社会保障審議会障害者部会(第75回)議事録(抜粋) 2015/11/092016-03-20

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000106402.html

○日時 平成27年11月9日(月) 15:00~

○場所 厚生労働省専用第15、16会議室(中央合同庁舎第5号館)
(東京都千代田区霞ヶ関1-2-2)

○出席者 駒村康平部会長、朝貝芳美委員、阿由葉寛委員、石野富志三郎委員、
石原康則委員、伊藤建雄委員、大濱眞委員、菊池馨実委員、北岡賢剛委員、久保
厚子委員、佐藤進委員、永松悟委員、中村耕三委員、広田和子委員、本條義和委
員、平川淳一参考人、吉田展章参考人、森祐司参考人、藤井貢参考人、田口道治
参考人、橋口亜希子参考人、白江浩参考人、竹中郁子参考人

○広田委員 藤堂さんの代理の方、発言なさらないのですか。私は、彼女の発言
を待って発言しようとしたのだけれど、発言されますか。してください。

○橋口参考人 参考人ということで、遠慮して手を挙げませんでした。広田さん、
ありがとうございます。日本発達障害ネットワークの橋口です。私も、放課後等
デイサービスのところでお話をさせていただきたいと思います。15ページを見て
いただくと分かると思うのですが、放課後等デイサービスの数が劇的に増えてお
ります。東京都のある区では、4月から5月の間に倍増したという結果も出ている
ほど、とても増えているのですね。そういった中で、何が問題かというと、ここ
の営利法人を見ていただくと、ものすごい伸びで増えているのが分かると思いま
す。過去624件に対し、2,478件と増えております。
 私たち発達障害の団体jdnetには、放課後等デイサービスをやるともうかると
うたって、あっせんしている、ホームページでも、ちょっと忘れてしまいました
が、会計士か税理士の立場の方が、放課後等デイサービスはもうかるとうたって、
営利法人に対してあっせんしているという実例もあります。ただ、現状は、では、
そこで質的なものが担保されているかというとそうではなく、私たちの所に入っ
てくるのは、ただ預かるだけ、部屋に押し込めてビデオをただ流しているだけで
あったり、週に何日か通えると聞いて行ったのだけれども、実際は月に1回しか
通えないとか。それから、重度の人を預かると言いつつも、実際に行ってみると、
2階にあってエレベーターがない状況だったりというような形で、多々問題が出
てきております。ですので、この課題の所で、私が一番言いたいのは、先ほどか
らも意見が出ておりましたが、質の向上と支援内容の適正化を図るというところ
を、どうか国を挙げて徹底していただきたいと考えております。

○広田委員 前回、藤堂さんと私が当事者で、久保さんというすてきな御婦人が
母親で激突しました。そういうことが、とても大事だと思います。陰で言ってい
るのではなくて、公明正大にね。ですから、藤堂さんがいつものように今日も元
気に発言されるのを、私は楽しみにしていました。お伝えください。
 今日の話を聞いていて、後半戦、またマスコミのことはあとで言いますが、要
するにお金はない、そして国家の財政が当然少子化で高齢社会だから減ってくる。
私は読書が子供の頃から趣味で、いろいろな所に出かけたとき図書館にも寄って
います。ある図書館で、イギリスの子育ての本を読んだら、「子供を育てたお母
さんたちが、よその子供を預かる」と、政府がお金を出すんですって。そのお金
を出すことはちょっとこっちへ置いておいて、そういう形で久保さんのようなす
てきなお母様たちが。私は他障害は分かりませんが、精神の場合は職員の多くは
素人さん、私より患者らしい職員がたくさんいますが、そういう人にお任せする
ほどこの国の財政は豊かではない、お母さんが自分の子供の所に行くと、邪魔だ
から、このお父さんも。だから、我が子以外の所に、親としての経験、専門家よ
りもはるかに分かることがたくさんあります。かつて精神障害者の作業所に行っ
ていたとき、職員が各作業所で2人、横浜市もお金がない時代で。そのときに、
お母さんたちも来てました。「障害者だけにしない」という、理由の時もあり保
育園みたいで、そこはおかしかったけど。来ていることで和んだ、全てが専門家
という、精神で言えば素人集団と思うような経験ない人たちにお金払うのではな
く、やれることを私たちはやらないと、ジャブジャブお金がある国ならいいけど、
ドバイみたいに石油が湧いてくれば。ないわけですよ、尖閣諸島であれだけ騒い
でいる。日本のマスコミは「石原都知事からはじまり…国有化が」みたいな論調
見かけますが、石油が出てきたら中国がでてきて騒ぎになっていると私は感じて
います。5日に長瀬修さんが朝日新聞に投稿していますから、是非読んでいただ
きたいと思います、全ては、公民権からスタートしているという書き方です。私
は前回と前々回で、社会的障害者のボランティア講座を打ってほしいと発言しま
した。精神障害者の仲間が「C型肝炎も患い、」そして「薬害ではなくて、同性
愛のエイズになった」と打ち明けられて、本人が「名乗りたい」というから「名
乗ると、薬害と違ってリスクを負うと思うけど、あなたの自己決定を応援するわ
よ」と言ったら、患者会会長で作業所代表も担っていた仲間が「○○は作業所の
職員だ」と大反対、「一緒の釜の飯を食ってる、作業所のメンバーたちがみんな
来なくなっちゃう」ということを言ったぐらい、自分たちのことは詳しくても、
他の病気とか障害は知りません。維新の会の川田龍平君にも「あなたは薬害だけ
ど、同性愛者のエイズの人は…」と厳しい実態を伝えました。前提として私たち
は社会的障害者の勉強をしながら、患者であれ、家族であれ、そういうノウハウ
を持った人が、お金がない人は有給で、そしてお金のある人は、キューバの医療
の考え方で。あそこは資源がないから、医者を外に出して、お金がない国にはボ
ランティア、お金がある国からは、外貨を稼ぐ。今は、アメリカとの国交が樹立
したから非常に行きやすいと思いますけど、そのようなことを導入しない限り、
既にこの国の経済、国家財政は1,000兆ぐらいですよね。ものすごい赤字ですか
ら、私はそのような視点を入れたらと思う。お母さんやお父さんが若返ったり、
介護予防、認知症予防、鬱予防、電話等による被害、加害の防犯にもなる。社会
貢献できる。藤井さんもノウハウを生かしてどこかでただで使ってもらうとか、
逆にお金を払うとか、あなたたちここに並んでいる人は。尊いことです、私たち
の施策が時代を読めていなかったからこんなになって、お金を払わせていただき
ます、ひと月1万円とか。そういうことで、大濱さんがボランティアというのは
というお話をされたけれど、私はボランティアというのは何も、人間的に劣って
いたり、経験が劣っていたりということではない、すばらしい久保さんのような
人がいらっしゃる、導入してみたらということです。

○津曲障害児・発達障害者支援室長 障害児・発達障害者支援室長です。御質問
に関して、1点目は医療的ケア児の見通しですが、資料の11ページに文部科学省
での調査として、「特別支援学校及び小中学校における医療的ケアが必要な幼児
児童生徒数」の推移をお示ししております。ここにありますとおり、平成18年度
から右肩上がりの増加となっております。ですので、医療技術の発達に伴って、
今後も増えてくるであろうということは予想しているところですが、具体的な数
字については研究等は行われていない状況です。
 また、医療、福祉、教育等の必要な支援を円滑に受けることができるように、
関係機関の連携の在り方を検討することに関して申し上げれば、このような医療
的ケアを必要とするお子さんに関しては、医療が日常的に必要である。そして、
福祉的なサービスも要する。学校に行くようになれば教育というものも必要とな
ってくるわけですが、そのような中で、御家族がどこにどのように相談したらい
いのかが分からないという御意見が非常に多くあり、関係行政機関の窓口やいろ
いろな所に相談をしなければいけないということで、家族の負担が非常に大きく
なっているというようなことも聞いております。このため、現在実施しているモ
デル事業が1つあり、重症心身障害児者支援体制整備モデル事業というものがあ
るのですが、そこでは都道府県や市町村が中心となり、地域のニーズや資源とい
うものを把握し、関係機関への連携の場の設置などを想定しながら事業が行われ
ております。その成果なども踏まえて検討していきたいと考えております。

○橋口参考人 日本発達障害ネットワークの橋口です。先ほど竹中参考人のほう
から御意見があった点で、私も感じていることですけれども、国が行った調査で、
国民に対して、発達障害のことを知っているかと聞いたとき、7割の人が知って
いると答えたそうです。ただし、それは言葉として知っているだけであって、発
達障害というものが、どういうことで困難さがあり、どういうことにつまずきや
すさを持っているかに関しては知らないとのことでした。なので、そういった意
味では、私たちの団体としても自責を込めて、もっと理解、促進というか、そう
いった活動をしていかなければいけないと思います。そういう中で、先ほど竹中
さんもおっしゃっていたように、ニーズは高まっているが、対応の仕方が分から
ない所に関しては、研修とかそういったところに、どんどん声を掛けていただけ
れば私たちも伺いたいと思います。
 それから、実際に発達障害の人がどれだけいるのかに関しては、何年に行った
調査かというのも忘れてしまったのですが、文科省が行った調査では、小学校、
中学校に在籍する生徒の中で6.5%という数字が出ています。ただ、私も活動し
てきて、ずっと思っているのは、それだけではないなと、10~15%ぐらいいるの
ではと思っています。その根拠はと言われると、そこはないので、ここは国とし
て発達障害の人たちがどれくらいいるのかを是非調査していただきたいと思いま
す。
 それから、虐待児のお話も出ましたが、実は虐待児の中に発達障害を持ってい
る子が多くいるというお話もあります。また、虐待をしている親自身も発達障害
を持っている場合もありますので、そういった視点を含めながら、こういったと
ころは考えていかなければいけないかと思います。
 これは私の個人的な意見になるかもしれませんが、もう1つだけ言わせてくだ
さい。放課後児童クラブ、学童保育をもっと活発にとありますが、私自身も当事
者の親でして、低学年のときに放課後児童クラブから言われたのは、お母さんが
仕事を辞めてこの子を見るべきだと。結局、そこで言われたのが、ほかの子に迷
惑になってしまうからというのですね。発達障害の子はアンバランスさがとても
問題なところがあるので、できるところもあればできないところもある、やはり
そういったことでほかの子に迷惑をかける。ただ、今、女性活躍何とかと言って
いる中で、母親自身もキャリアを築いていきたいということもあるので、放課後
児童クラブとか、そういった学童を充実させるなら、そちらのほうの質も高めて
いただきたいと感じます。以上でございます。

-----------

※編集人注

配付資料1 現状・課題と検討の方向性
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000103581.pdf

社会保障審議会障害者部会(第74回)議事録(抜粋) 2015/11/022016-03-20

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000102903.html

○日時 平成27年11月2日(月) 14:00~

○場所 TKPガーデンシティ御茶ノ水カンファレンスルーム3C
(東京都千代田区神田駿河台3丁目11-1)

○出席者 駒村康平部会長、朝貝芳美委員、阿由葉寛委員、石野富志三郎委員、
石原康則委員、伊豫雅臣委員、大濱眞委員、小澤温委員、河崎建人委員、菊池馨
実委員、北岡賢剛委員、久保厚子委員、佐藤進委員、竹下義樹委員、藤堂栄子委
員、永松悟委員、中村耕三委員、野澤和弘委員、日野博愛委員、広田和子委員、
本條義和委員、斉藤幸枝参考人、吉田展章参考人、森祐司参考人、田口道治参考
人、松尾一夫参考人

○藤堂委員 藤堂です。先ほど来、保護者の話が出ていて、私もいたく賛成する
部分があります。保護者がいるが故に自立しきれない障害者が随分いるなと。特
に発達障害、精神障害にはいるのではないかと思っています。もう一つ、ここの
支給に関しての法律を見たところ、「障害者等又は障害児の保護者の障害福祉サ
ービスの利用に関する意向を確かめろ」という文言が、多分そこがネックなのか
なと今思いました。全てにこの文言が入っているのですね。障害児本人の子供だ
からといって、意向がないわけではなくて、私がやっているセミナーなどに中学
生が来ます。親子で来てもらいます。うちも親子で話します。そうすると、親の
意向と子の意向は違うことがよく分かります。それが、親がよかれと思ってやっ
ていることが、子供を苦しめていることがいっぱいあるので、ここの文言を変え
ない限り、変わらない。幾らこれの外にある制度のところを変えていったとして
も、変わらないのではないかということに、今気がつきました。本人の意向、子
供であっても、意向があるはずなので、きちんとそれが聞こえる。そして、もう
一つそれは、このコミュニケーション支援とか、意思決定支援に全部つながって
くると思いますけれども、大人だけではなく、子供も含めない限り、そこのとこ
ろは解決していかないだろうなと思います。一貫した支援を考えると、子供のと
きから一貫して考える。そして、子供の意向もきちんと反映する。本人の意向を
反映するという形にしていってほしいと思いました。

○久保委員 育成会の久保です。計画相談については方向性としては妥当だと思
っています。相談支援専門員の資質の向上に向けた研修制度とか、その辺の見直
しをして、指導的に役割を担う人材が必要だと思いますが、それを主任相談支援
専門員に集約するということでは、ちょっとそれでよいのかなと思います。主任
相談支援員に集約するというのであれば、それはどういうスキルが求められるの
かとか、その辺のところを慎重に検討する必要があるかと思っています。
 先ほどから、計画相談の中で、親がいるからうまく本人の意思に沿った支給決
定と言いますか、暮らしぶりが決定していけない、計画していけないという御意
見もあったように思いますが、そのような親ばかりでもないということを御理解
いただきたいと思っていますし、今、育成会としても、本人の意思決定にどう寄
り添うかということを一生懸命各地で研修もしています。特に障害者というより
も障害児の場合、障害者もそうですが、自分のことを自分の言葉でうまく言えな
い人が知的障害のところにはたくさんいますので、その人たちの代弁者の1人に
なりたいと親も思っています。自分が一番よく知っているという親もたくさんい
言が少し誤解されているかなと思ったので、補足と説明をいたします。保護者を
抜かせとは一言も言っていなくて、障害児自身の意向をきちんと聞いてください
ということなのです。というのは、例えば、放課後等デイサービスに関して言え
ば、保護者は、5日間受けられるのでしたら5日間全部受けられるようにしてほし
いと。ショッピングするわけです、あれだけいっぱいできているので。そうする
と、すごく財政にも負担を与えるし、何よりも本人にものすごい負担を与えてい
るのです。本人はとても疲れ果てて学校に行けなくなってしまったりとか、悪い
行動が起きてしまったり、心身の不調を訴えたりということが起きているのが現
実なのです。ですから、保護者にだけ聞いたのではいけないですよということを
申し上げているだけであって、保護者を抜けとは一言も言っていません。私も保
護者ですので。あと、高齢者に関しては、発達障害の人が高齢になって、90幾つ
の、もっと高齢な発達障害の親を面倒見ている方も随分いるのです。そういうと
ころもちょっと目を当てていただければ非常に有り難いかなと思います。以上で
す。

社会保障審議会障害者部会(第73回)議事録(抜粋) 2015/10/202016-03-20

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000105304.html

○日時 平成27年10月20日(火) 16:00~

○場所 TKPガーデンシティ竹橋ホール10E
(東京都千代田区一ツ橋1-2-2住友商事竹橋ビル10F)

○出席者 駒村康平部会長、朝貝芳美委員、阿由葉寛委員、石野富志三郎委員、
石原康則委員、伊藤建雄委員、大濱眞委員、伊豫雅臣委員、大濱眞委員、小澤温
委員、河崎建人委員、北岡賢剛委員、久保厚子委員、佐藤進委員、竹下義樹委員、
橘文也委員、藤堂栄子委員、永松悟委員、中村耕三委員、野澤和弘委員、樋口輝
彦委員、日野博愛委員、広田和子委員、本條義和委員、岩上洋一参考人、森祐司
参考人、今村早人参考人

○藤堂委員 JDDネットの藤堂です。発達障害のことがきちんと文言になって入
っていることに関しては、有り難いと思っております。是非、その方向で全面的
に動いていただきたいと思っています。
 この論点の整理の案の中から、必要とされる人材の把握とその養成の在り方で
すが、これはすごく大事な話なのだと思うのですね。今おっしゃった専門性のほ
うを採るのか、点字がうまい人を採るのかという話もありますが、それとは別に、
研修を幾つか見て来ていますが、特に発達障害に関しての研修を見ていると、理
論に偏っていて実践が余り入ってこないことがあるのです。実際に入っている支
援員の方たちのお話を聞くと、1日の研修で、学校とかいろいろな所に入るので
すが、今、人手不足ということもあって、何をしていいか分からないと。そこに
訳の分からない先生方が、支援員に対して、こうしてください、と言って動くと
か、そういうことがあるので、研修の中身はできるだけ実践的に、すぐ使える技
術をたくさん教えてほしいと思います。そこら辺のところを丁寧にやってほしい
ということです。
 次に、最後の○の支援に関する他施策との連携をどう考えるかの所です。ここ
で教育が入ってしまっていると、もう児童はカバーされているという理解のよう
に思えるのですが、そうではないのですね。児童も学校以外の生活を持っている
ことを忘れないでほしいなと思います。学校で支援をしているからいいだろうで
はないのですね。放課後等デイだとか、普通の学童にも、こういう子たちは行っ
ています。早いうちにきちんと支援を受けていれば、大人になって十分に自立し
て社会の中で生きていける子たちであるということを考えると、この中に何が抜
けているかと言ったら「児童の観点」ということがすっぽり抜けているのかなと
考えております。
 次に、現状課題に関しては、この4の所に発達障害ということが入ったことは
有り難いと思っております。やはり5の情報提供等が課題となっているとおりだ
と思っていまして、情報提供の仕方は本当に必要な人に行き渡っていません。発
達障害の方たちは、自分もそうかと分からない部分もありますし、現実のところ
を見ていると、支援を受けられている人は、よほど障害が重いか、でなければ、
お母さん、お父さんがものすごく勉強して、自分からその情報を取りに行ってい
る方たち、そして、例えばiPadを買って、こういうように使ったら、これだけう
まくなるのですよということを突き付けることのできる親の所に生まれた子供た
ちは、そこでやっと支援に乗っかっていけるけれども、学校の先生たちは、まだ
気が付かない状態のところで、お母さん、お父さんも働いていて、目が行き届か
ないこともあるでしょうし、外国人のときもあるかもしれないし、貧困でiPadを
買うなんてとんでもない、といった家庭だってあるわけです。パソコンだって無
い家庭もまだあるはずなのです。そういうときにその情報をどうやって行き渡ら
せるかということは、きちんと考えていただきたいです。そういう方たちのほう
が支援を必要としていると感じています。
 最後に、この検討の方向性の○の所で、ICT活用等の所です。ICTは本当に日進
月歩で、いろいろな新しいものが入ってきています。例えば、私もこれ1つあれ
ば十二分に暮らしていけるぐらいになってきています。10年前だったらとても不
便だったのですが、今はこれが有るがゆえに、生きていけるという状態になって
きています。私は、これを使いこなせるという有り難い立場におります。最先端
にいて東大の方のお話を聞いたりできる立場にいるから、これを使いこなせる。
でも、本当に必要としている人たちは、それが有ることを知らないまま過ごして
いることがあると。それから、学校の先生にICTを使えばいいのですねと、合理
的な配慮でやりましょうと言っていますが、実際は、先生方はおののいています。
4月からどうしたらいいのですかと。このようにiPadを使ったらいいのですよ、
このアプリケーションをダウンロードしたら、と言ったら、ダウンロードできな
いのですね。学校はインターネットにつないではいけないのです。では、学校の
先生が自分でダウンロードしたものを持って行っていいかといったら、それも駄
目なのです。保護者が持っているタブレットにアプリケーションをダウンロード
して、このように使うのですと言って学校に持って行って、こういう合理的配慮
をお願いしますと言って、初めて行われているのが現状です。そういうことを避
けるためには、ICTで教育をする、仕事をする、日常生活をすると、どのICTを使
ってどう使ったらば、その人のその困難さは軽減できるのかというところまで処
方箋の書ける専門性を持った人たちの人材育成が急務だと私は思います。で、3
年間待ってられないと思っています。
 最後の○の所です。視覚・聴覚情報提供施設ですが、既存のものを使いましょ
うという考え方かと思いますが、既存のものを使うのだったら普通の図書館にし
てください。点字図書館にディスレクシアの人は行きません。点字図書館を使え
るのは障害者手帳を持っている方です。障害者としてきちんと認められている人
しか使えないのですね。例えば、私はどんなに頑張って嘘をついても、多分、手
帳はもらえないです。ということを考えると、普通の図書館に、そういうコーナ
ーを設けることを普通の法律の中に組み込んでいただきたいのです。アメリカと
かイギリスは当たり前のことなのです。それが日本ではまだまだ、点字図書館だ、
聴覚図書館だとかの所に行かないと手に入らないことは、これこそバリアだと思
います。共生社会からほど遠い状態だと思います。是非、考えていただければと
思います。

--------------

※編集人注

資料1 現状・課題と検討の方向性
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000101662.pdf

資料2 障害者部会における委員意見
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000101663.pdf

「点字図書館にディスレクシアの人は行きません。点字図書館を使えるのは障害
者手帳を持っている方です。障害者としてきちんと認められている人しか使えな
いのですね。」

→藤堂委員の誤解に基づく発言。点字図書館の資料の利用については「障害者手
帳」の有無は要件となっていない。また公共図書館等でも不十分ながら「障害者
サービス」が提供されているが、そこでの利用の要件についても同様である。例
えば下記などを参照のこと。

日本点字図書館
http://www.nittento.or.jp/service/rental/index.html
「視覚に障害をお持ちのかた、活字を読むことが困難なかたであればどなたでも
ご利用いただけます。」

東京都立図書館視覚障害者等サービス要綱
http://www.library.metro.tokyo.jp/Portals/0/12/pdf/shisho01.pdf
(サービス対象)
第2条 この要綱により、東京都立図書館視覚障害者等サービスを利用することの
できる者は、著作権法37条第3項の規定に定める視覚障害者等のうち、東京都内
に居住、又は通勤若しくは通学する個人で、第3条の規定に掲げる手続きを終了
した者とする。

「著作権法37条第3項の規定に定める視覚障害者等」とは、「視覚障害者その他
視覚による表現の認識に障害のある者」とされている。国会答弁などでの政府の
公式見解として、ディスレクシアもこれに該当し、医師の診断書や障害者手帳な
どによる確認は必ずしも求めないものとされている。

なお藤堂委員によれば、「点字図書館にディスレクシアの人は行きません。点字
図書館を使えるのは障害者手帳を持っている方です。障害者としてきちんと認め
られている人しか使えないのですね。」の発言について、社会保障審議会障害者
部会に対して会議録の訂正を依頼中とのこと。

社会保障審議会障害者部会(第72回)議事録(抜粋) 2015/10/152016-03-20

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000105296.html

○日時 平成27年10月15日(木) 9:30~

○場所 TKPガーデンシティ御茶ノ水カンファレンスルーム3C
(東京都千代田区神田駿河台3丁目11-1三井住友海上駿河台新館)

○出席者 駒村康平部会長、阿由葉寛委員、石野富志三郎委員、石原康則委員、
伊藤建雄委員、大濱眞委員、小澤温委員、河崎建人委員、菊池馨実委員、菊本圭
一委員、久保厚子委員、佐藤進委員、竹下義樹委員、藤堂栄子委員、中板育美委
員、中村耕三委員、野澤和弘委員、樋口輝彦委員、広田和子委員、本條義和委員、
森祐司参考人、末吉孝徳参考人、江藤修参考人、白江浩参考人、五郎川展弘参考


○藤堂委員 藤堂です。同じ文脈なのですけれども、移動で合理的配慮の対応や、
教育施策との連携等というのと、労働だけではなく国土交通省とか、移動に関わ
る所全部が関わってくる話なのだと思います。例えば、今朝はJRが止まっている、
地下鉄も止まっている状態のときに、通常のときの訓練はできたとしても、それ
ではどうするのと言ったときに、受入側のほうの訓練をきちんとやっておいてほ
しいと思うというのが1つです。
 もう1つは、委員の意見の所で、私が言ったのが違うように書かれています。
「通常学級に通う子供は保護者が連れていかねばならず」ではなく、通常学級に
いながら、通級というシステムが教育の中にあります。これは、御存じかどうか
分かりませんけれども。自分の学校の中での通級ができる子供はいいのですけれ
ども、そうでない子供たちは、港区にはすごく遠くに1校しかないのです。そう
すると、お母さんがお台場から麻布十番まで連れて行かなくてはいけない状態が
あります。お母さん以外に、発達障害で軽ければこんな福祉は使えないのです。
そういうときにどうするのか、ということなど全然考えられていないということ
です。
 それから、地域格差が余りにもありすぎるということです。大分県と満員電車
の話が出ましたけれども、本当に電車がないような所もあれば、交通の便の良い
所もあればという中で、それをどのように考えていくのかということが完璧に抜
けているということです。
 行政間の溝の中で一番大きいのは文部科学省なのかなと。特に厚生労働省と文
部科学省はいいとしても、地方に落ちていったときに、教育委員会というのは全
然違う性格を持った行政単位なのです。そこを、本当にきちんと連携できるのと
いうところが、実感としてできそうにないなと。4月の合理的な配慮が、公的機
関では当たり前のことになるよと。やらなくてはいけませんよと。不提供も差別
ですよとうたっている中で、それが本当にできるのですかというところをきちん
と考えて、これは3年後の見直しを待っていられないことだろうと思って申し上
げます。その辺はどのように考えているかを伺います。

○駒村部会長 今の点は確認ですか。

○藤堂委員 はい。

○駒村部会長 今の御質問について何かありますか。

○田中障害福祉課長 すみません、合理的配慮との関係ですか、聞き漏らしてし
まって申し訳ありません。

○藤堂委員 この見直しだけではなくて、行政間の溝というのがありますねと。
それから、福祉に関わらない人たち、引っかからない程度の障害がある人たち、
発達障害の人たちは合理的な配慮で対応していくわけですよね。それのすり合わ
せというのはどの程度いっているのですかという話です。

○田中障害福祉課長 この3年後の見直しどうこうとは別に、私どもは文部科学
省と常に連携を取り合って、どういう支援があるべきかということの検討はさせ
ていただいているつもりです。御指摘なども踏まえながら、引き続き連携を強化
していくことを進めたいと思います。

○駒村部会長 教育委員会とか、そういう所まで行くと、そういう話が届いてい
ないと。

○藤堂委員 そうです。それに足して地域間格差がものすごくあるよということ
に関して、国のレベルではいいかもしれないけれども、落としていったときの連
携のところまで、どうやって担保するのですかという話です。

○田中障害福祉課長 そちらのほうは、むしろ文部科学省で教育委員会の、いろ
いろ合理的配慮を含めて徹底していただかなければいけない部分はあると思いま
す。そのようなところも、今後は文部科学省と連携していく中で、しっかりして
いただきたいということも含めて伝えていきたいと思います。

○駒村部会長 縦割りの中ですからなかなか。しかし、1億総活躍という話も出
ているわけですから、是非ともそういう話も横断的な議論は届くようにしてもら
いたいと思います。今のような、現場での感覚があるということ。交通機関のほ
うでも、そういう対応をきちんとしてもらわないと困るというお話がありました
ので、その辺については取りまとめの中でも実効性のある形で、中央の政策が生
活の場に届くようにお願いしたいという意見だったと思います。そういう形でま
とめさせていただいて、末吉参考人から手が挙がっていたと思いますのでお願い
いたします。

○藤堂委員 簡単にですが、多分ものすごく増えているのが精神の部分で、その
中で大部分を発達障害が占めているという中で、移行支援がゼロという所はすご
く多いというのは、やはりノウハウがない。それから、分かっていない、ふさわ
しくない、不適切な指導なりがされていると考えられ、是非、そこのところの人
材育成とか、ノウハウの蓄積を全国的に広げていただきたいと思います。

社会保障審議会障害者部会(第70回)議事録(抜粋) 2015/09/092016-03-20

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000102410.html

○日時 平成27年9月9日(水) 14:00~

○場所 TKPガーデンシティ竹橋ホール10E
(東京都千代田区一ツ橋1-2-2住友商事竹橋ビル10F)

○出席者 駒村康平部会長、朝貝芳美委員、阿由葉寛委員、石野富志三郎委員、
石原康則委員、伊藤建雄委員、伊豫雅臣委員、大濱眞委員、小澤温委員、河崎建
人委員、菊池馨実委員、菊本圭一委員、北岡賢剛委員、久保厚子委員、佐藤進委
員、竹下義樹委員、橘文也委員、藤堂栄子委員、中板育美委員、中村耕三委員、
日野博愛委員、広田和子委員、本條義和委員、今村早人参考人

○藤堂委員 発達障害ネットワークの藤堂です。多分、発達障害の子供たちが一
番恩恵を受けている部分だと思っております。この児童デイの質に関して、私た
ちはとても心配をしておりまして、おっしゃったように老人のほうよりもずっと
儲かるというように、それはもしかしたら違うかもしれない、でもそう言われて
いて、司法書士などもそういうのでセミナーを行っていたりして、どのようにそ
れを転換するか、みたいなことを教えていたりするのですね。そうすると同じ認
知の問題だからと言ってうまくいくだろうと参入したところが、子供たちのほう
がずっと大変であると、動き回るとかいうことで、本当にさしたるノウハウとか
その障害に関してのきちんとした内容を分からないまま、これはこういう資格の
人がサビ管になりますよとかあるのですが、管理者として、発達障害の施設を対
象としての能力があるかどうかというところは全然考えられないままそういう人
がなってしまっていたりすることが多く見られるのです。とても多く見られてい
るというのが1つ大きな問題があると思います。
 それで中に入っている子どもたちの親から見ると「ああ、やっとどこか子ども
たちの居場所ができた」ということで飛びつくわけです。今度事業者としては、
うちはこういうプログラムがあります、あっちはこういうプログラムがあります
というので、1人の子供をみんなで取り合うような現状が実際の現場で起きてい
るのです。それも1つの問題だと思います。
 それからフランチャイズの問題も本当に大きな問題だと思っていまして、はい、
やりますと、うどんとかではないので、人間を扱うものなので、フランチャイズ
をやるのはいいかもしれないけれども、事務の効率化という意味では意味がある
かと思いますけれども、内容はきちんと一つ一つやってほしいなと考えています。
 それから先ほどお話がありましたけれども、本来、それぞれの地域にある児童
館とかでの放課後を見る所で、発達障害、軽度と言われている知的でそれほど問
題ない、でも学校の中では大変さを抱えているような、子どもたちに対応できる
人をちゃんと1人は絶対に置くというようにしたら、この放課後等デイに通わな
くてもやっていける人たちがいっぱいいるはずです。この数字を見てとてもびっ
くりしておりまして、ここだけこんなに増えているのだということと、それに対
して、全員にと考えたら9万では足りないはずなのです。でも、全員にといった
ら絶対に経済破綻が起きるということを考えたら、この教育とかと連携すること
を書いてありますので、それから地域と連携することも書いてありますので、福
祉までにいかなくても、対応できるようなシステムをきちんと考えておくことが
必要なのではないかと思います。

○津曲障害児・発達障害者支援室長 障害児・発達障害支援室長です。実態把握
に関して申し上げれば、どのような形態が塾型と捉えるかに関して言えば、なか
なか難しい面もありまして、そのような形の分類というのは行っていなくて、現
状の放課後等デイサービスの状況は資料の42ページのとおり、その利用児童数の
推移というものも増えてきていて、事業所数の推移を見ていただいても増えてき
ているわけですけれども、事業所数の推移というのが非常に大きいというところ
です。利用児童数の推移も、例えば平成25年、平成26年度で見た場合でも、これ
は3割近く増えているわけですが、総費用額で見た場合にはそれ以上の伸びがあ
るということです。事業所数の増加とともに、利用回数なり、1人当たりの費用
額も増えていると考えているところです。
 こちらの放課後デイサービスについては、様々な御指摘もありますので、実態
の把握であるとかについてはしっかり検討していかなければならないと考えてい
ます。
 また、一般施策との関係については、藤堂委員の御指摘のとおりと考えていま
すので、保育所とか放課後児童クラブとかそのような所において、どのように障
害児というか発達障害のお子さんも含めてどのように受入れていただけるかとい
うことに関しては、局を越えてしっかりと連携して考えていきたいと思っていま
す。

○藤堂委員 私は今年8月にイギリスに行って、教育省でお話を聴いてきて、去
年9月にできていて、行動プラクティスの中で教育が主導権、イニシアティブを
取って、医療・福祉で、統一して1人の人間を見ていくことをきちんと考えてい
るのを、聴いてきています。イギリスでできることが日本でできないわけがない
と思いますので、是非、縦割り行政の悪いところを、お話をしていても、塾的な
所とか、勉強、学習するスキルを付けなくては、学校の中で生きていくことがで
きない子たちがいるのを、それはどこでやるのというところを考えるためにも、
そういうことをまず統一してから始めるべきだと思います。ありがとうございま
す。

○駒村部会長 これはイギリスの省庁の役割分担というのは、日本と同じで、文
部省、厚労省と、それとも統合された形になっているのですか、中央省庁は。

○藤堂委員 いえ、教育省は教育省があり、それから、今ちょっと分からないの
ですが、多分、エンプロイメントはエンプロイメントという形になっているかと
思います。

○小澤委員 1点だけ補足です。イギリスの場合、障害政策庁と訳されるのです
かね。日本でも内閣府でそれに近いものはなくはないですが、一応、縦割行政を
何とかなくすために、障害と、そこを共通ベースに置いて、政策の統合化を図ろ
うと、中央官庁にそれを作っていることは確かです。

○藤堂委員 藤堂です。支援区分の認定における障害特性の更なる反映について
どう考えるかという論点の整理(案)ですが、新しく読み書きの困難ということと、
感覚の過敏、集団への適応というのが項目の中に入ってきているわけですね。認
定調査項目の見直しの中で、新規に出てきたものが3つあります。これについて
伺いたいことがあります。これらを測るための何らかのアセスメント、共通のも
のがあるかどうかということなのです。多分ありません。これは是非、人生を通
してやっていただきたいと思うのです。教育だからというのではなく、教育でも
福祉でも、同じアセスメントを使ってやっていただきたいと思います。本人に聞
いたところで、本人は分からないのです。本人は読めていると思っていることも
あります。私も読めていると、60年間ずっと思っておりました。でも、60歳にな
って、ちゃんと検査しましたら、小学校2年生並みの読みの力しかありません。
これだけ話せても、読みの力は仮名だけだと2年生なのです。スピードと流暢さ
と正確さ、3つをきちんと見ないと分からないものなのです。親が分かるかと言
ったら、親は「いや、この子、怠けてるだけですから」とか言って、実際の像を
見ることができないというのがありますので、アセスメントは大事だと思います。
 あと、感覚の過敏、鈍麻というのも、本人が感じているもので、本人はほかの
人と比べてどの程度過敏なのかなどというのは分からないわけですね。だから、
私は本当はこの部屋で自分の声がエコーして返ってくるのがすごく邪魔で、自分
の声で思考が乱れるのです。そういうことがあったりする人もいっぱいいる。け
れども、みんなそうなんだ、その中で頑張っているのだろうと思い込んでいる人
もいっぱいいて、我慢に我慢を重ね、最後にパニックになってしまう人もいっぱ
いいるということなのです。
 集団での不適応に関しても同じです。1人でいたほうがずっと楽な人もいるわ
けで、その辺をどうアセスメントするのかということを、やっていらっしゃるの
だと思うのですが、これからどのようにやっていくつもりなのかということ、こ
れは急務だと思います。そのことだけちょっと言いたいなと思いました。

○駒村部会長 これは御質問というよりは切り口ということですね。藤堂さん、
今は御質問ですか。それとも切り口として、今後の議論のテーマとしてというこ
とですか。

○藤堂委員 そうですね。多分、質問しても今はないというお答えだと思います。
是非やっていただきたいのが、この項目、新しい項目で引っかかってきた人たち
のパーセンテージなり人数なり、それがどういう方たちなのか分かると、すごく
有り難いなと思います。

社会保障審議会障害者部会(第69回)議事録(抜粋) 2015/09/082016-03-20

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000102401.html

○日時 平成27年9月8日(火) 15:30~

○場所 TKPガーデンシティ竹橋ホール10E
(東京都千代田区一ツ橋1-2-2住友商事竹橋ビル10F)

○出席者 駒村康平部会長、朝貝芳美委員、阿由葉寛委員、石野富志三郎委員、
石原康則委員、伊藤建雄委員、伊豫雅臣委員、大濱眞委員、小澤温委員、河崎建
人委員、菊池馨実委員、菊本圭一委員、久保厚子委員、佐藤進委員、竹下義樹委
員、橘文也委員、藤堂栄子委員、中板育美委員、中村耕三委員、野澤和弘委員、
樋口輝彦委員、日野博愛委員、広田和子委員、本條義和委員、阿部一彦参考人、
片桐公彦参考人、今村早人参考人

○藤堂委員 初めに質問ですが、情報アクセスに関しては、また別個にあるので
すか。それともそれの中に情報アクセスも入っていますか。

○駒村部会長 事務局からお願いします。

○道躰自立支援振興室長 特に情報アクセスということでの回はないと思ってお
ります。

○藤堂委員 ない。では、そこから話させていただきます。発達障害ネットワー
クの藤堂と申します。まず、ヒアリングのときに、私はこのことを随分申し上げ
たはずなのに、1行も入っていないということで非常に寂しい思いをしておりま
す。というところから始めさせていただきたいと思います。
 それから、数ですが、4ページの発達障害という所に、小中学生の6.5%程度と
書いてあります。発達障害は子供だけではなく、一生続くものです。それを考え
ますと、今、計算しましたら、間違っていなければ845万人いてもおかしくあり
ません。6.5%という数字も私は信じられなくて、もっといます。この人たちは
コミュニケーション障害を持っていると言われている人たちです。この人たちの
ことを全部カバーするとなると、福祉がパンクするのは目に見えているというと
ころで、早いうちにまず情報にアクセスする方法をきちんと位置付けてほしいな
と思います。それは権利としてで、障害以前の問題としてインクルーシブな社会
を目指しているというところで、誰でもがいろいろな方法で情報にアクセスでき
る状態を作っていただきたいと思います。
 次に、意思疎通支援の対象となっているのが視覚障害、聴覚障害、盲ろうだけ
であるということがどうなのかということで、論点の所にも書いてあるので、次
のページにある障害の方たちも、是非入れていただきたいと感じます。知的障害
もそうだろうし、高次脳機能障害で後から言語機能を阻害された方たちも入って
くると思います。
 先ほど失語症の定義の所で、読み書きも入っているということでちょっとショ
ックを受けたのですが、つまり、私たちは生まれながらの失語症というのと同じ
なのです。福祉のお世話になるような、すごくシビアな方というのは、その中の
1%です。だったとしても、何パーセント。6.5%の中の1%であったとしたら、
計算はすぐにできませんが、半分ぐらいだったとして、200万人ぐらいいてもお
かしくないわけです。そういう人たちに対してどういうサービスを提供できるの
かという視点を是非持っていただきたいと思います。
 この中であえて申し上げたいことが1つあります。視覚障害の地域生活支援事
業の所にデイジー図書という言葉があります。デイジーというのは、今は絆創膏
のことをバンドエイドと呼ぶようなもので、いろいろある支援機器、又は支援方
法の技術の中の1つであると認識していただいて、もっと穏便な音声図書とか、
先端技術を使った方法というように、表現を変えていただきたいと思います。そ
うしないとiPadを使ってMicrosoftのワード機能に読み上げ機能があって、それ
にもう1つ拡張子を付けると、スムーズに日本語として読んでくれる状態になっ
てきています。
 先ほど教科書のお話もありましたが、国民の最初の権利であるはずの教科書へ
のアクセスが非常に限られています。それはどうしてかというと、障害者のため
に著作権を放棄して形を変えていいですよと言われているからなのです。ただ、
6.5%いる全員がきちんと診断を受けて手帳を取るわけではないので、障害者か
どうかが見えないわけです。その人たちのために私もボランティアで教科書を全
部音声化して無償で提供しております。そういうことをもっともっと。多分、合
理的な配慮が来年4月から始まったら、それは当たり前の本来普通にあるべき配
慮になっていくと思います。その辺は、もう法律中に齟齬が出ているわけです。
インクルーシブな社会を目指します。ニーズに応えていきますと言ったときに
「障害者じゃないから、あなたはニーズがあっても、それは使えませんよ」とい
う状態が今あるということを理解していたただきたいと思います。
 それから、先ほど支援機器のお話がありましたが、本当にいろいろな支援機器
が出てきておりまして、使える人と使えない人がいます。子供だと保護者が使え
るか使えないかによってディバイドが出てきております。それは親の知的レベル
とか、生活の状態に準じている部分があると思いますが、本当に誰もがアクセス
できる環境を作るためには、点字図書館ではなく、地域の図書館で普通に手に入
れられるものにしていっていただきたいと思います。私の言いたかったことはそ
れだけです。
 もう1つ、赤いヘルプマークというのを国ではなく、東京都が出しておりまし
て、ほかの自治体でもいろいろ作っているようですが、私はこれを持ち歩いてい
ます。これには「席を譲ってください」と書いてあるのですが、私は席を譲って
もらう必要はありません。足腰はしっかりしておりますが、頭が緩いだけです。
後ろに自分のニーズを書く所があります。それに書ける人に育ててほしいのです。
セルフ・ヘルプです。自分が自分のことをきちんと言えるようにしてあげる。
 この前、三菱東京UFJ銀行の窓口で口座を作るときに、「私はちょっと読み書
きが大変なので」とだけのことを言ったら、「あっ、こちらに用紙があって、こ
のとおりに書いてください」と言われたのです。名前の所に三菱太郎と書いてあ
るので、私はそのとおり三菱太郎と自分の名前を書いてしまいました。そういう
ことがあって、これはいかんなと思って、これを見せてお話したら、すぐに代わ
ってくださって、ゆっくりと「ここの欄にお名前を書いてください」「ここの振
り仮名は片仮名で書きますよ」ということとか、説明も丁寧にお話いただきまし
た。本当に社会を柔らかくするために、私たちがここの制度を作っているのであ
れば、こういうものをもっともっと普及して、それを本人たちがもっと気楽に使
えるように指導できる人たちを。機器も同じで、使えるということがすごく大事
であって、持っているだけでは意味がないのです。だから、使えるような、コー
ディネーションができる人たちの人材育成は是非組み入れていただきたいと思い
ます。以上です。

--------------

※編集人注

資料2-1 手話通訳等を行う者の派遣その他の聴覚、言語機能、音声機能その他
の障害のため意思疎通を図ることに支障がある障害者等に対する支援の在り方に
ついて
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000096735.pdf

「視覚障害の地域生活支援事業の所にデイジー図書という言葉があります。デイ
ジーというのは、今は絆創膏のことをバンドエイドと呼ぶようなもの」

→藤堂委員の誤解に基づく発言。「デイジー」は、デジタル録音図書の国際規格
である「DAISY」のこと。「商標」または「商品名」と誤解している。詳しくは
下記などを参照。なお藤堂委員によれば、社会保障審議会障害者部会に対して会
議録の訂正を依頼中とのこと。

DAISYとは視覚障害者や普通の印刷物を読むことが困難な人々のためにカセット
に代わるデジタル録音図書の国際標準規格。
http://www.dinf.ne.jp/doc/daisy/about/

「iPadを使ってMicrosoftのワード機能に読み上げ機能があって、それにもう1つ
拡張子を付けると、スムーズに日本語として読んでくれる状態になってきていま
す。」

→藤堂委員の具体的に指摘している「機能」なるものが不明。iOSのVoiceOverの
ことか?

→藤堂委員は「拡張機能」と「拡張子」を混同しているのか?一知半解な知識に
よる発言と指摘されても、やむを得ないのではなかろうか?

「国民の最初の権利であるはずの教科書へのアクセスが非常に限られています。
それはどうしてかというと、障害者のために著作権を放棄して形を変えていいで
すよと言われているからなのです。」

→現行著作権法のどこを探してもこのような規定はない。現行著作権法では、む
しろ「権利制限規定」を設けることで、アクセスを保障する措置が取られている。
もちろんこれだけでは万全ではないが。

社会保障審議会障害者部会(第68回)議事録(抜粋) 2015/07/242016-03-20

○日時 平成27年7月24日(金) 9:30~

○場所 TKPガーデンシティ御茶ノ水カンファレンスルーム3C
(東京都千代田区神田駿河台3丁目11-1三井住友海上駿河台新館3F)

○出席者 駒村康平部会長、朝貝芳美委員、石原康則委員、伊藤建雄委員、大濱
眞委員、小澤温委員、河崎建人委員、菊池馨実委員、北岡賢剛委員、久保厚子委
員、佐藤進委員、藤堂栄子委員、永松悟委員、中村耕三委員、樋口輝彦委員、日
野博愛委員、広田和子委員、本條義和委員、松本純一委員、久松三二参考人、岩
上洋一参考人、佐藤加奈参考人、鈴木孝幸参考人、菊地達美参考人、竹中郁子参
考人

○藤堂委員 発達障害ネットワークの藤堂です。この前ヒアリングのときに、き
ちんとお答えできなかったので、ここで補足説明をしたいと思います。JDDネッ
トだけが既存の仕組みの中でいいと言っていることに関しての意見を聞かれて、
私どももまだ準備ができていないという答え方をしてしまったのですが、不適切
だったと思うので取り下げたいと思います。考え方は、帰りまして確認したとこ
ろ、本来でしたならば国民が全員負担するという意味では、介護保険料を払うと
いうことに関しては、既存の仕組みでよいと思うけれどもということで、今おっ
しゃったように、65歳になったところで負担が増えてしまうことに関しては、や
はり考えなくてはいけないということで、配慮が必要であるということで、ここ
については、きちんと対応していただきたいということです。
 もう1つは、65歳から切り替わるときに困ることが、デイサービスで受けてい
たサービスを、今度、介護のサービスで受けなくてはいけない状態になったとき
に、慣れていた所でのサービス、また人によるサービスは、次に行った所で、同
じサービスを受けられますと言われていても、違う所で受けることによって状態
が悪くなる。特に、精神又は発達障害の場合はそういうことが起きるだろうとい
うことで、併設であれば連続性が保たれるわけですが、それができないというこ
とに関しては配慮が必要であるということです。今の話は、JDDネットとしてと
いうことです。
 もう1つの意見は、精神としても、いろいろな統計が取られていますが、その
中での発達障害がどのぐらいいるのかは統計として取られていないということで
す。高齢になると、もともと何だったのかと分からなくなってしまうので、今さ
ら取れないかという感じがします。せっかく精神が4月から対象になり、いろい
ろな所で精神の統計を取られるときに、その中で発達障害が原因でそうなったと
思われる、又は発達障害としての数を取れるのだったら是非、取っていただきた
いということです。もう1つは、女性の件に関してのことが言われ始めています
ので、是非これから先、女性に対して、女性のほうがもっと不利な状態にいるの
だと思うので、女性の障害者についての統計も出していただきたいと思っていま
す。以上です。

○駒村部会長 今日に関わる所としては、65歳の所で、支援とか生活の連続性が
ちゃんと保障できるようにというお話でしたね。

○藤堂委員 はい。

------------------

○編集人注

藤堂委員から発達障害ネットワークを代表して出席しているにもかかわらず、十
分な確認を取らず不適切な発言があったので撤回し訂正するとの趣旨である。

社会保障審議会障害者部会(第67回)議事録(抜粋) 2015/07/142016-03-20

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000095436.html

○日時 平成27年7月14日(火) 14:00~

○場所 TKPガーデンシティ竹橋ホール10E
(東京都千代田区一ツ橋1-2-2住友商事竹橋ビル10F)

○出席者 駒村康平部会長、朝貝芳美委員、阿由葉寛委員、石原康則委員、伊藤
たてお委員、伊豫雅臣委員、大濱眞委員、小澤温委員、河崎建人委員、菊池馨実
委員、久保厚子委員、小西慶一委員、佐藤進委員、竹下義樹委員、橘文也委員、
玉木幸則委員、藤堂栄子委員、中板育美委員、永松悟委員、野沢和弘委員、日野
博愛委員、広田和子委員、本條義和委員、片桐公彦参考人、原田勉参考人

○藤堂委員 こんにちは、藤堂です。教育分野に関しての移動についてなのです
が、今医療にかかっている、又は支援学級に通っているお子さんたちまでカバー
されているというように説明を受けたかと思います。ただ、実際には、特別支援
教育の対象には6.5%の通常学級の中にいる子どもたちも含まれていると。その
中の子どもたちには校内での通級ができる子たちもいるかもしれませんけれども、
通級という制度が教育にあり、そこに通うためには保護者が連れて行かなくては
いけないとなっております。そこのところがカバーされないがゆえ、通級を好ま
ない家庭があることも確かなのです。そこのところをきちんと考えてほしいなと
考えます。
 どうしてこういうことが大事かというと、やはり教育の中できちんと対応して
いただくことによって、大人になってそれほど福祉的なサービスを必要としない
子どもたちが増えていくはずなのです。その辺が教育できちんと対応されないが
ゆえに、だんだん違う形で福祉のお世話にならなくてはいけない子どもたちが、
発達障害の中にはとてもいるという現実がありますので考えていただけたらと思
います。以上です。

○藤堂委員 この論点の整理という案の所から、就労の形態の在り方と、もう1
つは、支援の在り方ということで、ニーズを踏まえた機能や支援、継続に全部関
係するのですが、今お話にあったように、こんなに数が増えているのは発達障害、
精神の手帳を取っている方がすごく多いのです。発達障害というのは精神の手帳
を取るということになっていて、数がいっぱい出てきているわけですが、これま
での障害者という考え方と全然違う扱いをしないと、この方たちの本当のニーズ
に合った仕事には辿り着かないと感じております。私の所にさっきのソーシャル
ファームではないけれども、NPOにインターンとして来て、半年ぐらいでしっか
りと力をつけて、一般就労をしていく若者が随分うちで育っているのですね。そ
れを見ているとこういう別に就労支援の事業所に入らないで、うちに来たほうが
ずっと本来の形で就労できるのかなということを見てきまして、感じたことです
が、この「キャリア形成」という言葉がありますけれども、これは卒業してから
身に付けるものではないと思っています。生まれてからずっと社会の中で生きて
いくということを身に付けていかなくてはいけないと思うのです。それを教育が
していないということなのかなと。家庭もそうだし、教育もそうだし、もう若い
うちから働くこと、人の役に立つってすごくいいことだということを身を持って
感じることがすごく大事だと思うのです。それが分かっている人たちは定着率も
よくなっていくのです。そのマッチングもすごく大事だと思っています。
 それに対してもう1つ言いたいのは、合理的な配慮というのが障害者差別解消
法というので4月1日から入るようになっています。発達障害の多くの人は手帳を
持っていません。また、自分がそうだとは気付かずに大人になって、社会の中で
暮らしていて、転職を余儀なくされたりとか、鬱になってしまったりとか、二次
的な障害として精神を患うことが多いです。その辺のことを考えていただいて、
もう合理的な配慮というのは別に手帳があったりとか給付がどうのこうのという
前に、すぐにニーズがあったときに入るものという位置付けにしていただきたい
なと思います。
 それからこういう方たちは、先ほど野沢委員からもありましたけれども、ほと
んどがサポステだとか、貧困の所とか、生活保護を受けるとか、母子保険とかそ
ういう所に集まってきている人たちなのです。子どもだったら不登校だったり、
ニートになったりという所にいる人たちなので、社会的な損失から考えると、そ
ういう人たちにきちんと対応することがすごく大事だと感じております。

社会保障審議会障害者部会(第66回)議事録(抜粋) 2015/07/072016-03-20

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000095418.html

○日時 平成27年7月7日(火) 14:00~

○場所 TKPガーデンシティ御茶ノ水カンファレンスルーム3C
(東京都千代田区神田駿河台3丁目1-1三井住友海上駿河台新館3F)

○出席者 駒村康平部会長、朝貝芳美委員、阿由葉寛委員、石野富志三郎委員、
石原康則委員、伊藤たてお委員、大濱眞委員、小澤温委員、河崎建人委員、菊池
馨実委員、北岡賢剛委員、久保厚子委員、小西慶一委員、佐藤進委員、竹下義樹
委員、玉木幸則委員、藤堂栄子委員、中板育美委員、永松悟委員、中村耕三委員、
野沢和弘委員、樋口輝彦委員、日野博愛委員、広田和子委員、本條義和委員、田
口道治参考人、原田勉参考人

○藤堂委員 藤堂です。常時介護を要するという所で少し当てはまるのかどうか
なのです。2つあります。意思疎通支援事業というのは、発達障害の中でも、特
に自閉症の重い方に関しては非常に意思疎通が難しいところがあります。そうい
う意味から言うと、常時介護は必要なのだと考えるところなのですが、ここの文
言を見ますと、全て「その他」の所に入ってしまっていて、実際に必要となった
ときに、発達障害者支援法で随分知られてはきていますが、その他、例えば聴覚
は問題ない、言語機能はある、音声機能もある、視覚も大丈夫という発達障害の
人には付かない場合が出てくるとか、この事業内容の所にもそういう人たちの通
訳に代わるような人が必要になるわけですが、そういうところが全然書いていな
いというところで、そういうものも含めていただくことが必要なのかなというの
が1つあります。
 もう1つは、パーソナル・アシスタンスなのですが、これにも、スウェーデン
もイギリスも発達障害、ディスレクシアとかも含まれているのです。非常に軽い
人たちも含まれている。これはどういうことかと言うと、常時何らかの福祉の世
話にならなくても自立的に生きていけるのだけれども、ある場面に遭遇したとき
にパーソナル・アシスタンスが必要になる人たちがいるということで、それを自
分が必要なときに選んで使えるというシステムなのかなと考えています。そうい
う意味から言うと、それを使うことによって社会参加が十分にできて、仕事も十
二分にできるのであれば、社会的なコストではなくて、それによって得られる社
会的な利益もきちんと計算した上でシステムを作っていただきたいと思うのです。
その人たちが十分に本来の能力を発揮して働く、それによって会社がきちんと儲
けられる、その人がお金を受けることができて、それでまた税金に戻るというよ
うなシステムにしていかないと、多分この社会保障、日本は破綻するということ
なのかなと思いました。意見です。

社会保障審議会障害者部会(第65回)議事録(抜粋) 2015/06/152016-03-20

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000095418.html

○日時 平成27年6月15日(月) 9:30~

○場所 TKPガーデンシティ竹橋ホール10E
(東京都千代田区一ツ橋1-2-2 住友商事竹橋ビル10F)

○出席者 駒村康平部会長、朝貝芳美委員、阿由葉寛委員、石原康則委員、伊藤
たてお委員、大濱眞委員、小澤温委員、河崎建人委員、菊池馨実委員、北岡賢剛
委員、久保厚子委員、小西慶一委員、佐藤進委員、竹下義樹委員、玉木幸則委員、
藤堂栄子委員、中村耕三委員、日野博愛委員、広田和子委員、本條義和委員、久
松三二参考人、村中峯子参考人、江藤修参考人、原田勉参考人

○日本発達障害ネットワーク藤堂副理事長 おはようございます。一般社団法人
日本発達障害ネットワークの藤堂です。よろしくお願いいたします。私自身がデ
ィスセレクシアという、読み書きの困難を抱えておりますので、お聞き苦しいと
ころがあるかもしれませんが、お許しいただきたいと思います。
 はじめに、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を
尊重し合いながら共生できる社会を実現するために、社会福祉サービスの充実を
要望いたします。その際、権利条約の批准・発効を受け、また、障害者への権利
養護及び合理的配慮の観点から施策を推進していただきたいと思います。また、
障害福祉サービス制度の持続性の観点から、共助の活用、サービスの重点化・効
率化、費用対効果の精査及び質の向上、この4点が重要だと思いますが、取り組
む必要があると考えております。
 常時介護を要する障害者等に対する支援に対しては地域移行など特段の支援が
必要な人、行動障害のある人、反社会的行動のある人など、これまでの考え方の
身体介護とは別に、精神・心理的理由により日常生活や社会生活が困難になって
いる人も対象としていただきたいと思います。その意味で、従来の「介護」の内
容を変えていく必要があると思います。パーソナルアシスタンスについても、常
時介護を要するという観点ではなく、必要なときに必要な集中的な支援が、本人
の選択によって受けられるという形が必要になってくる。その内容をマネジメン
トするということから、相談支援と一体的に取り組む必要があると考えます。
 3番です。障害者の就労支援について、これはとても大切な条項だと思います。
文部科学省では、通常学級の中に6.5%の発達障害と思われるお子さんがいると
いう統計を出しています。それに対して就労枠は2%というこのギャップをどの
ように埋めるかということを考えながら進めていかないと、この制度は破綻して
いくと思います。働くことによって社会に大いに貢献できる可能性のある多くの
発達障害者もいます。その人たちに関して、障害特性に配慮した就労支援を実施
していただきたい。それはジョブマッチング、仕事の手順の組み替えなどのみな
らず、職場における対人調整などの配慮、環境調整など、合理的な配慮で対応で
きることも多々ございます。
 また、現行の就労移行、就労継続A・B及び生活介護において、サービスの枠組
みが現状に即していない状況があります。年限を区切って積極的な就労支援を図
るグループと、その他工賃を考慮された様々な働き方を保障するグループ(就労
継続B及び生活介護を含む)に分けることが考えられます。また、大人になって
自分が発達障害ではないかと気がついた人たちに対しての支援というのはこれま
でほとんどございません。従来の支援に該当しなかった発達障害者への相談窓口
というものをきちんと出していただきたい。そして、手厚く、それが福祉に乗る
か乗らないかの前に、どういう合理的な配慮をすることでその人たちが十分に本
来の力を発揮できるのかという考え方を入れてほしいと思います。それには、ア
システィブ・テクノロジーだとか、ICTの活用というものも考えられると思いま
す。
 IV障害支援区分の認定を含めた支給設定の在り方についてです。支援の度合い
が適切に把握されるように改善されてはきています。引き続いて、発達障害の支
援の度合いが適切に把握されるよう、項目の重みづけを含め、改善していただき
たいと思います。例えば、感覚の過敏・鈍麻などの異常、読み書きの困難という
ものが含められてきていますけれども、アセスメントの適切なものがないために、
項目はあるものの、実際にはそれが図られていないという現状がございます。
 その次に、支給決定の仕組みは大きく変更する必要はないと思います。ただ、
本人の将来の希望等がきちんと把握され反映されているかというと、このぐらい
の大変さだったらこういう仕事がちょうどいいだろうという考え方でのマッチン
グがされているのが現状かなと思います。本人の将来の希望等がいかされる計画
相談、支給決定であればいいなと思います。支援区分が軽くなることはいいこと
ですが、事業者にとって支援の動機を低下させるものとなってきているというこ
とで、支援の効果を適切に把握して報酬に反映されるような仕組みを作っていか
ないと、いつまでも囲い込みという形になっていくのではないかと思います。
 V障害者の意思決定支援・成年後見制度の利用促進の在り方についてです。意
思決定を行うときに、物理的・社会的状況などの要素が発達障害に関しては相当
影響してくるということと、個別性が非常に高いということを認識して、第三者
の関与をいかに図っていくかが重要です。本人の意思と、それに対しての第三者
の関与というものをほかの要素をきちんと図りながら考えていただきたいという
ことです。そのために、第三者の関与を含む意思決定支援会議の開催、意思決定
支援責任者の配置、意思決定支援計画の策定という3つの要素が必須のものとな
ります。この3つの要素を用いて、それぞれの現場において意思決定支援モデル
事業を実施し、そ知見を収集することから始めることが必要と考えます。後見制
度の利用促進に関しては、廃止を含む抜本的な改革を必要とする議論になってき
ている状況に鑑み、本格的な議論に向けての中長期的な課題として挙げていく必
要があると思います。
 VI意思疎通を図るためにということに関しては、非常に発達障害の方たちにと
っては大事な条項と考えております。情報にまずアクセスをするというところか
ら私たちは不便を感じております。盲ろうの方々だけてはなく、私たちの情報の
受け取り方に合わせた、個々の発達の障害の方々に必要な意思疎通を図るデバイ
スの開発や活用が大事になってきます。自閉症などに関しては、スケジュール化
など視覚的な構造化が有効な場合があると言われていますが、視覚的なだけでは
なく、聴覚的な情報の在り方、又は内容をかみ砕いた優しい情報の出し方という
ものも考えられると思います。そしてそれを活用するためには、やはりまたアセ
スメントというのが大事になってくると考えております。それに習熟した支援者
を必要とし、その養成も重要なテーマとなってきています。
 LDなど、表出言語や文字によるコミュニケーションに困難さを持つ者への支援
として、人材の育成、アシスティブ・テクノロジーの開発、供与、合理的な配慮
の徹底を図る必要があると思います。
 高齢の障害者に対する支援に関しては、介護保険サービス事業所において、高
齢者が円滑に適切な支援が受けられない状況があるということで、高齢化した発
達障害者等に対する支援、ノウハウの蓄積及び対応スキルの向上が求められてき
ています。心身機能が低下した高齢障害者に対しても、障害福祉サービス事業所
で十分なケアが行われるよう、対応施策の推進、訪問型による支援の検討が必要
となります。「親亡き後」に関しても、グループホームというのがありますけれ
ども、国交省の住宅施策など、今、空き家が非常に増えていますので、活用する
ことも考えられるのではないかと思います。
 もう1つ、地域生活を実現するために、分野を超えた新たな地域包括システム、
ケアシステムの構築が急がれると思います。ここに書いていませんが、「子ど
も」という事項が抜けておりまして、子どもに関しても、先ほど自閉症協会から
もありましたけれども、放課後等児童デイの整備と拡充、内容が伴わないという
状態があるので、そこの人材育成が必要になると思います。そのためにも、アセ
スメントが各段階で必要になる。早期だけではなく、学齢期、就労するとき、大
学に行くとき、更に日常生活をするとき、まだきちんとしたアセスメントができ
ていないと考えています。ありがとうございました。

○本條委員 2点御質問したいと思います。まず最初が、自閉症協会さんの6番目
の意思疎通支援について、行政に対して理解を促進していく必要があると。私も
同様に思っておりますが、具体的な方策などがあれば教えていただきたいと思っ
ております。
 2点目は、日本発達障害者ネットワークさんですが、3番目の障害者の就労支援
の3行目の、職場における対人調整などの配慮も願いたいと。これも余りほかの
団体から言っておられない大切な視点だと思いますが、対人調整あるいは環境調
整ということに対する、どういうような方法というか方策があれば、御要望とい
うか御提案があれば教えていただきたいと思います。

○日本発達障害ネットワーク藤堂副理事長 この環境調整又は対人調整というこ
とに関しては、IVの支援区分の所と、もう1つはVIの意思疎通を図るという2点と
非常に密接に関係してるのではないかと考えております。ここの支援区分の所で
出てきたのが、感覚の過敏又は鈍麻、読み書きの困難ということが出てきており
まして、もう1つ、意思疎通という所から言いますと、言語的な意思疎通が難し
い、又は、聞いたことをそのまま理解することがなかなか難しいので、かみ砕い
た形での意思疎通の仕方ということを考えなくてはいけないというようなことを
考えると、これまでのジョブコーチなどという考え方とは違って、コーディネー
ター的に人のアセスメントをきちんとした上で、この人にとって一番快適な本来
の仕事をきちんとできる環境はどういうものなのか。例えば蛍光灯がチラチラす
るだけで集中することができないとか、音によって集中が途切れる人などもいま
すので、そういうことを考える人の配置。
 対人調整というのは、よくあるのが部署替えになったときに、仕事の内容で大
変というのもあるのですが、上司の無理解によって意思疎通がうまくできなくて
問題が起きて、仕事を続けることができない、又は鬱になってしまうようなこと
が起きるということを考えて、そういうことのできる人の配置が考えられるので
はないかと考えております。

○原田参考人 全国知事会の参考人の原田でございます。発達障害について3団
体に御質問させていただきたいと思います。行政の立場からですが、発達障害に
ついては御案内のとおり、多様な障害の対応ということですが、例えば、1.5歳
児や3歳児の健診等をきっかけに発達障害が発見されます乳幼児における初期段
階での対応、それから、学齢期における教育・学習段階での対応、事業所におけ
る障害の特性に対応した適切なサービス提供での対応、就職後の職場定着に向け
た取組段階での対応、更には、就職できずに、あるいは離職となった段階で、例
えば引きこもりになった状態での地域社会との関係を再構築しなければいけない
段階での対応ということでステージに分けた場合、障害者総合支援法の関係で、
現時点で最も注力しなければならないのは、行政的にという意味でいいのですが、
どの対策かということについての御意見を3団体についてお伺いしたいと思いま
す。

○日本発達障害ネットワーク藤堂副理事長 ありがとうございます。同じく、や
はり学齢期というのが非常に大きな問題だと思います。福祉の分野と学校、教育
委員会というのが、本当にきちんと分断されてしまっていて、情報が行き来しな
いという状況があります。学校では特別支援教育でこういうふうにしていますよ
ということと、放課後デイではやっていないというようなことがあって、または
年齢は同じで、私立に通っている子や不登校の子やフリースクールに行っている
子に関しては教育委員会が全然お手上げ状態で、では誰が面倒を見るのかという
のがあるのです。私たちとしては、一生を通じた、つながった支援が必要である
と考えております。学齢期はまず第一に必要です。
 もう1つは、就労に関してです。キャリア教育などと言っているけれども、本
当にその人の本来の力がいきるキャリア教育をしているのかということ、ジョブ
マッチングをしているのかということ、それから、自信を失くすということに考
えが及んでいるのかということを考えると、今、最後の引きこもってしまってい
る問題などとなる前にきちんと予防的措置をしていくことが大事であると考えて
おります。

○小澤委員 小澤です。まず最初に自閉症協会さんと発達障害ネットワークさん
への質問です。障害支援区分で、調査項目について、感覚過敏やその他を考慮し
修正と。これは非常に重要な指摘だと思うのですが、1つ、これは環境要因が非
常に強いので、どういう工夫をするのがいいのかというのが非常に大きなことが
あるので、それに関して何か御意見があれば大変有り難いというのが、2団体に
関してです。
 次は、発達障害ネットワークさんですが、意思決定支援の所で「第三者」とい
うのが急に登場するのですが、これは一体どういう方を想定するものなのかとい
うのが知りたいということです。これが2点目です。
 最後の3点目は、児童発達支援協議会さんですが、これは実は極めて重要な話
がありまして、IXです。障害児支援のポイントで、本人と兄弟と保護者の権利
を、つまり私はこの領域は難しいと思うのは、この3者の配慮までは分かるので
すが、例えば利害が異なる場合や、その他諸々いろいろあると思うのですが、
その場合の意思決定支援の在り方も含めてどういうふうに考えたらいいのか。
以上3点です。

○日本発達障害ネットワーク藤堂副理事長 感覚過敏に関しては先ほども申し上
げましたので。環境というのはすごく大事であって、環境との間にあるものをど
う解決していくかという考え方で取り組めばいいのではないかと思います。第三
者を意思疎通の中、意思決定の中に入れるということなのですが、これは、発達
障害の方が法的な犯罪を犯したりして捕まることが、今多くなってきているとい
う中で、取調べのときとかに、「この調書でいいんだな」と言われて「はい」と
答えてしまうとかというところで、きちんと第三者的に通訳、この人が本当にそ
う思って言っているのかということを伝えることのできる人という意味での第三
者と考えています。柴田さんのほうからも先ほどそういうお話があったと思いま
す。

○河崎委員 日本精神科病院協会の河崎です。日本発達障害ネットワークさんに
1点お聞きしたいと思います。障害者総合支援法第7条の介護保険優先原則につい
てです。これまで、これについて触れられた団体さんの御意見は、もうほとんど
がこの介護保険優先原則については問題がある、あるいはそれぞれ当事者が自由
に選択ができるようにすべきだという御意見が多かったように思っています。こ
れについて、「現行制度の維持が適当と考える」という御意見ですが、この辺り
をもう少しそのお考えをお聞かせ願えたら有り難いと思ってお聞きしました。

○日本発達障害ネットワーク藤堂副理事長 ありがとうございます。ここのとこ
ろについて、発達障害者のネットワークとして深く話し合っていないという現実
があるかと思うのです。そういうこともあって、適当であると現在の時点で話し
ているという状態です。

○菊池委員 2点ございます。1つ目は日本自閉症協会さんで、IIIの2つ目の○の
所で、これはこの部会で直接扱う事項ではないとは思うのですが、ちょっと気に
なったのです。発達障害の人等が、就労していることを理由として障害基礎年金
の支給を停止される例が多発しているということなのです。これは、要するに制
度の問題なのか行政の対応の問題なのか、少し気になるのです。20歳前の障害基
礎年金の所得制限に係るという問題なのか、そうではなくて、やはり1級、2級障
害にそもそも該当しないということでもう支給しないということなのか、ちょっ
とそこを確認させていただきたいというのが1点です。
 それから、2つ目は、発達障害ネットワークさんの藤堂さんの最後の最後の話
を大変興味深くお聞きしました。これも今回改正というよりは大議論になるとは
思うのですが、地域包括ケアシステムの構築というお話は、今、医療・介護の関
係で進んでいる地域包括ケアの中に障害を持つ方々も入れ込んでいくというイメ
ージの話なのか、そうではなくて、もっと何か新しいものを構想していくという
話なのか、簡単にでも少しお伺いできればと思っています。

○日本発達障害ネットワーク藤堂副理事長 ありがとうございます。新たな地域
包括システムと考えています。私たちは、発達障害の人全部をカバーするとなる
と既存のシステムではカバーし切れない状態と考えるので、障害者、児童や高齢
者分野だけではなく、教育とかも全部含んで、本当に安心して地域で住み続けら
れるということを保障できるような新たなシステムというものが必要であると考
えています。ただ、それについてどうしたらいいかというところまでは議論は進
んでいません。

○広田委員 遅れて来てお話しされていたらすみません。私は東北大震災の日に
厚生労働省の5階に泊まり、2階の帰宅難民の方たちのニーズを聞いてお手伝いし
た。マスコミが入って来る前、具合の悪い人が出たから、「表の空気吸った方が
いいわね」と一緒に玄関へ出たりしました。前回日盲連の方にお伺いしたのです
が、ここでお話しされる話は、3年後の見直しで法律に盛り込むこと等です。自
閉症さんや発達障害などは新しい障害で、ここだけはコアとしてどうしても制度
でお金なのだけど、国民に知ってもらうチャンスです。ポジティブに。ある省庁
の部長でもう辞められた方が、「俺は発達障害だ」、「うちの娘も発達障害です
よ」って詳しくお話聞いていたから、かなり詳しいつもりです。国民に訴えるこ
とを想定してここに出られていますか。

○日本発達障害ネットワーク藤堂副理事長 ありがとうございます。当事者とし
て、発達障害、名前だけは知られるようになりました。聞けば、80%ぐらいの方
がそれは聞いたことがある。でもいいイメージで聞いたのか悪いイメージで聞い
たのかというと悪いイメージで聞いていることがいっぱいあって、いいイメージ
で私たちは一生懸命アピールしようとしているけれども啓発は十二分ではありま
せん。学校でもシステムはあるけれどもきちんとそれが使われていないという現
状が統計にも出てきています。声を大にして言いたいのは、発達障害というのは
自閉症だけではない、空気が読めないわけでもない。ただコミュニケーションの
仕方やものの見方がほかの人と少し違うだけであって、人口の10%ぐらいいると
いうことは、本当に皆さんと同じ人間なのだよということを知っていただきたい
と思います。ありがとうございます。

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○編集人注

 配付資料2
 http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000090417.pdf

川崎委員からの「障害者総合支援法第7条の介護保険優先原則について」の質問
に対する藤堂委員の回答は、日本発達障害ネットワークを代表しての意見ではな
いとして、後日訂正されることになる。

詳しくは以下を参照
2015年7月24日 社会保障審議会障害者部会(第68回)議事録
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000095913.html