第177回国会 衆議院 内閣委員会 会議録(抜粋) 2011/06/152011-06-15

http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/000217720110615014.htm

○蓮舫国務大臣 お答えいたします。
 改正案では、まさに法の目的におきまして、「全ての国民が、障害の有無によ
つて分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社
会」の実現を掲げておりまして、第三条において、そのような社会の実現を図る
上で基本となる事項を規定しております。
 御指摘いただいたこの第三条の第二号ですが、「地域社会において他の人々と
共生することを妨げられないこと。」を規定しておりますが、ここに「可能な限
り」という文言を入れておるのは、例えば、障害が重度でありまして必要な設備
の整った施設で適切な医療的ケアを受けなければならない者等は、必ずしも、ど
こで、だれと生活するかについての選択の機会が確保できない場合もあり得るこ
とから、こうした規定をしているところでございます。御理解いただければと思
います。

○塩川委員 いや、そもそも基本法ですから、選択の機会が確保されるように努
めるというその方向こそ基本法で示すべきなんだ、このことがまさに問われてい
るんじゃありませんか。「地域社会において他の人々と共生することを妨げられ
ない」としている、住みたいところに住むという当然のことを規定しようとした
にすぎない規定であり、それなのに、「可能な限り」という規定を入れる必要が
あるのか、このことが厳しく問われるわけであります。
 そもそも、権利条約の十九条は、この条約の締約国は、すべての障害者が他の
者と平等の機会を持って地域社会で生活する平等の権利を認めるものとし、障害
者が、この権利を完全に享受し、並びに地域社会に完全に受け入れられ、及び参
加することを容易にするための効果的かつ適当な措置をとるとしております。
 大臣にお尋ねしますけれども、障害者権利条約には、当然のことながら、「可
能な限り」という文言などはないわけです。ですから、この障害者権利条約を本
当にこの日本で具現化していく、そのいわば土台となる障害者基本法に「可能な
限り」という規定を入れる必要があるのか、このことが厳しく問われるわけです
が、いかがですか。

○蓮舫国務大臣 御指摘の「可能な限り」においてでございますが、先ほど来、
私ども、園田政務官からも御答弁をさせていただきましたが、できればすべての
皆様方が、どこで、だれと生活できるか、障害を持っている、持っていないにか
かわらず、分け隔てなく共生する社会を実現すること、それを私たちは障害者基
本法の法理念と考えているところでございますが、現実問題として、医療的な部
分でその理念において生活できない方たちもおられるということを考えて「可能
な限り」という文言を入れさせていただいたことについては、ぜひ御理解をいた
だきたいと思っております。

○塩川委員 四月十八日の推進会議では、地域で重度の障害者の方の生活を進め
る実践が進んでいることが紹介されていたと承知をしております。まさに、重度
の障害を持っていても、限定なく、どこに住むか、選択の機会が確保されること
を宣言することによってそうした実践を促進することが権利条約に基づく障害者
基本法の改正だ、そここそ問われている、このことを申し上げたい。
 障害者権利条約の規定との関係でも、地域での共生を進めている障害者や、そ
の支援を行っている方々の実践から見ても、「可能な限り」という規定はない方
がいい、これが多くの方の声であります。障害者権利条約や推進会議の二次意見
をより反映した法案こそ求められているということを求め、障害者基本法の改正
に当たって、障害者団体の意見がより反映される、そういう審議こそ行われるべ
きだったということを改めて指摘をし、時間が参りましたので、質問を終わりま
す。

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