小中における発達障害のある子どもへの教科教育等の支援に関する研究2010-11-12

http://www.nise.go.jp/kenshuka/josa/kankobutsu/pub_c/c-83.pdf

独立行政法人国立特別支援教育総合研究所

小・中学校等における発達障害のある子どもへの教科教育等の支援に関する研究

はじめに
新しい小学校及び中学校学習指導要領では、「第1章 総則 第4 指導計画の
作成等に当たって配慮すべき事項」において、障害のある児童(中学校は生徒)
について、「障害のある児童(生徒)などについては、特別支援学校等の助言又
は援助を活用しつつ、例えば指導についての計画又は家庭や医療、福祉等の業務
を行う関係機関と連携した支援のための計画を個別に作成することなどにより、
個々の児童の障害の状態等に応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的、組織的
に行うこと。特に、特別支援学級又は通級による指導については、教師間の連携
に努め、効果的な指導を行うこと。」と書かれている。
さらに、小学校及び中学校学習指導要領解説編では、「小学校には、特別支援学
級や通級による指導を受ける障害のある児童(生徒)とともに、通常の学級にも
LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)、自閉症などの障害のある
児童(生徒)が在籍していることがあり、これらの児童(生徒)については、障
害の状態等に即した適切な指導を行わなければならない。」と示されている。小
学校、中学校の通常の学級においても、個別の指導計画、個別の教育支援計画に
基づき、個々の児童(生徒)の障害の状態等に応じた指導の工夫を計画的、組織
的に行う必要があるということである。
LD、ADHD、高機能自閉症やアスペルガー症候群等の発達障害のある児童生
徒は、通常の学級において特別な支援がないままに教育を受けている場合が多い。
教科指導を視野に入れた、小学校、中学校等の通常の学級における発達障害のあ
る児童生徒のへ教育的支援の在り方については、制度的な面も含め、具体的な指
導法、支援体制に関するより実際的な研究が求められる。
発達障害のある児童生徒にとって、教科学習をはじめとした学習面のつまずきへ
の支援は、行動面、対人関係面への支援とともに、その障害特性に応じた対応が
求められる大きな課題であり、学習への不全感は自己評価の低下を招き、不登校
などの二次的障害につながる場合も多く、その予防的な対応の意味合いも含んで
いる。通常の学級における指導の在り方については、これまで現場レベルで多く
報告されている指導法等を教科指導やアコモデーション等と関連付けて整理する
必要がある。
本研究では、これらの現状を踏まえて、教育現場で喫緊の課題である小・中学校
等における発達障害のある子どもの通常の学級における教科教育等の支援の在り
方について研究を行った。特別な教員による特別な実践ではなく、より多くの教
員が日常の授業や学級経営の中でできる配慮や支援にどう取り組めばよいか、そ
の手がかりとなる支援ツールを教育現場に提供することを目的とした。通常の学
級の担任が専門家からコンサルテーションを受ける機会はあまり多くはないこと
から、教員自身が、学級全体や子どものアセスメントから具体的な支援につなげ
ることを意図しており、校内体制あるいは学年体制での活用を想定している。

                 平成22年3月 研究代表者 笹森 洋樹

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