障がい者制度改革推進会議配付今後の取組に関する各府省の見解(抜粋)2010-07-20

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/attach/1296138.htm

 第13回障がい者制度改革推進会議配付資料
 今後の取組に関する各府省の見解(抜粋)

第13回障がい者制度改革推進会議(平成22年5月31日)配付資料
今後の取組に関する各府省の見解(抜粋)

2)教育
(推進会議の問題認識)
 障害者権利条約においては、あらゆる教育段階において、障害者にとってイン
クルーシブな教育制度を確保することが必要とされている。
 障害の有無にかかわらず、それぞれの個性の差異と多様性が尊重され、それぞ
れの人格を認め合う共生社会の構築に向け、学校教育の果たす役割は大きい。人
間の多様性を尊重しつつ、精神的・身体的な能力を可能な最大限度まで発達させ、
自由な社会に効果的に参加するとの目的の下、障害者と障害のない者が差別を受
けることなく、共に生活し、共に学ぶ教育(インクルーシブ教育)を実現するこ
とは、互いの多様性を認め合い、尊重する土壌を形成し、障害者のみならず、障
害のない者にとっても生きる力を育むことにつながる。
 また、義務教育だけでなく、就学前の教育、高校や大学における教育及び就労
に向けた職業教育や能力開発のための技術教育等についても、教育の機会均等が
保障されなければならない。

【教育の機会均等】
 現行の教育基本法の第4条第1項においては、教育上差別されないものの例示と
して、「人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地」が明記されてい
るが、「障害」が明記されていない。
 したがって、教育基本法の第4条第1項について、「人種、信条、性別、社会的
身分、経済的地位又は門地」と同様に、「障害」によって教育上差別されないこ
とを明文化するため、平成23年常会に提出することを予定している障害者基本法
の改正に関する法案の附則において改正することを検討すべきである。

(実施・検討に当たっての留意点)

・憲法第14条に列挙された事例は例示的なものであって、必ずしもそれに限るも
のではないと解されており、このことを踏まえ、教育基本法第4条第1項において
列挙されていない「障害」についても、その趣旨には含まれていると解されてい
る。
・また、教育基本法第4条第1項は、憲法第14条及び第26条の趣旨を繰り返して規
定したものである。現行の憲法に列挙されていない「障害」を明示するために、
法律改正を行う必要性等については、憲法を含めた法体系全体にわたる議論と国
民的な合意が重要である。
・なお、平成18年に、制定以来約60年ぶりに全面的に改正された教育基本法の文
言は、教育関係者を中心として、広く各界各層による6年にわたる深い国民的議
論を経て規定されているものであり、その改正を検討するにあたっては、前記の
議論と合意を踏まえた、教育関係者その他各界各層による、教育基本法全体の在
り方を見据えた国民的議論が重要である。

(実施時期・検討期間)

・上記のような理由から、現時点で実施時期・検討期間を明記することは困難で
ある。
【文部科学省関係】

【地域における就学と合理的配慮の確保】
 我が国における障害者に対する公教育は、特別支援教育によることになってお
り、就学先や就学形態の決定に当たっては、制度上、保護者の意見聴取の義務は
あるものの、本人・保護者の同意を必ずしも前提とせず、教育委員会が行う仕組
みであり、本人・保護者にとってそれらの決定に当たって自らの希望や選択を法
的に保障する仕組みが確保されていない。
 また、特別支援学校は、本人が生活する地域にないことも多く、そのことが幼
少の頃から地域社会における子ども期にふさわしい生活の機会を奪ったり、通常
にはない負担や生活を本人・保護者に強いる要因ともなっている。
 障害者が地域の学校に就学し、多大な負担(保護者の付き添いが求められたり、
本人が授業やそれ以外の教育活動に参加しにくいまま放置される等)を強いられ
ることなく、その学校において適切な教育を受けることを保障するためには、教
育内容・方法の工夫、学習評価の在り方の見直し、教員の加配、通訳・介助者等
の配置、施設・設備の整備、拡大文字・点字等の用意等の必要な合理的配慮と支
援が不可欠である。
 このような観点から、以下を実施すべきである。

・障害の有無にかかわらず、すべての子どもは地域の小・中学校に就学し、かつ
通常の学級に在籍することを原則とし、本人・保護者が望む場合のほか、盲人、
ろう者又は盲ろう者にとって最も適切な言語やコミュニケーションの環境を必要
とする場合には、特別支援学校に就学し、又は特別支援学級に在籍することがで
きる制度へと改める。
(実施・検討に当たっての留意点)

・現行の就学先決定の考え方(学校教育法施行令に基づき、就学基準に該当する
場合、原則特別支援学校に就学、特別の事情がある場合、地域の小学校に就学)
については、障害者権利条約の理念を踏まえつつ、障害の状態・教育的ニーズ、
保護者の意見、専門家の意見、学校・地域の状況等を総合的に判断し、教育的ニ
ーズに最も適切に対応できる学校を就学先として決定する仕組みに改めるべきと
の文部科学省調査研究協力者会議の提言(H21.2)を受け、見直しを検討中であ
る。
・その際、具体的な見直しの方向性として、就学移行期における個別の教育支援
計画の作成等を通じ、体験入学等の機会も活用した保護者への十分な情報提供、
より早期からのきめ細かい相談・支援の実施、就学先検討プロセスへの多様な外
部関係者・専門家(例:地域の障害当事者団体・親の会など)の参画等を通じ、
保護者との共通認識を醸成していくことが重要と考える。
・就学先に係る選択を保護者に全面的に委ねることについては、例えば以下のよ
うな場合には、本人の精神的・身体的能力を可能な最大限度まで発達させること
が難しくなる等の可能性があり、慎重な検討が必要である。
― 学前健診の受診や個別の教育支援計画の作成を認めないため、障害の状態や
教育上のニーズの把握・対応が不可能な場合など、保護者の障害受容が得られな
い場合
― 重度の障害等により児童生徒が日常的に必要とする医療的ケア等の提供が物
理的に困難な場合
― 行動・情緒面の障害等により、他の児童に重大な危害等が及ぶ恐れが強い場

― 保護者の児童本人への虐待が疑われる場合
・なお、障害のある児童生徒の指導に係る教員の専門性の確保・充実等の人的体
制や施設・設備の整備が必要であり、国・地方を通じた財政措置を行うことが必
要である。
・本件については、教育制度全般に関わることから、中央教育審議会等の場にお
いて、学校関係者、教育委員会関係者その他の関係者の意見を十分に踏まえ検討
することが必要である。

(実施時期・検討期間)

・現時点で実施時期・検討期間を明記することは困難である。

・特別支援学校に就学先を決定する場合及び特別支援学級への在籍を決定する場
合や、就学先における必要な合理的配慮及び支援の内容の決定に当たっては、本
人・保護者、学校、学校設置者の三者の合意を義務付ける仕組みとする。また、
合意が得られない場合には、インクルーシブ教育を推進する専門家及び障害当事
者らによって構成される第三者機関による調整を求めることができる仕組みを設
ける。

(実施・検討に当たっての留意点)

・就学先における必要な合理的配慮及び支援の内容等について、三者による合意
を形成し、その具体化を図っていくためには、その前提として、前述の就学先決
定プロセス等との関連において、障害のある児童生徒の指導に係る専門性ある教
員の確保・充実等の人的体制の整備、所要の施設・設備の充実等の環境整備、並
びにそれらを実現するための国・地方を通じた財政措置を行うことが必要不可欠。
・合理的配慮の内容等について合意が得られない場合の第三者機関については、
障がい者制度改革推進会議における教育以外の施策分野を含めた議論を踏まえた
検討が必要。なお、「インクルーシブ教育を推進する専門家」の定義が必ずしも
明らかではないが、第三者機関を設置する場合には、中立的かつ地域の実情等を
踏まえた議論・検討が可能となるような構成とすることが重要と考える。
・本件については今後、学校関係者、教育委員会関係者その他の関係者の意見を
十分に踏まえ検討することが必要である。

(実施時期・検討期間)

・現時点で実施時期・検討期間を明記することは困難である。

・障害者が小・中学校等(とりわけ通常の学級)に就学した場合に、当該学校が
必要な合理的配慮や特別な支援を確実に実施することができるよう、当該学校の
設置者が追加的な教職員配置や施設・設備の整備を行うために必要な措置を計画
的に講ずる。

(実施・検討に当たっての留意点)

・インクルーシブ教育については、理念のみならず人的・物的条件整備とセット
での議論が必要であり、同時に現下の財政状況や人材養成の現状を踏まえた現実
的な議論が必要である。条件整備を伴わないインクルーシブ教育は「子どもの能
力を最大限度まで発達させる」との障害者権利条約の目的を損なう恐れがある。
・推進会議の問題認識において、設置者が追加的な教職員配置等の必要な措置を
講ずるよう求めているが、教職員の人件費、施設・設備費については、義務教育
費国庫負担法等により、国と都道府県等が負担していることから、国・地方を通
じた財政措置を行うことが必要である。
・本件については今後、学校関係者、教育委員会関係者その他の関係者の意見を
十分に踏まえることが必要であるほか、地方自治体及び財政当局を含めた政府全
体として検討することが必要である。

(実施時期・検討期間)

・現時点で実施時期・検討期間を明記することは困難である。
【文部科学省関係】

【学校教育における多様なコミュニケーション手段の保障】
 障害者の人格、才能及び創造力並びに精神的及び身体的な能力を可能な限り発
達させるためには、教育が本人にとって最も適当な言語並びに意思疎通の形態及
び手段によって行うことが確保されなければならない。
 このような観点から、以下を実施すべきである。

・手話・点字・要約筆記等による教育、発達障害、知的障害等の子どもの特性に
応じた教育を実現するため、手話に通じたろう者を含む教員や点字に通じた視覚
障害者を含む教員、要約筆記者等の確保や、教員の専門性向上に必要な措置を講
ずる。

(実施・検討に当たっての留意点)

・手話・点字に通じた教員の確保をはじめとする教員の専門性の確保・向上を図
ることは重要な課題である。これらは教育課程及び教員養成全般に関連する事項
であり、今後、中央教育審議会等の場において、学校関係者、教育委員会関係者
その他の関係者の意見を十分に踏まえ、検討することが必要である。

(実施時期・検討期間)

現時点で実施時期・検討期間を明記することは困難である。

・教育現場において、あらゆる障害の特性に応じたコミュニケーション手段を確
保するため、教育方法の工夫・改善等必要な措置を講ずる。

(実施・検討に当たっての留意点)

・多様なコミュニケーション手段を活用した指導について、教育方法の工夫・改
善を図ることは重要な課題である。これらについては、国立特別支援教育総合研
究所において、都道府県の指導的立場にある教員等を対象とした専門的研修や指
導法に係る研究・成果普及を実施しているほか、各都道府県及び大学等において
も各種の研修プログラムを実施している。これらの取組を通じて、指導内容・方
法の工夫・改善や教員の専門性の向上に努めることが必要と考える。
・視覚・聴覚等に障害のある場合の教育については、特別支援学校におけるICT
機器・支援技術の活用の有効性も確認されていることから、今後、小・中学校を
含め、これらの取組を更に推進することが必要と考える。
・コミュニケーション手段を確保するための教育方法の工夫・改善等は、教育課
程に関連する事項であり、今後、中央教育審議会等の場において、学校関係者、
教育委員会関係者その他の関係者の意見を十分に踏まえ、検討することが必要で
ある。

(実施時期・検討期間)

・現時点で実施時期・検討期間を明記することは困難である。
【文部科学省関係】

(政府に求める今後の取組に関する意見)(P)

--略

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック