「教育と医学」2015年1月号 特集-思春期の発達障害とどう向き合うか2014-12-31

http://www.keio-up.co.jp/np/kyouiku.do
http://www.keio-up.co.jp/kup/kyouiku/zuihitsu/z201501.html

「教育と医学」2015年1月号第1特集「思春期の発達障害とどう向き合うか」
巻頭随筆 第63巻1号 2015年1月
思春期と発達障害  遠矢浩一

発達障害の概念や支援の在り方についての考え方は、近年、その姿を変えつつあ
ります。たとえば、DSMの改訂がその一つです。DSM‐IV‐TRからDSM
‐5に新しく改訂された精神医学的診断基準においては、Mental Retardation
は Intellectual disabilities とその名称を変え、知的能力障害程度の判断に
おいて、必要な支援を決定するのはIQ値ではなく適応機能である、との考え方
からIQ基準値は廃止されました。また、自閉症の概念に関しても、広汎性発達
障害、アスペルガー障害等の個別の用語が廃止され、自閉スペクトラム症
(Autism Spectrum Disorder)という包括的な用語に統一されました。さらには、
社会コミュニケーションの著明な欠陥がありながらも、その症状が自閉スペクト
ラム症の基準に合致しない人は、社会的(語用論的)コミュニケーション症
Social(Pragmatic)Communication Disorder と診断されるべきであるとされま
した。個々の症状に細かく診断基準を設けるのではなく、その人の社会的適応状
況を重視して症状を診ていく視点が重視されているように思われます。(略)