社会保障審議会障害者部会(第73回)議事録(抜粋) 2015/10/202016-03-20

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000105304.html

○日時 平成27年10月20日(火) 16:00~

○場所 TKPガーデンシティ竹橋ホール10E
(東京都千代田区一ツ橋1-2-2住友商事竹橋ビル10F)

○出席者 駒村康平部会長、朝貝芳美委員、阿由葉寛委員、石野富志三郎委員、
石原康則委員、伊藤建雄委員、大濱眞委員、伊豫雅臣委員、大濱眞委員、小澤温
委員、河崎建人委員、北岡賢剛委員、久保厚子委員、佐藤進委員、竹下義樹委員、
橘文也委員、藤堂栄子委員、永松悟委員、中村耕三委員、野澤和弘委員、樋口輝
彦委員、日野博愛委員、広田和子委員、本條義和委員、岩上洋一参考人、森祐司
参考人、今村早人参考人

○藤堂委員 JDDネットの藤堂です。発達障害のことがきちんと文言になって入
っていることに関しては、有り難いと思っております。是非、その方向で全面的
に動いていただきたいと思っています。
 この論点の整理の案の中から、必要とされる人材の把握とその養成の在り方で
すが、これはすごく大事な話なのだと思うのですね。今おっしゃった専門性のほ
うを採るのか、点字がうまい人を採るのかという話もありますが、それとは別に、
研修を幾つか見て来ていますが、特に発達障害に関しての研修を見ていると、理
論に偏っていて実践が余り入ってこないことがあるのです。実際に入っている支
援員の方たちのお話を聞くと、1日の研修で、学校とかいろいろな所に入るので
すが、今、人手不足ということもあって、何をしていいか分からないと。そこに
訳の分からない先生方が、支援員に対して、こうしてください、と言って動くと
か、そういうことがあるので、研修の中身はできるだけ実践的に、すぐ使える技
術をたくさん教えてほしいと思います。そこら辺のところを丁寧にやってほしい
ということです。
 次に、最後の○の支援に関する他施策との連携をどう考えるかの所です。ここ
で教育が入ってしまっていると、もう児童はカバーされているという理解のよう
に思えるのですが、そうではないのですね。児童も学校以外の生活を持っている
ことを忘れないでほしいなと思います。学校で支援をしているからいいだろうで
はないのですね。放課後等デイだとか、普通の学童にも、こういう子たちは行っ
ています。早いうちにきちんと支援を受けていれば、大人になって十分に自立し
て社会の中で生きていける子たちであるということを考えると、この中に何が抜
けているかと言ったら「児童の観点」ということがすっぽり抜けているのかなと
考えております。
 次に、現状課題に関しては、この4の所に発達障害ということが入ったことは
有り難いと思っております。やはり5の情報提供等が課題となっているとおりだ
と思っていまして、情報提供の仕方は本当に必要な人に行き渡っていません。発
達障害の方たちは、自分もそうかと分からない部分もありますし、現実のところ
を見ていると、支援を受けられている人は、よほど障害が重いか、でなければ、
お母さん、お父さんがものすごく勉強して、自分からその情報を取りに行ってい
る方たち、そして、例えばiPadを買って、こういうように使ったら、これだけう
まくなるのですよということを突き付けることのできる親の所に生まれた子供た
ちは、そこでやっと支援に乗っかっていけるけれども、学校の先生たちは、まだ
気が付かない状態のところで、お母さん、お父さんも働いていて、目が行き届か
ないこともあるでしょうし、外国人のときもあるかもしれないし、貧困でiPadを
買うなんてとんでもない、といった家庭だってあるわけです。パソコンだって無
い家庭もまだあるはずなのです。そういうときにその情報をどうやって行き渡ら
せるかということは、きちんと考えていただきたいです。そういう方たちのほう
が支援を必要としていると感じています。
 最後に、この検討の方向性の○の所で、ICT活用等の所です。ICTは本当に日進
月歩で、いろいろな新しいものが入ってきています。例えば、私もこれ1つあれ
ば十二分に暮らしていけるぐらいになってきています。10年前だったらとても不
便だったのですが、今はこれが有るがゆえに、生きていけるという状態になって
きています。私は、これを使いこなせるという有り難い立場におります。最先端
にいて東大の方のお話を聞いたりできる立場にいるから、これを使いこなせる。
でも、本当に必要としている人たちは、それが有ることを知らないまま過ごして
いることがあると。それから、学校の先生にICTを使えばいいのですねと、合理
的な配慮でやりましょうと言っていますが、実際は、先生方はおののいています。
4月からどうしたらいいのですかと。このようにiPadを使ったらいいのですよ、
このアプリケーションをダウンロードしたら、と言ったら、ダウンロードできな
いのですね。学校はインターネットにつないではいけないのです。では、学校の
先生が自分でダウンロードしたものを持って行っていいかといったら、それも駄
目なのです。保護者が持っているタブレットにアプリケーションをダウンロード
して、このように使うのですと言って学校に持って行って、こういう合理的配慮
をお願いしますと言って、初めて行われているのが現状です。そういうことを避
けるためには、ICTで教育をする、仕事をする、日常生活をすると、どのICTを使
ってどう使ったらば、その人のその困難さは軽減できるのかというところまで処
方箋の書ける専門性を持った人たちの人材育成が急務だと私は思います。で、3
年間待ってられないと思っています。
 最後の○の所です。視覚・聴覚情報提供施設ですが、既存のものを使いましょ
うという考え方かと思いますが、既存のものを使うのだったら普通の図書館にし
てください。点字図書館にディスレクシアの人は行きません。点字図書館を使え
るのは障害者手帳を持っている方です。障害者としてきちんと認められている人
しか使えないのですね。例えば、私はどんなに頑張って嘘をついても、多分、手
帳はもらえないです。ということを考えると、普通の図書館に、そういうコーナ
ーを設けることを普通の法律の中に組み込んでいただきたいのです。アメリカと
かイギリスは当たり前のことなのです。それが日本ではまだまだ、点字図書館だ、
聴覚図書館だとかの所に行かないと手に入らないことは、これこそバリアだと思
います。共生社会からほど遠い状態だと思います。是非、考えていただければと
思います。

--------------

※編集人注

資料1 現状・課題と検討の方向性
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000101662.pdf

資料2 障害者部会における委員意見
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000101663.pdf

「点字図書館にディスレクシアの人は行きません。点字図書館を使えるのは障害
者手帳を持っている方です。障害者としてきちんと認められている人しか使えな
いのですね。」

→藤堂委員の誤解に基づく発言。点字図書館の資料の利用については「障害者手
帳」の有無は要件となっていない。また公共図書館等でも不十分ながら「障害者
サービス」が提供されているが、そこでの利用の要件についても同様である。例
えば下記などを参照のこと。

日本点字図書館
http://www.nittento.or.jp/service/rental/index.html
「視覚に障害をお持ちのかた、活字を読むことが困難なかたであればどなたでも
ご利用いただけます。」

東京都立図書館視覚障害者等サービス要綱
http://www.library.metro.tokyo.jp/Portals/0/12/pdf/shisho01.pdf
(サービス対象)
第2条 この要綱により、東京都立図書館視覚障害者等サービスを利用することの
できる者は、著作権法37条第3項の規定に定める視覚障害者等のうち、東京都内
に居住、又は通勤若しくは通学する個人で、第3条の規定に掲げる手続きを終了
した者とする。

「著作権法37条第3項の規定に定める視覚障害者等」とは、「視覚障害者その他
視覚による表現の認識に障害のある者」とされている。国会答弁などでの政府の
公式見解として、ディスレクシアもこれに該当し、医師の診断書や障害者手帳な
どによる確認は必ずしも求めないものとされている。

なお藤堂委員によれば、「点字図書館にディスレクシアの人は行きません。点字
図書館を使えるのは障害者手帳を持っている方です。障害者としてきちんと認め
られている人しか使えないのですね。」の発言について、社会保障審議会障害者
部会に対して会議録の訂正を依頼中とのこと。

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