参院予算委員会 デイジー教科書の普及促進に関する質疑 2016/03/042016-03-06

http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?ssp=24235&type=recorded

開始から約3時間37分50秒から

注意:参議院インターネット審議中継の音声を文字起こしし作成したものであり、
正式な会議録ではありません。タイトルも便宜的に作成者がつけたものです。

作成者:LDニュース編集人

○山本委員
 馳大臣お待たせをいたしました。デイジー教科書についてお伺いします。教科
書は子どもの学習にとって必要不可欠なものであります。言うまでもなく。しか
し学習障害とか発達障害など、読みに困難を抱えている子どもたちは、通常の紙
の教科書を読むことができないのです。教科書が読めないと授業についていけま
せん。そこから学習の遅れにつながって自信を失って自尊心や自尊感情が下がっ
てく。そのために不登校の状態に至ったという事例もございます。
 こうした子どもたちが今、自力で教科書を読むためのツールといたしまして、
デイジー教科書というものがございます。このデイジー教科書というものは、教
科書の内容をパソコン等を活用して、音声、文字を同時再生できるようにしたも
のでありまして、現在約3,000人の子どもたちが全国で利用しているわけであり
ます。そこで馳大臣にお伺いします。まず基本的なことをお伺いしますけれども、
デイジー教科書の有効性を文部科学省はどう評価されておられますか。

○馳文科大臣
 デイジー教科書の特徴を申し上げます。音声を聞きながら同時に絵、写真を見
ることができる。読んでいる箇所がハイライトされるので、どこを読んでいるか
わかるようになっている。読みたいページへ移動することができる。文字の大き
さや音声のスピードを変更することができる。行間、文字間隔を変更できる。背
景の色やテキストの色を変えることができる。とこうなっておりましてですね、
子どもたちにとりまして、学習内容の理解が深まり学習意欲の向上につながる。
また、自尊感情の向上が図られ、友達関係を構築する上でも効果がある。という
観点で非常に高く評価をしております。

○山本委員
 デイジー教科書を高く評価をしていただいているわけですが、それを推進して
いく上でどういう課題があると考えておられますか。

○馳文科大臣
 デイジー教材等の音声教材については、「障害のある児童及び生徒のための教
科用特定図書等の普及の促進等に関する法律」に基づき、教科用特定図書等とし
て年々活用が進んでおりますが。

一、まだ、教育委員会や学校における理解が十分とはいえず、その普及促進が必
要であること。
二、現在、音声教材は、民間団体等においてボランティアの方々の協力を得るな
どして製作されておりますが、ニーズの高まりとともに製作する教科書の種類が
増える中で、民間団体等の負担が増加していること。

 こういう課題があると考えております。

○山本委員
 今、馳大臣に課題を挙げていただきましたけれども、私はですね、何といって
も一番大きい課題は、このデイジー教科書作製には支援体制として国の制度が整
っていないと、これが一番私は大きい課題だと思ってます。国の制度が整ってな
いから、先ほどおっしゃっていただいたように、作製がボランティア頼みになっ
ているわけです。ボランティアの皆さんは今デイジー教科書を必要とする子ども
たちに、寝る間も惜しんで必死にですね、製作に取り組んでいただいております。
それでも今お話があったように、子どもたちの要望に十分こたえ切れてないので
す。要望のある教科書の半分程度しか対応できていないと、伺いました。
 今おっしゃっていただいた「教科書バリアフリー法」ですね。この「教科書バ
リアフリー法」では、教科書発行者すなわち教科書会社がボランティア団体等、
製作団体に対して教科書データを提供することが、義務づけられておりますけれ
ども、ここはデータ提供にとどまらずに教科書会社が、デイジー教科書を作製を
して提供していくという仕組みもつくるべきだと思うのです。ボランティアだけ
でやっていくのも限界なのです。デイジー教科書を必要とするすべての子どもた
ちに、着実にこのデイジー教科書を届ける国の仕組みを、ぜひとも馳大臣におつ
くりいただきたいんですが、いかがでしょうか。

○馳文科大臣
 今後のことであります。音声教材を必要とする児童生徒の利用がさらに進むよ
うに。

一、民間団体のみならず、教科書発行者においても、教材の開発が行われるよう
な環境づくり。
二、音声教材を製作する民間団体等の、経済的な負担軽減を図るための支援の充
実。
三、教育委員会や学校に、デイジー教材等の音声教材の有効性や活用方法等の周
知徹底。

 こういった観点で、積極的に検討してまいりたいと思います。

○山本委員
 今の一と言われた、教科書会社がデイジー教科書を提供しやすい環境づくりを
するというのは、これ極めて重要なことですが、これは調査研究じゃなくてしっ
かり文部科学省が音頭をとって進めていただけますね。

○馳文科大臣
 進めるようにいたします。

○山本委員
 ようやくここまできました。あともう一つ実は大きい課題がございまして、そ
れはデイジー教科書を必要とする子どもの把握です。学習障害の疑いのある子ど
もは文科省の推計によりますと全体の4.5%、つまりクラスに一人いるという計
算になりますけども、しかし学習障害者等の発達障害は、一見すると障害とわか
らないことが多くて、単に勉強ができない、そうみなされてしまうケースが多い
のです。それに、いまだにですねデイジー教科書を知らない行政や教育関係者の
方も、少なくありません。そのため必要としててもデイジー教科書を使うことが
できない子どもが、たくさんいるのです。デイジー教科書を必要とする子どもを
把握する仕組み、ちゃんとニーズを把握する仕組みを、同時に整えていただきた
いと思いますがいかがでしょうか。

○馳文科大臣
 文部科学省としては来年度以降、教育委員会を通じて、デイジー教材等の音声
教材を必要とする児童生徒数を把握する仕組みを、前向きで検討してまいります。

○山本委員
 ありがとうざいます。目の悪い人、私も目が悪いですけど、コンタクトやメガ
ネを使ったらよく見えるようになるように、こういう子どもたちはデイジー教科
書があれば読めるようになるのです。能力が発揮できるようになるのです。これ
一億総活躍になると思います。ぜひ春にプランを作りますが、その中にも文科省
としても盛り込むよう働きかけていただきたい、ということをお願い申し上げま
して、質問を終わります。ありがとうございました。

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