し上げると、望ましい学校には必ずと言っていいほど開かれた
図書館があるなというのが私の実感でございます。図書館が校内の隅っこにあっ
たり、本はそろっていても読まれた形跡がないような図書室がまだまだあるのも
実態だと考えております。だからこそ学校図書館が変わっていくということは、
すべての子供にとって、とてもメリットがあることだと思っています。たとえば
アメリカのように学校にいる司書が、何ワード知っている子供はこの本を読むと
いいよというような、そういう提案はまだまだなされていないのかもしれません
が、何か踏み込んだ形での、先ほど課長の方からアクティヴ・ラーニングの話も
あったと思うんですが、学校の図書室を中心とした新しい学校づくりというもの
が可能ではないかと考えています。私自身、学校の校舎を建てるときのアドバイ
スで入ったときには、「必ず図書室を開かれたところにしてください」と申し上
げました。
 それ以外の図書館との関わりというのは、図書館の司書の方に出す雑誌でいろ
いろな公共図書館の取材もさせていただいております。何より私自身が今も編集
者であり、本を作る立場ですので、是非、本を読むことを始め、図書館のありよ
うだったり図書館を巡る教育等がもっと変わっていければいいなと思っておりま
す。
 以上です。

【品川委員】 ありがとうございます。多分これからまたいろいろと議論が活発
化していくのだろうと思っておりますが、最初に幾つか取材し考えていたことを
申し上げたいと思います。
 最初に申し上げたいのは、学校図書館はこれから今まで以上に学習スタイルの
多様性を踏まえた図書館にしていく必要があると考えております。例えば、アク
セスビリティの問題です。発達障害を持つ子供たちが通常学級に多数いることが
分かっているにもかかわらず、残念ながら、音声化できる図書数が圧倒的に少な
い。テキストトゥスピーチが入っているPCを置いている学校も圧倒的に少ない。
欧米の小学校に行って最初に胸を打たれたのは、大抵の図書館にはブックオンテ
ープがあり、ディスレクシア指導に力を入れているところにはPCで音声を聴きな
がら読めるようになっているんですね。つまり、読むのは苦手だけど、耳から聞
いたら本が読める、読解できるという子供たちを視野に入れているわけです。で
すが、我が国の場合は、そもそもブックオンテープは少なくて、著作権の問題も
あり、本をPDF化をしてテキストトゥスピーチで自分で自由に読めるような環境
にはなっていません。
 音声化されたモノがあれば読みの手助けになるのは盲の方だけではなくて、発
達障害の中でも学習障害やディスクレシア、注意・集中に課題がある子供たちも
同様です。そういったアクセスビリティを上げていくということは必須だと思っ
ています。
 ということを踏まえますと、発達障害を含めた、専門知識のある司書教諭であ
り、学校司書の方をいかに養成していくかということ、これも大事だと考えてお
ります。先ほど見せていただいたDVDをすばらしいと思いながら拝見していた一
方、書きなさいというだけの指示では書くことが苦手な子供はその段階で図書室
に行くのが辛くなると思うわけです。書く指導は当然必要ですが、一方で、あそ
こで一言、口頭の方が分かりやすい子は録音していいというようなアドバイスが
一言あるだけで、学校図書を中心に、多様性、インクルーシブ教育システムの実
現は可能なのではないかと考えます。
 そのために何ができるかと言ったら、専属ライブラリアンを置くことではない
でしょうか。先ほど武島先生もおっしゃっておられましたが、海外で望ましい教
育を提供している公立学校を見ていてすごいと思うのは、学校にいらっしゃるラ
イブラリアンが専門知識があってかつ質も高く、一般の先生のサポートもできる
ようになっている点でした。今、随分と公共図書館が変わってきました。公共図
書館がレファランスに力を入れるようになった、アドバイスできるようになって
きて、これは本来の図書館の役割だと思っておりますが、学校図書館もそうあっ
てもいいのではないかと考えます。司書教諭が増えることは大事ですが、一方、
先生方がお忙しいことは現場を取材していて痛感しております。とすると、ここ
を変えていく大きなドラスティックなシステムなのか方法なのかが必要、それは
財政措置なのか、学校司書なのか、何か全く新しいものを設置するのか、そこは、
是非、皆さんの御意見もお聞きしながら議論を深めていければと思っています。
 3点目は、社会に開かれるということです。私、中教審の教育課程企画特別部
会というところにいるのですが、そこの中間報告にこれからは社会に開かれた教
育課程を実現するということをはっきりと打ち出しております。ということは、
図書館も学校だけで閉じるのではなくて、いかに開かれていくかということが求
められる考えます。多様な子供たちの多様な学びの場としての図書館と考えたと
きに、個々の子供の教育的ニーズを踏まえるということは何かと言ったら、例え
ば、すごくすぐれた子供が、小学校の図書館では足りないと思ったときに、地域
の図書館だけに行くというのが従来の方法かもしれない。例えば、中学校の図書
館も使えるとか、地域の高校の図書館も使えるというような、そういった図書館
の自由化と言ったらおかしいかもしれないですが、何かそういった制度を超えて
いくものもあっていいのではないかと思っています。同じように社会に開かれた
教育課程の実現に向けるということであれば、例えば、教師支援ができる学校図
書館があってもいいのではないかと思っています。
 四つ目は、先ほどの堀川先生から頂戴した2ページ目に、学校図書館で育む二
つの力:「情報を使う力」と「読む力」全くそのとおりなんですが、これに加え
て、新しい学習指導要領は、子供たちに求める資質・能力として三つの柱、すな
わち従来の「知識を蓄える」に加え、獲得した知識を「いかに応用するか」、と
同時に「人格形成」というのを挙げております。それらの中にクリティカルシン
キングやクリティカルリーディング等が含まれますので、そういったトレーニン
グを学校図書館を使って行っていくことも十分可能であるわけで、そういう基本
教育も可能だというような視点を持ったライブラリアンがいれば、学校も活性化
し変わっていくのではないかということを考えております。
 以上です。

【佐藤委員】 先ほど話が出ました島根県ですが、特に専任の司書教諭がたくさ
んいるわけではありません。いくつかの学校で専任として行っておりまして、で
も、その学校はやはり図書館の活用がとても図られています。今、島根県で一番
に考えなければいけないと思っているのは、どのような授業を目指していて、そ
こに学校図書館の機能をいかに生かしていくかというところです。特別な支援に
関して、先ほど品川委員から話が出ましたが、例えば、学校司書がその子供に合
った本を選んでさりげなく渡す、一人一人が違う本を選んでいて、その子はその
子に合った本を渡されているということが、担任、司書教諭、学校司書が連携し
ていると実現できます。そのように図書館の機能をどのように生かしていくか、
その中で学校司書や司書教諭がどのような役割を果たしていけばいいのかという
ところが、私の興味のあるところです。

【小林委員】 小林です。論点が非常に多岐にわたっていて、どれもお互いに密
接に関連していますので、これだけが大切ということはないんですけれども、こ
こに挙げられている中で私の中で一番大きな関心がありますのは、学校図書館の
運営を支える人材についてということで、学校司書の役割や資格養成の在り方と
いうところでは、御用意いただいた資料の20ページ、学校図書館法の一部を改正
する法律の附則として、今後養成の在り方について検討を行うと。実は97年法改
正のときの学校司書教諭の必置を定めたときも、これまでの5科目7単位の、しか
も4年ないし2年の実務経験の読み替えというようなことを廃して、5科目10単位
読替えなしということで決まったわけです。今回も学校司書が、努力義務ではあ
るんですけれども法律に盛られたということで、是非、学校司書の養成、学校司
書固有の役割、そして、必要な知識や技能について、これから整理が進むといい
なと思っています。
 論点は以上なんですが、先ほど来、品川委員さんを中心に、特別支援、又は個
別のニーズを持った児童生徒への対応が話題になって、大変有り難く、うれしく
思います。今マルチメディアデイジーというものが普及が進んでいるところなん
ですけれども、なかなか現場には届いていない。テクニカルなもの、技術が進ん
で、メディアが進んでも、やはりそれを一人一人の子供に届ける人の存在がやは
り遅れているんではないかと思っています。ですから、特別支援教育で、特に大
きな役割を担う人、学校司書、司書教諭が、特別支援又は個別のニーズというも
のに理解がある、その養成課程でそれが盛り込めるといいなと期待しております。
 以上です。

【小林委員】 小林です。論点が非常に多岐にわたっていて、どれもお互いに密
接に関連していますので、これだけが大切ということはないんですけれども、こ
こに挙げられている中で私の中で一番大きな関心がありますのは、学校図書館の
運営を支える人材についてということで、学校司書の役割や資格養成の在り方と
いうところでは、御用意いただいた資料の20ページ、学校図書館法の一部を改正
する法律の附則として、今後養成の在り方について検討を行うと。実は97年法改
正のときの学校司書教諭の必置を定めたときも、これまでの5科目7単位の、しか
も4年ないし2年の実務経験の読み替えというようなことを廃して、5科目10単位
読替えなしということで決まったわけです。今回も学校司書が、努力義務ではあ
るんですけれども法律に盛られたということで、是非、学校司書の養成、学校司
書固有の役割、そして、必要な知識や技能について、これから整理が進むといい
なと思っています。
 論点は以上なんですが、先ほど来、品川委員さんを中心に、特別支援、又は個
別のニーズを持った児童生徒への対応が話題になって、大変有り難く、うれしく
思います。今マルチメディアデイジーというものが普及が進んでいるところなん
ですけれども、なかなか現場には届いていない。テクニカルなもの、技術が進ん
で、メディアが進んでも、やはりそれを一人一人の子供に届ける人の存在がやは
り遅れているんではないかと思っています。ですから、特別支援教育で、特に大
きな役割を担う人、学校司書、司書教諭が、特別支援又は個別のニーズというも
のに理解がある、その養成課程でそれが盛り込めるといいなと期待しております。
 以上です。

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学校図書館の整備充実に関する調査研究協力者会議 委員名簿

稲垣 達也  江戸川区教育委員会事務局指導室長
植松 貞夫  跡見学園女子大学文学部教授
加藤 容子  岡山県津山市立北陵中学校学校司書
小瀬村 良美 神奈川県平塚市立南原小学校司書教諭
小西 哲也  兵庫教育大学教授
小林 功   埼玉県立大宮中央高等学校司書教諭
佐藤 淳   島根県教育庁教育指導課心の教育推進グループリーダー
實吉 幹夫  学校法人東京女子学園理事長・東京女子学園中学高等学校校長
品川 裕香  教育ジャーナリスト・編集者
高橋 聡   カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社カンパニー長
武島 敦子  清須市学校支援地域本部地域コーディネーター
平久江 祐司 筑波大学図書館情報メディア系教授
堀川 照代  青山学院女子短期大学教授 座長
堀部 尚久  神奈川県横浜市立並木中央小学校長
三浦 太郎  明治大学文学部専任准教授
米澤 久美子 東京都立府中東高等学校(課長代理)司書

学校図書館の整備充実に関する調査研究協力者会議 (第2回) 議事録2016-01-10

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/115/gijiroku/1365719.htm

学校図書館の整備充実に関する調査研究協力者会議(第2回) 議事録

1.日時 平成27年11月27日(金曜日)16時00分~18時00分

2.場所 文部科学省3階第2特別会議室

3.議題 関係団体ヒアリング
 (1.横浜市教育委員会、2.島根県教育委員会、3.文京区教育委員会)
 司書教諭や学校司書の資質向上方策について
 学校司書の資格・養成の在り方について
 その他

4.議事録(抜粋)

【品川委員】 どうもありがとうございます。品川です。皆様の発表が非常に分
かりやすく、大変参考になりました。皆さんそれぞれに少しずつ質問がございま
す。まず、横浜市さんは研修内容が非常に充実していらっしゃるので、深く共鳴
しながら聞いておりました。
2点お伺いしたいことがございます。一つ目は、特別支援の子供たちの研修もや
ってらっしゃるということでしたが、もしかしたら私が聞き漏らしていているの
かもしれません。そうでしたらお許しください。お伺いしたいのは、学校図書館
におけるアクセスビリティの問題をどのようになさっているかという点です。も
う1点は情報リテラシーの研修はなさっているのかどうかについてです。
次に、島根県さんですが、こちらも非常によくできているなと思いながら拝聴い
たしました。お伺いしたかったのは、どういう内容を学校司書の方々に研修され
ているかということですね。横浜市は非常に分かりやすかったので、そこのあた
りの説明をもう少し具体的に島根県さんからもお聞きしたいと思います。ボラン
ティアの人と学校司書とを分けていらっしゃるとのことですが、それぞれの資格
等選考条件も含めて、研修内容をお教えください。
それから、文京区さんへの質問は指定管理の方にお伺いしたいのですが、学校図
書館の支援員という方がいらっしゃいました。その支援員の方たちの資格や選考
要件と研修内容を教えていただきたいということと、これは先ほどの御説明とも
かぶるかもしれないのですが、学校の校長先生方にお伺いしたいのは、司書教諭
の方と支援員の方との役割分担や連携等はどのようになさっているか、事例があ
れば併せて教えていただければと思います。
以上です。

【堀川座長】 それでは、順番にまたお願いいたします。

【堀部委員】 それでは、お答えになるかちょっと心配なんですけども、2点の
質問の1点目についてですが、障害のある方へのサポートというところでは、特
別支援教育の詳細について時間限りあるわけではございませんので、基本的には
配慮を要する児童生徒へどういうふうに本に出会わせるか、そういう点ですとか、
個別支援級のお子さんへのかかわり方というような、非常に概括的な部分がまだ
まだでありまして、御指摘の障害のある方へのアクセスビリティについては、ま
だまだ細かいところまでは時間がとれていないというのが正直なところです。
それから2点目の情報リテラシーについては、ちょっと触れ忘れていますが、や
はりグループに分かれる際には、公共の司書のお力添えを頂いて、読書活動の中
でのいわゆる情報読書に関する基本的な議論については、交流の場もありますし、
それからワークショップの時間もあるというふうに聞いております。ただ、横浜
の場合、今、1期、2期、3期ということで、学校司書になられてから段階があり
ますから、一律一斉ですと、どうしてもこの程度ならばという方もいらっしゃる
ので、それはまた方法としては、今後検討していかなきゃいけないなというとこ
ろであると思います。

【堀川座長】 ありがとうございました。では、お願いします。

【佐藤委員】 研修内容ですが、県立図書館が持っている理由は、公共図書館の
司書の研修を行うというノウハウを生かして学校司書の研修も行うということで
す。したがって、いわゆる司書としての業務の内容と、それと併せて、やはり学
校ですので、子供たちとの接し方、横浜にもありましたが、そちらの方、教育に
生かすという点での研修がございます。詳しくは、今度資料を持ってまいります。
お許しください。

【堀川座長】 ありがとうございます。それでは、文京区の。

【倉田】 1点目の支援員の資格ということでございますけれども、私どもは司
書の有資格者を派遣するということで、業務要求水準書に書いてございます。

【堀川座長】 それからもう一つ、役割分担は。こちらですね。学校の方ですね。

【阿部】 15校の担当をしています、図書館流通センターの阿部と申します。
事業者の側として、資格はほぼ要件とさせていただいております。その他、司書
教諭ですとか持っている者を優先的に採用していく。それから、やはり学校図書
館での経験者というものも優先的に採用しております。
また、研修につきましては、全く経験値のないものも入社してきますものですか
ら、そこに対して様々な会社側のカリキュラム、それから現場でのOJTというも
のを、経験値のある者から育成していくという体制を組んでおります。
ちょっと細かいところですけど、少し。

【白木】 では、15校を統括しております白木と申します。
まず、基本的には、毎月1回、研修を行っております。4月のは、学校司書とは何
かというようなオリエンテーションをいたしまして、4月に必要なもののオリエ
ンテーションの研修でしたり、それから図書館装備が始まりまして、最近になり
ましたら読み聞かせはしかり、ブックトーク、選書でしたり、いろんな研修をし
なければならないことが必要に応じて出てきまして、それもレベルに合わせて、
集合できる少人数でも都度行っております。つい昨日は、ストーリーテリングの
研修をちょうど実施したところです。
以上です。

【栗原】 また15館を統括しております、株式会社ヴィアックスの栗原と申しま
す。
繰り返し、少し内容をかなり重複する部分が出てしまうんですけれども、まずは、
採用、資格に関しましては必ず司書教諭の資格を持っている者を採用しておりま
す。また、そのほか、経験ですね。学校図書館の経験、あるいは公共図書館の経
験といったようなところも採用の際には優先事項として設定をしてございます。
研修の内容に関しましては、まず、入社時に、入社するスタッフ全員を対象とい
たしましての児童サービスの概論と、あとは今回、公共図書館からの司書派遣と
いう仕事の性格もございますもので、公共図書館に関しての概論的なところも、
同じく実施をしておるところでございます。
また、入社一定期間後に業務のフォローアップといたしまして、こちらも入社し
ましたスタッフ全員対象に、またもう少し高度な内容で児童サービス、公共図書
館に対してのサービスの研修を行っております。また、学校図書館の組織といた
しましては、毎月1回の全員集合しての研修のほか、一定期間、適宜、学期ごと
でありますですとか夏休み、夏季期間の学校での支援が比較的少なくなる、そう
いった時期を利用いたしましての集合研修を行っているところでございます。
11月は、館内の装飾といいますか、ディスプレイですね、そういったところに関
しての研修を、全員の集合研修として実施いたしました。
以上でございます。

【實吉委員】 よろしいですか。

【堀川座長】 すいません、ちょっと待ってください。まだ先ほどの回答を、続
きを。

【小池】 よろしいですか。文京区立本郷小学校長の小池と申します。御質問の、
学校司書担当教諭、それと支援員さんとの連携についてのいくつかの例をお話し
申し上げます。
本校の例になりますが、例えば低学年の子供たちが学校図書館を使う利用指導を
支援員さんの方にやっていただいています。また、高学年における委員会活動で
は、図書委員会の子供たちと一緒に協力をして学校図書館の整備などをやってい
ます。また、例えば、読書週間、読書週間といったような、集中して読書に取り
組む学校の企画対して、支援員さんが、特に休み時間に読み聞かせ会をするなど
の取り組みもございます。
また一方では、いわゆる学校図書館の環境や、ディスプレイについては、逆に支
援員さんの方から、季節に合わせてこういうディスプレイをしたらどうかなどが
司書の担当教諭の方に寄せられると、では、それについて、例えばこんなイメー
ジでお願いしますといったようなやりとりをしています。
あと、本校の例でいいますと、地域の学校支援ボランティアさんが、子供たちへ
の読み聞かせというのを朝やっております。そういった読み聞かせをするに当た
って、どういった本を選んだらよいのかという、いわゆる選書の部分で具体的に
支援員さんにアドバイスを受けて、それをもとに選書して読み聞かせを行うとい
ったような連携をしています。これらに対しても、学校図書館の担当の教諭が、
仲立ちをしています。具体的には、先ほど猪狩教諭が言ったとおり、直接の打合
せをしたり、あるいは日報を活用して連絡調整をしたりしているといったような
ことがお答えになるかと思います。
以上でございます。

【堀川座長】 ありがとうございました。

【品川委員】 すみません、確認をさせていただきたいのですが。

【堀川座長】 今のに関連して、はい。

【品川委員】 すみません。ということは、学校司書の方は、授業にはあまりか
かわらないと考えてよろしいでしょうか。そこの線引きはどのようになっておら
れますか。授業のサポートみたいな形では入るなどということないのでしょうか。
中教審では、アクティブラーニングについて議論になりましたが、例えば、学校
司書の方が授業にかかわり得るのかどうか。それとも、完全に民間に委託してい
るのでそういったことは難しいのか、それとも、学校ごとにケース・バイ・ケー
スで随時対応可能なのか。そのあたりがよく分からなかったので、確認させてい
ただきました。

【小池】 実際の授業に対してのかかわりという受け取り方でよろしいでしょう
か。
先ほど話したのは、どちらかというと、学校図書館の中で支援員さんがどのよう
に環境を充実させるかという意味でしたが、今御質問のところでは、例えば各教
科領域の年間指導計画の中で、学校図書館を活用して、更に調べを深めていこう
というようなときに、実際には支援員さんに御協力を頂いてやっている例が幾つ
もあります。
例えば、国語科で説明文の学習をしたときに、その発展として、更にいろいろな
自分なりの説明をする、低学年でいえば乗り物図鑑を作ろうという学習活動では、
支援員さんと連携して、いろいろな乗り物についての本を事前に集めておいたり、
あるいは公共図書館と連携して、本の数が足りなければ更に団体貸出しで事前に
集めておいたりするなどです。あるいは、実際に学校図書館で調べ学習をしてい
こうというときに、担任と協力して子供たちの質問に答えることもあります。例
えばどのページを見れば、より自分が調べたい乗り物が分かるのかというような
ことも援助したり支援したりというようなことです。

【品川委員】 ありがとうございました。

「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議 (第6回) 配付資料2016-01-15

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/110/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2015/12/24/1365538_1.pdf

デジタル教科書の諸問題 国立情報学研究所 新井 紀子 (抜粋)

デジタル教科書のメリットの検証(1)

 ・障碍や困難がある子ども達への支援
  -必要な生徒にデジタル化した教科書を提供する枠組みは既にある。より充
   実することが望ましい。
  -動画・音のコンテンツはユニバーサルデザインではない。
 ・アノテーションをつける方策がないため、盲ろう児は利用できないコンテン
  ツが圧倒的に多い。
  -テキストより動画のほうが深く理解できる児童もいるが、逆に動画ではテ
   キストより理解が減る児童もいる。

まとめ

 現状の(特に近未来のタブレット)PCを前提とすると、デジタル教科書を特に
小中学校に導入することは財政負担を上回るメリットはあまり感じられない。

 高校のICT化(校内LAN、各教室に埋め込み型プロジェクターor軽量プロジェク
タ)を導入するほうが意義がある。

 障碍や発達障害のある児童生徒に対し、必要なデジタル教材の提供は進められ
るべき。

 QRコード埋め込みによる音源・動画アクセス等は検討されてもよいのではない
か?

 教育効果に関しては、フューチャースクールで学んだ児童生徒の学テ・進学状
況等を他の学校と比較すればわかるのではないか?

 アンケートによる教育効果の測定は、科学的ではない。

 AIに代替されないような能力をどのように身に着けるかを検討することの方が
喫緊の課題である。

「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議 (第4回) 議事録2016-01-15

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/110/gijiroku/1364575.htm

「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議(第4回) 議事録

1.日時 平成27年9月15日(火曜日)16時00分~18時00分

2.場所 中央合同庁舎第7号館(金融庁)12階 共用第2特別会議室

3.議題
 関係団体からのヒアリング(理数系学会教育問題連絡会、日本小児連絡協議会)
 意見交換
 その他

議事録(抜粋)

【事務局】 では、資料3について説明させていただきます。まず、最後のペー
ジですが、これまで「デジタル教科書」と言っていたものについて、それが教材
なのか、それとも教科書なのか、議論の中ではっきりしないという御指摘もあり
ましたので、便宜的に別添のような用語の整理をさせていただいております。こ
れで決まりというわけでは全くありませんが、今後の議論の際には、こういった
用語に沿いたいと思いますので、御協力よろしくお願いします。
 まず、冒頭、「具体の議論に当たっては」というところで、当面講ずべき措置
と実施に向けて中長期的に検討していく必要がある措置とに区別して議論してい
くことが必要ではないかということを書かせていただきました。
 教科書の意義・役割について、二つ目の丸のところで、「また、同様に、教科
・科目等によっても、必要となる学習の内容に違いがあるため、教科書以外の他
の教材との役割分担も考慮しながら、教科書の意義・役割について検討する必要
がある。」という項目を加えさせていただいております。
 その次の項目ですけれども、「教科書がデジタルであることを認めることによ
り、子供たちにどのような学びの環境を提供することができるのかについて検討
する必要がある。」という項目を付け加えております。
 デジタル版教科書と言っておりますけれども、その導入による効果、影響につ
いてというところについて、二つ目の項目のところで、「デジタル版教科書の使
用そのものによる効果・影響等の検証については、導入後においてしか実施でき
ないことから、デジタル版教科書の導入後においても実践的に効果・影響等の検
証を実施する必要がある。」と記載しております。
 次のページに参りまして、「障害のある児童生徒の学習に有効であると考えら
れることから、教科書バリアフリー法に基づく取組とともに、関連する取組を更
に進める必要があるのではないか。」、また、「デジタル版教科書の具体の使用
に当たっては、その利点と課題を十分に考慮する必要がある。」ということにつ
きまして、利点・課題双方の観点はありますが、情報の更新、若しくは訂正等の
容易性、関連情報への接続の容易性といった観点を加えております。
 「また」以降のところで、検討に当たり、その課題自体が導入により一過性の
ものなのか、それともデジタルの性質上、受容せざるを得ないものなのかを整理
した上で議論する必要があるのではないかということを書かせていただいており
ます。
 質の担保のところについてですが、一つ目の項目は、趣旨としては変わってお
りませんが、「デジタル版教科書に含まれるコンテンツについても、主たる教材
であるという教科書の性質に鑑みれば、基本的には検定により紙の教科書と同水
準の質を担保する必要があり、その場合において、紙の教科書と同じ内容のコン
テンツについて改めて検定を行う必要があるのかについて検討する必要がある。」
ということです。
 その次ですが、デジタル版教科書は膨大な情報量を含み得るということで、情
報量の観点をどうするか。若しくは、リンクを張って外部サイト等への閲覧が容
易になることもありますので、拡張性の観点というのも考える必要があるという
ことです。また、動画や音声等、従来これらは紙の教科書には含まれておりませ
んので、そういったものの検定というのは現実的に可能なのかという実行可能性
の観点も踏まえる必要があるだろうということを書かせていただいております。
 また、次の丸のところで、「検定を行わない又は行うことができないコンテン
ツについて、教科書として位置付けることの是非や、教科書としては位置付けな
い場合に、ただ、デジタル版教科書に含めることの是非についても検討する必要
がある。」としております。
 次のページに参りまして、「教科書として位置付けられない機能やコンテンツ
について、デジタル版教科書と組み合わせて一体的に使用することの有益性及び
それを踏まえた活用方策について検討する必要がある。」としております。
 一つ飛ばしまして、デジタル版教科書に含まれるコンテンツの更新や訂正とい
ったものにどのような対応をするか。
 次に、動作性という言葉を使っておりますけれども、要は、これは機器やコン
テンツについて、実際に動くかどうかというのを担保するべきか、そこまでする
必要がないかという観点でございます。
 教科書としての位置付けという項目に参りますが、一つ目の丸は従来から議論
にはなっておりましたが、デジタル版教科書と言う際に、コンテンツ、ビューア、
ハードウエア、どこまでをそう言うのかということです。
 二つ目の丸につきましては、一つ前の検定のところにも関わりますが、紙の教
科書に含まれない動画や音声等のコンテンツや機能を教科書として位置付けるこ
とも考えるべきか。また、紙媒体、紙の教科書を前提とせず、デジタルのみによ
って制作される教科書というものを認めるべきか否か。また、デジタル版教科書
というものにどのような機能を付加するかといったことも検討する必要があるだ
ろうということです。括弧書きで例示しておりますが、例えば参考資料、若しく
は文具、学習履歴の保存、正答比較等の機能については、教科書の意義・役割を
踏まると、教科書として位置付けることは適当ではないと考えていいかどうか。
 また、紙の教科書と同様に、各教科の学習内容を全てカバーするものをデジタ
ル版教科書と呼ぶかそれとももう少し細分化して、例えば単元単位といったよう
なものをもって制作されたものをデジタル版教科書と言うかどうか、そういう観
点もあると考えております。
 次のページに参りまして、こういったデジタル版教科書の範囲を検討するに当
たっては、実際に学校で導入されているネットワーク環境や、若しくは情報端末
といったものの性能等も考える必要があるということを加えております。デジタ
ル版教科書と紙の教科書の関係についてですが、今まで議論にもなっておりまし
たが、少なくとも当分の間につきましては、デジタル版教科書は紙の教科書との
併用を前提とすることが適当と考えてよいか、その際、発達段階に応じた違いを
考慮する必要があるかどうかについて検討する必要があるか、また、仮にデジタ
ル版教科書を導入する場合について、これまでと同様に、紙の教科書のみを使用
して学習することをどう考えるか、ということを記載しております。
 次の項目は、各法律上の位置付けについてですが、教科書関係の法律は実は多
岐にわたっており、学校教育法、無償措置法、発行法、バリアフリー法、著作権
法など、それぞれに議論すべき観点があると思っています。学校教育法について
言えば、デジタル版教科書というものは、紙の教科書の存在を前提とすべきと考
えてよいか。また、その場合に、紙の教科書には含まれていないデジタル版教科
書のコンテンツというものを教材として紙の教科書と併用することについてどう
考えるか。また、同じく学校教育法ですが、デジタル版教科書の使用により、学
校教育法で規定されている教科書の使用義務といったことを履行したこととすべ
きかどうか。無償措置法の方は、仮にデジタル版教科書を導入して、更に紙の教
科書と併用する場合ですけれども、無償給与を行う教科書の範囲について、デジ
タル版教科書の性質も考慮して検討する必要があるだろうと。また、保護者の経
済的負担というのをどう考えるか。また、発行法において教科書発行者に対する
発行指示というものが規定されていますが、そういったものの適用対象とすべき
かどうか。また、同じく発行法で教科書の定価を文部科学大臣が認可することに
なっていますが、デジタル版教科書についてもそういったことをするかどうか。
また、教科書バリアフリー法で、紙の教科書と同様に、デジタル版教科書につい
ても、デジタルデータの提供を求める仕組みを創設すべきかどうかという観点も
あると思います。次のページに参りまして、著作権法については、こういった今
までの議論や「デジタル教科書」の性格を踏まえた上で、教科書に関する著作権
法上の権利制限規定の在り方をどのように考えるべきかといった観点があると思
います。
 最後に、導入に当たって必要となる環境整備についてですが、ここで新しく加
えさせていただいたのは、三つ目の丸のところで、「デジタル版教科書の供給を
どのように行うのかについて、選択肢として採り得る各学校への配信方法を踏ま
えつつ検討する必要がある。」、また、「「指導者用デジタル教科書」の一層の
普及促進方策について検討する必要がある。」とあります。また、最後の丸です
けれども、「紙の教科書により教材・授業研究等が行われ、それにより多くの蓄
積ができてきた実情を踏まえて、デジタル版教科書の導入に当たっても、個々の
教員だけではなく、全ての教職員、保護者、地域住民等を含めて、学校全体とし
て受け入れられるようにすることが必要である。」という観点も書かせていただ
いております。
 資料の説明は以上です。

「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議 (第5回) 議事録2016-01-15

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/110/gijiroku/1365530.htm

「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議(第5回) 議事録

1.日時 平成27年11月11日(水曜日)16時00分~18時00分

2.場所 文部科学省講堂(東館3階)

3.議題
 ヒアリング
(教科用図書検定調査審議会委員 鈴木祐司氏、
東京書籍株式会社ICT事業 本部第一営業部長 川瀬徹氏)
 意見交換
 その他

議事録(抜粋)

【山内委員】 資料の3ページに、「「デジタル版教科書」はベーシックコンテ
ンツで作り、連携するデジタル教材を教科書会社・教材会社・教育委員会・教員
等が別途用意する形式を提案する」とございます。この場合のベーシックコンテ
ンツと、それから、連携するデジタル教材、この境目について、今の川瀬部長の
プレゼンテーションからしますと、恐らくベーシックコンテンツに含まれるもの
は、文字情報、それから、文字に対応した音声情報というところではないかと思
います。そのほかに、この「デジタル教科書」が持っている可能性としては、視
覚的な写真、静止画、動画であるとか、それから、情報の更新などがあるかと思
います。情報の更新は、教員が新たなコンテンツを入れることができるというと
ころにあると思われます。ベーシックコンテンツ、教科書会社や教材会社や教員
などが提供していく連携するデジタル教材とを考えた場合、そのボーダーライン
はどの辺に考えていらっしゃるのか、教えていただけますでしょうか。

【川瀬部長】 ありがとうございます。今、山内委員がおっしゃったように、ベ
ーシックコンテンツは、私が考えているところは、文字と音声までです。実際に
見ていただいたEPUB3の内容で良いのではないかと思っています。ただ、文字の
背景色や文字の大きさについては、来年4月、障害者差別解消法が施行されると
いったことを考えると、いろいろな子供たちが全部使えるようにすべきだと思い
ます。しかし、特別支援の子供が使いやすいということは、健常の子供たちにも
使いやすいと思いますので、そのように用意したいと思っています。ですから、
連携するデジタル教材というのは、先ほどのリッチコンテンツの中に含まれてい
る動画やアニメーション、シミュレーション、場合によってはリンク先も含んで
良いのではないかと思っております。

【近藤委員】 私からも、中川委員からお話があったことと関連して、読み上げ
のことです。私は、特別支援で様々な多様な障害のある子供たちの支援をしてい
るのでいつも思うのですが、例えば今、全ての教科において読み上げできるよう
に、現実的に、果たしてあらかじめ録音した音声を付加することができるのかど
うか。それとも、今、中川委員から御提案があったように、音声読み上げ機能を
効果的に組み合わせながら、読み上げ機能との親和性を上げたような取組で対応
するという道になるのか。今回、実際に前もって録音された音声を入れられた理
由、その現実的な理由を聞きたいです。というのは、例えば漢文であったり、数
式であったりというのは、実際かなり読み上げにルールの設定が必要だと思うの
ですが、その対応がかなり難しいと考えられるからです。
 例えば先ほど分数式の読み上げの仕方として、「まず分子は~です」、「分母
は~です」という読み上げ方をしたのですが、この数式等での読み上げのルール
というものは、現在あってないようなもので、特に標準化されたものはありませ
ん。しかし、教科書に読み上げ機能が搭載されていくということを考えると、定
式化やルール化が必要になってくるのではないかと思うのですが、そのような取
組を既になさっているのかどうかというところです。
 あと、例えば、視覚障害のある生徒には、「デジタル教科書」のソフトウェア
を使う際には、スクリーンリーダーという音声読み上げのソフトウェアを組み合
わせて使用することが必要になると思います。また先ほどの多様なインターフェ
ース上の機能というのは、実際には肢体不自由のある生徒の場合はかなり利用上
が難しい。現場では、現実的には、我々はEPUB3のデータを作り、子供たちに配
信して、様々な子供に合った学習環境をツールとして自分で選んで使ってもらう
というやり方をしています。先ほどデジタル教材等の標準化の動きの中でEPUB3
が採用されるというお話をされましたが、EPUB3そのものを販売したり、配信し
たりということは、教科書会社として可能な範囲にあるのでしょうか。

【川瀬部長】 まず、読み上げのことですが、英語や国語は、音声データがあり
ましたので、全部流し込んでそのまま読めるようになっています。
 それから、合成音声についてですが、やはり人間の手で最後、修正しなければ
ならないところが幾つかあります。例えば、「もうどうけん(盲導犬)」の表記
は小学生の中学年では「もうどう」まで平仮名で、「犬」だけ漢字になっている
のですが、「もうどういぬ」と読んでしまいます。それを一々「もうどうけん」
に手作業で直すことが必要になります。
 それから、数式も実は初の試みだったので、おっしゃるようにルールがありま
せん。我々の方でいろいろな先生方と話をして、どの読み方が一番分かりやすい
のか、標準的なのかということで、あのような読み方で一つ提示しただけですの
で、近藤委員から、ルールはこのようにしたら良いと示していただければ、それ
に従って作りたいと思います。我々もその方がはるかに楽だと思っています。
EPUB3に関しては、特別支援では昔からDAISYを使っていらっしゃったと思います
が、それをどのようにバージョンアップするかといったときに、HTML5、プラス
DAISYにするとほぼEPUB3になっていくという形で、我々の方は提供しています。

【近藤委員】 先ほど少し音声の話がありましたが、特別支援のニーズのある子
供というのは、例えば医学的診断を持っていないけれども、そのニーズがあるこ
とが教育的に今後どんどん見つかってくるだろうということがあります。今、通
級指導を受ける学習障害のある子供たちが毎年1,000名以上の単位で膨れ上がっ
ていっているという状況から考えると、恐らくかなり多くの子供たちの中に、読
みなどのアクセスを保障してあげるニーズが存在しているので、音声が付くとい
うのは本当に望ましいことだと考えています。
 ただ、障害のある人たちにとって、音声が付くことやデータにアクセスできる
こととは、やはりアクセシビリティーを確保するという問題であって、山内委員
が先ほどおっしゃったような正しいイントネーションを提示するというところと
少し意味合いが違うところがあります。アクセシビリティーは必ず基本として保
障しなければなりません。印刷物以外の形を保障しなければならないところがあ
るので、その保障をどこまで担保していくのか。それを紙の教科書ではない、完
全に電子的なものに置き換えることを学校現場で認めてくださることとは、かな
り大きなことになっていくと思うので、是非前向きに御検討いただきたいと思い
ます。
 また、先ほど新井委員から、EPUBとしての機能として新たに追加されたものを
どのように検定するかというお話がありましたが、あれは恐らくEPUBを表示する
ためのソフトウェアが持っている機能をどのように検定するかということではな
いか思いました。障害のある子供たちのところで先ほど質問させていただいたの
は、障害のある子供にとっては、新しく作られた、「『デジタル教科書』のコン
テンツを表示するためのソフトウェア」が新たな壁になってしまうことがあるの
です。例えば、皆がこのソフトウェアを使って音声も表示できるようになったと
言うけれども、それではアクセスできない肢体不自由の子供たちや視覚障害のあ
る子供たちが出てきたときに、果たしてどうやってそれを保障していくのかで、
必ずこのニーズは出てきます。そうすると、できるだけ自由度の高い、例えば
EPUB3を先ほど提供できますかという御質問をしたところ、それは可能ですとお
っしゃったのですが、そうすると、EPUB3にかなり自由にアクセスできること、
しかもその子のニーズに合った様々なソフトウェアでアクセスできるということ
が保障されていく必要があると思います。そのように考えたときに、デジタル版
教科書と呼んでいるものの実態が電子データ、コンテンツのことを指しているの
か、それとも、ラッパーソフトウェア、そのコンテンツを表示するためのソフト
ウェアを含めているのかということは、曖昧にしておくとかなり困った部分が出
てくるので、それはEPUBデータの入手を選ぶか、表示ソフトとEPUBデータの組み
合わせを選ぶか、児童生徒が個々のニーズに合わせて両方選択可能であるとすべ
きだと思います。ソフトウェアも含めてデジタル版というふうに呼ぶこともあれ
ば、特別なニーズのある子供に関しては、デジタルデータへのアクセス提供の保
障をしていくことも同時に入れていく必要があると思います。
 以上です。

【神山委員】 先ほど、事務局から、教科書バリアフリー法というものがあると
御説明がありましたが、学習者用デジタル教科書ができたからといってバリアフ
リー法を廃止するわけはなく、二本立てで行くべきであろうと思います。でも、
アクセシビリティーは学習者用デジタル教科書でも確保していかなければならな
いと思いますが、そこを頑張り過ぎても、逆に使い勝手が悪くなると思うので、
二本立てというものを保障した上で、ある程度のラインを設けても良いのではな
いかという気持ちでいます。
 また、私も、障害のある子供たちと接しているわけですが、積み上げが必要な
教科に関しては、過学年のものをどうしても使いたいということで、実際に特別
支援学級では使用しています。年度によっては、一年前に子供が使っていた教科
書とその年に使われている一つ下の学年の教科書が違うもので、指導にちょっと
困るということもあるので、配布できる期間について検討できると良いと思いま
す。さらに、塾の先生方もこのようなものにすごく興味を持たれていて、塾に通
ってくる子供たちにもデジタルタブレットの操作を教えたいということであり、
私塾の先生方も購入可能なものなのかということも議論の中に入れていけると良
いのではないか思っております。

フリーソフトを使ったマルチメディアDAISY製作研修 2016/01/16-172016-01-17

平成27年度パソコンボランティア指導者養成事業
障害者へのICT活用研修会 特別研修 マルチメディアDAISY製作

http://www.jsrpd.jp/ic/pcv/index.html

フリーソフトウェアを使ったマルチメディアDAISY製作研修

期日 2016年1月16日(土)~1月17日(日)両日 10:00~17:00

会場 東京都新宿区 戸山サンライズ

講師 東美紀(元DAISYコンソーシアム国際トレーナー)

費用 4,000円

問い合わせ先
公財 日本障害者リハビリテーション協会 情報センター パソボラ事務局
〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 戸山サンライズ内
E-mail:pcv@list.jsrpd.jp
TEL:03-5273-0796 FAX:03-5273-0615

*注意*
使用ソフトウェアは音声読み上げに対応しておりませんので、申し訳ございませ
んが、視覚障害の方のご参加はご遠慮下さい。

文部科学大臣宛「マルチメディアデイジー教科書提供についての要望」2016-01-29

                            平成28年1月26日

文部科学大臣 馳 浩 様

        マルチメディアデイジー教科書製作ネットワーク参加団体一同

 マルチメディアデイジー教科書提供についての要望

 平素より文部科学省におかれましては、マルチメディアデイジー教科書(以下
デイジー教科書)製作に係る施策の充実にご尽力いただいておりますことに、感
謝を申しあげます。とりわけ平成26年度からは、文部科学省の調査研究事業から
の助成により、私どものボランティアによる活動を支えていただいておりますこ
とに、重ねて感謝を申しあげます。

 LD(学習障害)等の発達障害、弱視等の視覚障害、その他の障害のある児童生
徒の中には、通常の紙の教科書での学習が困難な者が少なからず存在し、紙の教
科書に代わるものとしてデイジー教科書が広く活用されております。(公財)日
本障害者リハビリテーション協会によると、利用者数は平成27年12月現在で約
3,000名であり、今後も増え続けるものと予想されます。デイジー教科書製作の
要望タイトル数の増加に対し、すべてに対応しきれていないという問題が生じて
おります。本来ならば年度当初に1タイトルのデイジー教科書として提供すべき
ところ、やむを得ず完成した単元から逐次提供せざるを得ないケース、また実際
の授業の進度に間に合わないケース、諸般の事情によりデイジー教科書そのもの
が提供できないケースなどが、残念ながら生じております。なかにはデイジー教
科書の利用が円滑にできないことから、授業についていけず不登校状態に至った
という、看過できない事例もあります。

 平成28年4月施行の「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」によ
り、公立学校では「合理的配慮」の提供義務が制度化され、国や各自治体に対し
そのための「基礎的環境整備」が求められることとなります。「基礎的環境整備」
としての「教材の確保」の観点から、とりわけ「教科用図書」すなわち教科書に
ついては、国の責務において確保されるものと理解しております。また文部科学
省の「『デジタル教科書』の位置付けに関する検討会議」での最近の議論では、
検定制度や無償給与制度などとの関係から、これまでの「学習者用デジタル教科
書」のうち、「教科書として位置付けることが適当である」ものを、新たに「デ
ジタル版教科書」として整理し、今後の検討をすすめるとのことです。この「デ
ジタル版教科書」の検討によってアクセシビリティ確保について、さらに進展す
るものと期待しているところです。

 拡大教科書や点字教科書については国の財政措置により提供されていますが、
デイジー教科書については、まだそのような措置はありません。文部科学省の調
査研究事業からの助成による支援をいただき、ボランティア製作団体としても自
助努力をしているところではありますが、前述のようにすべての要望に対応しき
れていないのが現状であります。 文部科学省では学校での使用実態等を踏まえ、
「検定教科用図書等に代えて使用する図書」として、無償給付対象とするか否か
の判断をしていくとのことですが、すでにデイジー教科書については前述のよう
に約3,000名の使用実績があり、その効果についても多数の報告がなされている
ところです。ちなみにこの3,000名という使用実績は、「拡大教科書」を超える
数字であります。

欧米諸国などでは毎年数十億円規模の予算が、デイジー教科書・教材の製作や提
供のための費用として拠出され、障害のある児童生徒にアクセシブルな教科書・
教材が提供されているとのことです。障害のある児童生徒の学習権を確保し、将
来の社会参加につなげていくことは、「みんなが包摂され活躍できる社会(一億
総活躍社会)」を実現するための基盤整備に寄与するものと考えます。以上のよ
うな理由から、国の責務においてデイジー教科書の安定的な提供ができるよう、
今後とも引き続き施策を講じていただきたく下記のとおり要望いたします。

    記

1.文部科学省におかれましては、通常の紙の教科書での学習が困難なすべての
児童生徒が、必要とするフォーマット(形式)で、他の生徒と同時に追加的費用
負担なく、確実に入手し使用できるための施策を、財政措置も含めて早急に講じ
てください。

2.併せて前項目の目的達成のため、発達障害などの読むことに困難を持つ児童
生徒のニーズにも対応が可能な、デイジー教科書(EPUB3版含む)や教材の確保
について、文部科学省におかれましては、各教科書出版社に対しあらゆる機会を
とらえて指導・助言や奨励をしてください。

3.私どもデイジー教科書製作ネットワークでは、これまでのデイジー教科書提
供の経験を活かし、読むことに困難がある児童生徒の多様なニーズに応えられる
「デイジー教科書アクセシビリティ・ガイドライン」を策定し、今後教科書出版
社が製作される「デジタル版教科書」のアクセシビリティ確保に関する、あらゆ
る情報提供を惜しむものではございません。文部科学省におかれましては、各教
科書出版社と私ども製作ネットワーク参加団体とが協議できる機会を設けてくだ
さい。

                                  以上

文科大臣宛「マルチメディアデイジー教科書提供」関連要望書添付資料2016-01-29

資料1--------------

マルチメディアデイジー教科書利用者の声

●日本教育工学会第25回全国大会ワークショップでの講演より

利用者「4年生のときにはじめて、ごんぎつねのデイジーを使った。
そうしたら、学校の先生が言っていることが分かって、びっくりした。
それから、たくさんデイジーで本を読んで、どんどん国語の授業が好きになっ
て、本を読むのが好きになった。
この、本を好きになったという気持ちは、ぼくの言葉では表せないくらいだ。
今困っていることは、学校にデイジーを持っていけないことで、そのことをぼ
くは悲しく思う。」
親「この子たちにとって、デイジーは教科書なのです。授業が始まるときに、
この子たちに教科書がないような状態です。こんなことはあってはならない。
国の責任として、きちんと保証してほしい。」

●平成26年度マルチメディアデイジー教科書アンケートより(利用者の保護者

・先生から)
( )内は使用者
・授業中、とても不安(当てられると読めない)な表情でしたが,デイジー使
用後は,穏やかな表情で授業に参加するようになりました。(小学2年 男子)
・学習の際、親がつきっきりで関わらなければいけなかったが、デイジーを使
用することで、一人で見ながら聞くことが可能になりました。子どもが学習し
ていくうえで、一人でできるということも大切な要素だと思いました。(小学
3年 男子)
・高学年になって、教科書、板書の文字が中心となって授業が進むようになり、
授業に参加しづらくなっていたが、デイジー教科書を授業中に使うことにより、
参加率が上がりました。(小学5年 男子)
・自分で読ませて内容を聞くとあまり答えられないが、聞いてから入ると割と
理解できていました。(中学1年 女子)
・脳性麻痺による肢体不自由のため、自分で本を読むことはほとんどなかった
子が、自分から積極的に「読みたい」というようになりました。
(小学3年 女子)
・自分から教科書を読むようになり、紙の教科書では、さーっとよんですぐ飽
きてしまう様子でしたが、デイジー教科書では、ゆっくりきちんと読み、最後
まで集中力をきらさずにいました。 集中できる時間も長くなったと思います。
(小学4年 女子)
・とても憂鬱だった授業が、デイジーのおかげで楽しくなったと感じているよ
うです。自分に合った手段を選ぶことで、教科書が読めるようになるとは!!
デイジーに出会って本当に良かったと思っています。人から読んでもらうので
はなく、読みたいときに読みたい箇所を何度でも・・・というところが良いで
すね。自分で出来た!!という達成感もあるようです。(小学4年 男子)
・音読恐怖症(宿題)だったが、理解を優先するなら優位の耳からでよい(聞
くだけ)と、理解と読む作業を分けてデイジーを利用しています。耳からで理
解してから音読に進むと以前よりスムーズに音読もできるようになりました。
(小学3年 男子)

資料2--------------

デイジー教科書ネットワーク参加団体

・公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会
・特定非営利活動法人 NaD (ナディー 旧奈良DAISYの会)
・特定非営利活動法人 デジタル編集協議会ひなぎく
・森田研究室
・えどベリスの会
・特定非営利活動法人 支援技術開発機構(ATDO)
・特定非営利活動法人 かかわり教室
・特定非営利活動法人 こみこみドットコム
・社会福祉法人 日本ライトハウス情報文化センター
・朗読奉仕グループ「Qの会」
・特定非営利活動法人 やまゆり
・調布デイジー
・あおもりDAISY研究会
・特定非営利活動法人 サイエンス・アクセシビリティ・ネット
・広島国際大学マルチメディアDAISY研究会
・社会福祉法人 日本点字図書館
・所沢マルチメディアデイジー
・赤十字語学奉仕団
・いちえ会

資料3--------------

これまでの経緯

平成20年9月施行の「教科用特定図書普及促進法(教科書バリアフリー法)」と
「著作権法第33条の2」の改正により、LD(学習障害)等の発達障害や弱視等
の視覚障害、その他の障害のある児童・生徒のための「拡大教科書」や、デジタ
ル化された「マルチメディアデイジー教科書」等が、製作できるようになりまし
た。

デイジー教科書ネットワークでは、平成20年9月より通常の教科書では読むこと
が困難な児童、生徒に、デイジー教科書の提供を始め、平成27年現在、ボランテ
ィア19団体(資料2参照)が協力しています。

現在、全国の教科書センターへのサンプルの設置や、文部科学省初等中等教育局
教科書課による「音声教材普及推進会議」の開催等、国による普及が進んでいま
す。平成28年4月に、国連障害者権利条約を根拠とした国内法である「障害を理
由とする差別の解消の推進に関する法律」(障害者差別解消法)が施行される予
定です。その中で「合理的配慮を必要とする障害者が多数見込まれる場合、障害
者との関係性が長期にわたる場合等には、その都度の合理的配慮の提供ではなく、
後述する環境の整備を考慮に入れることにより、中・長期的なコストの削減・効
率化につながる点は重要である。」と明記されており、教科書はこれらの場合に
該当していると言えます。著作権法の改正や、教科書バリアフリー法と合わせて、
デイジー教科書の提供の必要性を根拠づける法律の整備も進んでいます。一刻も
早く、デイジー教科書が他の教科書と並んで、国から提供されるようになること
を期待しています。

子どもの読みたい本は教科書だけでなく、物語や趣味に関するもの等多岐にわた
り、教科書以外のデイジー化の要望も後を絶たないため、これらへの対応は、ボ
ランティアとして続けていきたいと考えています。

「DAISY/EPUBで実現するアクセシブルなデジタル教科書」 第2回 報告2016-01-29

「DAISY/EPUBで実現するアクセシブルなデジタル教科書」(第2回)

2015年12月12日(土)13時から17時まで、ウェスタ川越(埼玉県川越市)におい
て、日本デジタル教科書学会主催により表記研究会が開催され、45名の参加者が
ありました。これは同年1月に開催された同趣旨の研究会に引き続き、第2回目と
いうことになります。

冒頭に本研究会の企画者であり、本学会役員の井上より開催趣旨説明がありまし
た。文科省「デジタル教科書の位置付けに関する検討会議」での検討経過の概要
や今後の見通しなど、そして来年4月施行の「障害者差別解消法」による、「合
理的配慮」提供の制度化との関係などについても説明がされました。

最初の登壇者である河村宏氏(日本DAISYコンソーシアム)からは、文科省の検
討会議における「デジタル版教科書」をめぐる最近の議論に関して、DAISY/EPUB
の最新動向とからめて、次のような説明と見解が示されました。

「学習者用デジタル教科書のうち教科書として位置付けることが適当である」と
して、新たに検討される「デジタル版教科書」は、「紙の検定教科書のコンテン
ツをデジタル化したもの」という前提ですすめられることになるだろう。オープ
ンスタンダートであるEPUBが、電子書籍や「デジタル版教科書」の標準フォーマ
ットとして採用されることについては、すでに大方の同意が得られたと考える。
EPUBのアクセシビリティ仕様がDAISYによって担保されているという事実や、す
でに3,000名に達したマルチメディアDAISY教科書のユーザ数などからみても、正
式にEPUBに準拠することでアクセシビリティが確保された「デジタル版教科書」
の実現に向け、まさに「機が熟した」といえるだろう。今後は各教科書出版社が、
一定のベースラインでアクセシビリティ確保をしたうえで製作をし、さらにボラ
ンティア製作団体などが各ユーザへの細かな個別対応をするといったすすめ方が
望ましいと考える。

今回の参加者の約半数程度の方たちが、マルチメディアDAISY教科書の実物を見
たことがないとのことで、途中デモンストレーションを挟みながらの説明でした。
W3Cの規格でもあり「肉声とテキストハイライトとの同期」という、DAISYの特長
である機能実現のため開発された、SMIL(Synchronized Multimedia Integration
Language)についての解説と、最新情報として現在改訂作業中の最新バージョ
ンであるEPUB3.1の目玉ともいえる、"Multiple-Rendition"の実装で実現される
機能の概要や、来年10月に予定される改訂作業の見通しなどについても説明がさ
れました。

二番目の登壇者である近藤武夫氏(東京大学先端科学技術研究センター)からは、
近藤氏自身も委員として参加している文科省の検討会議での議論の概要について、
次のような説明と、「個人的なもの」との前置きで見解が示されました。

文科省の検討会議でカバーされる範囲は相当に広く、多岐にわたっている。デジ
タル教科書の効果・影響の観点から、アクセシビリティに関しても議論はされて
おり、基本的には障害のある児童生徒の学習のための必要性は確認されている。
私自身は法律や制度上の位置づけがもっとも重要と認識しており、アクセシビリ
ティの課題のすべてを、「デジタル版教科書」で解決させるということではなく、
現行の教科書バリアフリー法での考え方をさらに発展拡大させる取り組みも大切
だと考える。検討会議では「無償給与」や「著作権法」などとの関係での位置づ
けなど、まだ議論が深められていない重要な論点も多い。

さらに、「合理的配慮」の課題と関係して、近藤氏が継続して取り組まれている
「DO-IT Japan プロジェクト」での、障害のある児童生徒に向けたテクノロジー
を活用して、通常の教育カリキュラムへ参加させる移行支援プログラムの概要に
ついても紹介がありました。

三番目の登壇者である工藤智行氏(サイパック)からは、DAISY教科書・図書の
定番リーダーともいえる「ボイス オブ デイジー」(iOS/Android版)の最新バ
ージョンの機能説明が行われ、日本語の縦書き表記などに関わる課題と解決方策
についても概説がされました。完全な日本語対応のための抜本的な解決手段とし
ては、今後EPUB3で対応していくことが現実的との指摘があり、現状の紙教科書
に特有な表現や紙面構成などについて、実際に紙教科書コンテンツをデジタル化
する際の「ルビ振り」などの問題点の指摘と、その解決策についても提案がされ
ました。なお「ボイス オブ デイジー」での本格的なEPUB3及びメディアオーバ
レイ対応は、来春を予定しているとのことで、現在開発中のデモ版を使用した実
演による紹介もされました。

四番目の登壇者である西澤達夫氏(シナノケンシ)からは、文科省の「学習上の
支援機器等教材研究開発支援事業」の助成によりその開発の一部と実証研究がす
すめられている、「PLEXTALK Producer」の説明と実演がされました。これはマ
ルチメディアDAISY/EPUBの半自動製作ソフトウェアで、テキストデータの取り込
みと合成音声での読み上げと修正、画像ファイル埋め込み、漢字への自動ルビ振
り、肉声録音とテキストとの同期などの設定が可能で、EPUB3メディアオーバレ
イや従来のDAISY形式での出力をします。ボランティア製作者などの工数低減や、
学校現場などでの紙ベース教材のデジタル化による、アクセシビリティ確保への
寄与が期待できます。また、近日リリース予定のiOSで動作するEPUB3リーダーの
紹介もありました。

最後の登壇者である石橋穂隆氏(ACCESS)からは、教育分野に特化したデジタル
教科書・教材のソリューションである"Lentrance"について、実機を使用しなが
ら、次のような紹介がなされました。

"Lentrance"はEPUB3準拠のデジタル教科書・教材の製作及びビューア機能を持つ
ソリューションであり、ビューアはリフローと固定レイアウト表示のハイブリッ
ド機能を備え、文字サイズ・フォント・文字色・背景色等の変更や、音声の埋め
込みやテキスト読み上げ(TTS、SSML)にも対応しアクセシビリティ機能が強化
されている。アクセシビリティに配慮されたデジタル教科書・教材は、障害のな
い児童生徒にも使いやすいと考えている。大手教科書出版社の学習者用「デジタ
ル教科書」にも採用されている。

なお、同社はEPUBの標準化団体である、IDPFのレファレンスビューアである
"Readium"にエンジンを提供しており、今後も独自拡張とはせずに忠実にEPUB準
拠で展開予定とのことでした。

すべての登壇者の発表後、当初の予定にはありませんでしたが、野村美佐子氏
(日本障害者リハビリテーション協会・情報センター長)より、マルチメデイア
DAISY教科書の簡単な紹介と、利用者向け相談会や製作者向け講習会のご案内を
いただきました。

プログラムの最後として、質問紙による質疑応答がありました。この日の参加者
は学校教育関係、図書館関係、大学などの研究者、技術開発関係、出版関係、製
作ボランティアの方々など多方面にわたりました。残念ながら時間の関係でほぼ
質疑応答のみに終わり、討論までには深められませんでしたが、以下にその要旨
を紹介いたします。

質問 : "Lentrance"のリーダーでは分数での数式の読み上げは可能か、また可能
であるとして製作する際にはどのようにデータを作ればよいか。

回答(石橋氏) : 数式の読み上げの指定は基本的にSpeech Synthesis Markup
Language (SSML) で可能。分数式については現状では明確な読み方のルールがな
いので、コンテンツホルダ側で適宜読み方を指定することで対応可能。数式の記
述はMathMLに対応。将来的にはLaTeXへの対応も考えられる。

質問 : EPUBの点字対応、ピンディスプレイへの出力対応はどうなっているか。

回答(河村氏) : 基本的にEPUBやDAISYの仕様では点字対応しているが、プレー
ヤ側の仕様に依存する。DAISYではすでに点字対応のプレーヤを使うことで、ピ
ンディスプレイ出力が可能。ただし分数式の「読み方」と同様な課題が残る。
MathMLに対応しているのでそれで書いてあれば出力できるが、現実的には数式を
日本語方式の点字表記にする際の課題がいくつか残る。

回答(工藤氏) : EPUB3.1の点字表記の標準化に関わっている。例えばテキスト
とMathML表記とを識別し点字出力するための識別子などを定義し、仕様に加える
ことで解決の見通しはあると思う。

補足(会場より) : 日本語の文章は数式にかぎらず、そのまま自動点訳しただ
けでは使えるものになりにくい。DAISYやEPUBメディアオーバレイにおいて肉声
とテキストがシンクロできるように、読みと同期させて正しい点字データを出力
できるような仕組みはまだない。今後の課題だと思う。

質問 : 大学教育では、一般図書や論文、外国語文献など教材や読むべきものの
範囲が格段に広がる。これらのアクセシビリティ確保の取り組みの動向について、
情報があれば教えてほしい。

回答(河村氏) : 結論としてはいわゆる「発生源対策」が最終的な解決策。長
期的にはEPUBにより出版元でアクセシビリティを確保していく。すでに紙で出版
されたものについては、大学図書館などでの選書による計画的な電子化でアクセ
シビリティ確保していく。米国での"Book Share"などの先行事例にならい、日本
でも国家戦略として取り組むべき課題。さらに長期的にはマラケシュ条約による
著作権の権利制限などによって、国際的なアクセシブルな出版物の流通が促進さ
れることに期待したい。

回答(近藤氏) : 日本での高等教育機関でのアクセシビリティ促進の取り組み
としては、AHEAD Japan(全国高等教育障害学生支援協議会)が設立され、大学
の学生支援室関係者などが中心となりすすめている。学生支援室などでの書籍の
テキストデータ化の業務は大きなウェイトを占める。この協議会の事務局は近藤
が担当。来年6月に全国大会を予定しているので、関心のある方は是非ご参加を。

補足(西澤氏) : 文部科学省委託事業により開発をすすめてきた。地元の教育
委員会や学校関係者のご協力をいただき実証研究した成果物。今後も開発をすす
めていくので、ご注目いただきたい。

報告者 : 井上芳郎(埼玉県立狭山清陵高等学校)

【参考】(アクセス 2015年12月20日)
DAISY Consortium
 http://www.daisy.org/
日本DAISYコンソーシアム
 http://www.normanet.ne.jp/~jdc/
特定非営利活動法人 支援技術開発機構 (ATDO)
http://www.normanet.ne.jp/~atdo/
公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会 情報センター
(ENJOY DAISY)
http://www.dinf.ne.jp/doc/daisy/
文部科学省 「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/110/index.htm
DO-IT Japanプロジェクト (東京大学先端科学技術研究センター)
 http://doit-japan.org/2015/
一般社団法人 全国高等教育障害学生支援協議会 (AHEAD Japan)
 http://ahead-japan.org/
障害者のアクセス権と著作権の調和をはかるマラケシュ条約
(DAISY Consortium理事・河村宏)
 http://current.ndl.go.jp/e1455
障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)
 http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai.html
障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律
(教科書バリアフリー法) http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoukasho/kakudai/houritsu/08092210.htm
2009年著作権法改正によって図書館にできるようになったこと
(国立国会図書館・南亮一)
 http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/access/copyright/minami_jla1007.html
ボイス オブ デイジー (有限会社サイパック)
 http://www.cypac.co.jp/ja/
PLEXTALK (シナノケンシ株式会社)
http://www.plextalk.com/jp/
Lentrance (株式会社ACCESS)
 http://jp.access-company.com/products/dpub/lentrance/