第174 国会 衆議院文部科学委員会 議事録 抜粋 平成22年05月28日2010-05-28

○石田(芳)委員 民主党の石田芳弘です。
 先般視察に行ったところは後の委員の質問にお願いいたしまして、私は、まず
きょうは、教育の情報化ビジョン計画と、それから、文化行政の中で歌舞伎文化
のあり方、この二点について御質問したいと思います。
 まず最初、教育の情報化ビジョン計画についてです。
 これは、論点としては、教育をコンピューターに依存することの危うさについ
てという論点で私は御質問したいと思っています。
 けさのマスコミの報道を見ましても、アイパッドの発売にすごいフィーバーが
起きておるとか、あるいは電子書籍の普及が非常な勢いで検討されつつあるとか、
ICT化の潮流はとめようがなく我々の身の前に押し寄せていると思うんですが、
このことを教育と即結びつけるということについて、ちょっと慎重に議論をした
いなと思っています。
 まず、過日、四月二十二日に学校教育の情報化に関する懇談会というのが立ち
上がったと聞いています。この懇談会の中身で私がちょっと気になるのは、デジ
タル教科書協議会というのもできまして、これはオフィシャルじゃないですよ、
そのデジタル教科書の方たちがこの学校教育の情報化に関する懇談会に何かしら
影響を与えているのじゃないかなと、これは邪推かもしれませんが、そういうよ
うな感じがするものですから、これは、御担当は鈴木副大臣だと思いますのであ
えて鈴木副大臣に、この懇談会の背景と今後の方向性ですか、懇談会で話し合わ
れることについてお聞かせいただきたいと思います。鈴木副大臣、お願いいたし
ます。

○鈴木副大臣 お答えを申し上げます。
 委員今御指摘のように、四月に、私が主宰をいたしまして、学校教育の情報化
に関する懇談会を立ち上げさせていただきました。
 実は、私は情報教育というものに約十五年ぐらい携わってきておりまして、研
究、そして高校でも三年余り教壇に立たせていただきましたが、私の考え方は、
いつも大学の講義などで言っているんですけれども、情報社会というのは情けに
報いる社会をつくることだと。そういう中で、IT教育ではなくて情報教育、つ
まり、情報編集力教育の重要性ということを一貫して唱えてまいったところであ
ります。
 情報というのは、まさに人と人とのコミュニケーション、対話の中から生まれ
るものでありまして、まさに人間が主体であります。今おっしゃったように、コ
ンピューターに依存した、あるいはコンピューターに使われた教育というのは、
あってはならないというふうに思っております。
 どんなテクノロジーでもそうでありますが、ICTも、その可能性とその限界、
そしてもちろん危険というものを踏まえておりますので、そのことを十分踏まえ
ていかなければなりません。
 したがいまして、文部省で設置をいたしましたこの学校教育の情報化に関する
懇談会も、安西祐一郎慶応大学教授そして三宅なほみ東京大学教授に座長、副座
長に御就任をいただきましたが、これはいずれも発達科学あるいは認知科学の我
が国の第一人者に御就任をいただきまして、いわゆるコンピューター機器メーカ
ーの方々にはお入りをいただいておりません。
 それと同時に、実はコミュニケーション教育推進会議というのも同時に立ち上
げまして、これが車の両輪だと思っておりますが、まさに身体性というものを意
識した教育というものの重要性、これは平田オリザ座長に御就任をいただいて、
そして、演劇、ダンス、伝統芸能の方々に二百九十二校の学校に入っていただい
て、まさに、身体表現、そしてもちろん言語というものをきちっと大事にしたそ
うした教育を、これを両輪で考えていきたいというのが文部省の考え方でござい
ます。
 そういう中で、今委員から御指摘ございましたように、本格的なブロードバン
ドの普及というステージに入りまして、クラウドコンピューティングというもの
が急速に今普及をしつつあります。それから、加えまして、電子書籍と言われる
新しいデジタル端末というものが普及をするというシチュエーションになりまし
た。
 こういうステージのときにも、今申し上げたような基本的な考え方というもの
をしっかり見据えて、クラウドのいいところ、あるいは電子書籍のいいところ、
あるいはその悪いところといいますか限界、これをきちっととらまえて教育現場
に的確に利活用していくということが必要だと。
 今の理念をもう一回確認するとともに、こうした技術、新しいサービスという
ものを評価いたしますと、教員に対するサポートとしては、例えば、校務の情報
化、あるいは学習カルテ、学習履歴をきちっと個別の児童生徒に把握をできると
いうことがこれによって可能になっております。
 実は、委員のお一人でもあります愛知県教育委員会の玉置さんという方が小牧
市でこの学習カルテを使われて、保護者にA4で二十ページぐらいの、それぞれ
の子供に対する「いいとこ見つけ」という取り組みを、グループウエアを使って
学校の教職員がその子供のいいところを全部書いておく。そうすると、通知表に
自動的にそれが全部差し込まれて、そして、子供は、担任だけじゃなくていろい
ろな先生から認めてもらったというコメントをフィードバックします。保護者も、
学校がそれだけ自分の子供を見てくれているのかということで非常に安心をして
いただけますし、それから、保護者も教職員も一体となって、それぞれの子供に
カスタマイズした教育というものをプロセスを重要視しながらやっていく、こう
いう取り組み。こうしたことは促進をすることができる。
 それから、児童生徒に対しましては、動画とか三次元のコンピューターグラフ
ィックスとか、アーカイブということが可能になってきます。
 例えば、委員の中にはNHKの方々に入っていただいていますけれども、NH
Kはすばらしいコンテンツを、例えば歴史のコンテンツだとか生命科学のコンテ
ンツだとかを持っているわけでありますが、こうしたことを教師のきちっとした
デザインの中で必要に応じて使っていくということもできますし、あるいは、読
売新聞の方にも入っていただいていますけども、近現代史というのは、読売新聞
だけじゃありませんけれども、日本の歴史の伝統のある新聞社の持っておられる
コンテンツというものを有効に活用していくということは、大変有効だと。
 ただ一方で、小学生の低学年、これは認知科学的にまだ結論は出ていませんけ
れども、小学生の低学年にいきなりデジタルのみというのは、これは慎重にある
べきだと。私個人もそのように思っております。
 まだ電子デバイスというものが発展途上でございますので、アイパッドにしま
しても、かたい二次元の素材でディスプレーとなっていますが、まだ紙あるいは
鉛筆の持っているさまざまな可能性、特に記憶は、これも認知科学的に言います
と、目と耳と手と口と同時に使うということが記憶の定着ということには資する
ということは、これは科学的な知見として共有もされております。
 そういうこともきちっと踏まえながら、小学校の低学年、小学校の高学年、中
学校、高校と、少なくともこの四段階ぐらいにきちっと分けて、どの部分にどう
いったアプローチで児童生徒に対してはやっていくのかということをきちっとこ
の中で議論をしていきたい。
 教員に対する校務情報のサポートあるいは学習履歴の管理、こういうところは
もう少し強化をしていくといったあたりを今議論をさせていただいているという
ところでございます。

○石田(芳)委員 今、鈴木副大臣のお答えを聞いて大変安心しました。まずデ
ジタル教科書というイメージが先に来ちゃうものですから、何か、子供たちがみ
んなコンピューター相手に教育されるようなイメージが先行しちゃいまして大変
心配していますが、今のお話で私はとても納得するところがありました。
 ただ、これから世間に向かっていろいろ心配点があるんですね。そのことにつ
いてちょっと個々に心配点を申し上げてみますので、それについてお答えいただ
きたいと思うんです。
 まず、デジタル教科書というのが最初に先行しちゃったものですから、紙の教
科書はどうなるかという心配がありますね。
 それから二番目は、学習効果、例えばノートを美しくとる、成績のいい子はノ
ートが美しいという知見もあるくらいでして、それから、漢字なんかは手書きを
した方がいいということもありまして、デジタルにすると学習効果が果たしてい
いのか、こういう危惧もありますね。
 それから三番目は、これは医学の立場で子供たちの目に心配はないのか、障害
はないのかということ。
 それから四番目には、教師が指導できるのかと。私は、教師の仕事は、知識を
教えるよりも、むしろ人格の感化力が非常に重要だと思っていますけれどもね。
そんなところがデジタルで心配のあるところ。
 それから、五番目、作家や執筆者の著作権問題、六番目、教科書の検定などが、
若干この問題、この流れについて心配する向きです。
 先ほどの鈴木副大臣のお答えで私は氷解しましたが、でもちょっと心配する向
きがありますので、もう一度、私の疑問点なんかにお答えいただけませんでしょ
うか。

○鈴木副大臣 昨日も第四回の懇談会がありまして、まさに、今の点について非
常にいい議論がなされております。これは生中継もされましたし、また、議事要
旨も公開をもうすぐしてまいりますので詳細はそちらに譲りたいと思いますけれ
ども、貴重な時間でございますので。
 紙の教科書を一切なくせ、こういう御議論も、主張をされる方は、委員の中に
はいらっしゃいませんけれども世の中にはいらっしゃいます。この委員会での議
論の中で紙の教科書をなくせという議論は、少なくとも、さっき申し上げました
ように、小学校などは多分あり得ないというふうに思っております。
 それから、手書き、これは今タブレットPCとかではできるようになっている
わけでありますが、次の技術開発のステージで申し上げますと、電子ペーパーと
いうのが出てまいります。恐らくそのときになりますと、今行っているノートと
鉛筆、こういう状況により近い状況になりますので、この議論はもう少し議論の
動向を見据えながらということでありまして、まさに、手書きの持っている学習
効果というのは極めて高いと先ほど御答弁申し上げたとおりでございますので、
ここも、ノートがなくなるということもないというふうに思っております。
 健康への問題、それから何より大事なのは、やはり教師が、そうした機器をも
含めてノートとPCをどういうふうにうまくそれぞれの特徴を使いながらあわせ
て使うかとか、あるいは、紙の教科書とデジタルのものとどういうふうに使いこ
なすか、そこがまさに教師の力量ということになりますし、また、それに対する
コンテンツというものをどういうふうに選択をしていくのか、さらに、生徒ごと
の学びの関心や学習の状況に応じてカスタマイズをしていくのかということで、
これは教師は大変になります。
 でありますから、これもまた、今、教員の質のあり方について同時並行で議論
を進めているところでございますが、これからの教員養成、それから、今ある方
々の学び直しという中で、しかしまた、きちっときょうの御議論も踏まえてしっ
かり検討してまいりたいと思います。

○石田(芳)委員 わかりました。
 最後に、私、ちょっと持論を主張したいんですが、そして質問ですよ、お答え
いただきたいんですが、今回の教育のデジタル化というのは、私には総務省発み
たいなふうにとれてしようがないんです、総務大臣の原口プランから何か文科省
も乗っていったような。
 それで、今の鈴木副大臣のお答えはまことにわかりやすく明確ですが、やはり、
教育は国の礎だとか教育が原点だとか言うなら、何か総務省の構想に教育界が乗
っていくというような構想ではなくて、文科省から一番哲学みたいなものを発信
して、国家の教育や文化の哲学みたいなものから、ほかの省がそうかと受けて国
をつくるぐらいの、文科省がすべての行政の風上に立つべきだと私は思っており
ます。
 何か、成長戦略のICT産業の成長エンジンに乗るようなイメージに見えてし
ようがないんですが、そこのところを、明確にひとつ違うぞという御発言をいた
だきたいと思っていますが。

○鈴木副大臣 私は、もとよりそのようなつもりでやらせていただいております。
 実は、この問題も、昨年の九月に新しい政権が発足しましてから文部省ではき
ちっと議論し、また、記者会見等々では折に触れて御説明をし、そして概算要求
もし、四月になりましたので、今回、この懇談会をつくらせていただいた。
 そういう意味ではこの問題についても川上に立ち続けてきたつもりでございま
すが、残念ながら、私がまだ無名で発信力がないためにそのような受けとられ方
になっているかと思いますが、ただ、いずれにしてもこの考え方は、総務省にも
原口大臣にも当初からきちっとお伝えをし続けてきております。
 教育の内容についてはもとより文部科学省がきちっとやるべきだということに
ついては、これは原口大臣、総務省の皆さん方もきちっと御理解をいただいてい
て、ただ、それを実現するためのハードの環境あるいはネットワークの環境、こ
の部分は、設置者であります地方自治体で一部地方交付税にお願いをしている部
分もありますので、そういう意味で、両省連携をとりながらやっていこうと。
 つまり、そうしたデジタル化された教材が、電子黒板やPCや、あるいは携帯
情報端末や、そういうところでストレスなく使えるようなそうしたネットワーク
環境、コミュニケーション環境を総務省の方では整備をしていただく、その目標
を掲げて頑張っていただいているということは、これは大変ありがたいことだと
いうふうに思っておりまして、その中であとは、教師が子供に応じて教育学的あ
るいは発達学的観点から適切な対応ができるように、こういうことを今やってい
きたいと思います。
 きょうの御指摘を踏まえて、さらに連携をきちっとしていきたいというふうに
思っております。

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