教育の情報化ビジョン(骨子)~21世紀にふさわしい学校と学びの創造を目指して~【案】 (抜粋) 2010/07/282010-07-28

https://jukugi.mext.go.jp/archive/267.pdf

(注)2010/07/07 公開の「教育の情報化ビジョン(骨子)【素案】~21 世紀に
ふさわしい学校と学びの創造を目指して~」を修文
https://jukugi.mext.go.jp/archive/237.pdf

教育の情報化ビジョン(骨子)【案】
~21世紀にふさわしい学校と学びの創造を目指して~

第四章 特別支援教育における情報通信技術の活用

(障害の状態、特性・ニーズ等に応じた留意点)
○第一章で述べたように、障害のある子どもたちにとって、情報通信技術は、障
害の状態や特性・ニーズ等に応じて活用することにより、各教科や自立活動等の
指導において、その効果を高めることができる点で極めて有用である。特別支援
教育における情報通信技術の活用にあたっては、障害の状態や特性・ニーズ等に
応じて、例えば以下の点に留意することが重要である。

○発達障害のある子どもたちについては、情報機器に強く興味・関心を示す者も
いる。このような子どもたちには学習意欲を引き出したり、注意集中を高めたり
するために情報通信技術を活用することが考えられる。また、発達障害のある子
どもたちの中には認知処理に偏りをもつ者も見られ、情報通信技術によりその偏
りや苦手さを補ったり、得意な処理を伸ばしたりするなどの活用も考えられる。

○発達障害の他、小・中学校等(特別支援学級等)に在籍する子どもたちの障害
としては、弱視、難聴、知的障害、肢体不自由、病弱・身体虚弱、言語障害、情
緒障害などがある。これらの子どもたちに対して、一人一人の障害の状態・支援
ニーズに応じて情報通信技術を活用するとともに、個別の教育的ニーズに応じた
学習用コンテンツを用意することが重要である。

○具体的には、視覚障害のある子どもたちについては、読みにくい画面の情報を、
画面の拡大や色調の調節などで補い、視覚から得られない情報を、聴覚や触覚な
どの代替手段を使って補うなどの工夫を行うことが重要である。聴覚障害のある
子どもたちについては、適切な聴覚活用を図ったり、視覚等の他の感覚器官の情
報に置き換えて情報を伝達したりするなどの工夫を行うことが重要である。知的
障害のある子どもたちについては、適切な補助入力装置やコンテンツの選択を行
うことが重要である。肢体不自由のある子どもたちについては、適切な支援機器
の適用ときめ細かなフィッティングの努力が重要である(34)。

○以上のような情報通信技術の活用については、これまでの特別支援学校におけ
る取組の実績・成果を踏まえ、これをさらに充実・発展させることにより、今後
の小・中学校等におけるこれらの障害のある子どもたちの支援・学習に当たって
も、有効かつ重要なツールを提供しうるものと期待される。

○また、病弱者である子どもたちについては、実際に行うことが難しい観察や実
験の補助としてパソコン等を使った擬似的体験を行ったり、インターネットや電
子メール等の活用を通じたコミュニケーションの維持・拡大等を行えるようにす
ることも重要である。

○文部科学省では、「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及
の促進等に関する法律」を踏まえ、発達障害を含む障害のある子どもたちのため
に、教科用特定図書等を作成するボランティア団体等に対して、教科書デジタル
データを提供するなどの支援を行っている。また、発達障害等の子どもたちの障
害の特性に応じた教材等の在り方やこれらを活用した効果的な指導方法や教育効
果等について実証研究に取り組んでいる(35)。これらの取組を通して、障害のあ
る子どもたちの学びを一層支援することが必要である。

(関係機関との連携等)
○特別支援教育においては、一人一人の学習の目標・状況等を教員間で共有する
ことや、学校と家庭、地域や、医療、福祉、保健、労働等の関係機関との連携を
密にすることが求められ、その際には情報通信技術を活用することが重要である。
こうした取組を充実することは、一人一人のニーズに応じたきめ細かい指導・支
援を行うための個別の指導計画及び個別の教育支援計画のより効果的・効率的な
作成・活用にも寄与するものと期待される。

○特別支援教育における情報通信技術の活用を検討するに当たっては、独立行政
法人国立特別支援教育総合研究所と密接に連携することが重要である(36)。

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(34)複数の障害を併せ有する子どもたちや重度の障害のある子どもたちについて
は、障害の重度・重複化を克服するための支援技術として、身の回りにある様々
な情報を積極的に活用し、他者とのコミュニケーションを豊かにするための支援
が重要である。

(35)発達障害に対応した調査研究として、デジタル教科書の備えるべき機能、電
子ファイルのフォーマット、製作・流通・保管方法等について、国際規格である
デジタル録音図書のDAISY(デイジー)を用いた研究、学校現場において読みに
困難のある児童生徒がパソコンなどの支援技術(AT:AssistiveTechnology)を活
用するための具体的な方策についての研究、読み書き障害のある児童生徒が聴覚
からの学習ができるよう音声合成ソフトウェアの開発・活用についての研究を実
施している。

(36)同研究所は、特別支援教育のナショナルセンターとして、主として実際的な
研究を総合的に実施するとともに、特別支援教育関係職員に対する専門的、技術
的な研修等を行っている。例えば、学校教育の情報化に関しては、情報化及び教
育支援機器に関する中長期的展望に立った研究を推進するとともに、障害のある
子どもたちの教育を担当する教職員に対して情報手段の活用等について研修を行
っている。

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