シンポジウム 「届けたい、読める教科書、DAISY教科書を!」 報告書2012-04-28

http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/access/daisy/120205daisy_symp/index.html

シンポジウム「届けたい、読める教科書、DAISY教科書を!」報告書

趣旨
プログラム
プロフィール
シンポジウム記録編
開会挨拶
湯澤 茂男(公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会事務局長)
教科書提供の成果と課題
野村 美佐子(公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会情報センター長)
DAISY教科書利用者が願うこと
山中 香奈(兵庫県LD親の会「たつの子」副代表)
事例報告
赤瀬 瞳(大阪府富田林市立富田林小学校 発達障がい通級指導教室)
細川 恵未(奈良県香芝市立関屋小学校 教諭)
西澤 東(青森県弘前市立大成小学校 LD、ADHD通級指導教室)
EPUB3とDAISYの連携による可能性
河村 宏(特定非営利活動法人支援技術開発機構 副理事長)
パネルディスカッション「DAISY教科書をより広く届けるために」
井上 芳郎(埼玉県立坂戸西高等学校 教諭)
田中 和美(元公立中学校特別支援教育コーディネーター)
野口 武悟(専修大学 文学部 准教授)
神山 博(青森公立大学 経営経済学部 教授)
パネルディスカッション
閉会挨拶
マルチメディアDAISY教科書の提供

特別支援教育の在り方に関する特別委員会 第11回 議事録 2011/08/192012-04-28

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/siryo/1315093.htm

1.日時 平成23年8月19日(金曜日)9時30分~12時30分
2.場所 三田共用会議所 講堂
3.議題 
  早期からの教育相談・支援について
  就学先決定の際の意見が一致しない場合の調整の仕組みについて
  教職員の確保及び専門性向上のための方策について
4.議事録

【山岡委員】 日本発達障害ネットワークから参りました山岡です。
 私からの話が1点と質問が1点です。
 先ほど、事務局から障害者基本法の改正についてお話がございまして、それに
関する規定が変わったのですけれども、実は第二条のところで障害者の定義とい
うところが変わっておりまして、もともと身体・知識・精神という、この精神の
ところに括弧をつけて、発達障害を含むという規定が入っております。ここは私
どもからすると大きな改定でございまして、特別支援教育の推進や、あるいは発
達障害者支援法の成立などを受けての流れですけれども、障害者基本法という基
本的な法律の中に発達障害が対象として位置付けられたということです。この発
達障害の中には発達障害者基本法の定義に含まれている自閉症や注意欠陥多動性
障害や学習障害、その他の障害が含まれるということでございまして、当然に特
別支援教育においても、これらがきちっとした法律の下で支援の対象となるとい
うことが、さらに明確化になったということです。
 質問ですけれども、3つの市の取組、すばらしいなと思いました。いずれも教
育と、教育分野以外のところが連携をして取り組まれているところが特徴だと思
います。そうでないと、こういう早期からの支援はできないのだろうと思います。
数字のことで1点だけ御質問させて下さい。特別支援教育の対象になっておられ
る児童生徒さんがどのぐらいの比率でおられるかということを御質問したいので
すけれども、市なので、特別支援学校の数字は把握されてないかもしれないので
すが、そこを含む、含まないも言っていただいた上で、三鷹市と笠岡市で、小・
中学校段階で、特別支援教育の対象になっている児童生徒さんがどのくらいの比
率でおられるかを、教えていただければと思います。

【宮﨑委員長】 それでは、分かる範囲でいいと思いますので、資料があったら
お願いいたします。

【三鷹市】 実は、特別支援教育の対象の子どもさんは、通常の学級にもいるわ
けですが、数字で分かりますのが、三鷹で言う教育支援学級固定制、また通級指
導学級を通級制と呼んでいますが、そのお子さんの数を申し上げます。
 三鷹市は、7月1日現在で小学校の通常学級の子どもが7820人、中学校が3133人
です。そのうち固定制の教育支援学級、いわゆる特別支援学級に在籍している子
どもさんが、小学校では98人、それから通常の学級にいて通級制を利用している
子どもさんが161人です。中学校におきましては、固定制の学級の人数が76人、
通級制の利用者が49人です。
 それから、各学校、通常の学級を持っている各学校で個別指導計画を書いてい
る枚数が、今正確な数字が出ないのですが、小学校全体で合計300枚を超えてい
ます。ですから、学校によって差があるのですけれども、3%から10%ぐらいの
子どもたちについて個別指導計画を教員が書いております。

【山岡委員】 その300は、さっきの98人と161人を含んでいるのですか。

【三鷹市】 特別支援学級は含みません。今申し上げたのは通常の学級に在籍し
ている児童で個別支援計画を作成している人数ですので、通級の子どもさんは、
ここに入ります。

【石川委員長代理】 事務局からの説明、ありがとうございました。まだきちん
と読み込めていないのですけれども、不服申し立て制度についての改革を進めて
いるということで、それはやっていただいたほうがいいことだと理解しますけれ
ども、これはあくまで救済の仕組みですし、それは一般的な行政処分についての
救済の仕組みということなので、教育における就学先決定で、関係者の間で合意
形成ができなかった場合の調整の仕組み、救済ではなくて調整の仕組みですから、
それは別途、それに特化したものをつくる必要があるということだと思います。
ですので、それについてこの委員会では検討していく必要があるし、場合によっ
ては法律の専門家からのヒアリングというようなことも必要なのではないかと考
えますが、いかがでしょうかということが1点。
 それに加えて、先ほどの3市からの御報告にもあったように、信頼関係をつく
っていくということが非常に重要だと、現場で非常に努力されているということ
がよく分かりましたし、すごく大事だと思うのですが、さらに現場での信頼関係
をつくっていくことを支援する上でも、制度に信頼を埋め込むということが大事
だと思います。不服制度は、救済のための仕組みとしては必要ですけれども、教
育における制度に信頼を埋め込んでいくという意味での調整の仕組みが必要では
ないかと考えます。

【宮﨑委員長】 事務局から何か御意見ありますか。それから、今の石川委員の
御意見を受けて、また皆様から御意見をいただければと思います。
 まずはお願いいたします。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。
 繰り返しになりますけれども、資料8-1の1ポツで示させていただいておりま
すように、不服がある場合、まず、行政処分として教育委員会が就学先の決定を
するわけですが、それに基づいて、不服がある場合に、最初のポツのところです
が、学校教育法施行令に基づいて保護者が申し立てをし、教育委員会が相当と認
めるときには変更ができるということになっております。これが1つの調整かと
思われます。それで、なおかつ調整がつかないときには、もしくは、そのプロセ
スを経なくてもできることではありますが、行政不服審査法に基づく異議申し立
てができるということで、石川委員長代理からは救済制度ではないかというお話
であったかと思いますが、救済制度でもあり、調整の仕組みの1つでもあろうか
と思います。
 さらに3つ目のポツで、訴訟になりますが、行政事件訴訟法による形で救済措
置、調整ができるということになっておりますので、これに加えて必要があるか
どうかということです。それで、不服審査につきましては繰り返しになりますが、
今、より公平さにも配慮したようなもの、審理官制度等を創設しようということ
で改革が進められているというのが今の状況です。

【石川委員長代理】 今の御説明で大体理解できまして、現行の制度の中でどこ
まで、ぎりぎり工夫してできるかということは全体で共有できたので、それでい
いか、足りないかということをこの委員会の中で議論していく、いわば出発点と
いう理解でよろしいでしょうかというのを、もう一度重ねてお聞きしたいと思い
ます。

【山岡委員】 不服がある場合の手続きについては難しいところが2点ほどある
と思います。まず、障害者基本法の、先ほど事務局から御説明があった今回の改
正点で言いますと、ここの部分については、「可能な限り」という文言がついて
いて、保護者とかの意向を「可能な限り」受けるということだと思います。まず
そこを念頭に置かなければいけないということです。それから昨年12月に取りま
とめられた本委員会の、論点整理の中でもうたっていただいたのですけれども、
就学後、柔軟に就学先の見直しができるかどうか、小学校に入ったときに一生が
決まってしまうのではなくて、小学校1年生、2年生、3年生になったときに、柔
軟に転学ができるのであれば、ここの考え方が大分違うということが1つです。
論点整理でも、柔軟に就学先の見直しが行えることが適当とうたっていただいて
います。
 それからもう一つ、保護者からすると、不服審査も裁判も、あまり変わらず、
大変な手続です。実は私は、本業でADRというものに関わっておりまして、法務
省等に相談に出向いたこともあります。これは民間の金融機関に導入が義務付け
られたのですが、裁判外の紛争解決制度というものがあります。これをADR、
Alternative Dispute Resolutionという、英米で行われている制度が持ち込まれ
たものです。これを紛争解決と考えると、保護者からすると、第三者が立ち会う
ことが一つ、それから手軽であるということと、弁護士とか専門家に頼らなくて
も、そこの手続に乗れるということが大事です。それと、費用がかかったり、難
しい手続きがなくても紛争解決ができるということです。イギリスでいうとオン
ブズマンという制度があって、そういうものが第三者的にこういう紛争解決に関
わっていくというのが根づいているらしいのですけれども、日本において、どう
いうところが実施主体になってできるかどうかは分かりませんが、理想を言うと、
オンブズマンとかADR制度みたいなものがあって、何かのときに第三者機関が間
に入って仲裁にいくというのがいいと思います。

【宮﨑委員長】 では、石川委員。

【石川委員長代理】 もう1点申し上げたいと思います。要するに、3つあるけれ
ども、今、山岡委員がおっしゃったように、2番目と3番目は考えないでというか、
最後の手段みたいなもので、あくまで調整によって信頼関係を構築しながら、そ
の子にとって最善の決定を考えていく、再度考えていくという仕組みを、教育に
おいては構築する必要があると思うのですけれども、1番目の現行の枠組みでそ
れでいいかというと、これでは不十分だと考えます。多分時間的な制約があって、
まず、就学先を決定してから実際の就学までに、おそらく間がないので、先に決
定してから、その後の調整ということをせざるを得ないのだろうと思います。調
整してから就学先を決定するという時間的な猶予が多分ないという前提での話な
のですが、その場合でも、現行では親がアクションを起こさないといけないわけ
です。しかし調整ができていないということは、両者そのことは理解しているわ
けですから、それに対して教育委員会及び学校は、親からの何らかの申し立てが
ない限りはアクションを起こさなくてもいいという制度になっている。少なくと
も制度上はそうだと思いますけれども、それだとやはり、信頼関係を制度に埋め
込むということにはなっていないと思うので、ここは改善をしていく必要がある
と個人的には考えます。