[プレスリリース] WIPO 歴史的な条約を採択。世界の視覚障害者の書籍へのアクセスを加速。2013-07-05

http://www.wipo.int/about-wipo/ja/offices/japan/news/2013/news_0036.html

[プレスリリース]
歴史的な条約を採択。世界の視覚障害者の書籍へのアクセスを加速。

マラケシュ/ジュネーブ、2013年6月27日
PR/2013/741

ビデオ
http://www.wipo.int/export/sites/www/multimedia/en/dc2013/marrakesh_dc_adoption.swf

世界知的所有権機関(World Intellectual Property Organization : WIPO)の下
で国際交渉官たちは、本日、何億人もの盲人、視 覚障害者そして読字障害者の
利益のために書籍へのアクセスを加速する画期的な新条約を採択しました。

モロッコのマラケシュに参集した交渉官たちの間の一週間以上に及ぶ集中的な議
論の後に採択された条約は、盲人、視覚障害者及び読字障害者の点字、大活字及
びオーディオ書籍といった形式の出版物へのアクセスを改善することに関する長
年の作業の集大成です。

「条約は、盲人、視覚障害者及び読字障害者にとっての勝利です。しかし、多国
間制度にとっての勝利でもあります。この条約によって、国際社会は特定の問題
を解決し、全会一致で合意できるということを証明しました。これはバランスの
取れた条約であり、様々な利害関係者の種々の関心についてのとても良い調整を
示しています。」とWIPO事務局長フランシス・ガリは述べました。

更にガリ事務局長は「これは視覚障害者にとって真の利益をもたらす歴史的条約
です。」と話しました。

音楽界の巨匠スティーヴィー・ワンダーが6月28日金曜日に、モロッコ王国によ
って交渉官たちが迎えられたマラケシュのパレ・デ・コングレにおけるコンサー
トで交渉官たちと祝福をします。

「勝者も敗者もいません。これはすべての人のための条約なのです。」モロッコ
の通信大臣兼政府報道官であり、この条約の採択を示す小槌をたたいたMustapha
Khalfi氏は語り、次 のように続けました。「7人の聖者の町と呼ぶここマラケ
シュでの恩恵と皆様すべてのおかげで、私たちは『マラケシュの奇跡』と呼べる
ものを達成することが出来ました。」

WIPOの186の加盟国から600人以上の交渉官が集まり、WIPOは視覚障害者及び読字
障害者による出版物へのアクセスを促進するための条約成立のための外交会議を
6月18日に開催しました。会 議は公式には2013年6月28日終了予定です。

盲人、視覚障害者及び読字障害者の出版物へのアクセス促進のためのマラケシュ
条約と呼ばれる条約は、著作権者の権利の制限または例外を通じて、アクセス可
能な形式の出版物の複製、頒布、および提供を許諾するような国内法を採用する
ことを加盟国に要請することによって「書籍飢饉」に対処するものです。

条約はまた、盲人、視覚障害者及び読字障害者のための組織によってこれらのア
クセス可能な形式の作品の国境を越えたやり取りを提供します。条約は、これら
の機関が国境を越えて運営できるように、権利の制限または例外を調和します。
アクセス可能な作品のこの共有は入手可能な作品の全体数を増やします。なぜな
ら重複作業を排除し、効率が向上するからです。5カ国が同じ作品のアクセス可
能なものを作成する代わりに、5カ国はそれぞれ異なる作品のアクセス可能なも
のを作成し、それらは各国で共有が可能です。

現在、どのような制限と例外を定義するかは各国政府に委ねられています。実際
には、国内法での制限と例外は広く異なります。多くの国では私的利用のための
複製は自由ですが、ごくわずかの国が例えば遠隔学習のための例外を設けている
に過ぎません。更に、そのような免除は当該国のみに適用されます。

この条約はまた、著者や出版社に対して、この制度が彼らの出版物を悪用したり、
意図された受益者以外の誰かに頒布されるようなことがないような保証を提供す
ることも目的としています。条約は、制限または例外に基づいて作成された作品
の国境を越えた共有は、著作物の通常の利用と抵触せず、著作権者の正当な利益
を不当に損なうことのないような一定の特殊事例に限定されなければならないと
の要件を繰り返しています。

条約は、国境を越えたやり取りを発展させるために加盟国間での協力を求めてい
ます。各国は、出来る限り速やかに出版物の入手可能性を向上させることに尽力
し、こ のような協力は目的達成に向けての重要な一歩になるでしょう。

条約は、各国代表団によって金曜日に署名されます。条約の条項に拘束されるこ
とに同意する20のWIPO加盟国の批准の後、効力が発生します。

背景

世界保健機関によれば、世界中の盲人および視覚障害者の数は3.14億人を超えて
いて、そのうちの90パーセントは開発途上国に居住しています。2006年のWIPOの
調査では、例えば著作権で保護された原文の点字、大活字刷、あるいはデジタル
化された音声版といった視覚障害者のための特別な条項となる制限または例外を
著作権法に書き入れている国の数は60に満たないことが判明しています。

さらに、著作権法はその存在する国における「属地的」なものですので、アクセ
スが可能な形式に変換された作品の輸入あるいは輸出は、類似の規則を持つ国の
間でさえも、これらの免除でカバーされないことが普通です。各国における機関
は、国境を越えて特別な形式のものをやりとりするライセンスについて著作権者
と交渉したり、又は自ら素材を作成したりしなければなりませんが、これがすべ
ての印刷物への視覚障害者のアクセスを厳しく制限する特別に費用のかかる作業
なのです。

世界盲人連合によりますと、毎年世界中で出版される百万冊程度の書籍のうち、
視覚障害者がアクセスできる形式で手に入れられるのは、5パーセントにも満た
ないとのことです。

更なる情報については、WIPOのメディア関係セクションにお問い合わせ下さい。

Tel: (+41 22) - 338 81 61 / 338 72 24
Fax: (+41 22) - 338 81 40
E-mail http://www.wipo.int/contact/en/area.jsp?area=publicinfo

障害者差別解消法 Q&A - 川島聡 SYNODOS 2013年07月01日 07:302013-07-05

http://blogos.com/article/65413/

【法律の動向】
Q1 「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(障害者差別解消法)
をめぐる動向は、どのようなものですか?
障害者差別解消法案は内閣府を中心に作成されました。その作成時には、内閣
府差別禁止部会が2年ほど議論を重ねて作成した意見(2012年9月14日)がふま
えられました。この差別禁止部会は、障害者団体代表、障害当事者、新聞社の
論説委員、作家、弁護士、研究者など、さまざまな人々から構成されました。
オブザーバーとして、日本経済団体連合会、日本商工会議所の代表が参加しま
した。

2013年4月26日の閣議決定によって、障害者差別解消法案は国会に上程されまし
た。法案は衆議院では、5月29日に内閣委員会(衆内閣委)で可決され、5月31
日に本会議で可決されました。そして参議院では、6月18日に内閣委員会(参内
閣委)で可決され、6月19日に本会議で可決されて、原案のまま成立しました。
なお、衆内閣委と参内閣委で、それぞれ附帯決議が採択されました。

この法律は、2016年4月から施行されます。参内閣委で、政府参考人は、施行ま
での3年間のスケジュールをつぎのようにのべています。まず、政府の基本方針
は、おそくとも2013年度内にとりまとめられます。それから1年以内にガイドラ
イン(対応要領、対応指針)が作成されます。そして、施行までに1年程かけて
法律の周知徹底がはかられる予定です。