デジタル教科書・教材、情報端末WG検討のまとめ 平成23年2月4日2011-02-04

http://jukugi.mext.go.jp/archive/468.pdf

文部科学省 「学校教育の情報化に関する懇談会」
デジタル教科書・教材、情報端末WG検討のまとめ(抜粋)
平成23年2月4日

4.特別な支援を必要とする子どもへの配慮について

○ 特別な支援を必要とする子どもについては、それぞれの障害の状態や程度、
必要とされる特別な支援の内容などが一人一人異なっている。教科書の使用に関
しては、例えば、視覚障害のある子どもにとっては文字を読むことが、肢体不自
由のある子どもにとってはページをめくることが、発達障害のある子どもにとっ
ては文字を認識することが、それぞれ困難といった傾向がある。

○ このことについては、現在、拡大読書器や弱視レンズの活用、点字に関する
指導や教員等による支援が行われているが、情報通信技術を活用することによっ
て、子どもの障害の特性・ニーズ等に応じた、より効果的な指導を行うことが可
能になるなど、支援の在り方も変わってくる。特に今後、学習方法の多様化が進
んでいけば、子どもは様々な情報機器を活用し、デジタル情報に接することが多
くなる。このため、デジタル教科書・教材、情報端末の開発に当たっては、情報
通信技術の特性を生かし、これまで以上に子どもの障害の特性や認知方法等の違
いに応じて、使用するハードウェアやソフトウェアなどにも様々な配慮や工夫を
行うことが期待される。

○ 短・中期的には、以下に掲げるデジタル教科書・教材、情報端末等の機能を
踏まえ、特別支援学校等において実証研究を行うことが重要である。長期的には、
子どもの障害の状態や程度は多様であるが、実証研究等の成果を生かして、関係
者へ指導事例の提供とともに、条件整備の拡大を図っていくことが重要である15。

(デジタル教科書・教材について)
○ デジタル教科書・教材については、障害の状態に応じた様々な機能のアプリ
ケーションの開発が必要である。機能としては、例えば、速度調整が可能な読み
上げ機能に加え、画面上で読み上げの位置を示したり必要な情報のみに制限した
りする機能、白黒反転機能に加え、濃淡や文字色を調節する機能、文字の拡大及
びそれに伴い行間を拡大する機能、文字に振り仮名を付ける機能、文節ごとに区
切る機能などが考えられるが、これらを複合的に使用できるようにすることが望
ましい。

○ 特に、文字の拡大や文字色の調節など文字表示に関する機能については、教
員が子どもの障害の状態等を的確に把握した上で、子ども個々にカスタマイズを
行い、そのカスタマイズ情報をもとに必要に応じてあらゆるページの表示を同様
に変更できるようにすることも効率的であると考えられる。

○ また、デジタル教科書・教材の読み上げは文字を読むことが困難な子どもに
とっては非常に重要であり、読み上げ機能については、ソフトの高品質・高精度
化を図り、誰もが利用できる形であることが期待される。

○ さらに、現在提供されている教科書は、子どもに学習内容の理解を促すため、
レイアウトなどに様々な工夫が凝らされている。しかしながら、特別な支援を必
要とする子どもの中にはそのようなことにより、どこから読めばよいのかわかり
づらく感じたり、単純なレイアウトの方が読みやすいと感じたりする者もいる。
このため、教員が子どもの読み方の特性を踏まえてレイアウトなどを簡単に調整
できるような工夫を施すなど、障害のある子どもの読みやすさにも配慮したコン
テンツの作成に努めることも重要である。なお、障害種によってはその内容にキ
ャラクターを取り入れることなどにより、子どもの学習意欲を喚起する効果も期
待される。

(情報端末について)
○ 情報端末については、特別な支援を必要とする子どもにとっての基本的なア
クセシビリティを保障できることが必要である。障害の状態によっては通常のキ
ーボード入力などの操作が難しい場合がある。このため、特殊なキーボードやジ
ョイスティック、各種センサーを利用したスイッチ、手書き入力装置など入力支
援機器の活用ができるような技術的な配慮が必要である16。

(その他)
○ 以上のような配慮の下でデジタル教科書・教材、情報端末が開発された場合、
それを学習の場に取り入れ、一人一人の障害の状態や学習進度に応じて教員が使
いこなしていく17こととともに、子どもも予習・復習を含めて活用できることが
重要になる。このため、特別支援教育に理解があり情報通信技術の活用に詳しい
外部の専門的スタッフを養成し活用することも重要である。

○ また、今後、特別な支援を必要とする子どもへの支援を進めるため、教科書
のテキストデータや読み上げデータをCDに収め、教科書とともに提供すること
についても検討する必要がある。

○ なお、疾患などにより生活が規制される病弱者である子どもについては、生
活体験が不足しがちであったり、学校に通えなかったり、学校に通えても学習活
動に制約を受けたりする場合もある。このため、病弱者である子どもの指導に当
たってテレビ会議システム等情報通信技術を活用し、学習活動の充実を図ること
が重要である18。

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15 なお、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所における情報化及び教育支
援機器に関する研究の成果を生かすとともに、同研究所において実証研究を踏ま
えた研究を進めていくことも考えられる。

16 電子書籍端末については、この点の配慮が必ずしも十分でないとの指摘があ
る。

17 このほか、特別な支援を必要とする子ども等がテストを受ける際に、情報端
末やデジタルコンテンツを活用することの有効性についても検討されることが望
ましい。

18 このような情報通信技術の活用は、不登校の子どもの指導にも有効であると
考えられる。

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