文化審議会 著作権分科会 法制問題小委員会(第6回)議事録・配付資料 2007/07/192007-07-19

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/013/07072002.htm

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日 時 平成19年7月19日(木曜日)10時~12時4分

資料4-1 障害者福祉関係に係る権利制限について
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/013/07072002/002.htm

資料4-2 「権利制限に係る質問事項」への回答
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/013/07072002/003.htm

資料4-3 障害者福祉関係に係る権利制限に関する添付資料
    (障害者放送協議会等 作成資料)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/013/07072002/004.htm

* なお、資料4-3にございました、NPO法人EDGE作成「キミはキミのままでいい」
 については、ホームページを御覧ください
 http://www.npo-edge.jp/index_main11/index_main11.html
 (※特定非営利活動法人EDGEホームページへリンク)

議事内容(抜粋)

【中山主査】 他に、何かございませんでしょうか。時間も大分経過しておりま
すので、今日のところはこのくらいでよろしいでしょうか。
 それでは、どうもありがとうございました。
 引き続きまして、障害者福祉関係の権利制限についての御説明を伺いたいと思
います。障害者放送協議会著作権委員会、井上芳郎委員長、全日本難聴者・中途
失聴者団体連合会、高岡正理事長、それから日本図書館協会障害者サービス委員
会、佐藤聖一委員長にお越しいただいております。
 時間の制約もございますので、大変恐縮でございますけれども、おのおの5分
程度で説明を頂戴できればと思います。それでは、よろしくお願いいたします。

【井上 障害者放送協議会著作権委員会委員長】 おはようございます。今紹介
いただきました井上でございます。資料4-1を御覧下さい。
 表紙をめくりまして、1枚目、2枚目でございますが、これは、いわば総論的な
お話でございます。これにつきましては5月16日の、別の小委員会の席でもお話
ししましたので多くは繰り返しませんが、以下の4点だけお話ししたいと思いま
す。
 まず、我が国の著作権法ですが、障害者に限って言いますと、国際的に見ても
後れを取ってしまっているのではないか。配慮すべき障害者の範囲が狭かったり、
いろいろと配慮に関する制限が多い。それから2番目に、つい先日も新潟県で地
震がございましたが、そのような災害時・緊急時の情報保障を行う場合に著作権
法が支障となっているということ。もう1つは、この4月から本格始動しました特
別支援教育ですが、この場面でもいろいろ著作権法が制約となっていることが多
い。それから4番目としまして、国連の障害者権利条約でございますが、批准に
向け国内でも準備が進んでおるようですが、この批准との関係でございます。
 次に各論ということになります。資料4-1の3枚目ですが、視覚・聴覚以外の
障害に関することです。繰り返しになりますが、我が国の著作権法では、視覚・
聴覚以外の障害を想定しておりません。しかし実際には、例えば、ディスレクシ
ア、これは附属資料のNPO法人EDGE作成の冊子がございますが、詳しくはそれを
御覧になって頂きたいのですが、正常な視力があるにもかかわらず、非常に複雑
な原因で読みが困難であるという方たちのことでございます。このディスレクシ
アに絞ってお話しいたしますと、実は、これは学習障害(LD)に包含されるもの
で、発達障害者支援法で言う発達障害という大きなくくりの中に入ってまいりま
す。先ほども申しましたが、4月から特別支援教育が本格始動しました。具体的
な教育場面での話になりますが、教科書というものが非常に大きなウエートを占
めているわけです。ところが、この読みの障害のあるディスレクシアのお子さん
にとっては、実は読めない教科書を使っているということになるのです。視覚障
害あるいは弱視のお子さんに対しては、点字あるいは拡大教科書等、著作権法上
の規定もあり使えるわけですが、ディスレクシアはこのような配慮の範囲外にな
っているということでございます。
 附属資料として、関西のある地域での実情について、関係の方にお断りして、
固有名詞を伏せてお出ししております。これは実際に、学校の現場で読み障害を
お持ちのお子さん、その親御さん、あるいは支援の方たちが、録音された教科書
を使いたいということで働きかけたけれど、なかなか使えない状況であるという
ことを資料にしたものでございます。後で御覧下さい。
 日本の実情はこのような状況ですが、諸外国、米国の例ですが、先般の5月16
日のヒアリングでも少しお話ししましたが、NIMAS(National Instructional
Materials Accessibility Standard)と呼ばれるシステムがあります。これは障
害をお持ちの児童・生徒のために教科書等のデジタルデータが統一されたフォー
マットで、主にDAISY(Digital Accessible Information System)等が規格の一
つになっていますが、これをサーバー上に置き、学校内である一定の資格を持っ
た者がダウンロードし、個々の児童・生徒の障害実態に応じて加工して使える、
ということだそうです。実にうらやましい限りなのですけれども、このDAISYに
ついても附属資料の中にございます。詳しく説明する時間がございませんので、
そちらを御覧おき下さい。この5月には、与党の「美しい日本における特別支援
教育」という報告書でも、「DAISYなどを活用するために今後著作権法改正を視
野に入れて検討すべし」という提言がされております。
 緊急災害時の問題、それから教育の問題、いずれにしましても、待ったなしの
解決を急ぐべき課題だと思います。ぜひ御検討をお願いしたいと思います。私か
らは以上でございます。

【高岡 全日本難聴者・中途失聴者団体連合会理事長】 社団法人全日本難聴者
・中途失聴者団体連合会の理事長を務めています高岡と申します。
 聴覚障害者は日々、生活のあらゆる場でコミュニケーションの困難があります。
本日も、私の意見陳述に際しても、委員長のお言葉を、隣におります要約筆記者
に文字で書いていただかないと理解できないという障害を持っております。後ろ
に、随行者の当会副理事長の川井もおりますけれども、川井も2人の要約筆記者
が付いて、皆様のお話を書いて通訳をしているわけです。
 私たちの要望するところは、毎日放送される著作物を、聴覚の障害を持つ者が
利用できるようにしていただきたいということです。また、社会で普通にレンタ
ルあるいは販売されているDVD、ビデオなどについても、字幕あるいは手話で理
解できるようにして欲しいということです。これは、本来放送事業者の社会的な
責務であり、放送法第3条でも字幕放送、解説放送については努力義務と規定さ
れているところです。しかし手話については、放送法に規定がありません。です
から努力義務でもなく、全くの任意になっているため、放送される時間数は極め
て少ないものがあります。お手元の資料4-1の5枚目から、聴覚障害者に関する
課題で、私のペーパーがありますけれども、そこに示すように、字幕放送はNHK
総合、東京でいう1チャンネルでは43パーセントに字幕が付いています。民放キ
ー局5局で平均32パーセントです。ところが手話は、NHK教育が2.4パーセント、
民放は0.1パーセントしか手話がありません。NHK1チャンネルは、手話放送を実
施していないという状況なのです。そういった状況を解決するために、私たちは、
ボランティアあるいは各地の聴覚障害者情報提供施設が、許諾を得て、番組に字
幕、手話を入れたものを貸し出したり、あるいは著作権法に触れない方法で字幕
と手話を配信したものを見ている状況があります。
 7月16日朝10時13分頃に、新潟で中越地震が起きました。すぐさまNHKは臨時ニ
ュースを放送しましたけれども、字幕とか手話が全くないままです。字幕放送が
始まったのはNHKの夜7時のニュースからで、その後11時に字幕放送が行われまし
たけれども、その間は字幕、手話ともなかった。ところが、私たち聴覚障害者団
体が協力して運営するCS障害者放送統一機構は、CS通信を使って、字幕と手話を
付けた配信を16日の11時45分から18時まで、断続的に4回、3時間50分にわたって
配信しました。しかし、これは専用の受信機を持っている者しか受信できず、一
般の聴覚障害者あるいは高齢で耳が遠い方には見ることができないものでした。
 現在の放送方式が、アナログからデジタル放送に移り変わろうとしていますけ
れども、障害者の放送に関するアクセスの課題を整理するために、総務省が昨年
から今年の3月まで、デジタル放送時代の視聴覚障害者向け放送の在り方に関す
る研究会を開きました。その中で種々議論されたわけですけれども、手話放送の
拡充については技術的な困難があるとして、次の課題にされています。しかしな
がら、実際に実績のある事業者は、手話あるいは字幕を付けて配信することがで
きます。しかし、それは手話と字幕だけを配信するのであって、現在の映像ある
いは音声を含んだ番組に字幕・手話を付けて再利用、あるいは再送信するという
ことができないでいます。今回の新潟中越地震のような緊急災害時はもちろんの
こと、日常生活の中で、私たちが日々の放送、あるいは視覚的コンテンツが見ら
れるようにしていただきたいと思います。
 具体的な要望事項は2つございます。1つは、現行の放送に字幕、手話、解説音
声を付けて公衆送信をすることを求めています。字幕、手話、解説音声を付ける
だけで、それ以外は元のままです。現在はケーブルテレビがわずかな対価と引き
かえに、そのまま放送することを条件に再利用、再送信することが認められてい
ます。2つ目の要望は、対象を聴覚に障害がある者一般にしていただきたいとい
うことです。身体障害者福祉法による聴覚障害者は約30万人です。ところが、日
本で高齢者は2,300万人います。70歳を超えると、2人に1人は難聴になると言わ
れていますので、30万人という数字は聴力損失が非常に高いレベルの、ごくわず
かな方々しか対象にされません。また、補聴器業界では、難聴者は1,500万人と
見積もって、補聴器会社、販売会社の社長などがその数字を紹介しています。こ
ういった2つの要望について、国際的な背景あるいは技術の発展に鑑みて、ぜひ
御理解を頂きたいと思います。

【佐藤 日本図書館協会障害者サービス委員会委員長】 日本図書館協会障害者
サービス委員会の佐藤聖一と申します。よろしくお願いします。
 私は、埼玉県立久喜図書館というところで司書の仕事をしている視覚障害者の
職員です。今日は、視覚障害者のお話が1つと、図書館のお話を1つさせていただ
きたいと思います。
 まず、著作権法第30条の私的使用の複製に関する件なのですけれども、著作権
法第30条は個人的に複製することができるわけですけれども、視覚障害者の場合
には、例えば第三者の方に読んでいただく等のことをしていただかないと、実際
に自分で使える形で残しておくことができないわけです。例えば、一番有効なと
ころが録音による方法であろうと思うのですけれども、録音等による方法が、自
分で実際読むことができないために、それを保存して自分のものにしておく、手
元に置くことができないという問題があります。ではこういうことをやっている
ところがあるのかという御質問がありましたが、視覚障害者に対して録音等のサ
ービスを行っているところの1つが、いわゆる点字図書館、視覚障害者情報提供
施設において、プライベートサービスという形で行われています。これは当然、
利用者が持ってこられた原本の図書を、点字図書館がプライベートサービスとい
う形で録音物として複製して、その人が持ってきたテープ等に複製して出す。そ
れから、実際地域のボランティアグループ等で、このような個人のニーズによる
等の複製を行っている事例があると聞いています。ただ、点字図書館等で行って
いるこのようなサービスが、現行法のままでは少し法律的問題があると一応理解
しておりまして、ぜひこれをできるようにして欲しいというのが1つ目です。
 では、こういうことをやっている業者とかはあるのかと言われてしまうと、私
の知っている範囲では、実は2、3社しかありません。しかも有料で、もちろんか
なり高いお金で、その人用に録音図書を作るという形になってしまうのです。そ
うすると、普通の晴眼者の方々は自分でコピーをしたり手で書いたり、いろいろ
な方法で個人使用の複製という形で残しておけるものが、かなりの高価を出さな
いとできないという現状になっているわけです。
 そこで、こういうサービスをできる場所として、例えば近くの知人でも、誰で
もやっていいのだという考え方も1つあるのですけれども、施設等を限定しなけ
ればいけない、きちんとしたところがやるべきだという御意見もあると思うので
す。そうであれば、例えば点字図書館、視覚障害者情報提供施設の他に、公共図
書館であったり、社会福祉協議会等の、要するにきちんとした窓口であるところ
のボランティアグループであったり、障害者福祉施設等、公的にしっかりした窓
口のところで、そういう製作能力があるところにおいて、個人使用の複製のため
のサービスというのでしょうか、そういうものをぜひできるようにして欲しいと
いうのが1つ目の、視覚障害者としての話です。
 それから2点目、日本図書館協会から、図書館のお話をさせていただきます。
 資料4-1の一番最後に、図書館側の課題ということで、今日の骨子が書いてあ
りますが、まず1番、公共図書館の障害者サービスの目的ですけれども、公共図
書館では、全ての人に、全ての図書館の本を利用して欲しいと考えているわけで
す。この全ての人というのが、いわゆる障害者とかいろいろな方々が含まれるわ
けですけれども、そういう方々が図書館の本をとにかく利用できるようにするこ
とが図書館の障害者サービスの意味です。
 2番として、その手段として、資料をその人が使える形に変換する。結局、視
覚障害者の人であれば、そのまま本を渡しても読めませんし、聴覚障害の方にビ
デオをそのまま渡しても音が聞こえないという問題があるわけです。そこで、そ
の人が使えるような形に資料を変換して製作、著作権でいうところの複製という
ことになるのでしょうけれども、それで提供しようという方式を採っています。
その1つの、非常に有効なツールが録音資料というもので、今まではカセットテ
ープの時代でしたが、今急速にカセットテープから音声のDAISYというものに変
わってきています。今日私どもの図書館のDAISY図書を持ってきましたけれども、
こういう専用の郵送箱に入って、中は要するにCD図書です。そういう形で図書館
の書庫に置かれているのです。今急速にカセットからDAISYへ移りつつあるので
すけれども、これが視覚障害者等に非常に有効な資料であると考えています。ご
覧の資料の中にありますが、その他にもいろいろなものを公共図書館は作ってい
るということが書いてありましたけれども、もちろん点字とか拡大文字資料であ
ったり、さわる絵本であったり、リライトであったり、先ほどのDVD等への字幕
挿入とか、実はいろいろな形で、その方が使える形にして提供したい。それを作
りたいというのが公共図書館の願いなのです。
 では、3番で、録音資料は視覚障害者情報提供施設が作っているではないかと
いうことなのですけれども、実は、視覚障害者情報提供施設と公共図書館は、お
互いが協力してこれらの資料、例えばDAISYや録音資料を作って提供していると
いうのが実際の姿なのです。ではどのぐらい作っているのだということになると、
非常に大ざっぱに言って、視覚障害者情報提供施設7に対して、公共図書館が3程
度の量を作っています。年間製作量で言うと、公共図書館が5、6千タイトル、視
覚障害者情報提供施設が1万2千程度と考えていただければと思います。図書の年
間出版量は7~8万と言われておりますので、この量は全出版物の約1割ではない
か、5千と1万2千を足すと1万7千ですので、約2割ということになります。ところ
が、これらの録音図書は、異なる施設で同じものが作られていたり、または複本
を持っていたりするものが先ほどの1万2千に入っているので、非常に大ざっぱに
申し上げて、複本を2倍、同じものがあると考えるとその半分です。したがって、
約1割程度の新規の録音図書が全国で作られているのです。これでは1割ですので、
視覚障害者の情報提供にとって非常に不足しているというのが実情です。公共図
書館と視覚障害者情報提供施設は、お互いが資料のやりとりなどをしながら、協
力しながら障害者の情報提供をしているというのが実態なのです。しかも公共図
書館は、リクエストによる製作が原則ですので、リクエストされたものの中でど
こも持っていないものを作るという暗黙の決まりがあります。そうなると、どう
してもいろいろなジャンルのものを公共図書館は作ることになります。俗に言う
売れ筋とか読まれ筋のものでなくても、どこかが持っていなければ作るというの
がありまして、例えば国立国会図書館や都立中央図書館のような大きな図書館で
は、専門書だけを作るというようなルールを持っているところもあります。です
ので、公共図書館の製作は非常に重要だと考えています。
 それでは、4番で、録音資料を公共図書館が作ってしまうと、一般の人に貸し
てしまうのではないかという懸念なのですけれども、これは全くあり得ないとい
うことです。その理由は、1つ目として、まず特別な登録ということで、公共図
書館では、このサービス、例えばDAISY図書を利用する人たちには特別な障害者
用の登録をしていただいています。ほとんどが郵送貸し出しによるところのサー
ビスであるから、その登録が必要なのです。しかも、例えば障害者手帳の有無で
あったり、それに見合う障害であることを確認して登録してもらっている。視覚
障害者の場合は障害者手帳を持っている方が多いのですけれども、そのようにな
っていますので、一般の人が実際に登録していることはあり得ない。それから、
今お見せしたようなDAISY図書は、例えば箱が書庫に別置されていて、それが普
通です。仮に書架にあるようなものであっても、これは障害者用の資料ですよと
いうことがきちんと書かれていますので、一般の方がこれを借りようとしても根
本的に無理なのです。そうなっておりますので、公共図書館がこれを製作すると
誰もが借りてしまうのではないかということは、まずあり得ないということです。
 もう1点なのですけれども、録音図書というのは目で読むよりも非常に不便な
んです。正直言って、目で見える人は目で見たほうがずっといいです。ですので、
録音図書を誰もが使ってしまうのではないかというのは少し違う。これしか使え
ないから使っているというのが実際のところです。
 あと、許諾の問題が質問に出されておりましたので、許諾について少しお話し
しますけれども、まず許諾には限界があります。それは、まず外国人著者の場合
には許諾はほとんど取れませんので、外国語の訳本が製作できない状態になって
います。それから、許諾には、手紙を出してから大体1週間から1カ月の期間を要
するのですけれども、例えば週刊誌等の場合、1カ月後の許諾ではもう全然お話
にならないので、時間がかかると資料的に提供に意味のないものが出てくる。そ
れから(3)に、文化人名録、著作権台帳ですけれども、2001年をもって発行が
終わっています。だから、今私たちは、著作権者の住所を探すのに非常に苦労し
ているわけですけれども、(4)にあるように、例えば原本に住所があればそれ
を使うし、原本の著者の職場が書いてあれば職場にお願いしています。あと、ど
うしてもだめなら出版社に、「これこれこういうわけで、教えて下さい」という
ことでお話をするのですけれども、当然出版社等には私たちに教えてくれる義務
はないわけですね。要するに、本当に著者がわからない、仮にわかっても著者か
ら返事が来ない。それから、明らかに本人の意思でだめだという方もほんの少し
いるわけです。大事なことは、許諾が得られないと提供ができなくなって、障害
者が利用できないという問題に直結していってしまう、そこのところが課題なの
です。
 最後の6番で、利用対象者の拡大ということで、今までは視覚障害者だけが録
音資料の利用者でしたけれども、視覚障害者ではない人たち、例えば手の不自由
な人や寝たきりの方、学習障害の方とか知的障害の方とか、録音資料なら利用で
きるのだという方々がたくさんいることが最近分かってきているわけです。その
ような方々に、ぜひ録音資料が利用できるようにして欲しい。そのために利用者
の拡大ということになるわけですけれども、幸い、私ども日本図書館協会と日本
文芸家協会さんで、録音図書の障害者用音訳資料利用ガイドラインというのを作
成して、その中に、こういう利用者だったらいいのではないか、こういう対象者
ならいいのではないかということで、細かい規定があります。今、その規定のと
おりに運用していて何の問題も起きていません。このようなある程度明確なもの
も出てきていますので、そういう形での拡大をぜひお願いしたいというのが1つ。
 では、みんなこれでいいではないかということですけれども、実は、日本文藝
家協会さんのほうに、数千人の全会員の方に事前に許諾依頼状を出していただい
ていて、それででき上がっているシステムです。この方式では、結局全ての著作
権者にこの文書を出すということはできませんので、要するに1つの試みとして
うまくいっているということが重要なのではないかと考えています。
 いろいろ早く申し上げてすみません。どうぞよろしくお願いします。

【中山主査】 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見あるいは御質問がございま
したら、どうぞ、市川委員。

【市川委員】 すみません、今聞いていて、外国人著者の許諾の点が少し分かり
にくかったのですが、これは日本語の翻訳があるときに、日本語の翻訳から点字
や録音とかをするときに、日本の訳者の許諾は得られるけれども、外国の原著作
者の許諾が得られないという意味なのでしょうか。

【佐藤 日本図書館協会障害者サービス委員会委員長】 そのとおりです。両者
の許諾を取るべきと考えておりますので、原著作者の許諾が取れないということ
です。

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