アクセスコントロール回避規制導入についての緊急声明 2011/01/272011-01-27

http://miau.jp/1296090000.phtml

[お知らせ] 2011-01-27 10:00:00

1月25日に行われた文化審議会著作権分科会でまとめられた報告書の中で、著作
権法に於いて技術的保護手段(アクセスコントロール)回避規制を盛り込む旨の
まとめがなされました。しかし安易なアクセスコントロール回避規制は国民の正
当なコンテンツ利用およびわが国のICT技術の発展を不当に妨げます。私たちは
ユーザーの立場から、著作権法にアクセスコントロール回避規制を盛り込む意見
に反対します。

1.ユーザーが正規に入手したコンテンツを継承できなくなります。

アクセスコントロール回避を禁止した場合、ユーザーが正規に入手したコンテン
ツはプラットフォームに依存することとなり、ユーザがそのプラットフォームの
使用をやめた時や、そのプラットフォームがサポートされなくなった時に、ユー
ザーはそのコンテンツにアクセスできなくなります。

例えば映像技術が進化し、DVDプレーヤーやBlu-rayプレーヤーが生産されなくな
った場合、ユーザーはDVD、Blu-rayに収録されたコンテンツを見る術を失います。
また将来、ダビング10に対応したプレーヤー・レコーダーが供給されなくなった
場合、ユーザーは正規に録画したコンテンツを見る術を失い、コンテンツを将来
に継承できなくなります。

2.オープンソースソフトウェアを用いてのコンテンツへのアクセスが不可能にな
ります。

現在、ビジネスはもちろん政府や自治体でもオープンソースソフトウェアの採用
が進んでいます。しかしオープンソースソフトウェアの開発者は、その開発形態
の性質上、アクセスコントロールの鍵のライセンスを与えられることはほぼ不可
能です。そのためアクセスコントロール回避規制がなされると、オープンソース
ソフトウェアを用いてDVDなどのコンテンツにアクセスすることができなくなり
ます。

3.アクセスコントロール技術の正当性が検証できなくなります。

過去にアクセスコントロールのために使用された「Rootkit」や「コピーコント
ロールCD」のような技術は、ユーザーのコンピュータやCDプレーヤーを誤作動さ
せ、セキュリティホールやハードウェアの故障の原因となりました。このような
問題はユーザーの手によって検証され、インターネットを通じてその問題が知ら
しめられたという経緯があります。ユーザーの権利・利益を侵害し、その追及を
妨げるような規制は、ユーザーの正当な利用を害することとなり、決して認めら
れるものではありません。

4.侵害コンテンツの流通防止は、アクセスコントロールでなくアップロードコン
トロールにてなされるべきです。

問題とされた「マジコン」のようなアクセスコントロール回避機器の頒布に関し
ては不正競争防止法、侵害コンテンツのアップロードに関しては著作権法におけ
る公衆送信化権で、すでに十分対応できるはずです。

現在問題とされているのは侵害コンテンツの流通であって、ユーザによるアクセ
ス行為でもなければ、ユーザの家庭内におけるコピー行為でもありません。アク
セスコントロールは、どれだけ技術的に洗練されたものであっても上記のように
必ずユーザーの利便性を大幅に損ない、正当で多様な利用をも困難とし、かつ国
民の知る権利を阻害します。

流出した後の対策を練るより、あくまで流通を阻止することに重点をおくべきで
す。これ以上の規制強化はステークホルダーの誰にとっても全く資するものでは
ありません。

5.ハードウェアやプラットフォームの保護につながる規定は公正な市場競争を阻
害します。

著作権法は、ソフトウェアやコンテンツの保護と利用のバランスを図り、文化の
発展に資するために、その管理・流通をコントロールすることを目的とした法律
です。しかし、コンテンツへのアクセスコントロール技術を著作権法の保護対象
にまで拡張することは、この伝統的な保護の範囲を大きく逸脱し、特定のハード
ウェアやプラットフォームの法律による保護を意味します。特定の産業基盤を硬
直的な仕組みで保護することは、市場競争を抑制し我が国の国際競争力を押し下
げることへとつながり、将来のICT産業に対しても継続的な悪影響をもたらし得
ると言わざるをえません。

また上記の意見を要約した配布用のチラシも同様に作成いたしました。このチラ
シを政治家や政府関係者へ配布する予定です。

アクセスコントロール回避規制チラシ(PDFファイル 143KB)
http://kskktk.sakura.ne.jp/miau/accessctrl_paper.pdf

その他詳細な当協会の意見につきましては、下記を同時にご参照ください。

・文化庁「技術的保護手段に関する中間まとめ」に対して意見を提出しました
 http://miau.jp/1294785000.phtml
・知的財産戦略本部「インターネット上の著作権侵害コンテンツ対策に関する
 WG」に意見書を提出しました
 http://miau.jp/1268874000.phtml

報道・参考URL

・DVDコピー、家庭内も禁止へ 暗号で保護のソフト対象(朝日新聞)
 http://www.asahi.com/national/update/1203/TKY201012030697.html
・著作権法改正で「マジコン」「リッピング」規制へ、文化庁が方針
 (INTERNET Watch)
 http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20110126_422714.html
・文化審議会著作権分科会法制問題小委員会 平成21・22年度 報告書(案)
 http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/housei/h22_shiho_12/pdf/shiryo_3.pdf
※上記報告書案はあくまでも会議資料であり、正式な報告書とは異なりますので
 ご注意ください。

著作者 : MIAU 最終更新日 : 2011-01-27 09:56:12

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