厚生労働省 第9回 障害児支援の見直しに関する検討会 議事録 2008/07/042008-07-04

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/07/txt/s0704-3.txt

----------------

日時 平成20年7月4日(金) 14:00~

場所 航空会館5階501・502会議室

(前略)
○柴田委員 ありがとうございます。それと、特別支援学校に併設されている生
徒の寮がありますよね。寄宿寮ですね。これがどのぐらいあるのかはわかりませ
んが、かなりあるのではないかと思います。1つは、雪深い所で冬の間だけ寄宿
舎に泊まるというのは、別に障害児でなくても一般児もしていることですからそ
れはいいですが、1年中ずっとその寮にいるというのは障害児だけの特殊な事情
で、特別支援学校が少ないので、通えないという事情からそうなっていると思い
ます。教育を受けるために家庭を離れる必要があるという問題は、本来はなくさ
なければいけない。家庭で暮らしながら教育を受けられるようにしなければなら
ない大きな課題だと思います。これは文科省のことなのでここで議論できないこ
とかもしれませんが、雪の間だけではなくて、通年で寮に入っていらっしゃる小
学校、中学校、高等の生徒の実際の人数はどのぐらいいらっしゃるのですか。

○新谷企画官 寄宿舎についてのお尋ねだと思います。寄宿舎については学校教
育法上位置付けられて、原則的に学校教育法第78条で、特別支援学校には寄宿舎
を設けなければならないとなっています。特別の事情があるときは、これを設け
ないことができるという規定になっています。現状で申しますと、実際には特別
支援学校全体で1,013校のうち、寄宿舎を設置する学校は333校の32.9%です。生
徒でいいますと、特別支援学校の寄宿舎に入居する幼児・児童・生徒数というこ
とでいえば、1万229人。特別支援学校全体の幼児・児童・生徒が10万8,000人で、
そのうちの1万229人ということは9.5%が寄宿舎に入舎しています。実際には特
別支援学校、特に養護学校の整備というのはかなり地域にも進んでいまして、そ
のあたりが解消されています。一方、従来の盲学校、聾学校については、盲学校
は基本的に都道府県1校しかありません。聾学校も数校ということがありますが、
盲学校、聾学校についても、発達段階の高い学年、高等部といった子どもたちの
入舎が多くなっているだろうと思っています。その辺のデータがないのですが、
そういうことが現状で、すべての学校に寄宿舎があるかというとそうではない。
一部の学校である。そこに約10%程度の子どもが入っている。入っている中でも、
かなり年齢的には上の子どもが入っているのではないかというのが現状だろうと
思っています。その辺も発達段階を踏まえて、我々はこの寄宿舎の問題を考えて
いきたいと思っています。

○柴田委員 ありがとうございました。ここで障害児の入所施設の問題を議論し
ている際に、その中でいちばん多いのがおそらく知的障害児施設です。重心も多
いですが、大半が大人ですから本当の子どもは少ないですよね。知的障害児施設
で1万人ぐらいで、数は忘れましたが本当の子どもはその中のたしか6,000人か
7,000人程度ですよね。いまお聞きしますと、学校のほうには1万人の障害児が寄
宿舎で暮らしているということですよね。この問題は、文科省の検討会ではない
ということであるにしても、障害児の施策のあり方の検討としては見過ごせない
問題だと思います。私はこんなに多いとは思わなかったのですが、これはかなり
重大な問題で、学校教育を受けるために寄宿舎に入らなければいけないという極
めて歪な構造ですよね。本来は、学校教育は家庭から通えるようにすべきであっ
て、家庭で補えないとするならば、本来は児童福祉の中で、障害者福祉の中で解
決すべき課題ではないかと思います。特別支援学校における寄宿舎にいる1万人
の児童をどう考えていくのかについて、できましたら今回少し光を当てて検討し
ていただけたらと思います。

○松矢委員 寄宿舎の問題は、特別支援教育で非常に重要な課題だと思います。
かつては、全員就学が義務制になったときに施設提携ということがありましたが、
学区域が整備されていく中で施設提携養護学校がだんだんなくなっていく。基本
的には通学ということですが、なかなか通学ができない。しかし、いま特別支援
学校になっていく中で通学ということをいろいろ考えていく上で、例えば肢体不
自由の重いお子さんも知的障害の特別支援学校、そういう意味では、特別支援学
校に統合されていく形で通学が可能になっていくという流れです。ですから、基
本的には家庭からという考え方と、養護学校では特別支援学校の寄宿舎は原則と
して週末は帰宅することになっていますので、この点は社会的養護のお子さんで
すと違っている点で、大半は週末は帰宅しています。そういう意味では、週5日
制というのは非常に重要だったと思っています。補足的なことです。基本的には
通学というのがいちばん望ましいことだろうと思っていますし、当初の問題とか
教育を等しく保障していく難しい問題というのは、なかなか解決されずに残って
いるのではないかと思っています。

○山岡委員 先ほど君塚委員が言われたところのインクルージョンの問題ですが、
これは重たい障害のお子さんだけではなく、発達障害でいきますと知的障害を伴
わない発達障害についても、特別な場での指導が必要だと考えています。平成18
年にようやく親の会の運動が実りまして、LDとかADHDに対して通級という特別な
枠が認められた。インクルージョンについてはいくつか考え方があって、フルイ
ンクルージョンといってすべてのお子さんが同じ学級で学ぶという考え方があり
ますが、基本的には障害のあるお子さんには専門性の高いところで、特別な場で
適切な教育をきちんと行うというものがなければ、このお子さん方の発達保障と
いうのはできないと考えていますので、フルインクルージョンは1つの理想論で
ありまして、そうなればいいと思いますが、現状で近いところで考えますと、お
子さん方は地元に近い所に在籍をし、必要に応じて特別な場で指導を受けるとい
う方式があるべき姿だと私どもは考えていることを言っておきたいと思います。
(中略)
○林参考人(坂本委員代理) 今日、坂本委員の代わりに出席しています。先ほ
ど特別支援学校の関連で東松山市の例が上げられていましたが、当市としても障
害のあるお子さんすべてを普通学校、普通学級にということでやっているわけで
はありません。
それぞれ、そのご本人あるいは保護者のご希望に沿った形でというのが基本姿勢
です。ですから、その子どもが普通学級で医療的ケアも含めて対応できるのかど
うかといったところを考慮しながら進めているということですので、特に重心の
お子さんについて普通学校で絶対受けていくのだという姿勢ではありませんので、
お間違いのないようにしていただければと思います。以上です。

○柴田委員 いまの事務局の教育の枠の関係ですが、学校教育や、文科省に何か
してくれという場ではないということは理解をします。しかしながら、現に学校
が非常に偏在をしていて、就学するために家庭から離れなければならないという
現在の日本の社会状況があるとするならば、そこの状況にある障害児に対して福
祉のサイドで、そこの生活支援をどうするのかということを考えるべきではない
かなと思います。それは、ここの検討会の課題ではないかと思います。私は先ほ
ど数がこんなに多いとは思わなかったものですから非常にショックを受けている
のですが、いままで私たちが話してきたことがこっちの世界とするならば、ほと
んど同じぐらいの数の世界がそちら側にあって、この数を議論しないで進めてい
るようなものでありまして、これは文科省の問題ということではなくて、福祉の
問題としてきちんと取り上げていただきたいと思います。

○君塚委員 東京の場合、都立の養護学校に寮があります。それは通えないから
ではなくて、集団生活をするとか、家から離れて自立に向けるための目的だと思
っています。だから、大都市においての寮というのは通えないからということで
はないと思います。

○柏女座長 寄宿舎問題は本当にいろいろなご意見があるし、私も知っています
がさまざまです。寄宿舎の中で虐待された子どもたちがいて、私もケースカンフ
ァレンスに伺ったりしています。そうした福祉と教育の連携が必要ですが、ここ
で議論をしているとデータが十分でないままにいってしまいますので、すみませ
んが、これは終わりにしたいと思います。

(中略)

○宮田委員 措置か契約かという点についてですが、我々の施設は児童の通園施
設です。平成18年10月から利用契約になったのですが、我々の施設では覿面に苦
情などをお聞きする機会が増えました。これは非常に重要なことだと思います。
職員に対しても「安心して苦情が言える施設と認められているのだから、しっか
り対応しろ」と言っているのですが、契約と負担による対等な関係というのは、
今後の時代には非常に重要なことだろうと思います。その負担に対する財政的な
バックアップをどうしていくかということが次なる課題なのかなと考えます。
 自立支援法にもかなり見直しがかけられて、限りなく応能化に近くなってきて
いるわけですが、そういう意味では、利用契約だから必ず応益、定率というよう
な形ではなく、もう少し負担の仕方ということを考えていく必要があるのではな
いかと思います。君塚委員は、入所すると特別児童扶養手当等の手当が切られる
と言われましたが、利用契約であれば継続されて、措置であればそれがなくなる
というような仕組みも、考えられるのではないかと思います。
 2番目に、「根拠となる法律」なのですが、多くの行政で、障害のある子ども
たちというのは子どもなのか、障害者の子ども版なのかということで、施策の谷
間に落ち込んでいる状況が非常に多いと思います。そういった意味では、根拠法
というものを明確にして、どちらをベースに考えていくかということが必要にな
ってくると思うのですが、当然、子どもですから、子どもとして児童福祉法で支
援されながら、その上に障害の部分を支援されるという制度的な明確性というも
のが今後必要になるかと考えています。

○山岡委員 実施主体のところですが、皆さんのご意見をお聞きしていると案2
のほうが多いのですが、私は、基本的には市町村であるべきで、その方向に進む
べきだと思っています。皆さんのご意見というのは、たぶん、そうしたいのだけ
れども、できないネックがあるから、当面県で甘受せざるを得ないということだ
と思うのです。これはこの報告書の書きぶりの問題で、いまの書き方でいくとそ
の辺がわからない。方向としては市町村にあるべきだが、こういうネックがある
から当面こうするのだ、いずれこう持っていくのだというところを出していただ
ければ、うれしいと思います。
(後略)

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック