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特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議(第12回) 議事要旨2009-08-19

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/054/shiryo/1282517.htm

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特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議(第12回) 議事要旨

1.日時 平成21年2月25日(水曜日)16時~18時半

2.場所 文部科学省3F2特別会議室

3.議題
 1.高等学校における特別支援教育の現状と課題
 2.滋野委員による説明
 3.自由討議
 4.その他

4.議事要旨
(1)髙倉座長より挨拶が行われた。
(2)事務局より配付資料の確認が行われた。
(3)事務局より、1.高等学校における特別支援教育の現状と課題について、
 2.高等学校における特別支援教育に関する基礎資料について、説明のあった
 後、自由討議となった。また、滋野委員より説明のあった後、自由討議となっ
 た。その概要は以下のとおり。

〔概要〕○:委員 △:事務局

○ 説明のあった高等学校における発達障害支援モデル校の報告について、この
報告書は既にきちっとまとまって出ているのか。また、このモデル事業を立ち上
げる前に宮城教育大のセンターで全国の実態調査をされたと聞いているが、その
まとめは既に発表されているのか。

△ 報告書について全体としてまとまったものはまだないが、宮城教育大のセン
ターの調査は発表されており、ホームページ上に載っている。 

○ 今回、特別支援教育の高等学校の課題ということで、推進体制の整備と、入
学試験や、卒後対応ということで進路指導の対応などが課題とされているが、指
導内容・方法についても課題があるのではないか。例えば今の説明では、ソーシ
ャルスキルトレーニングやストレスマネジメントの実施など、学校側が意図的に
設けないとなかなかできにくい課題について説明があったが、そうしたものをカ
リキュラム上どう編成していくか、モデル校の中でどのような整理をしたのかと
いうことについて、具体的な先生方の研修のところでとどまっているのか、かな
り突っ込んだ検討がされているのかをお尋ねしたい。

△ 教育内容について、かなり突っ込んだことができているのは研究開発学校。
モデル校ではそれぞれに工夫しているようで、ロングホームルームや総合的な学
習の時間、保健体育等に何とか位置づけて意図的に指導をしているという例が幾
つか見受けられた。それから、少人数指導等についても、実際には研究開発学校
等では突っ込んで行っているが、モデル校では、やはり全体の中での指導という
ことが中心になっている。

○ 新しい学習指導要領案の中では、例えばソーシャルスキルトレーニングやス
トレスマネジメント教育というのは、とり得るのかどうか。それから、高校の研
究開発学校で、通級指導や特別支援学級など、特別の学習課程をとったようなも
のがあるのかどうか。

△ 現在示されている高校学習指導要領改訂案で、直接的にソーシャルスキルを
どこで取り扱うといったことについては記述されてないが、現行でもそのような
取り組みを行っている例があるので、ソーシャルスキルを教育課程の問題として
取り上げるのか、弾力的な対応として取り上げるのかどうかについてもこの会議
での検討が必要と考えている。通級についても、特別の教育課程としてやるのか、
あるいは教育課程の弾力的な工夫として取り組んでいけるのかということも含め
て、ぜひご議論いただきたいと思う。

○ ここでこれから議論になる枠組みの範囲は、全日制や定時制などいわゆる普
通の高等学校での特別支援教育についてということでよいか。愛知県の場合、高
等部だけの高等養護学校というのが幾つかできていて、そこが職業訓練校のよう
みたいになっており徹底的な職業訓練をやっている。高等部だけの養護学校は、
入学が一番難しい高等学校になっていて、倍率が6倍ぐらい。一般の通常学校で
通常教育を受けてきた子たちも、就職率が9割と高いのでそこに入りたがってい
る。そういったこともあり、高等養護を職業訓練校としてやっていくしまうのは、
高校における特別支援教育のやり方の一つのモデルかなとは思っている。そのた
め、ここで取り上げる枠組がどこまでの範囲なのかというのを伺いたい。

△ 基本的には議論があまり拡散しないようにということで、まず場は高等学校
ということで、その中でも発達障害への対応ということを中心に検討したいと考
えているが、今お話いただいたように例えば特別支援学校の高等部では全国でも
就労支援を目指した色々な取組がされている。そういった話や、あるいは高等学
校の発達障害以外の障害の子どもについても、おそらく課題になると思う。中心
としては、高等学校の発達障害とするが、その検討の過程で、そういったことに
ついても当然ご意見を出していただくということでお願いしたい。

○ 平成17年12月の中央教育審議会答申では、具体的課題としては、「前期中等
教育と後期中等教育との接続の在り方」が挙げられているが、それは今回の高校
WGの検討課題である「高等学校における特別支援教育の推進体制の整備」に含
まれるのか。高等学校の推進体制の整備について、低いというデータだけでなく
具体的にどのようなことが課題になっているのか、人の動きの問題を含めたてと
ころ大変参考になった。その中で、教育相談の充実や、教育相談と特別支援教育
の連携の必要性が書かれているが、カウンセラーは外部の専門家なのか。それと
も教職員の中にそういう方が少しでもいらっしゃるのか、その辺が大変興味深く
教えてほしい。

△ 1点目について、確かに中教審の平成17年の答申の中では、前期中等教育、
後期中等教育の接続とか、あるいは後期中等教育における諸課題ということで書
かれているが、今回は、高等学校における特別支援教育ということで議論が拡散
しないように少し狭めに、そこを中心にやりながら、その関連で中学校との接続
の問題や、特別支援学校の中学部・高等部との関係といったことについても議論
していただければと思う。

△ 資料中のスクールカウンセラーにいては、外部人材という例もあるし、教育
相談部の先生がカウンセラーとしての研修を深めて、青年心理に詳しいカウンセ
ラーとして対応しているという例もあったので、必ずしも外からの人を増やすと
いうことではなく、高等学校の中の教育相談機能の充実ということでとらえてい
ただければと思う。

○ 資料2-4について、高校段階での発達障害等のある生徒の割合は、ならすと
3%程度であり全日制の公立だと少ないようだが、私立では2、3%いるという数
字が出ていると思う。全国LD親の会では、会員の構成調査を毎年やっておりそこ
では高校への進学率は95%や96%で全国平均とそう変わらず、診断名としてはLD、
ADHDとか高機能広汎性発達障害とか、軽度知的障害の方も入っていたりするが、
95%以上は進学をしている。そのうち高等特別支援学校に行っている子どもは以
前は10%程度で、今は上がって十数パーセント。まだ20%まで届かないような状
態となっている。そうすると、要するに8割ぐらいの子どもが、総合学科等色々
あるが通常の学校の中の一般の教育課程に行っていることになる。その8割のと
ころの問題が結構クローズアップされていて、大きな中心の課題かと理解した。

○ 発表にあった京都府の体制整備状況について、本県でも同じような数値で、
校内委員会やコーディネーターはほとんど全校で、また、巡回相談も7割近く行
われている。ただ、やはり指導計画と教育支援計画がこれくらいの程度の数値に
おさまっているということで、意識の高まりが大事であると感じている。大学生、
大学院生たちの協力について、これは、先生個人の研究室の学生たちがボランテ
ィアになっているのか、それとも、学部等と協定みたいなものを結んで常時そう
いった体制をとっているのか。

○ 個別の教育支援計画のパーセンテージは該当する生徒がいない学校もあり得
ると思うので、すべての学校で必ず出てくるというものではないのではないかな
と思っている。学生ボランティアは、京都府教育委員会の高校教育課が大学との
包括協定を既に結んでおり、府の教育委員会でボランティア登録ができ、交通費
も支給されるようになっている。ただ、依頼すれば登録者が必ず学校に来てくれ
るのかというと難しく、実際には学校の進路指導部の教員が個別に大学を回り、
ボランティアをしてくれる学生探しをかなりまめにやった。あるいは、大学の教
職課程の関係の先生との話の中で、高等学校の教員を目指す学生を行かせたいと
いう大学の先生がおられ、十数名学生が来てくれている。これはとてもありがた
い存在。

○ 協定を結んでいるというのは、京都のコンソーシアムとは関係があるのか。

○ それとは特に関係がない。

○ 夜間や昼間定時制などの学校の中には、学力とか生徒指導上の問題が、発達
障害なのか、知的障害のボーダーなのか、家庭環境の問題なのか、混沌としてお
り十分な把握ができにくい状況になっている学校もある。その辺については、ま
だまだこれからの課題が非常に大きい。

○ 巡回相談の利用について、発表では桃山養護が府の指定でセンター的機能を
活用して相談にのっているとのことだが、城陽や西舞鶴も同じように、特別支援
学校のセンター的機能を利用されているということはあるのか。

○ 桃山養護が、本校を含む京都市内のセンターになっているが、高等学校の巡
回相談の経験というのは以前はあまりなく、19年度から特別支援教育がスタート
したことで高校の中身も知っていただき、だんだんとお互いにスキルアップして
いるのではないかなと思っている。

○ 特別支援学校のセンター的機能の活用だけではなく、京都府の巡回指導の専
門家チームのようなことも活用しているのか。

○ 活用している。

○ 今回説明いただいた高等学校を私どもの教育委員会の指導主事も先週視察し、
大変勉強になった。最後の私見の部分で、全体としては気づきの段階であるとか、
学校間格差ということがあったが、実はまだ小・中学校段階でも、委員が指摘さ
れたような段階というのはかなりある。特別な支援が必要な子どもについて、本
人・保護者への説明と、家庭状況や生育歴に関する情報提供などが当然のことな
がら必要になってくると思う。高校生ともなると本人のプライドであるとか、難
しいところがあるのではと思うが、その辺はどのようになされているのかという
ことを教えていただきたい。 

○ 多分、どの高等学校でも、中間試験や授業の状況、欠席数の増加などがあり、
1学期段階で、このくらいになると進級が難しいという話が、ある程度すぐ把握
ができるので、その時点で生徒も含めて保護者面談をする形になる。その中で、
巡回相談になったケースは、いろいろやりとりをする中で、専門家に検査しても
らった結果などを巡回相談員がうまく保護者と生徒に伝えてくれる。私が見た限
りでは、巡回相談の方がとてもうまく生徒と保護者に伝えてくれていると思う。

○ 中学校と高等学校との連携が一番気になる。不登校の生徒を10名受け入れて
おり、その子たちが一番メインになって支援が始まったのだと思うが、例えば中
学校のほうから、LDやADHDという障害があるということで、先生の学校を受験さ
れるというようなことはあったのか。

○ 発達障害に関してはないが、本校で、肢体不自由の生徒が入学・卒業をし、
現在、大学に在学しているというケースはある。京都の公立高校では、合格発表
後に可能な職員が手分けをして中学校を回り、配慮の必要なケースを全部ヒアリ
ングをしている。

○ 事例の高校では単位認定にも相当工夫していたと思うが、発達障害の能力の
アンバランスな部分と、押しなべた単位認定をしていくことについては、高校の
特別支援教育を議論していくときに、課題になると思う。

○ 本校ではレポートが出せない事例が幾つかあった。おそらく随分前では、先
生が怒るだけだったと思うが、研修のおかげで、もしかしたらと考えるようにな
り、生徒を個別に呼んで、具体的に何らかの形で補完するケースがあった。それ
から、体育の場合授業に出ないと単位が認定されないケースがあるが、集団指導
になじみにくい子どもが授業に出たがらないケースはあると思う。ただ、本校は
長期欠席者特別入学者選抜を導入した際に養護教諭を2人配置してもらっており、
生徒がしんどくなったとき、保健室に行けば、養護教諭のどちらかはいるのでと
てもありがたい。単位認定をめぐる部分に関しては、色々なケースがあり試験の
点がとれない時点ですぐ1にしてしまう場合もあるが、本校ではある程度の期間
を置いて補充をし、それをクリアすれば、1ではなくて、もう少し評価をすると
いったことを全教科で行っている。

○ 単位認定の配慮や全教員が気づきの段階で色々なことを行っていくためには、
学校規模が重要になってくると思うが、先生の学校はどれくらいの規模の学校か。

○ 京都府の中では、1学年10クラス規模が一番多いが、本校は、ほぼ中くらい
だと思う。教員数は実習助手や養護教諭を除いて45。

○ 個人的な推測のレベルだが教員数45名が大きくなってくればくるほど、全員
に徹底していくのがなかなか難しくなってくるので、校内委員会というシステム
整備や全教員の意識の高さという2つの課題があるように思う。

○ 今までの仕組みでは発達障害がある場合、能力があっても、社会に出る際に
ミスマッチを起こして苦しんできたと思う。説明いただいた学校では大変すぐれ
た実践をしているがもっと多様な対応を今後考えていかなければならない。我々
はその入り口に立っており、大変なこと。

○ 大変いい発表をいただき高等学校は頑張っているなという感じを深く持った。
生徒理解の共有化という看板に向けて全教員がまとまった形で取り組んでおり、
大変感動した。特別支援教育の指導や、小・中・高校での教育指導は、子どもが
いかになるかというのが勝負であり、それにどれだけ教職員の力が結集するかと
いうこと。この学校の場合、校内委員会は、改めてつくるのではなくもともとあ
ったというか、教育相談の機能を有するまとまりが校内委員会にスライドしてき
たということだと思う。

○ 実は、校長がこういうふうにしろと言ったわけではなく、校内の中でいろい
ろ検討する中で、こんなふうに動いていっただけなのでそんなにすばらしいもの
ではない。職員の中では色々な意見もあるし人事異動で教員もかわるので、研修
はやり続けないといけない。全員が中退せずに卒業できたわけではないし、すべ
てきちんと対応できているかというと、そうではない。

○ 3つあるうちまずは1点目。資料2-7の1に、ソーシャルスキルトレーニング
やストレスマネジメントということが書いてあるがこれは高校でやることなのか。
これは、特別支援教育を受けてきた子どもたちが高校でやるということではなく、
おそらく通常学級の中できちんとケアされていなかった人が高校に上がってきた
際に、高校で何ができるのかという1つのモデルだと思う。本来の特別支援教育
の下から上に上がっていく連続性ということで言うと、どこでどういうことをや
っていくのかということを考える必要があると思う。

 2点目が、変わった子たちに対するほかの生徒の理解について、中学レベルだ
と、もっといじめなどが問題になると思うが、高校だからこそ、生徒間同士であ
まりトラブルが起きないでいっているのか、それとも、生徒に対しての特別な働
きかけが可能であったのかどうか。

 3点目として、高校の特別支援教育には2つテーマがあると思う。1つは、発達
のでこぼこに対する支援のあり方。今までの日本の特別支援教育というのは、全
部発達の谷間の方ほうにだけ視点が当たっていた。しかし、高校の特別支援教育
といった場合には、山の方ほうにも視点を当てる必要がある。この部分が今まで
の議論に欠けているように思う。

○ 1つ目のソーシャルスキルトレーニングについて、これは現場とはかなり乖
離していると思っている。社会性を身につけるには、ホームルームや行事といっ
た授業の中での中身のほうが非常に大切ではないかと思っている。また、高等学
校でも1年生の段階で、中学校から引きずってくるものや、メールやブログでの
トラブルというのが出てくる。1年生の初めの段階での相談体制というのをある
程度しっかりつくると、他の生徒の理解に関する部分というのも、あえて障害の
ある人についての授業をやらなくても可能なのではと思っている。発達の山と谷
の部分については、実際に入ってきた生徒を見ていると、いいところを伸ばして
いくと、谷の部分がほとんど見えない形で動いてきていると思う。長欠は100日
以上あるのに学力は結構高いという子どものトラブルというのは、中学校のとき
2次障害でトラブルになっていたか、あるいは、部活動の中で色々あったケース
など、いろいろある。中学校から高校に来る段階で新たにスタートを切ることを
決意しているので、そのときにいかにいい部分を私たちが見つけてやっていくか
だと思う。

○ 1人で行動しているとか、授業中いつも落ちつきがないとか、保健室対応が
非常に多いとか、小学校と同じような姿が見られるので、その場合その生徒に対
する周囲の生徒の理解がどの程度で、どれだけ温かく受けとめ支援をしてくれる
のかというところが気になる。そういうことも含めた人権教育、道徳や基本的生
活習慣、清掃用具の中のほうきやちりとりをどう整頓しているかなどの環境整備
の問題などは、特別支援のベースになる学校としての土壌であるので、どのよう
に取組んでいるのか教えてほしい。また、一般の保護者への啓蒙はどのように行
っているのか、誰でも学べる授業づくりなど授業改善の問題についても教えてほ
しい。

 それから、先ほど話のあったソーシャルスキルトレーニングについては、先日
私は通常の学級の6年生の教室へ行って出前授業をしたところ。時間割としては
道徳でやっている場合や総合的な学習の時間でやっている場合もある。

○ 実は、周囲の生徒に特別なことは何もしていない。人権教育は、毎年テーマ
を変えながら1年生から3年生まで系統的にいろいろやっている。高校なので、一
般の保護者への話などは全くできている状況ではない。

  授業改善に関しては、年間2回、教員同士で授業公開をやっている。授業を
見た人が、必ず授業のコメントを集めて、担当がペーパーにして配るということ
はずっとやってきている。それから本校が京都府教育委員会から、学力向上フロ
ンティア校としてお金をもらっている中身では、生徒のプレゼン能力を高めるよ
うな授業に取り組むための研究を今年1年やっている。

○ 高等学校段階の気になる子というのは、おそらく幼稚園とか小・中学校の段
階でも、何らかの芽を出していたのになかなか気づかれなかった子どもなのでは
ないか。例えば、小学校6年生で厳しい課題に直面している子どもを見ると、な
ぜ1年生のときにもう少し適切な指導・支援ができなかったのかと思う。そのこ
とからすると、高等学校での課題は、長年の積み重ねで来ている部分があるので
厳しい部分があると思う。

 ただ、逆に、今日の説明を受け、小・中のこれまでの特別支援教育とは違った
高等学校ならではのアプローチの仕方の可能性も感じた。高等学校は小・中に比
べてある程度柔軟な対応が可能な部分があると思うので、小・中から学ぶという
よりも、高等学校独自のアプローチが模索されていいのではないかと感じた。

○ 先ほど事務局から入学試験における配慮について説明があり、それぞれの障
害に応じて配慮した受験体制を整え、能力が十分発揮できるような環境の中で受
験させてあげたのだと思うが、大きな意味がある。また、例えば受験体制を整え
た結果合格して、LDであっても受け入れるということであれば、高校は単なる教
育課程だけではなく、その子が生活上の困難を克服していけるような指導内容を
用意していくということが当然必要になってくる。

○ 私の学校には定時制と通信制があるが、通信制だと状況把握が難しいです。
定時制は、今、大体、夜間定時制で5割くらいは不登校の子。以前と違って、勤
労青年ではない。きちんと把握をすると、かなりの割合で発達障害の可能性は出
てくると思う。その中で、本校の定時制の教員は文化祭などの行事でいろいろ役
割を与えて、何とか来させようとしてみたりしており、やめそうだった子が続き
始めたりなどしているが、すべてまではなかなか手が回っていない。

○ 先ほど、中学で不登校の子について、入学が内定した時点で中学校を訪問す
るという話があったが、先生と生徒の間に何があったかなどについては話しても
らえなかったというケースもある。障害があるということについて中学から高校
側に伝えていくということが大切。そうでなければ、高校で改めて気づいていか
なければならない。

○ 京都の事例について、このような学校ばかりだったらいいなと思うぐらいに
学校全体での共通認識を持ちながらやられているが、残念ながらモデル校の中に
広島県がないので、ぜひ全国の地方の学校にもこれから進めていっていただきた
い。

 就労支援について、実は特別支援学校から受けた就労・生活支援センター等の
話を聞いていると、卒業した方々の社会性や仕事をすることについての意識づけ
がすごく弱いと聞いる。京都の高校の場合にはどのように考えているのか教えて
ほしい。

 それから、教育相談の充実のところにスクールカウンセラーについて記述があ
るが、親としてはすごく相談しやすい人の中に、臨床心理士という方がいるが、
どういう資格なのか教えていただきたい。

△ 臨床心理士とスクールカウンセラーは全然別のもので、スクールカウンセラ
ーは資格ではないが、スクールカウンセラーになるための要件の1つとして臨床
心理士の資格を持っていることが挙げられていると思う。 

○ 国立特別支援教育総合研究所は、義務教育を中心に研究・教育をやっていく
ということで高等学校にかかわる問題は弱いのだが、今年2月に高等学校の発達
障害という形でセミナーを開いた際、非常に沢山の方が来た。小・中学校で問題
になっているような問題があり、義務教育段階のような形のものが、そのまま高
等学校に移譲しながら出てくるように感じた。

 また、高校特有として、単位の関係で退学になったり、通信制に回されてきた
とか、総合単位制のところに行かされたというような形で、たくさんの子どもが
渦巻いている状態であり、その子どもたちの問題をどう取り上げていくのかとい
うのが一番必要なことではないか。例えば入試の対応について、全日制、通信制、
総合単位制で共通の何かを見つけ出していくのがいいのかについては議論が必要
で、軽々に1つにしていいのかどうか。もう少し幅広いさまざまな、事例をたく
さん挙げ、その中に見出せるものがたくさんあるのではないか。あまり議論を集
約してしまってやるというよりは、もっとモデルで学ぶという形の中に見出せる
ものが存在するのではないかという気がする。

○ 『実践障害児教育』という雑誌に1年間ギフテッドについて連載した。日本
と、他の先進国との特別支援教育の一番大きな違いの1つは、天才児への特別支
援教育のシステムが日本にはないということ。日本では、中学校から高校が関所
になっており、そこで輪切りをするが、このシステムというのは、結局、認知の
山のところに焦点が当たらない。キーワードは2E(Twice-exceptional child、
二重に例外的な子どもたち)で、認知の山の部分と谷間の部分の両方を持ってい
る子どもがいる。この子たちはおそらく小学校の低学年からいろいろな2次障害
を起こしやすいので、この子たちへきちんとした教育が小学校低学年からできる
と、独創性が十分発揮されてこなかっただけだと考えることができるのではない
か。

○ 高校での特別支援教育を何のためにやるかについて、高校全入時代において、
発達障害の子や不登校の子など色々な子どもたちをどのように扱うかではなく、
どう支援するかということであって、特別支援教育の出発点は子どものニーズ。

  ソーシャルスキルについては高校ぐらいになると社会性の問題などが目立つ
ようになるが、高校卒業後就労する場合に、特別支援学校高等部ではなく高校を
出た場合には、一般の教育課程なので、ソーシャルスキルも自己認知もない。そ
のため、発達障害の子どもが高校を卒業するとソーシャルスキルやコミュニケー
ション能力に非常に問題が出てくるので、就労に必要なことを高校の教育課程で
できないのだろうかと思う。

○ 高等学校における特別支援教育の課題について、どこから出発をしなければ
いけないか考えてみる必要がある。そういう意味で、全日制、定時制などさまざ
まな学校が選ばれている19年、20年のモデル校の実践の中から具体的な共通項を
洗い出す必要性がある。発達障害の子どもが一番スムーズに溶け込むのは、具体
物を使った農業高校や商業高校などの専門高校で、卒業率も高いということを伺
っているので、その理由について少し見ていく必要がある。

 生徒指導については、実は、特別支援学校高等養護部や高校の生徒にも読める
中身になっている『目で見るソーシャルスキルトレーニング』という本が、1カ
月で5,000部売れておりニーズが非常に高いということも事実としてある。また
進路指導でも就労と高等教育への進学では焦点のあて方が違ってくるのではない
か。生徒たちが青年期になって自我が芽生えてくるので、高校だから取組める中
身を少し検討する必要がある。

(4)事務局より今後の会議の運営について説明があり、閉会した。

お問い合わせ先 初等中等教育局特別支援教育課

特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議(第13回) 議事要旨2009-08-19

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/054/shiryo/1282589.htm

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1.日時 平成21年5月20日(水曜日)10時~12時30分

2.場所 文部科学省3F2特別会議室

3.議題
 1.義務教育段階を中心とする特別支援教育の推進体制の充実について
  1,事務局による説明(今後の主要検討事項及びスケジュール)
  2,事例発表1(上田清次 横浜市立大曽根小学校校長)
  3,事例発表2(佐々木智美 上尾市立西中学校特別支援教育コーディネーター)
 2.自由討議
 3.その他

4.議事要旨
 (1) 髙倉座長より挨拶が行われた。
 (2) 事務局より配布資料の確認が行われた。
 (3) 上田校長及び佐々木教諭より資料に基づき発表が行われた後、自由討議
   となった。その概要は以下のとおり。

  〔概要〕○:委員 ◎:ヒアリング者 △:事務局

(神奈川県横浜市立大曽根小学校)
○ 1学級当たりの児童生徒は何名で編制しているか教えてほしい。また、専科
体制を導入している趣旨と、一部見直した趣旨は何か。過去に専科教員と子ども
の間で問題が生じたために見直しを行ったとのことだが、それは特別な配慮を要
するような子どもに関わることであったのか。最後に、校長先生から各校に対す
る人的支援について要望があったが、県費や市費による助成等はあるのか。

◎ 1学級当たり児童生徒数はおよそ37~38名。6年生が最も少なく、1学級33名。
専科体制については、おそらくどの学校でも導入していると思う。高学年になる
と音楽や家庭科などの教科の専門性が高くなり、小学校全科の免許状では、指導
に困難を伴う。このような教科に対する指導上の専門性確保や教材研究の時間の
確保を図るという趣旨から、特定の教科を専門的に担当する教員を配置している。
専科教員と子どもの問題は、特別な配慮を要する子どもに関するものが多い。特
別な配慮を要するような子どもは、授業開始時間までに準備が間に合わないこと
がある。専科教員は、担当する教科のみ指導すれば良いとの思いが強く、このよ
うな場合の責任を、学級担任教員の責任にしてしまう。そのようなことから、学
級担任教員は、子どもに注意してしまうことになる。一方、サポートティーチャ
ーは学年担任の一人として行動するので、今申し上げた事例のような問題にも責
任を持って対応する。人員支援の点については、横浜市も県と交渉し、教員の加
配措置等を確保しているようだが、横浜市の学校数は346校と多く、加配措置は
各校まで行き渡らない。また、予算が措置されたとしても、人材の確保は学校対
応となることもある。

○ 資料2、7ページにあるサポートティーチャーの指名等に関して配慮している
ことについて教えてほしい。

◎ 教務主任は業務多忙であるため、また、特別支援学級の担任は、通常の学級
の担任との関係に対する配慮から、特別支援教育コーディネーターには、教務主
任や特別支援学級担任を指名しないこととしている。通常の学級の担任やサポー
トティーチャーを特別支援教育コーディネーターに指名している。教諭経験10年
~15年程度の者を特別支援教育コーディネーターに指名しており、サポートティ
ーチャーについては、学年主任を任せることが可能である程度の能力を持つ教員
を指名している。サポートティーチャーに初任者を指名することはない。また、
子どもと教員の間に入り、子どもと共感し、考えを伝えることができる教員を指
名している。さらに低学年では女性教員が多いということもあり、あえて男性教
員をサポートティーチャーに充てるなどの工夫も行っている。

(埼玉県上尾市立西中学校)
○ 資料3、18ページのアンケートは、特別支援学級の生徒に対しても実施して
いるのか。

◎ 特別支援学級の生徒に対しても、可能な限り、同形式でアンケートを実施し
ている。文言が難しいので、表現を分かりやすくして実施する場合もある。

○ それでは、この円グラフは両方の学級の生徒に対するアンケートの結果と考
えてよいか。

◎ 今回提示しているデータは、通常学級を対象にしたアンケートの結果のため、
特別支援学級の生徒を対象にしたアンケート結果は含まれない。

○ 資料3、9ページの「部会2 通常学級における特別支援教育の在り方」中の
「研究のねらい」の中に、「『困っている』を感じている生徒」が挙げられてい
るが、そのような生徒はどの程度いるのか、またどのような生徒であるのか、教
えてほしい。

◎ 従前から手のかかる生徒は存在したが、ここでの「困っている」は特別支援
教育からの視点であり、「困り感」という表現が用いられることがある。埼玉県
では、「困難さ」、「不自由さ」と表現する。そのような視点から作成された県
からの資料などを、学年や校内の支援委員会で取り上げ、検討を重ねた上で、事
例対象の生徒を決めている。本校では、この2年間研究委嘱を受けており、8名の
生徒を事例対象としているが、医療的な診断に基づくものではなく、校内におい
て支援が必要であると思われる生徒。多動傾向だったり、学習能力的支援が必要
であったり、不登校傾向があるなどさまざま。新1年生においても数名の生徒を
事例対象に挙げて、校内全体の体制づくりを進めているところである。

(自由討議)
○ 資料2、3ページの「教育相談を保護者に勧めたい児童約15人」を、「特別に
配慮を要すると診断された児童数32人」に加えた児童数47人は、全校児童数734
名中6.4%程度を占めることとなり、全国平均と同程度の学校といえる。

 家族への支援が、今後の取組における大きな課題としてあると思うが、小学校
や中学校の各段階においては、どのような対応が可能か。様々な課題を持つ子ど
もの保護者に対する日常的な接し方など、教えてほしい。

 2点目として、特別支援教育コーディネーターの指名について意図的な対応を
されているようだが、その結果として確認できた良好な事例について教えてほし
い。

 3点目として、中学校の事例は、1年生の「困難さ」や「不自由さ」を持つ生徒
を対象とした事例の検討とのことだが、このような生徒に接する教員側の対応な
ど校内体制について補足説明をお願いしたい。また、説明のあったスキル教育に
ついて、日常の授業における活用方法や、今後の見通しなど補足説明をお願いし
たい。

◎ 保護者対応の点について、特別支援教育も含め、学校教育の根幹として、ま
ずは子どもをどのように育てていくかという視点が非常に重要。保護者にも伝え
ることだが、まずは子どもの自立を目指さなければならないと思う。それについ
ては、保護者や担任に対して、自立についてどう考えるかを質問として投げかけ
ている。その答えとして、子どもの存在感がある。社会の中での存在感を子ども
に自覚させると同時に、その存在感を大切にして生きるという生き方を身につけ
ることが一番大事、学力で存在感を発揮する子どももいれば、グループの中での
存在感を発揮するために自らの長所を発揮していく子どももいる。そのようなこ
とを考えることが小学校では特に大事。保護者には、そのところから説明する。

 保護者が特別支援教育に期待するのは学力アップであることが多いが、その子
どもたちに必要なのは学力アップ以上に、学習への姿勢や集団の中でのコミュニ
ケーションのとり方などの基本的な部分であり、保護者にはそのことを伝えてい
る。

 担任、校長、サポートティーチャー、特別支援教育コーディネーターに共通す
るが、最終的に、子どもの進学などの将来に対する見通しに基づき必要とされる
能力について、保護者と話し、その点から生活面や学習面の指導について指導計
画を作成する。

 特別支援教育コーディネーターについて、良かった事例としては、本校ではど
の教員もすべての情報を校長ではなく、まずコーディネーターの3人に入れ、重
要な案件等については、その後にある程度の方向性をつけた上で、私に話を持ち
かける。1年目は校長が直接指示することも多かったが、2年目、3年目になると、
自主的に考え、特別支援教育コーディネーター同士が連携しながら、解決するよ
うになった。すべての情報が特別支援教育コーディネーターに集約されることで、
問題は図式化され、把握が容易となる。学校として何かあったときには、特別支
援教育コーディネーターが中心となり発言をするので、非常に取り組みやすい。
これが利点である。

◎ 校内体制について、本校規模の学校では、学年単位での取組が基本。現在、
3年生にも支援を必要とすると思われる生徒は在籍している。3年生に対しては、
校内委員会などを通じて情報交換を行うことで対応している。

  スキル教育については、スキル教育という言葉がひとり歩きしてしまわない
ようにというのが本校の考え。きちんとした経験を積んでこなかったために、今
やらなければならないことができていないような生徒などに、体験学習などを通
して実際の社会の中でも使えるようなスキル・トレーニングを実施してきた。

  その視点を、特別支援教育に置きかえて、周囲の生徒との関わり方がうまく
いかない場合や、その授業に参加する方法がうまくわからないといった生徒に対
して、授業規律の部分で、取り組み方のアドバイスを行う、あるいは教員側から
授業展開の中で子どもたちに身につけさせたいスキルを生徒に提供するなどとい
う取組が、本校のスキル教育で進めているもの。

○ 資料4の第1点目の特別支援学級教員養成課程や通級指導教室教員養成課程に
ついての記述の意図について教えていただきたい。特別支援教育コーディネータ
ー養成課程というよりは、現職教員も含めて、現在の教員養成課程の中に特別支
援教育の科目を導入することが、まずは先決ではないだろうか。この点から、専
門家を養成するということと、全教員にできるだけ特別支援教育の考え方を学習
させることとの関連について、考えを教えてほしい。

○ ご指摘のとおり。一般教員向けの研修・講習と、地域の核になるスペシャリ
ストの養成という二本立てが必要。特別支援学級に配置される多くの教員の免許
状は小学校全科である。このため、教員は現場に入った後に一から勉強している。
現在、初任者は増加しており、本市でも教員500人中300人が5年以下の経験とい
う状態が、この一・二年続いている。その中で、教員養成課程の中に特別支援教
育の科目を取り入れ、教員を目指す全ての者が特別支援教育を勉強することと、
それとは別に、地域で区市町村を引っ張る方には特別の養成課程が必要であると
の考えに基づき、資料を作成した。

○ おそらく教員養成に関わる話になってくるであろう。教員養成のすべてにわ
たって特殊教育について学習するという仕掛けをつくったのが平成10年だと記憶
しているが、その時は独立の科目を設定するところまで行かなかった。一部の科
目の中に差し込むところまでであった。だから、少なくなくとも一つの科目を設
定するところまでは必要ではないか。もう一つはスペシャリストとしての養成の
ための科目。それについては、現在特別支援教育コーディネーター養成コースな
どを、既に設置している大学院などから拡大していくことが良いと思う。

○ 今回テーマにしている校内体制、指導の充実については、通級による指導に
対しての定数改善が最優先課題。主にLDとかADHDの通級が独立して一つの対象に
なり、文部科学省で教員の加配を措置しているものの、対象児童生徒は平成18年
度から21年にかけて1,011名の増加となっている。発達障害の疑いのある児童生
徒は68万人と言われており、その全部について支援が必要とは思わないが、単純
計算では、カバーするのに250年ぐらいかかる。この改善については頑張ってい
ただきたい。

○ 配布資料にある体制整備に関して言うと、校内委員会の設置や特別支援教育
コーディネーターの指名自体は簡単なこと。機能強化や質の向上など実態におけ
る実効性の確保が課題であり、実態把握などを含め施策の検討をお願いしたい。

○ 資料4にあった発達障害のための療育手帳については、発達障害を障害者自
立支援法改正において、発達障害を障害者自立支援法の対象に含める法案が現在
国会に提出されており、昨年の厚生労働省の社会保障審議会障害者部会において
もその方向での結論が提言されている。ただ、発達障害の扱いについては、現状
の3障害の枠の中で扱うということにされており、精神保健福祉手帳の対象、も
しくは精神保健の対象の一部に含めるという解釈が出ており、この路線ははっき
りしない。資料においては、その点の整合性がないかもしれない。

○ 小学校の事例について、目立たない子どもの話があったが、学習面に特異な
困難を持っている子どもの中には行動面に問題が出ないために目立たないという
例がある。また、学習に困難は無くても、社会性などに問題があり外への影響が
ないために目立たないという例もある。そこのところにもご配慮いただきたい。

△ 先ほどの資料1-5の体制整備の件については、ご指摘のとおり、量の問題か
ら質の問題を検討していく必要がある。その質をどうやって測定するか、また、
どう把握するか、適した測定手法について検討しているところ。例えばだが、校
内委員会は設置だけではなく、開催の回数を聞いてみたところ、複数回数、ある
いは4回以上というのがかなりあるという結果だった。特別支援教育コーディネ
ーターも同様に、実際に連絡調整をやったのかどうかということを聞いたところ、
指名はしたものの、必要な連絡調整については未実施というのが20%程度あった。
このような状況から、体制整備の質の問題についてはさらなる検証を図りたい。

○ 体制の整備はまず必要なこと。次にどう機能するか。そして、その成果がど
うであったかということまで視野に含めて総合的な議論をしていくことになるの
ではないかと思う。

○ まず平成19年4月の特別支援教育の推進についての通知の2番目に、校長の責
務ということがあり、その中にリーダーシップの発揮について記載されている。
今回の小学校の事例は、まさにそれを具現しているところに感銘を受けた。現場
からは、予算や人が不十分なことを理由にして、推進できないと言われることが
多いが、それがなくても、校内支援体制一つを例にとっても、大きな工夫の余地
がまだあるということを痛感した。

○ アプローチの仕方というのは学校の状況や子どもたちの様子、地域の実態に
より様々であり、まさに校長の力量とセンスにかかわっていると思う。専科につ
いても、校内的には当初抵抗があったと思われるが、うまく活用されていると感
じた。担任教員は、子どもたちを平面的にとらえがちであるが、そこに例えば専
科の目とか、サポートティーチャーの目が入ると、別の側面から見ることが可能
となり、より子どもを立体的に生きた子どもとしてとらえることが可能になる。

○ 特別支援教育コーディネーターについては、指名してお任せみたいな点があ
り、特別支援教育コーディネーター本人としては自分で何をやるのか分からない
といったようなことを聞く。特に、中学校、高校になるとなかなか難しいところ
があるようだ。そういった意味では、特別支援教育コーディネーターを学校の体
制の中で複数という形で置いているのは、非常に機能しやすいであろう。特別支
援教育コーディネーターも、深い専門性を求められてきているところはあると思
う。

○ 特別支援教育コーディネーターが1人で抱え込んでしまう状況では、特別に
教育に対する専門性が高くないと、それを全部に求めるというのは難しいと思う。
もちろんその専門性を高めていくことも並行して必要なのであろう。ある意味、
部分的に携わることができる、そういう複数体制も特別支援教育コーディネータ
ーのあり方として、学校によっては非常に意義のあることと痛感した。

○ 特別支援教育が始まり、3年目を迎えた現在においては、理屈上の問題より
も実態をどう進めていくかが大事。それに関して、初等中等教育局長通知におい
ては校長がリーダーシップを発揮することが記載されており、また資料1-7にお
いても位置づけが記載されているといった具合に、校長の判断で最も実情に即し
た位置付けを行っていくことが求められている。特別支援教育を推進していくた
めに大事なのは、学校の中の若い教員からある程度年齢を召した経験豊富な方ま
で含めて共通の理解を持ち、子どもたちに向けて、各々が信頼し合いながら進め
ていくことである。

(4) 事務局より今後の会議の運営について説明があり、閉会した。

お問い合わせ先 初等中等教育局特別支援教育課

高等学校における特別支援教育に関する基礎資料 協力者会議配付資料2009-08-19

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/054/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2009/08/05/1270053_2_1.pdf

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特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議(第12回) 配付資料

高等学校における特別支援教育に関する基礎資料

資料2-1 高等学校における特別支援教育に関する主な答申・報告等
資料2-2 特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議(第1回~第3回)
     における主な意見(高等学校関係)
資料2-3 特別支援教育体制整備状況調査(抜粋)
資料2-4 各都道府県における発達障害のある生徒の実態調査について
    (高等学校)
資料2-5 発達障害等支援・特別支援教育総合推進事業
資料2-6 高等学校における発達障害支援モデル事業
資料2-7 高校における特別支援教育の取組において効果的だと報告されてい
   ること~「高等学校における発達障害支援モデル事業」等の報告から~

義務教育段階を中心とする特別支援教育の推進体制の充実に関するこれまでの主な意見について2009-08-19

特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議(第15回) 配付資料

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/054/shiryo/attach/1282858.htm

義務教育段階を中心とする特別支援教育の推進体制の充実に関するこれまでの主な意見について

1.校内体制について

・特別支援教育はかなり進んだがまだ完成地点ではない。形や枠ができたところでありこれから実効性あるものにする必要がある。
・小中学校では形の上での体制整備はほぼ完了。個別の教育支援計画や個別の指導計画の作成・活用など中身の充実が課題。コーディネーターや校内委員会も質を精査すべき時期。
・特別支援教育推進の基盤として特別支援学校は必要であり、今後専門性を高めていくことが課題。
・現在の制度や仕組みの中で通常学級の教員に特別支援教育で要求されていることをすべてやらせようとしても無理。通常学級では、教員の資質向上だけでなく外部のPT、ST、OT、心理士等の活用など教員を支えるシステム作りが必要。学校単位の専門性の担保、地域単位での支援体制を如何に整備するかを考えるべき。
・教員はゆとりがなく特別なニーズのある子どもへの対応が困難。若手教員の 育成とともに1学級の児童数も考えて欲しい。
・特別支援教育コーディネーターを専任化すべき。
・特別支援教育支援員は不交付団体にも工夫すべき。
・特別支援教育のための教員の配置も考えるべき。
・周囲の子どもや保護者、社会全体の理解不足が、地域の支援体制を進める上でのネック。
・校内委員会やコーディネーターについて保護者の認知度が低い。
・発達障害のある児童生徒数は義務教育段階において約68万人と推計されており、今後も通級指導のための定数改善が必要。
・校内委員会や特別支援教育コーディネーターは設置・配置するだけでなく、実質的に機能していることが重要。
・特別支援教育コーディネーターを複数配置することにより専門性をカバーし合い、学校として組織的・機能的に対応できるようにすることが必要。
・特別支援教育コーディネーターは1年程度で変わることが多く、複数配置は支援の連続性の確保の点からも重要。
・特別支援教育コーディネーターにはソーシャルワーカーとしての役割と特別支援教育の専門家としての役割が求められており、それぞれ高い専門性が求められるが、これらの役割は本来分けるべきもの。複数配置を行い、それぞれの専門性を発揮することで全体的な専門性は確保できるのではないか。
・特別支援教育の推進には校長の正しいリーダーシップが必要。
・現場の校長が望んでいるのは「指導できる」教員。

2.指導の充実について

・LD、ADHD、高機能自閉症の子どもについて通常学級の支援方策が課題。
・障害のある子どもは、必要に応じて個別又は少人数での特別指導が必要。
・学習指導要領の解説書に、特別支援教育の視点も入れつつ具体的な対応方法や展開例等を盛り込めば教員は取りかかりやすい。
・学習指導要領の大きな課題は自立活動の部分。これを基に個別の指導計画を作成するが、通常学級の障害のある子どもに使用しようとしてもわかりにくくて使えない。内容を見直すべき。
・自立活動を主とする教育課程の子どもの授業づくりについて、経験ある教員を育成すべき。教員の異動システムや年数的なものから保護者は不安。
・子どもの能力に応じた適切な指導方針の立て方について現場では不十分。体制整備の中で教員がどのような知識、能力、技能が必要かを考えることが重要。
・交流及び共同学習をどのようにするか検討すべき。
・学校の専門性について、認知の特性に沿った教育をもう一度見直すべき。またそのためには、例えば学習指導要領で発達障害の子どもの指導に関する事項を記載する等指導書の充実が課題。また、様々な学び方に対応した教科書の在り方について考える必要がある。発達障害の子どもも含めて自ら学べるような教科書であることが望ましい。
・すべての教科等の基盤となる特別支援教育という視点で考えれば、学習指導要領について、幼小中よりも特別支援学校が先行しても良い位の時代。教科等で特別支援教育の視点を含めた教科の専門性を打ち出すことも検討して良い。
・特別支援教育の両輪として、障害のある子どもへの指導・支援の充実だけでなく、障害者理解に向けた人権教育、道徳教育、生活指導等を充実していくことが重要。
・情緒障害の通級や学級における発達障害のある児童生徒数が増加しているにも拘わらず、同じ教育課程で指導を受けており、指導が長期化する傾向がある。

3.専門性の向上について

・「専門性」という言葉の中身についても検討すべき。
・特別支援学校における専門性と通常学校における専門性を分けて議論すべき。
・障害種別の枠を超えた特別支援学校の設置という観点で統合化を行う際、障害種ごとの専門性を担保することが必要。
・特別支援学校障害種別に対応した専門性は小中学校でも必要であり、専門性を担保できる仕組みをつくるべき。なし崩し的に一緒に学べる場があるということでは難しい。
・教員養成時に特別支援教育や障害児教育に関するものを必須にすべき。
・全校で特別支援教育に取り組む上で教員誰もが持つべき最低の資質、知識、技能に加え、特別支援教育に携わる教員として何が必要か踏まえる必要がある。
・特別支援学校教諭免許状取得率向上のための仕組みや特別支援学級、特別支援教室という広がりを持つ中での免許状の在り方について検討する必要がある。
・課題は教員養成、採用、異動に関する問題。通常学校との間で異動の多いところでは、専門性を本当に身に付けるにはかなり時間がかかる。研修の充実として国立特別支援教育総合研究所との連携も必要。
・特別支援学校の教員の専門性は向上しているが、特別支援学級の教員の専門性はまだ不十分。専門的な研修の場が少ないことが心配。教員免許の部分でこの問題を取り込むべき。
・特別支援学級は特別支援学校並みの専門性を持つ場と考えるが、教員の専門性や校内での特別支援学級についての理解等の問題もあり現実的にはなかなか厳しく今後の課題。
・特別支援学級増加の中、若い教員は指導教官もおらず誰に聞けば良いか、誰をモデルにすべきかという現実的な厳しい状況にある。
・現在の制度や仕組みの中で通常学級の教員に特別支援教育で要求されていることすべてやらせようとしても無理。通常学級では、教員の資質向上だけでなく外部のPT、ST、OT、心理士等の活用など教員を支えるシステム作りが必要。学校単位の専門性の担保、地域単位での支援体制を如何に整備するかを考えるべき。(再掲)
・通級指導の教員の専門性の保証が必要。
・通常学級の教員は、発達障害等の理解度や知識、経験が不足している場合が多い。多忙も問題。
・特別支援教育の視点だけでは特別支援教育の推進は困難。学級経営力、授業力、特別支援教育、教員としての基本的資質の総合力が求めらる。特に学級経営力が大事。研修もより具体的で実践的な内容にすべき。現場では対応力が求められる。
・気になる生徒をピックアップし、教員と精神科医が交流しながらケーススタディする例があるが、教員の理解を高めるためには効果的。
・教科教育は下手なカウンセリングよりずっと子どもの成長と進歩を支えるもの。スクールカウンセラーを雇うよりも特別支援教育の専門性のある教員を雇う方がよほど子ども達の心のケアになる。
・小学校にもスクールカウンセラーを置くべき。
・巡回指導は、子どもの変容を見取り教員との関係を構築するためにも年1、2回ではなく、月1回とするなど定期的に行うべき。
・一般教員を対象とした特別支援教育に関する校内研修や免許更新講習を充実するとともに、教員養成課程において個別のプログラムを設けるなど、特別支援教育のスペシャリストを養成していくことが必要。
・特別支援教育を担当する教員の専門性に関して、求められる免許のレベルについて1種、2種、専修など検討すべき。
・大学院卒業レベルの専門性を求めたとしても、処遇に差がないのであれば2年余計に通学する学生はいない。
・養成、採用、研修の体系化を行うべき。
・特別支援学級担当教員にも特別支援学校免許状が必要であるとの認識が高いにも拘わらず、免許状を取得しに行けない環境にあることが問題。

4.その他

・特別支援教室構想について議論すべき。
・わかりにくい困難さを持つ子どもが多く、巡回相談で最初に上がってくる子どもは自閉症や学習障害の子どもではない。学習が遅れて先生が気付くのが実態。保護者の理解の問題もあり、特別支援学級や通級に結びつきにくいところもあり、移行の場としての特別支援教室は必要。
・特別支援教室について、それがあるという理由で障害のある子どもが直結する恐れがあるが、それは特別支援教育の考え方ではない。
・定数上の扱いがクリアできるのであれば、すべての小中学校に特別支援教室を設置すれば様々な障害のある子どもへの対応が可能になるのではないか。
・特別支援学校の分教室と特別支援学級との兼ね合いをどう考えるかが課題。
・自閉症の子どもは増加傾向にあり、現場の指導上、学級経営上の大きな課題。
・知的障害学級に発達障害の子どもが多く、教員の意見でも情緒障害学級の設置要望が高い。
・最近の学級崩壊は特別支援教育の子どもが要因となるものもある。
・学校の校内研究に特別支援教育の視点を入れることが大事。教科と特別支援教育の融合を取り入れることが課題。
・学校そのもの、教育そのものが理念として特別支援教育を打ち立てていくということをきちんと伝えるべき。
・特別支援教育の質、量を高めるためには、最終的には教職員の意識の高揚と保護者が支援者の一人であることが大事。PTA活動等様々な活動の中で掘り下げるべき。学校教育、地域教育、家庭教育の3者があってこそ教育は成り立つものであり、親の教育に対する自覚は最重要課題。
・通常の学校に障害のある子どもがどの程度入るか、又は当然いることを前提にして学校経営・学校教育を行うということは確認すべき。
・放課後や夏休み等の居場所確保は大変重要。
・島嶼地区など少人数地域での対処方法や支援の仕組みを国全体としてどのように考えるかを検討すべき。
・特別支援学級について1人学級~3人学級等。小学校入学時から1人の教員が3年間1人の子どもを指導することが教育活動と言えるか、社会性が身につくか疑問。今後特別支援学級の運営方法が課題。
・障害の極めて重い子どもにどう対応するかは大事な問題。訪問教育の実態や望ましい姿を考える必要がある。
・医療的ケアが必要な子どもが増加。保護者は、子どもが授業中席を外さずに医療的ケアを受け、皆と一緒に教育を受けることができる体制を望んでいる。
・学校支援、就労支援だけでなく、家庭支援、地域生活への支援を一本化して機能していくような支援チームを立ち上げていくことが必要。
・院内学級は短期間の在籍者が多く、年度途中での児童生徒数の変動を踏まえて学級編制や教員定数措置を行うことが非常に難しい。また、短期間であっても学籍の移動手続が必要で、制度と現場の実情がうまく合っていない。

お問い合わせ先 初等中等教育局特別支援教育課