障がい者制度改革推進会議 資料 障害者基本法の改正について(案) 2011/04/262011-04-26

http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/sougoufukusi/2011/04/dl/0426-1b09_01.pdf
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/sougoufukusi/2011/04/txt/0426-1b09_03.txt

総合福祉部会 第13回 H23.4.26 参考資料9

障がい者制度改革推進会議 第31回(H23.4.18) 資料1

障害者基本法の改正について(案)障害者基本法改正案

第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人
権を享有する個人として尊重されるものであるとの理念にのつとり、全ての国民
が、障害の有無によつて分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合
いながら共生する社会を実現するため、障害者の自立及び社会参加の支援等のた
めの施策に関し、基本原則を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにす
るとともに、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策の基本となる事項
を定めること等により、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合
的かつ計画的に推進することを目的とする。

(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号
に定めるところによる。
一 障害者 身体障害、知的障害、精神障害その他の心身の機能の障害(以下
「障害」と総称する。)がある者であつて、障害及び社会的障壁により継続的に
日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。
二 社会的障壁 障害がある者にとつて日常生活又は社会生活を営む上で障壁と
なるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。

(地域社会における共生等)
第三条 第一条に規定する社会の実現は、全ての障害者が、障害者でない者と等
しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさ
わしい生活を保障される権利を有することを前提としつつ、次に掲げる事項を旨
として図られなければならない。
一 全て障害者は、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる
分野の活動に参加する機会が確保されること。
二 全て障害者は、可能な限り、どこで誰と生活するかについての選択の機会が
確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと。
三 全て障害者は、可能な限り、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のため
の手段についての選択の機会が確保されるとともに、情報の取得又は利用のため
の手段についての選択の機会の拡大が図られること。

(差別の禁止)
第四条 何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権
利利益を侵害する行為をしてはならない。
2 社会的障壁の除去は、それを必要としている障害者が現に存し、かつ、その
実施に伴う負担が過重でないときは、それを怠ることによつて前項の規定に違反
することとならないよう、その実施について必要かつ合理的な配慮がされなけれ
ばならない。
3 国は、第一項の規定に違反する行為の防止に関する啓発及び知識の普及を図
るため、当該行為の防止を図るために必要となる情報の収集、整理及び提供を行
うものとする。

(国際的協調)
第五条 第一条に規定する社会の実現は、そのための施策が国際社会における取
組と密接な関係を有していることに鑑み、国際的協調の下に図られなければなら
ない。

(国及び地方公共団体の責務)
第六条 国及び地方公共団体は、第一条に規定する社会の実現を図るため、前三
条に定める基本原則(以下「基本原則」という。)にのつとり、障害者の自立及
び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に実施する責務を有する。

(国民の理解)
第七条 国及び地方公共団体は、基本原則に関する国民の理解を深めるよう必要
な施策を講じなければならない。

(国民の責務)
第八条 国民は、基本原則にのつとり、第一条に規定する社会の実現に寄与する
よう努めなければならない。

(障害者週間)
第九条 国民の間に広く基本原則に関する関心と理解を深めるとともに、障害者
が社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加することを促進するため、
障害者週間を設ける。
2 障害者週間は、十二月三日から十二月九日までの一週間とする。
3 国及び地方公共団体は、障害者の自立及び社会参加の支援等に関する活動を
行う民間の団体等と相互に緊密な連携協力を図りながら、障害者週間の趣旨にふ
さわしい事業を実施するよう努めなければならない。

(施策の基本方針)
第十条 障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策は、障害者の性別、年
齢、障害の状態及び生活の実態に応じて、かつ、有機的連携の下に総合的に、策
定され、及び実施されなければならない。
2 国及び地方公共団体は、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を
講ずるに当たつては、障害者その他の関係者の意見を聴き、その意見を尊重する
よう努めなければならない。

(障害者基本計画等)
第十一条 政府は、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策の総合的か
つ計画的な推進を図るため、障害者のための施策に関する基本的な計画(以下
「障害者基本計画」という。)を策定しなければならない。
2 都道府県は、障害者基本計画を基本とするとともに、当該都道府県における
障害者の状況等を踏まえ、当該都道府県における障害者のための施策に関する基
本的な計画(以下「都道府県障害者計画」という。)を策定しなければならない。
3 市町村は、障害者基本計画及び都道府県障害者計画を基本とするとともに、
地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第四項の基本構想に即し、か
つ、当該市町村における障害者の状況等を踏まえ、当該市町村における障害者の
ための施策に関する基本的な計画(以下「市町村障害者計画」という。)を策定
しなければならない。
4 内閣総理大臣は、関係行政機関の長に協議するとともに、障害者政策委員会
の意見を聴いて、障害者基本計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければなら
ない。
5 都道府県は、都道府県障害者計画を策定するに当たつては、第三十四条第一
項の合議制の機関の意見を聴かなければならない。
6 市町村は、市町村障害者計画を策定するに当たつては、第三十四条第四項の
合議制の機関を設置している場合にあつてはその意見を、その他の場合にあつて
は障害者その他の関係者の意見を聴かなければならない。
7 政府は、障害者基本計画を策定したときは、これを国会に報告するとともに、
その要旨を公表しなければならない。
8 第二項又は第三項の規定により都道府県障害者計画又は市町村障害者計画が
策定されたときは、都道府県知事又は市町村長は、これを当該都道府県の議会又
は当該市町村の議会に報告するとともに、その要旨を公表しなければならない。
9 第四項及び第七項の規定は障害者基本計画の変更について、第五項及び前項
の規定は都道府県障害者計画の変更について、第六項及び前項の規定は市町村障
害者計画の変更について準用する。

(法制上の措置等)
第十二条 政府は、この法律の目的を達成するため、必要な法制上及び財政上の
措置を講じなければならない。

(年次報告)
第十三条 政府は、毎年、国会に、障害者のために講じた施策の概況に関する
報告書を提出しなければならない。

第二章 障害者の自立及び社会参加の支援等のための基本的施策
医療、介護等)
第十四条 国及び地方公共団体は、障害者が生活機能を回復し、取得し、又は維
持するために必要な医療の給付及びリハビリテーションの提供を行うよう必要な
施策を講じなければならない。
2 国及び地方公共団体は、前項に規定する医療及びリハビリテーションの研究、
開発及び普及を促進しなければならない。
3 国及び地方公共団体は、障害者が、その性別、年齢、障害の状態及び生活の
実態に応じ、医療、介護、生活支援その他自立のための適切な支援を受けられる
よう必要な施策を講じなければならない。
4 国及び地方公共団体は、第一項及び前項に規定する施策を講ずるために必要
な専門的技術職員その他の専門的知識又は技能を有する職員を育成するよう努め
なければならない。
5 国及び地方公共団体は、医療若しくは介護の給付又はリハビリテーションの
提供を行うに当たつては、障害者が、可能な限りその身近な場所においてこれら
を受けられるよう必要な施策を講ずるものとするほか、その人権を十分に尊重し
なければならない。
6 国及び地方公共団体は、福祉用具及び身体障害者補助犬の給付又は貸与その
他障害者が日常生活及び社会生活を営むのに必要な施策を講じなければならない。
7 国及び地方公共団体は、前項に規定する施策を講ずるために必要な福祉用具
の研究及び開発、身体障害者補助犬の育成等を促進しなければならない。

(年金等)
第十五条 国及び地方公共団体は、障害者の自立及び生活の安定に資するため、
年金、手当等の制度に関し必要な施策を講じなければならない。

(教育)
第十六条 国及び地方公共団体は、障害者が、その年齢及び能力に応じ、かつ、
その特性を踏まえた十分な教育が受けられるようにするため、可能な限り障害者
である児童及び生徒が障害者でない児童及び生徒と共に教育を受けられるよう配
慮しつつ、教育の内容及び方法の改善及び充実を図る等必要な施策を講じなけれ
ばならない。
2 国及び地方公共団体は、障害者である児童及び生徒と障害者でない児童及び
生徒との交流及び共同学習を積極的に進めることによつて、その相互理解を促進
しなければならない。
3 国及び地方公共団体は、障害者の教育に関し、調査及び研究並びに人材の確
保及び資質の向上、学校施設の整備その他の環境の整備を促進しなければならな
い。

(療育)
第十七条 国及び地方公共団体は、障害者である子どもが可能な限りその身近な
場所において療育その他これに関連する支援を受けられるよう必要な施策を講じ
なければならない。

(職業相談等)
第十八条 国及び地方公共団体は、障害者の職業選択の自由を尊重しつつ、障害
者がその能力に応じて適切な職業に従事することができるようにするため、障害
者の多様な就業の機会を確保するよう努めるとともに、個々の障害者の特性に配
慮した職業相談、職業指導、職業訓練及び職業紹介の実施その他必要な施策を講
じなければならない。
2 国及び地方公共団体は、障害者の多様な就業の機会の確保を図るため、前項
に規定する施策に関する調査及び研究を促進しなければならない。
3 国及び地方公共団体は、障害者の地域社会における作業活動の場及び障害者
の職業訓練のための施設の拡充を図るため、これに必要な費用の助成その他必要
な施策を講じなければならない。

(雇用の促進等)
第十九条 国及び地方公共団体は、国及び地方公共団体並びに事業者における障
害者の雇用を促進するため、障害者の優先雇用その他の施策を講じなければなら
ない。
2 事業主は、障害者の雇用に関し、その有する能力を正当に評価し、適切な雇
用の機会を確保するとともに、個々の障害者の特性に応じた適正な雇用管理を行
うことによりその雇用の安定を図るよう努めなければならない。
3 国及び地方公共団体は、障害者を雇用する事業主に対して、障害者の雇用の
ための経済的負担を軽減し、もつてその雇用の促進及び継続を図るため、障害者
が雇用されるのに伴い必要となる施設又は設備の整備等に要する費用の助成その
他必要な施策を講じなければならない。

(住宅の確保)
第二十条 国及び地方公共団体は、障害者が地域社会において安定した生活を営
むことができるようにするため、障害者のための住宅を確保し、及び障害者の日
常生活に適するような住宅の整備を促進するよう必要な施策を講じなければなら
ない。

(公共的施設のバリアフリー化)
第二十一条 国及び地方公共団体は、障害者の利用の便宜を図ることによつて障
害者の自立及び社会参加を支援するため、自ら設置する官公庁施設、交通施設そ
の他の公共的施設について、障害者が円滑に利用できるような施設の構造及び設
備の整備等の計画的推進を図らなければならない。
2 交通施設その他の公共的施設を設置する事業者は、障害者の利用の便宜を図
ることによつて障害者の自立及び社会参加を支援するため、当該公共的施設につ
いて、障害者が円滑に利用できるような施設の構造及び設備の整備等の計画的推
進に努めなければならない。
3  国及び地方公共団体は、前二項の規定により行われる公共的施設の構造及
び設備の整備等が総合的かつ計画的に推進されるようにするため、必要な施策を
講じなければならない。
4  国、地方公共団体及び公共的施設を設置する事業者は、自ら設置する公共
的施設を利用する障害者の補助を行う身体障害者補助犬の同伴について障害者の
利用の便宜を図らなければならない。

(情報の利用におけるバリアフリー化等)
第二十二条 国及び地方公共団体は、障害者が円滑に情報を取得し及び利用し、
その意思を表示し、並びに他人との意思疎通を図ることができるようにするため、
障害者が利用しやすい電子計算機及びその関連装置その他情報通信機器の普及、
電気通信及び放送の役務の利用に関する障害者の利便の増進、障害者に対して情
報を提供する施設の整備等が図られるよう必要な施策を講じなければならない。
2 国及び地方公共団体は、災害その他非常の事態の場合に障害者に対しその安
全を確保するため必要な情報が迅速かつ的確に伝えられるよう必要な施策を講ず
るものとするほか、行政の情報化及び公共分野における情報通信技術の活用の推
進に当たつては、障害者の利用の便宜が図られるよう特に配慮しなければならな
い。
3 電気通信及び放送その他の情報の提供に係る役務の提供並びに電子計算機及
びその関連装置その他情報通信機器の製造等を行う事業者は、当該役務の提供又
は当該機器の製造等に当たつては、障害者の利用の便宜を図るよう努めなければ
ならない。

(相談等)
第二十三条 国及び地方公共団体は、障害者及びその家族その他の関係者に対す
る相談業務、成年後見制度その他の障害者の権利利益の保護等のための施策又は
制度が、適切に行われ又は広く利用されるようにしなければならない。

(経済的負担の軽減)
第二十四条 国及び地方公共団体は、障害者及び障害者を扶養する者の経済的負
担の軽減を図り、又は障害者の自立の促進を図るため、税制上の措置、公共的施
設の利用料等の減免その他必要な施策を講じなければならない。

(文化的諸条件の整備等)
第二十五条 国及び地方公共団体は、障害者が円滑に文化活動、スポーツ又はレ
クリエーションを行うことができるようにするため、施設、設備その他の諸条件
の整備、文化、スポーツ等に関する活動の助成その他必要な施策を講じなければ
ならない。

(選挙等における配慮)
第二十六条 国及び地方公共団体は、法律又は条例の定めるところにより行われ
る選挙、国民審査又は投票において、障害者が円滑に投票できるようにするため、
投票所の施設又は設備の整備その他必要な施策を講じなければならない。

(司法手続における配慮等)
第二十七条 国又は地方公共団体は、障害者が、刑事事件若しくは少年の保護事
件に関する手続その他これに準ずる手続の対象となつた場合又は裁判所における
民事事件、家事事件若しくは行政事件の当事者その他の関係人となつた場合にお
いて、障害者がその権利を円滑に行使できるようにするため、個々の障害者の特
性に応じた意思疎通の手段を確保するよう配慮するとともに、関係職員に対する
研修その他必要な施策を講じなければならない。

(国際協力)
第二十八条 国は、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を国際的協
調の下に推進するため、外国政府、国際機関又は関係団体等との情報の交換その
他必要な施策を講ずるように努めるものとする。

第三章 障害の原因となる傷病の予防に関する基本的施策
第二十九条 国及び地方公共団体は、障害の原因となる傷病及びその予防に関す
る調査及び研究を促進しなければならない。
2 国及び地方公共団体は、障害の原因となる傷病の予防のため、必要な知識の
普及、母子保健等の保健対策の強化、当該傷病の早期発見及び早期治療の推進そ
の他必要な施策を講じなければならない。
3 国及び地方公共団体は、障害の原因となる難病等の予防及び治療が困難であ
ることに鑑み、障害の原因となる難病等の調査及び研究を推進するとともに、難
病等に係る障害者に対する施策をきめ細かく推進するよう努めなければならない。

第四章 障害者政策委員会等
(障害者政策委員会の設置)
第三十条 内閣府に、障害者政策委員会(以下「政策委員会」という。)を置く。
2 政策委員会は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 障害者基本計画に関し、第十一条第四項(同条第九項において準用する場合
を含む。)に規定する事項を処理すること。
二 前号に規定する事項に関し、調査審議し、必要があると認めるときは、内閣
総理大臣又は関係各大臣に対し、意見を述べること。
三 障害者基本計画の実施状況を監視し、必要があると認めるときは、内閣総理
大臣又は内閣総理大臣を通じて関係各大臣に勧告すること。
3 内閣総理大臣又は関係各大臣は、前項第三号の規定による勧告に基づき講じ
た施策について政策委員会に報告しなければならない。

(政策委員会の組織及び運営)
第三十一条 政策委員会は、委員三十人以内で組織する。
2 政策委員会の委員は、障害者、障害者の自立及び社会参加に関する事業に従
事する者並びに学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する。この場
合において、委員の構成については、政策委員会が様々な障害者の意見を聴き障
害者の実情を踏まえた調査審議を行うことができることとなるよう、配慮されな
ければならない。
3 政策委員会の委員は、非常勤とする。

第三十二条 政策委員会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めると
きは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の表明、説明その他必要な協
力を求めることができる。
2 政策委員会は、その所掌事務を遂行するため特に必要があると認めるときは、
前項に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。

第三十三条 前二条に定めるもののほか、政策委員会の組織及び運営に関し必要
な事項は、政令で定める。

(都道府県等における合議制の機関)
第三十四条 都道府県(地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以
下「指定都市」という。)を含む。以下同じ。)に、次に掲げる事務を処理する
ため、審議会その他の合議制の機関を置く。
一 都道府県障害者計画に関し、第十一条第五項(同条第九項において準用する
場合を含む。)に規定する事項を処理すること。
二 当該都道府県における障害者に関する施策の総合的かつ計画的な推進につい
て必要な事項を調査審議し、及びその施策の実施状況を監視すること。
三 当該都道府県における障害者に関する施策の推進について必要な関係行政機
関相互の連絡調整を要する事項を調査審議すること。
2 前項の合議制の機関の委員の構成については、当該機関が様々な障害者の意
見を聴き障害者の実情を踏まえた調査審議を行うことができることとなるよう、
配慮されなければならない。
3 前項に定めるもののほか、第一項の合議制の機関の組織及び運営に関し必要
な事項は、条例で定める。
4 市町村(指定都市を除く。)は、条例で定めるところにより、次に掲げる事
務を処理するため、審議会その他の合議制の機関を置くことができる。
一 市町村障害者計画に関し、第十一条第六項(同条第九項において準用する場
合を含む。)に規定する事項を処理すること。
二 当該市町村における障害者に関する施策の総合的かつ計画的な推進について
必要な事項を調査審議し、及びその施策の実施状況を監視すること。
三 当該市町村における障害者に関する施策の推進について必要な関係行政機関
相互の連絡調整を要する事項を調査審議すること。
5 第二項及び第三項の規定は、前項の規定により合議制の機関が置かれた場合
に準用する。

文部科学省 「教育の情報化ビジョン」の公表について 2011/04/282011-04-28

http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/04/1305484.htm

関係報道資料
○「学校教育の情報化に関する懇談会」の開催
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/22/04/1292706.htm
○学校教育の情報化に関する懇談会(本懇談会の議事概要及び配布資料等)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/1292783.htm
○「教育の情報化ビジョン」(骨子)の公表
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/22/08/1297089.htm

公表資料
教育の情報化ビジョン (PDF:1123KB)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/04/__icsFiles/afieldfile/2011/04/28/1305484_01_1.pdf
教育の情報化ビジョン【概要】 (PDF:273KB)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/04/__icsFiles/afieldfile/2011/04/28/1305484_02_1.pdf
教育の情報化ビジョン 附属資料 (PDF:833KB)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/04/__icsFiles/afieldfile/2011/04/28/1305484_03_1.pdf
教育の情報化ビジョン 参考資料(はじめに、第一章、第二章) (PDF:822KB)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/04/__icsFiles/afieldfile/2011/04/28/1305484_04_1.pdf
教育の情報化ビジョン 参考資料(第三章、第五章、第六章) (PDF:1344KB)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/04/__icsFiles/afieldfile/2011/04/28/1305484_05_1.pdf
教育の情報化ビジョン 関連資料 (PDF:935KB)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/04/__icsFiles/afieldfile/2011/04/28/1305484_06_1.pdf

お問い合わせ先
生涯学習政策局参事官(学習情報政策担当)付
情報政策室長 増子 則義、教育情報施策調整係 馬渡 寛子
電話番号:03-5253-4111(代表)(内線2940、2085)
メールアドレス:gakusyu@mext.go.jp

教育の情報化ビジョン 第4章特別支援教育における情報通信技術の活用 2011/04/282011-04-28

http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/04/__icsFiles/afieldfile/2011/04/28/1305484_01_1.pdf

第四章 特別支援教育における情報通信技術の活用

(障害の状態、特性等に応じた留意点)
○ 特別な支援を必要とする子どもたちについては、それぞれの障害の状態や程
度、必要とされる特別な支援の内容などが一人一人異なっている。子どもたちの
障害としては、視覚障害、聴覚障害、知的障害、肢体不自由、病弱・身体虚弱、
言語障害、情緒障害、発達障害(学習障害、注意欠陥多動性障害、自閉症等)な
どがある。
○ 第一章で述べたように、情報通信技術は、特別な支援を必要とする子どもた
ちにとって、障害の状態や特性等に応じて活用することにより、各教科や自立活
動等の指導において、その効果を高めることができる点で極めて有用である。特
別支援教育における情報通信技術の活用に当たっては、障害の状態や特性等に応
じて、例えば以下の点に留意することが重要である。
○ 発達障害のある子どもたちについては、情報機器に強く興味・関心を示す者
もいる。
このような子どもたちには、学習意欲を引き出したり注意集中を高めたりするた
めに情報通信技術を活用することが考えられる。例えば、学習障害のある子ども
たちの中には認知処理の偏りのため文字を読むことが困難な者がいる。そのよう
な場合、情報通信技術によりその偏りや苦手さを補ったり、得意な処理を伸ばし
たりするなどの活用も考えられる。
○ 視覚障害のある子どもたちについては、読みにくい画面の情報を文字の拡大
やレイアウトの変更、色調の調節等で補うとともに、視覚から得られない情報を
聴覚や触覚などの代替手段を使って補うなどの工夫を行うことが重要である。ま
た、視覚障害のある子どもたちの学習を支援するために拡大教科書の発行が進め
られているが51、一人一人の視覚障害の状態に応じて文字の拡大等の調整を行う
ことができるデジタル教科書・教材等も活用することにより、その支援を充実し
ていくことも重要である。
聴覚障害のある子どもたちについては、適切に聴覚活用を図りつつ、視覚等の他
の感覚器官の情報に置き換えて情報を伝達したりするなどの工夫を行うことが重
要である。知的障害のある子どもたちについては、使いやすい支援機器や理解の
程度に応じたコンテンツの選択を行うことが重要である。肢体不自由のある子ど
もたちについては、適切な支援機器の適用ときめ細かなフィッティングの努力が
重要である52。
○ また、病弱者である子どもたちについては、生活体験が不足しがちであった
り、学校に通えなかったり、学校に通えても学習活動に制約を受けたりする場合
もある。このため、実際に行うことが難しい観察や実験の補助としてパソコン等
を使った擬似的体験を行ったり、インターネットや電子メール、テレビ会議シス
テム、ウェブ会議システム等の活用を通じたコミュニケーションの維持・拡大等
を行ったりするようにすることも重要である53。

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51 拡大教科書は、教科書発行者の努力により、平成23年3月時点で、小学校段階
で280点、中学校段階で99点、高等学校段階で38点が発行されている。高等学校
段階については特別支援学校(視覚障害)高等部において使用されている検定済
教科書のほとんどについて拡大教科書が発行されているが、高等学校において使
用されている検定済教科書は、点数が多く、1点当たりの需要が少ないため、拡
大教科書の発行が少ないことが課題となっている。

52 複数の障害を併せ有する子どもたちや重度の障害のある子どもたちについて
は、意思の表出や外界の情報の収集が特に困難な場合がある。このため、障害の
特性に応じた支援技術を組み合わせたり個々に工夫したりするなど、他者とのコ
ミュニケーションを豊かにするための支援が重要である。

○ 以上のような情報通信技術の活用については、これまでの特別支援学校にお
ける取組の実績・成果を踏まえつつ、デジタル教科書・教材等を活用した実証研
究を通じて、これを更に充実・発展させることにより、今後の小学校、中学校等
におけるこれらの障害のある子どもたちの学習にとっても、有効かつ重要なツー
ルを提供しうるものと期待される。また、実証研究等の成果を生かして、関係者
への指導事例の提供とともに、条件整備の拡大を図っていくことも重要である。
○ 文部科学省では、「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普
及の促進等に関する法律」を踏まえ、発達障害を含む障害のある子どもたちのた
めに、教科用特定図書等を作成するボランティア団体等に対して、教科書デジタ
ルデータを提供するなどの支援を行っている。また、発達障害等の子どもたちの
障害の特性に応じた教材等の在り方やこれらを活用した効果的な指導方法や教育
効果等について実証研究に取り組んでいる54。これらの取組を通して、障害のあ
る子どもたちの学びを一層支援することが必要である。さらに、今後、紙媒体の
教科書のテキストデータ等を提供することについても検討する必要がある。
○ デジタル教科書・教材については、障害の状態や特性等に応じた様々な機能
のアプリケーションの開発が必要である。また、情報端末等については、特別な
支援を必要とする子どもたちにとっての基本的なアクセシビリティ55を保証でき
ることが必要である。今後、デジタル教科書・教材や情報端末等を活用した実証
研究を行い、その整備を図る際には、障害の状態や特性等に応じて、例えば、図
表4に示すような配慮や工夫を行うことが期待される。

(関係機関との連携)
○ 特別支援教育においては、一人一人の学習の目標・状況等を教員間で共有す
ることや、学校と家庭、地域や、医療、福祉、保健、労働等の関係機関との連携
を密にすることが求められ、その際には情報通信技術を活用することが有効であ
る。こうした取組を充実することは、一人一人の教育的ニーズに応じたきめ細か
い指導・支援を行うための個別の指導計画及び教育支援計画のより効果的・効率
的な作成・活用にも寄与するものと期待される。また、国において特別支援教育
における情報通信技術の活用を検討するに当たっては、独立行政法人国立特別支
援教育総合研究所と密接に連携し、その研究成果を生かすことが重要である56。

----------------
53 このような情報通信技術の活用は、不登校の子どもたちの指導にも有効であ
ると考えられる。

54 発達障害に対応した調査研究として、デジタル教科書の備えるべき機能、電
子ファイルのフォーマット、製作・流通・保管方法等について、国際規格である
デジタル録音図書のDAISY(デイジー)を用いた研究、学校現場において読みに
困難のある児童生徒がパソコン等の支援技術(AT : Assistive Technology)を活
用するための具体的な方策についての研究、読み書き障害のある児童生徒が聴覚
から学習ができる音声合成ソフトウェアの開発・活用についての研究を実施して
いる。

55 障害者を含む誰もが、情報機器やソフトウェア等に支障なくアクセスでき利
用できること。

56 同研究所は、特別支援教育のナショナルセンターとして、主として実際的な
研究を総合的に実施するとともに、特別支援教育関係職員に対する専門的、技術
的な研修等を行っている。例えば、教育の情報化に関しては、情報化及び教育支
援機器に関する中長期的展望に立った研究を推進するとともに、障害のある子ど
もたちの教育を担当する教職員に対して情報手段の活用等について研修を行って
いる。

図表4:特別な支援を必要とする子どもたち向けのデジタル教科書・教材等にお
いて付加することが期待される機能の例

・速度調整が可能な読み上げ機能に加え、画面上で読み上げの位置をハイライト
することにより示したり、必要な情報のみに制限したりする機能。(読み上げ機
能については、ソフトの高品質・高精度化を図り、誰もが利用できる形であるこ
とが期待される。)
・背景色や文字色を調節する機能
・文字の拡大、フォントの変更及びそれに伴い行間を拡大する機能
・文字に振り仮名を付ける機能
・文節や単語等で区切る機能
・文字に動画や静止画、音声を関連付けられる機能

(留意点)
・ デジタル教科書・教材の機能は、複合的に使用できることが望ましい。
・ 教員が子どもの読み方の特性を踏まえてレイアウトなどを簡単に調整できる
ような工夫を施すなど、障害のある子どもの読みやすさにも配慮したコンテンツ
の作成に努めることも重要である。障害種によってはその内容にイラストや写真、
キャラクターを取り入れることなどにより、学習意欲を喚起する効果も期待され
る。
・ 通常のキーボード入力が難しい場合に、特殊なキーボードやジョイスティッ
ク、各種センサーを利用したスィッチ、手書き入力装置などの入力支援装置(ソ
フトウェアにおいても機能するようにする必要がある)を活用できるようにする
ことが期待される。
・ 文字の拡大やフォントの変更、文字色の調節など文字表示に関する機能につ
いては、教員が障害の状態等を的確に把握した上で、子どもたち個々にカスタマ
イズを行い、そのカスタマイズ情報をもとに、必要に応じてあらゆるページの表
示を同様に変更できるようにすることも効率的である。
・ 文字に動画や静止画、音声を関連付けられる機能については、障害により生
活体験等が不足している場合、関連する動画等を適宜参照できるようにすること
で、子どもたちの学習の理解促進に効果が期待される。