第189回国会 衆議院 文部科学委員会 会議録(1) 2015/05/202015-05-20

第189回国会 文部科学委員会 第10号
平成二十七年五月二十日(水曜日)

○吉田(宣)委員 公明党の吉田宣弘でございます。早速質問に入らせていただきます。
 本日は菅原財務副大臣にお越しいただいております。お忙しい中を本当にありがとうございます。
 では、早速入らせていただきます。
 先般、財政制度審議会に提出をされました財務省の資料によりますと、その中に、今後の少子高齢化見通しを踏まえて試算をすれば、平成三十六年度までに三万七千七百人の自然減を反映した上で、四千二百十四人の加配定数を合理化したとしても、標準学級当たりの加配教員数は維持されるとの財務省のお考えが示されたようでございます。
 これまでこのようなお考えが示されたことはなかったようではございますが、また、本日は先ほど申し上げました菅原財務副大臣にお越しいただいておりますので、その辺のお考え方について、また、これまでこのようなお考えが示されてはこなかったんですが、今般示されたことの趣旨について、ひとつ教えていただければと思います。
 お願いいたします。
○菅原副大臣 当文科委員会でも議論がされておりますように、教育は未来を担う人材を形成するものでありまして、子供たちの学力、能力、人間性の向上を図ることは、日本の将来にとっても極めて重要な課題であると認識をいたしております。
 一方で、御案内のとおり、日本の財政状況は極めて厳しいものがありまして、教育予算につきましても、重点化、効率化を図りながら、質の向上を目指す工夫が必要であると考えておりまして、今般の財政審におきましては、今、吉田先生がお話しのとおりの、教職員定数の合理化計画、問題提起がされております。
 具体的には、少人数指導などの現在の教育環境を維持することを前提といたしまして、少子化等による基礎定数の自然減、これに加えまして、これから約十年間かけまして、平成三十六年度までに漸次、加配定数を四千二百十四人、合理化が可能であるというような試算が示されました。
 中長期的な教職員定数の合理化の見通しを立てた上で、それを踏まえた、例えばスクールカウンセラーなど外部人材の活用、あるいは、教職員採用を計画的に進めるといった考え方の中で、厳しい財政状況の中にあっても効果的に教育環境を改善できるもの、このように考えております。
○吉田(宣)委員 ありがとうございます。
 ただいま御説明をいただきましたが、この内容について、先ほどの試算はあくまで機械的になしたものだというふうにも一つお聞きをしております。また、基準も、現在の状況を踏まえてこれを将来的に、繰り返しですが、機械的にやったというふうにお聞きをしておりますが、私の理解はそのようなものでよろしいのでしょうか。
○菅原副大臣 教員も人でありますから、機械的という言葉が適切かどうかは別といたしまして、この少人数学級などの現在の教育環境を維持すること、これを前提といたしまして、いわゆる少子化に伴う学級数の減少ということが起きてまいります。そうした試算を示したものでありまして、いわばそういう数字上の試算である、このような御理解をいただければと思います。
 今後とも、この試算を土台として文科省と徹底して議論をしていきたい、このように考えております。
○吉田(宣)委員 ありがとうございます。
 次に文部科学省にお聞きをしたいと思います。
 先ほどの財務省のあのお考えというのは、加配定数を合理化する、すなわち減らしていくというふうな方向性でのお考えかと思っておりますが、そもそもこの加配定数という措置は何ゆえにこのようにとられているのか、その必要性についてお教えいただければと思います。
○小松政府参考人 お答え申し上げます。
 加配定数は、例えば通級指導や、あるいは、いじめ、不登校への対応、貧困による教育格差の解消や外国人児童生徒への日本語指導など、学級数等に応じて算定される基礎定数では対応困難な教育課程に対応するための措置でございます。
 具体的には、今申し上げました通級指導、小中学校の普通学級に在籍をいたしまして、言語障害、学習障害、ADHDなどのお子さんたちを対象に、通級指導教室で学習上あるいは生活上の困難の改善、克服に必要な指導を実施していただく分、あるいはいじめ、不登校対策、これにつきましては、保護者との面談や関係機関との連携、
それから、校内研修会や対策委員会の実施、家庭訪問、別室登校、さまざまな必要がございます。これらに対応する分、それから教育格差の関係につきましては、学力低位層の生徒の個別学習指導計画の作成や学び直し教室の開設、あるいは放課後の学習相談、指導、こういったところに加配の先生方の定数を活用するということが目的となっております。
○吉田(宣)委員 ありがとうございます。
 今御説明をいただいたとおり、加配定数というのは、例えば通級指導である児童さんであったりとか不登校の児童さん、それから、いじめ、そういった児童さんのためにとられている措置だということでございますけれども、数という形になるのでしょうか、これまでの児童さんたちの傾向と、実はふえているとか減っているとか、それからまた、それを踏まえた今後の見通しというふうなことについて文部科学省でどのようにお考えなのかも加えてお聞かせいただければと思います。
○小松政府参考人 数値的傾向というお尋ねでございます。
 直近の十年、平成十六年度からということで見てみますと、不登校児童生徒の割合は、上がったり下がったりというのはあるんですけれども、横ばいでございます。
 これに対しまして、学校での暴力行為の件数は非常にふえておりまして、小学校ですと五倍以上、中学校ですと一・六倍、小学校ですと一万件を超えている、中学校ですと三万七千件ぐらいになっております。
 それからまた、特別支援教育について申し上げますと、通級による指導を受けているお子さんたちが、小学校では倍増、中学校では六・七倍ぐらいになっております。
 特別支援教育につきましては、基礎定数でも、学級の関係によりまして特別支援学級、特別支援学校に在籍する児童生徒数への手当てを行っておりますが、この関係で生徒さんの数を見ますと、小学校、中学校とも一・八倍ぐらいとなっております。
 それから貧困対策につきましては、要保護、準要保護の生徒さんが一・二倍ぐらい、外国人の方々ですと、日本語指導が必要な外国人の方、小学校が一・四倍、中学校が一・五倍ということで、大体全般的に増加が続いております。
 今後の見通しについてお尋ねでございますが、今後もこれらが増加していくことが十分考えられるというふうに考えておりますので、こうした点に対応していくことは必要であろうと考えております。
○吉田(宣)委員 ありがとうございます。
 今の御答弁にもありましたとおり、通級指導を初め、いろいろな、いじめとか暴力行為であったりとか、そういった課題がここ十年程度で明らかにふえているというふうなことのようでございます。
 そもそも論ですけれども、こういった教育課程の増加に比べて加配定数がちょっと追いついていっていないのではないかというふうな御指摘も多々お受けをするところでございますが、この点についてはいかがでしょうか。
○小松政府参考人 ただいま申し上げましたように、お子さんたちの数につきましては、いろいろな問題、課題を抱えていらっしゃる方々がいろいろなふえ方で増加しております。
 加配定数につきましては、同じ直近十年で見ますと一・二倍程度、私どもとしても増加に努めておりますけれども、数としては一・二倍程度という推移でございます。
○吉田(宣)委員 今御説明していただいたとおり、加配を措置する必要性というのは、増加傾向ということもあって、これからもずっとこういった予測が立ってくるのかなというふうに思いますが、その上で、先ほど菅原副大臣のお話にもありましたが、先ほどのあの試算というのは機械的であり、そして、現状というふうな数字を基準にしたものであるというふうに御説明いただきました。
 それを踏まえて、今の加配措置の必要性というものと、それから、今後そういった課題というのが増加していく、また、複雑化していくというふうな点もあるかと思いますけれども、そういった現状を踏まえて、その時々の状況に応じたきめ細やかで柔軟な対応というものを財務省の方にも私はぜひお願いをしたいと思うのですけれども、その点について御所見をお聞かせいただければと思います。
○菅原副大臣 ただいまの吉田委員のお話、大変理解するところであります。
 今般の財政審の議論におきましては、先ほど申し上げたとおり、少人数学級などの現在の教育環境、これを維持することを前提として加配定数の合理化が可能であるという試算を示したものというふうに私どもも捉えております。
 そして、この試算を土台として、増員が必要なのか、さらなる合理化が必要なのか。これは、今後、教育におけるさまざまな状況や、あるいは人口増減、こうした環境に対応しながら、毎年度の予算編成過程で財務省と文科省と協議をしていく、このような基本的な考え方を持っております。
 以上でございます。
○吉田(宣)委員 ありがとうございます。
 本当にこの加配措置の背景にある状況というものがこれからもやはり続いていくのかなというふうにも思いますし、現場の最終的には負担になってまいりますので、ぜひ御配慮いただければと思います。
 さて、今申し上げてきたとおり、学校というものを取り巻くその環境というのは、複雑化、困難化が深まっているというふうな状況でもございます。いろいろな児童さんがいる中で、これからそういった児童さんを立派に育て上げていくということが、やはり国としても大切な施策になっていくのかと私は思っております。
 そういう意味におきましても、今措置されているこの加配定数というのを、単純に少子化というだけの理由で減少させるということではなくて、必要に応じて、場合によっては大幅な増員も含めて、ぜひその時々に応じた対応というものをやはり考えていっていただきたいと私は思っております。
 以上を踏まえまして、下村文部科学大臣から、ぜひその点に関するお受けとめを一言お聞かせいただければと思います。お願いいたします。
○下村国務大臣 財務省の考え方は、子供の数が減っているので、それに合わせて教員の数を正比例して減らすというのは当然だという机上の計算をされているわけでありますが、そうでないということに対して詳しく文科省の方からも、資料等を含めながら財務省に説明をしていきたいと思っておりますが、まず一つは、やはり世の中が、
今まで高度経済成長のときのような工業化社会で、一クラス四十人でも五十人でも先生が一方的に教えて、暗記、記憶をすればいいという時代がもう終わって、情報化社会の中で多様な能力をどう引き出すかということを考えると、一クラス五十人、六十人のパッケージのような一方通行の教育ではそもそももう成り立たないという、時代が変わってきているというのが一つあると思います。
 それからもう一つは、今提案されましたように、なぜ加配が必要なのかというのは、前から比べて、先ほどデータも申し上げましたが、いじめとか不登校がやはりふえている。また、通級指導や貧困による教育格差がふえている。教育現場の抱える深刻な問題がたくさんある。日本は世界で一番教師の多忙感もある。そういう状況があります。
 文科省としては、それらの対応をしていくために、教育課題を解決するためには、大幅に教員の数をふやしていくことによって、きめ細やかな対応をしていく必要がある。
 それから、グローバル社会に対応するために、主体的、協働的な学びであるアクティブラーニングを実施するための指導体制、これは一クラス四十人とかではできません。その半分ぐらいにはしないとアクティブラーニングはできないということになると、教員の数も当然そういうことでも必要になってくるということでありまして、
今までの延長線上で日本の社会が続くわけではありませんから、社会の状況に応じた、また、今現在における困難な教育現場の状況に応じてきめ細かく教員を対応するということが、結果的には、日本の社会のその先の豊かさ、教育というのは未来に対する先行投資だと思いますので、それをぜひ財務省に理解してもらうように、しっかり、資料等をつくりながら対応してまいりたいと思います。

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