総合福祉部会 第17回 H23.8.9 資料1 障害者総合福祉法(仮称)骨格提言素案 (平成23年8月9日追加提案)2011-08-09

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総合福祉部会 第17回 H23.8.9 資料1
障害者総合福祉法(仮称)骨格提言素案 (平成23年8月9日追加提案)

●  はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

  I.総合福祉法(仮称)の骨格提言
●  1.法の理念、目的、範囲 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
7/26 2.障害(者)の範囲
7/26 3.選択と決定(支給決定)
7/26 4.相談支援
7/26 5.権利擁護
7/26 6.支援(サービス)体系
7/26 7.利用者負担
7/26 8.報酬と人材確保
7/26 9.地域生活の資源整備
7/26 10.地域移行

   II.新法制定と実現への道程
●  1.旧法から自立支援法の事業体系への移行について ・・・・・・15
●  2.障害者総合福祉法と基金事業について ・・・・・・・・・・・16
●  3.新法準備に当たってのその他の課題 ・・・・・・・・・・・・18
   4.財政のあり方
●  (1)障害福祉への支出をOECDの平均水準以上に ・・・・・・・・21
◎  (2)個別ニーズ評価自治体の財政分析結果
●  (3)長時間介護などの地域生活支援のための財源措置 ・・・・・22
   
   III.関連する他の法律や分野との関係
●  1.医療 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25
●  2.障害児 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31
●  3.労働と雇用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37
●  4.その他 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43

● おわりに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47
◎ 資料(委員名簿等)


● ~ 今回(第17回総合福祉部会にて)提案している項目
◎ ~ 現在、検討中の項目
7/26~ 7月26日の第16回総合福祉部会にて提案済の項目

はじめに

◆総合福祉部会の背景と経過
  障害者権利条約の締結に必要な国内法の整備を始めとする障害者に係る制
 度の集中的な改革を目的として、2009年12月「障がい者制度改革推進本部」
 が設置され、この下で、障害者施策の推進に関する意見をまとめる「障がい
 者制度改革推進会議」(以下「推進会議」)が発足しました。障害者権利条
 約の基本精神である「私たち抜きに私たちのことを決めるな!」(NothIng
 about us wIthout us)をふまえた政策立案作業の開始を意味します。この推
 進会議の下に2010年4月、障害者、障害者の家族、事業者、自治体首長、学
 識経験者等、55名からなる「障がい者制度改革推進会議総合福祉部会」(以
 下「部会」)が設けられました。
  推進会議の「第一次意見」を受けた政府は2010年6月29日の閣議決定で制
 度改革の基本方向を定め、とくに「『障害者総合福祉法』(仮称)の制定」
 に関しては、「応益負担を原則とする現行の障害者自立支援法(平成17年法
 律第123 号)を廃止し、制度の谷間のない支援の提供、個々のニーズに基づ
 いた地域生活支援体系の整備等を内容とする「障害者総合福祉法」(仮称)
 の制定に向け、第一次意見に沿って必要な検討を行い、平成24年常会への法
 案提出、25年8月までの施行を目指す。」と定めました。
  こうして部会は「障害者総合福祉法」(仮称)の制定に向けた検討という
 使命を背負って18回の検討を重ねてきました。
  第1~3回(2010年4~6月)では、「障がい者総合福祉法(仮称)制定
 までの間において当面必要な対策について」の議論を行い、「利用者負担の
 見直し」などを含む「当面の課題」の要望書をまとめました。
  第4~7回(6~9月)では、9分野30項目91点の「論点」を整理し、そ
 れに沿って議論し共通理解を図りました。
  第8~15回(10月~2011年5月)は複数の作業チームに分かれて議論
 ・検討を行いました(末尾の「資料」参照)。
  これらの作業チームに参加した構成員の精力的な検討の成果は、「部会作
 業チーム報告・合同作業チーム報告」としてまとめられています。なお各チ
 ーム報告に対して、厚生労働省からのコメントが出されています。

◆骨格提言の基礎となった2つの指針
  部会の55人の立場や意見は多様ですが、次の2つの文書を前提として検
 討作業を行ってきました。それは、2006年に国連が採択した「障害者権利条
 約」、そして2010年1月に国(厚生労働省)と障害者自立支援法訴訟原告ら
 (71名)との間で結ばれた「基本合意文書」です。部会は、これらをふまえ
 て新法の骨格をまとめることを重要な役割としてきました。

(1)障害者権利条約
  この条約は、すべての障害者によるあらゆる人権及び基本的自由の完全か
 つ平等な享有を促進し、保護し、及び確保すること等を目的としています。
  とくに、第19条では、「障害のあるすべての人に対し、他の者と平等の選
 択の自由をもって地域社会で生活する平等の権利を認める」とし、
  「(a) 障害のある人が、他の者との平等を基礎として、居住地及びどこで
 誰と生活するかを選択する機会を有すること、並びに特定の生活様式で生活
 するよう義務づけられないこと」、
  「(b) 障害のある人が、・・・・・必要な在宅サービス、居住サービスそ
 の他の地域社会支援サービス(パーソナル・アシスタンスを含む。)にアクセ
 スすること」を締約国は確保するとしています。
  このように条約は、保護の客体とされた障害者を権利の主体へと転換し、
 インクルーシブな共生社会を創造することをめざしています。

(2)「基本合意文書」
  この文書では、
  「国(厚生労働省)は、・・・・遅くとも平成25年8月までに、障害者自
 立支援法を廃止し新たな総合的な福祉法制を実施する」、
  「今後の障害福祉施策を、障害のある当事者が社会の対等な一員として安
 心して暮らすことのできるものとするために最善を尽くす」、
  「(障害者自立支援法、とくにその応益負担制度などが)障害者の人間と
 しての尊厳を深く傷つけたことに対し、・・・・心から反省の意を表明する」
  「障害福祉施策の充実は、憲法等に基づく障害者の基本的人権の行使を支
 援するものであることを基本とする」、
  「現行の介護保険制度との統合を前提とはせず(新制度の構築に当たる)」、
 などと述べ、利用者負担、支給決定、報酬支払い方式、「障害」の範囲、予算
 増などについて原告らの指摘をふまえてしっかり検討するとしています。

◆障害者総合福祉法がめざすべき6つのポイント
 本「骨格提言」は以上の経過と指針の下、次の6つの目標を障害者総合福
祉法に求めました。

【1】障害のない市民との平等と公平
  障害のある人とない人の生活水準や暮らしぶりを比べるとき、そこには大
 きな隔たりがあります。障害があっても市民として尊重され、誇りを持って
 社会に参加するためには、平等性と公平性の確保が何よりの条件となります。
 新法がこれを裏打ちし、障害者にとって新たな社会の到来を実感(もしくは
 予感)できるものとします。

【2】谷間や空白の解消
  障害の種類によっては、障害者福祉施策を受けられない人がたくさんいま
 す。いわゆる制度の谷間に置かれている人たちです。また制度間の空白は、
 学齢期での学校生活と放課後、卒業後と就労、退院後と地域での生活、働く
 場と住まいなど、いろいろな場面で発生しています。障害の種別間の谷間や
 制度間の空白の解消を図っていきます。

【3】格差の是正
  地方自治体の財政事情などによって、障害者のための住まいや働く場、人
 による支えの条件は、質量ともに大きく異なっています。どこに暮らしを築
 いても一定の水準の支援が受けられなければなりません。また、障害種別間
 の制度水準についても大きな隔たりがあります。限度を超えるような、合理
 性を欠くような格差についての是正をめざします。

【4】放置できない社会問題の解決
  世界でノーマライゼイションが進むなか、わが国では依然として多くの精
 神障害者が「社会的入院」を続け、知的障害者等が地域での支援不足による
 長期施設入所を余儀なくされています。また、公的サービスの一定の広がり
 にもかかわらず障害者への介護の大部分を家族に依存している状況が続いて
 います。これらを解決するために地域での支援体制を確立するとともに、効
 果的な地域移行プログラムを実施します。

【5】本人のニーズにあった支援サービス
  障害の種類や程度、年齢、性別などによって、個々のニーズや支援の水準
 は一様ではありません。個々の障害とニーズが尊重されるような新たな支援
 サービスの決定システムを開発していきます。また、支援サービスを決定す
 るときに、本人の希望や意思が表明でき、それが尊重される仕組みにします。

【6】安定した予算の確保
  制度を実質化させていくためには財政面の裏打ちが絶対的な条件となりま
 す。障害者福祉予算の水準を考えていくうえでの重要な指標となるのが、国
 際的な比較です。当面の目標としては、OECD加盟国(工業先進国のグループ)
 における平均以上を確保することです。これによって、現状と比べてはるか
 に安定した財政基盤の確立が見込まれます。

◆改革の一歩として
  わが国の障害者福祉もすでに長い歴史を有しておりますが、障害者を同じ
 人格を有する人と捉えるよりも、保護が必要な無力な存在、社会のお荷物、
 治安の対象とすべき危険な存在などと受けとめる考え方が依然として根強
 く残っています。わが国の社会が、障害の有無にかかわらず、個人として尊
 重され、真の意味で社会の一員として暮らせる共生社会に至るには、まだま
 だ遠い道のりであるかもしれません。
  そのような中で総合福祉部会に参集した私たちは、障害者当事者であった
 り、障害者にかかかわる様々な立場から、違いを認めあいながらも、それで
 も共通する思いをここにまとめました。
  ここに示された改革の完成には時間を要するかも知れません。協議・調整
 による支給決定や就労系事業など、試行事業の必要な事項もあります。
 しかし、私たちのこうした思いが、政治を突き動かし、障害者として生き
 ることに不幸を感じず、様々な人と共に支えあいながら生きていくことの喜
 びを分かち合える社会へ一歩になることを信じて、ここに骨格提言をまとめ
 ました。
  今、新法への一歩を踏み出すことが必要です。

I-1 法の理念・目的・範囲
 
【表題】前文
【結論】
○障害者総合福祉法には、下記の通り、本法制定の経緯、この法に求められる
精神等を内容とする前文を設けるべきである。

【説明】
 全国1000万人を超えると思われる障害者と、その家族、支援者、一般国
民、全ての人にとって、今回の改革の経緯と理念が伝わり、新法の意義を関係
者が共有し、個別規定の解釈指針とするためにも、前文でこの法の精神を高ら
かに謳うことが不可欠である。盛り込むべき前文の内容は以下のとおりである。

                 記
 わが国及び世界の障害者福祉施策は「完全参加と平等」を目的とした198
1年の国際障害者年とその後の国連障害者の10年により一定の進展を遂げた
が、依然として多くの障害者は他の者と平等な立場にあるとは言いがたい。こ
のような現状を前提に2006年国連総会にて「障害のある人の権利に関する
条約」(以下「権利条約」)が採択され、わが国も2007年に署名したが、
批准のためには、同条約の趣旨を反映した法制度の整備が求められている。
 障害者権利条約が謳うインクルージョンは、障害者が社会の中で当然に存在
し、障害の有無にかかわらず誰もが排除されず、分離・隔離されずに共に生き
ていく社会こそが自然な姿であり、誰にとっても生きやすい社会であるとの考
え方を基本としている。そして、それは、障害による不利益の責任が個人や家
族に帰せされることなく、障害に基づく様々な不利益が一部の人に偏在してい
る不平等を解消し、平等な社会を実現することを求めるものである。
 とりわけ人生の長期にわたって施設、精神科病院等に入所、入院している障
害者が多数存在している現状を直視し、地域で自己決定の尊重された普通の暮
らしが営めるよう支援し、地域生活への移行を推進するための総合的な取り組
みを推進することが強く求められる。
 そのうえで、障害者の自立が経済的な面に限らず、誰もが主体性をもって生
き生きと生活し社会に参加することであり、障害者が必要な支援を活用しなが
ら地域で自立した生活を営み生涯を通じて固有の尊厳が尊重されるよう、社会
生活を支援することが共生社会として求められるこの国の姿であることが、国
の法制度において、確認されるべきである。
 この法律は、これらの基本的な考え方に基づき、障害の種別、軽重に関わら
ず、尊厳のある生存、移動の自由、コミュニケーション、就労等の支援を保障
し、障害者各自が、障害のない人と平等に社会生活上の権利が行使できるため
に、あらゆる障害者が制度の谷間にこぼれ落ちないように必要な支援を法的権
利として総合的に保障し、差異と多様性が尊重され、誰もが排除されず、それ
ぞれをありのままに人として認め合う共生社会の実現をめざして制定されるも
のである。

【表題】法の名称
【結論】
○この法律は『障害者総合福祉法』と称する。
【説明】
 「障害者総合福祉法」の名称は、障害者・関係者の中ですでに一定の共通理
解の下で使われて定着してきた。2010年6月29日の閣議決定でも「仮称」付き
ではあるがこの名称の法律を2012年の国会で制定するとされている。したがっ
て、この名称を使用すべきである。
 なお、法の名称について、作業チーム報告では「障害者の社会生活の支援を
権利とし総合的に保障する法律」という案が示されている。これは、社会福祉
分野の法律であるか否かがわかりにくいという難点はあるが、恩恵的な意味で
理解される恐れのある「福祉」の用語を避け、「社会生活」、「権利の保障」、
「総合的」などを用いて新法の性格を示したものであり、この案を含めて検討
してもよいと考える。

【表題】法の目的
【結論】
○この法律の目的として、以下の内容を盛り込むべきである。
・ この法律が、憲法第13条、第14条、第22条、第25条等の基本的人
 権諸規定、障害者基本法等に基づき、全ての障害者が、等しく基本的人権を
 享有する個人として尊重され、他の者との平等が保障されるものであるとの
 理念に立脚するものであること。

・ この法律が、障害者の基本的人権の行使やその自立及び社会参加の支援の
 ための施策に関し、どこで誰と生活するかについての選択の機会が保障され、
 あらゆる分野の活動に参加する機会が保障されるために必要な支援を受ける
 ことを障害者の基本的権利として、障害の種類、軽重、年齢等に関わりなく
 必要な支援を保障するものであること。

・ 国及び地方公共団体が、障害に基づく社会的不利益を解消すべき責務を負
 うことを明らかにするとともに、障害者の自立及び社会参加に必要な支援の
 ための施策を定め、その施策を総合的かつ計画的に実施すべき義務を負って
 いること。

・ これらにより、この法律が、全ての国民が、障害の有無によって分け隔て
 られることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現
 するものであること

【説明】
 今回、障害者自立支援法にかわる新たな法律を必要とするに至った大きな要
因は、障害者権利条約の批准に当たって現行法を抜本的に改革する必要がある
こと及び障害者自立支援法違憲訴訟原告らと厚生労働省との間に障害者自立支
援法の廃止を含む基本合意が成立したことに存する。
 まず、障害者自立支援法違憲訴訟原告らと厚生労働省との間で交わされた基
本合意文書の一項では、障害者自立支援法を廃止することを前提に新たな総合
的な福祉法制においては、「障害福祉施策の充実は、憲法等に基づく障害者の
基本的人権の行使を支援するものであることを基本とする。」とされている。
 日本国憲法13条の幸福追求権及び22条の居住・移転の自由は、支援選択
権を保障すると解すべきであり、25条の生存権は、地域間格差を是正するナ
ショナルミニマムとしての支援請求権を保障するものであるので、以上の合意
の趣旨を踏まえ、目的条項において、憲法の基本的人権に関する規定を盛り込
むことは必須と考えた。
 また、新法に関連する障害者権利条約の中心的課題は、同条約第19条の
a項、「障害者が、他の者との平等を基礎として、どこで誰と生活するのかを
選択する機会を有すること、並びに特定の生活様式で生活する義務を
負わないこと。」
b項、「地域社会における生活及び地域社会への受入れを支援し、並びに地域
社会からの孤立及び隔離を防止するために必要な在宅サービス、居住サービス
その他の地域社会支援サービス(パーソナル・アシスタンスを含む。)を障害
者が利用することができること。」
c項、 「一般住民向けの地域社会サービス及び施設が、障害者にとって他の
者と平等に利用可能であり、かつ、障害者のニーズに対応しているこ
と。」
 である。
 作業チーム報告では、そのことを、支援選択権と支援請求権と表現している。
条約19条a項の「どこで誰と暮らすかの選択権」は、b項の「必要な支援を請
求する権利」が無ければ成立しないだけでなく、c項の「一般市民と平等の選択
肢」が無ければ、特定の生活様式以外の選択肢が成立しないからである。
 さらに、同条約のこの趣旨について、障害者制度改革の推進のための基本的
な方向(6月7日第1次意見書)においても「地域で暮らす権利の保障とインク
ルーシブな社会の構築」が大きな課題とされ、障害者制度改革の推進のための
基本的な方向について(6月29日閣議決定)においても「地域生活の実現とイ
ンクルーシブな社会の構築・・・障害者が自ら選択する地域への移行支援や移
行後の生活支援の充実、及び平等な社会参加、参画を柱に据えた施策の展開」
が求められている。
 とくに、これらの制度改革推進の中で改正された障害者基本法(以下、改正
基本法という)を踏まえる必要がある。すなわち、改正基本法第1条は、障害
の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いなが
ら共生することができる社会の実現を目的としている。そこで、新法の目的に
おいても、このことは、基調に据えなければならない。
 また、改正基本法第3条が、あらゆる分野の活動に参加する機会の確保やど
こで誰と生活するかについての選択の機会の確保などを規定していることに鑑
みると、上記目的においてこれらを明記することは必須であり、それらの機会
が保障されるために必要な支援を受けることを障害者の基本的権利とするとと
もに、支援の選択権と支援の請求権を財政面で裏付ける公的な責務・保障とし
て「国及び地方公共団体等の責務を明らかに」する規定を盛り込む必要がある。
 なお、必要な支援を受けることを障害者の基本的権利とした規定は、たとえ
ばカリフォルニア州の発達障害者支援サービスがエンタイトルメント(支援サ
ービス選択・請求権)であるとされていることを踏まえて規定している。すなわ
ち、「地域支援センターの適格基準に合致するすべての障害者に、その本人支援
計画の目標に見合った支援サービスを提供しなければならないことを意味する。
法的に、待機者リストはあってはならず、もしそのサービスが無ければ、それ
は創出されねばならない。」(Federal fundIng In CalIfornIa’s DSS ARCA
March 2011 p.54)
 つまりは、法に該当する障害者本人が選択した希望・目標に見合った支援サ
ービスを提供することが、待機リストに入れられることなく、義務づけられて
いることが、エンタイトルメント(支援サービス選択・受給権)ということにな
る。そのことも踏まえて、「・・どこで誰と生活するかについての選択の機会
が保障され、あらゆる分野の活動に参加する機会が保障されること・・」とい
う表記とした。
 さらに、谷間の障害者をなくすことについては、本部会の総意であることは
論を待たないところであるので、障害の種類、軽重、年齢等に関わりなくとい
う文言に、その趣旨を込めている。これは、法の下の平等を実現するためにと
りわけ重要な要素である。
 なお、それらの障害者は除外されてきたために必要な支援内容の開発が十分
ではない。そのため、発達障害、高次脳機能障害、難病、軽度知的障害などの
ある人たちなどのニーズを当事者参画のもと明らかにし、必要な人が必要な支
援を得られるようにサービス内容の拡充を行う必要がある。
 
【表題】法の理念
【結論】
○ 以下の基本的視点を理念規定に盛り込むべきである。
 ・保護の対象から権利の主体への転換を確認する旨の規定
 ・医学モデルから社会モデルへの転換を確認する旨の規定
【説明】
 従来、障害者は、障害者対策実施の対象・保護の対象とされ、当事者として
は扱われてこない面があったが、この法律においては、障害者が権利の主体、
当事者であることを明確にする必要性がある。また、障害の本質とは、機能障
害、疾病を有する市民の様々な社会への参加を妨げている社会的障壁にほかな
らないことをここに確認し、機能障害、疾病を持つ市民を排除しないようにす
る義務が社会、公共にあることが今後の障害者福祉、支援の基本理念であるこ
とをここに確認する必要がある。
 なおこのことは、障害者の支援を自己責任・家族責任として、これまで一貫
して採用されてきた政策の基本スタンスを、社会的・公的な責任に切り替える
ということを意味することを確認するものである。
 医学モデルの視点からいえば、障害者の問題は、障害者自身が自己責任によ
り訓練と努力で克服するべきものということになるが、かかる古い考え方から
脱却し、むしろ、障害者の社会参加を排除して、適切な支援を実施しない社会
の側が障害の原因であるという障害把握の転換を明確化しない限り、この国の
障害者施策のあり方は旧態依然として変わらない。
 身体障害者児・者実態調査や知的障害児者基礎調査などによれば、社会的支
援が進んできた今日においてもなお、障害者の介助・支援のほとんどを家族が
担っているという事態に大きな変化は見られない。介護保険制度の制定過程で
も「介護の社会化」が目標とされたが、いまだ実現の見通しは立っていない。
 障害者総合福祉法は、すべての人が尊重され、安心でき、そうした尊重と安
心を与えてくれる社会のために自ら参加し・貢献しようという気持ちを育てる
法律、家族責任から社会責任への転換、家族依存からの脱却を図る法律である。

【表題】地域で自立した生活を営む基本的権利
【結論】
○ 地域で自立した生活を営む権利として、以下の諸権利を本法において確認
すべきである。
1 障害者は、障害ゆえに命の危険にさらされない権利を有し、そのための支
 援を受ける権利が保障される旨の規定。
2 障害者は、自らの意思に基づきどこで誰と住むかを決める権利、どのよう
 に暮らしていくかを決める権利、特定の様式での生活を強制されない権利を
 有し、そのための支援を受ける権利が保障される旨の規定。
3 障害者は、自ら選択する言語(手話など非音声言語を含む)及びコミュニ
 ケーション手段を使用して、市民として平等に生活を営む権利を有し、その
 ための情報・コミュニケーション支援を受ける権利が保障される旨の規定。
4 障害者は、自らの意思で移動する権利を有し、そのための外出介護、ガイ
 ドヘルパー等の支援を受ける権利が保障される旨の規定。
5 以上の支援を受ける権利は、障害者の個別の事情に最も相応しい内容でな
 ければならない旨の規定。
6 国及び地方公共団体は、これらの施策実施の義務を負う旨の規定。
【説明】
上記の法の目的で確認された中核的権利を確認するものである。
  障害者の完全参加を実現するためには、一人ひとりの支援を必要とする個
別事情に沿ったものである必要があり、本法の支援のあり方も、個別事情に
ふさわしいものであることが必要であるという障害者支援の基本的なあり方
を規定することは重要である。
  情報・コミュニケーションの保障は到底裁量的に実施されれば足るような
ものでなく、民主社会を成立させる前提としての基本的人権保障としての意
義があることを明記しておかなくては、基本法において、手話が言語と確認
された意義等も没却される。
  障害者自立支援法は移動支援を裁量的事業と位置付けたが、移動の自由の
保障は基本的人権に基づく重要な施策であることは判例等でも確認されてい
ることであり、本法でしっかり明記することが肝要である。

【表題】国の義務
【結論】
○ 国の義務として、以下の規定を設けるべきである。
1 国は、障害の有無・種別・軽重に関わらず障害者がどの地域に居住しても
 等しく安心して生活することができる権利を保障する義務を有すること。
2 国は、障害種別による制度の谷間や空白及び制度上の格差が生じないよう
 に制度設計を行う責務を有すること。
3 国は、地域間に支援の格差が発生することを防止し、又は発生した格差を
 解消することができる制度設計を行う責務を有するとともに、市町村への支
 援施策に関し必要な財政上の措置を行うこと。
4 国は、都道府県と共に、市町村が実施する支援施策の実態を把握し、この
 法の基本的権利に基づいて、それが実施されるように、広くその実施状況を
 国民に明らかにし、法の実施を監視し、推し進める責務を有すること。
【説明】
 憲法に示された基本的人権を保障する義務は第一義的には国にあることから、
障害者支援の最終責任は国にあることを確認した上で、障害種別による制度の
谷間、制度上の格差の防止に関する義務、地域間格差の防止と財政的支援等の
諸支援、実施状況に関する監視や情報開示等について、規定を設ける必要があ
る。

【表題】都道府県の義務
【結論】
○ 都道府県の義務として、以下の規定を設けるべきである。
1 市町村の行う支援施策の実態を把握すると共に、この法の基本的権利に基
 づいて、それが実施されるように、広くその実施状況を都道府県民に明らか
 にし、法の実施を推し進めること
2 市町村の支援施策に対して、必要な財政的補助を行うと共に、特定の市町
 村に集中する実態等があればそのことを勘案して、財政的調整権能を行使す
 ること。
3 市町村の行う支援施策に対する不服申し立てを受理し、法の基本的権利に
 基づいて審査する等、必要な措置を講じること 
【説明】
 都道府県の義務に関しても、特に市町村間の格差是正の向けた情報公開と財
政調整権能が法の基本的権利をふまえて行われるよう明記すると共に、不服申
し立てに関する責務をも明記した。

【表題】市町村の義務
【結論】
○ 市町村の義務として、以下の規定を設けるべきである。
1 この法の基本的権利に基づいて、当該市町村の区域における障害児・者等
 の生活の現状及び障害者がどこで誰と生活し、どのような分野で社会参加を
 希望・選択するか等を把握した上で、関係機関との緊密な連携を図りつつ、
 必要な支援施策を総合的かつ計画的に実施すること。
2 この法の基本的権利に基づいて、障害児・者の支援施策の提供に関し、必
 要な情報の提供及び適切な説明を尽くし、並びに相談に応じ、必要な調査及
 び指導を行うと共に、そのサービス利用計画等を勘案して必要な支援施策を
 提供すること。
【説明】
 市町村の義務については、新法で明記された基本的権利としての「どこで誰
と生活するかについての選択の機会が確保され、あらゆる分野の活動に参加す
る機会が確保されることを前提とした義務を規定した。また、公的支援からこ
ぼれる人がいないように行政の説明責任は重要である。

【表題】基盤整備義務
【結論】
○ 次のように、国、地方公共団体の基盤整備義務を規定すべきである。
国、地方公共団体は、支援を実施する事業者が地域に偏在しないよう事業者
への財政援助、育成を含めた基盤整備義務を有する。
【説明】
 原則として契約制度により実施されている障害者施策において地域で暮らす
権利が保障される前提条件は、支援を実施する事業者が地域に十分に存在して
いることであり、地域での自立生活の保障をいくら謳ったところで、当該地域
に事業所が存在しなければ絵に描いた餅である。本来障害者福祉施策の履行責
任者は国・地方公共団体であることから、事業所任せは許されず、基盤整備義
務を規定しておくことは絶対不可欠である。

【表題】所管省庁を横断した総合的支援
【結論】
○ 国、地方公共団体の所管省庁を横断した総合的支援の必要性に関する規定
が必要である。
【説明】
 制度の谷間を生まない支援を実現するためには、縦割り行政の弊害の是正を
法文に書きこまなければならない。制度の谷間のない支援という本法の目的を
実現し、ライフステージや場所、分野に分断されない継続的な支援を実現する
ため、この法律は、国において、内閣府、厚生労働省はもとより、文部科学省、
国土交通省、総務省、財務省、経済産業省、法務省等全ての官庁により横断的
かつ有機的な連携が取られながら実施されることに特に留意が必要であり、都
道府県や市町村レベルでも同様である。

【表題】国民の責務
【結論】
○ 国民の責務として『すべての国民は、その障害の有無にかかわらず、相互
にその人格と個性を尊重しあいながら共生することのできる社会の実現に協
力するものとする。』との規定を設けるべきである。
【説明】
 国民の責務については、障害者権利条約のインクルーシブ社会の構築の理念
を踏まえたものとして規定した。


*(担当室からのコメント)
 以下の介護保険法との関係は、理論的に言えば、他法との関係であるので、
IIIの部分で書くべきものと思われる。また、新法骨格の総則部分に当たるとこ
ろで、なぜこれが書かれているのか、すわりが悪いようにも思えます。どこに
書くべきか、部会で議論をお願いできればと思います。

【表題】介護保険との関係及び65歳時点での具体的措置について
【結論】
○ 障害者総合福祉法は介護保険からの決別を基本的な視点とする。
○ 介護保険対象年齢(65歳、一部40歳)になった後は、障害者総合福祉
法のサービスと介護保険のサービスを選択・併用できるようにする。
○ 介護保険対象年齢の障害者の国庫負担基準額を下げる現行制度を廃止す
る。
○ 現行の施設入所支援+生活介護の利用者が希望する場合には、地域移行等
に際しての介護保険サービスを選択・併用できるようにする。
【説明】
 障害者自立支援法は介護保険と障害者福祉の統合を予定して策定され、その
ために応益負担、障害程度区分、日額制、常勤換算などが障害者福祉に持ち込
まれた。その結果、障害者の人間としての尊厳を深く傷つけることとなり、こ
の反省から政府は障害者自立支援法の廃止と新たな総合的な福祉法制の実施を
約束した。憲法等に基づく障害者の基本的人権の行使を支援するものとして新
たな障害者福祉を策定することとされたのである。
 こうした経過から、新たな障害者総合福祉法は介護保険からの決別を基本的
な視点とするべきである。なお、高齢福祉と障害福祉と関係については、国民
的な議論によってその本来のあり方を検討する必要がある。
 具体的な運用面では、第1に、障害者が介護保険対象年齢となった後は、障
害者の地域生活の継続が保障されるよう、現行の介護保険優先原則を見直し、
障害者総合福祉法のサービスと介護保険のサービスを選択・併用できるように
する。特に、現行の重度訪問介護や行動援護などは介護保険には「相当する」
サービスがないものであることなども明確にすべきである。なお、この点は、
若いときからの障害者の特性の重視や、生活の継続性の確保をすることを主眼
においた提言であるが、一方で65歳以上で要介護状態となった高齢者にも平
等な選択権が保障されるべきであるとの意見も見られた。
 第2に、訪問系サービスの国庫負担基準額は介護保険対象者の場合には通常
の3分の1以下に抑えられているが、65歳以上の障害者を介護保険に移行さ
せるために市町村を財政的に追いつめるものであり、直ちに廃止すべきであ
る。
 第3に、現行自立支援法の下では、施設入所支援+生活介護の利用者は介護
保険の被保険者になれない制度となっているが、こうした人たちも希望すれば
地域移行等に際しての介護保険サービスを選択・併用できるようにすることも
検討すべきである。(例、退所しないと被保険者になれなく要介護認定も受け
られない。施設入所支援を受けていても、移行計画が作成されている場合、要
介護認定を受けられるようにすべきである。)


II 新法制定と実現への道程

II-1.旧法から自立支援法の事業体系への移行について

【表題】旧法から自立支援法の事業体系への移行について
【結論】
○自立支援法に基づく事業への移行期限終了後も、一定の要件のもと従前の運
営費の10割を保障するなどの支援策を継続する。
【説明】
 自立支援法に基づく事業に移行することで、経営努力にもかかわらず大きく
減収となる事業所は移行期限である平成24年3月まで移行できない上に、移行
後の運営に大きな不安を抱えている。また、東日本大震災や福島原子力発電所
事故の影響で、期限内の移行が不可能になったところもある。
 こうしたことを踏まえ、現行の事業運営安定化事業による10割保障を、移行
期間終了後も継続する。


II-2.障害者総合福祉法と基金事業について

【表題】[1]障害者総合福祉法を補完する基金事業について
【結論】
○障害者総合福祉法を円滑に推進し、その実効性を高めるために必要な事業で
あって、報酬体系に組み込むことが困難なものについては、基金事業として実
施する。
○基金事業は、都道府県が実施するものと市町村が実施するものに分かれる。
【説明】
 現行の基金事業の成果を検証するとともにその位置付けを見直し、障害者総
合福祉法を補完する上で有効な事業は、継続あるいは創設する。
 例えば、施設、病院からの地域生活移行や、親元からの地域生活移行を推進
するための基盤整備事業は重要である。具体的には、入所施設定員や精神科病
院の病床数の削減を伴って地域生活への定着を支援する事業や、入所施設を閉
鎖して地域生活を支援する先駆的な事業所への支援などが考えられる。利用者
個人に対しては、現行の「地域移行支度経費支援事業」(入所、精神科病院か
ら地域生活への移行を促進するため、地域での生活において必要となる物品の
購入について支援―一人当たり3万円)のような事業が考えられる。
 
【表題】[2]障害者総合福祉法の体系への移行を支援するための基金事業に
 ついて
【結論】
○自立支援法に基づく事業体系から新法に基づく支援体系への移行を円滑に推
進するために、利用者と事業者双方を支援する基金事業を設ける。
○都道府県が実施する基金事業と市町村が実施する基金事業を設ける。
○基金事業の期間は2段階とする。
   [1]法施行時から平成25年7月まで
   [2]平成25年8月から平成31年3月まで
【説明】
 自立支援法への移行に関しては様々な基金事業が実施され一定の成果があっ
たが、基金事業のメニューの選択は都道府県に任せたため、都道府県格差が生
じた。こうした点を踏まえ、総合福祉法の支援体系への移行に当たっては、基
盤整備のような全国共通の事業は格差が出ないようにする。
 この基金事業は、都道府県、市町村及び事業所が新法への移行を円滑に行う
ことを支援するためのものであり、その領域は就労支援、相談支援、権利擁護、
人材養成・研修等の幅広い分野にわたる。
 この基金事業は[1]法施行時から平成25年7月まで、[2]平成25年8月から平
成31年3月までの二期に分けて実施する。

II-3.新法準備に当たってのその他の課題
「障がい者総合福祉法(仮称)の制定以前に早急に対応を要する課題の整理(当
面の課題) 平成23年6月7日」に関わって等

【表題】[1]利用者負担
【結論】
○応能負担でも低所得者には軽減策をとり、利用者負担を0円にする。
○障害福祉サービス、補装具、自立支援医療、地域生活支援事業、介護保険の
利用者負担を合算し過大な負担とならないようにする。
○所得区分の認定においては利用者本人を基本とし配偶者を含めないこと。
【説明】
 所得保障がなされない中で低所得者には過度な利用者負担を課すべきでない。
つなぎ法では応能負担になるが、新法ができるまで、応能負担の軽減策を低所
得者に現在のように0円になるような配慮が必要。
 利用者負担の合算では地域生活支援事業、自立支援医療、介護保険の利用者
負担を合算し、軽減できるようにする。

【表題】[2]地域での自立した暮らしのための支援の充実
【結論】
○障害程度区分に連動する国庫負担基準を支給決定量の上限としてはならない
ことについて自治体に徹底させる。国庫負担基準を超える分の国から市町村
への財政支援を行う。
○地域生活支援事業の地域格差の解消に為に予算を確保する。
○移送支援の個別給付化、重度訪問介護の知的・精神障害者、障害児への対象
拡大を行う。
【説明】
 新法移行に向けて、平成24年4月1日から可能な施策は実施する。必要な支
援の量が障害程度区分に連動する国庫負担基準を超える場合、相談支援とケア
プランを検証した上で支給できるように、国が市町村に財政支援を行う。
 移動支援、日中一時支援などは地域生活支援事業ではなく、個別給付にする。

【表題】[3]報酬構造の見直し、加算の整理と報酬改訂、
【結論】
○各種の加算を整理し、可能なものは基本報酬に組み入れていく。
【説明】
 複雑な加算制度を基本報酬に組み入れることで、事務処理を簡素化していく
事が必要である。但し、人的な支援を手厚く実施していく場合や看護師、理学
療法士、作業療法士、臨床心理士、等の専門職を加配した場合などの配置加算
は考慮する。

【表題】[4]介護職員処遇改善交付金に関して
【結論】
○介護職員処遇改善交付金は基本報酬に組み込む。
【説明】
 介護職員処遇改善交付金は、介護職員の処遇改善に取り組む事業者に対して、
平成23年度末までの間、介護職員(常勤換算)1人当たり月額平均1.5万円を
交付するものであるが、対象職員が限定されている、諸手続きが複雑であるな
どの問題点がある。こうした点を解消する観点から、基本報酬に組み入れて事
業所全体の賃金の底上げを図る。なお、現政権のマニフェストでは、「介護労
働者の賃金を月4万円程度引き上げます」としており、引き続き、取り組みを強
める。

【表題】[5]通所サービス等利用促進事業の交付金に関して
【結論】
○通所サービス等利用促進事業の交付金は報酬に組み込む。
【説明】
 日中活動支援を利用するには送迎は必要である。また、医療的ケアを必要と
する人の送迎には看護師の添乗も必要になる。現行の生活介護には送迎経費も
含まれているとの解釈があるが、他の通所事業には送迎経費は含まれていない。
送迎を行う事業所への通所サービス等利用促進事業の交付金は、実績に応じて
報酬に含まれるようにする。

【表題】[6]総合福祉法の策定及び実施のための調査等について
【結論】
○地域生活移行に向けた施設入所者、入院患者への実態調査等を実施する。
○新たな支給決定の仕組みのための試行事業や研究等を実施する。
【説明】
 既に厚生労働科学研究費、総合福祉推進事業等で先行研究や試行調査が行わ
れているが、加えて総合福祉法の策定及び実施に関する調査等のための予算確
保を行う。
 障害程度区分に代わる新たな支給決定の仕組みの開発及び実施に関しては、
試行事業による検証等、十分な準備を経るべきであり、またその過程は当事者、
家族、事業者に的確に情報提供されなければならない。国は、そのために必要
な予算を確保する。
 総合福祉法の骨格や内容について、当事者向けの分かりやすい資料を作成す
る必要がある。作成に当たっては、当事者の意見・助言を受ける。

II-4-(1) 障害者福祉予算をOECD諸国の平均水準以上に
【表題】障害者福祉予算をOECD諸国の平均水準以上に
【結論】
○障害者への現物給付の水準をOECDの平均水準以上に引き上げる。
【説明】
 障害者福祉の予算水準のあり方を考える上で、参考になるのがOECD諸国との比
較である。
 そこで地域生活をささえる支援サービスの予算規模(障害者に対する現物給
付。ほぼ障害者自立支援法によるサービス費用に相当)のOECD諸国の対GDP比平
均を計算したところ、0.392%(小数点第4位を四捨五入)であった。(OECD
SOCX2010。2007年データ。34カ国のうち、データなしのアメリカ・カナダを除
く32カ国を集計。)
 日本は0.198%(1兆1138億円に相当)でOECD諸国第18位であった。これを平
均並み(GDPの0.392%)に引きあげるには、GDP比0.193%(約1兆857億円)の
増額が必要であり、総計で現在の約2倍に当たる2兆2051億円となる。また10位
(0.520%)以内では約2.6倍に当たる2兆9251億円となる。(2007年の日本の
GDP総額は562兆5200億円)。

II-4-(3)長時間介護などの地域生活支援のための財源措置
【表題】長時間介護などの地域生活支援のための財源措置
【結論】
○国は、長時間介護に必要な財源を確保する。
○地域移行者や地域生活をする重度者に関する支援サービスに関して、他の支
援サービスの場合における負担と支給決定のあり方とは、異なる仕組みを導入
する。
○国は、地方自治体が、国庫負担基準を事実上のサービスの上限としない仕組
みを財源的に担保する。

【説明】
 どんなに重い障害がある人でも、障害者権利条約第19条の「他の者と平等な
選択の自由を有しつつ地域社会で生活する平等な権利」を実現することが求め
られる。長時間介護も、その人の障害特性やニーズ、医療的ケアの必要度等に
応じて、日中の介護のみが必要な人から、24時間のパーソナル・アシスタン
スが必要な人まで、必要とされる介護内容は様々である。ただ、どんなに重い
障害がある人でも、またどこに住んでいても、地域社会で暮らす権利が満たさ
れる為に必要な支援量は提供されるべきである。上記を満たし、各人のニーズ
に応じた支援が適切に届けられるために、財源を確保して支援することが必要
である。
 地域移行者と地域生活をする重度者では、負担と支給決定のあり方を変える
べきである。地域移行者の中には、出身自治体と居住自治体が分かれているケ
ースが少なくない。住民票がある住所では地域生活が出来なかったため、入所
施設や精神病院に長期間、社会的に入院・入所している、という住民票住所と
実際の居住地が異なるケースなどである。こういう人が地域移行した場合、移
行先が住所地となるため、施設や病院に近い自治体、あるいは重度者の地域移
行を先進的に進めてきた自治体は、過剰な負担を強いられる可能性がある。こ
れが、地域移行を阻害する要因の一つでもある。
 そこで、施設・病院から地域移行する人や親元から独立して別市町村で暮ら
す障害者については、出身自治体が一定年度の財政負担(恒久的かどうかは検
討)をした上で、居住自治体での支給決定をすることも検討してはどうか。
 現状では国庫負担基準という形で実質的な予算上限を設定しているため、少
なからぬ自治体が、国庫負担基準を事実上のサービス上限としている。
 はじめに予算ありき、ではなく、まずは障害者のニーズを中心に検討すべき
である。そのニーズを積み上げる形で、必要な支給決定がなされる必要がある。
 総合福祉法においては、障害者の実態とニーズに合わせ、「地域で暮らす権
利」を保障するための財源を確保すべきである。
 従って、国庫負担基準については、次のような考え方が考慮されるべきであ
る。
(1)地域生活する重度者について、現行の国庫負担率以上は国負担を原則とす
る。ただ、そのことが無理な場合、例えば都道府県での基金化も含め市町
村負担を大幅に引き下げる対応を考えるべきである。
(2)ホームヘルプについては、8時間を超える支給決定をする場合は、8時間
を超える部分の市町村負担は5%程度に下げ、都道府県が45%を負担し、8
時間以内の支給決定をする場合および8時間以上の支給決定の場合の8時間分
については、市町村負担を26%とし、都道府県負担の1%を確保して使うよ
うにする案を提示した。(図参照)
  なお、ホームヘルプにかかる国の負担割合は現行5割であるが、地域格差
なく、必要とされるサービス提供が保障されるためには、現行以上の国の負担
割合を検討すべきである。

 上記の図で8時間を境にしている理由は、重度訪問介護の区分6の国庫負担
基準が約40万円で、月212時間程度の単価となり、1日当たり7時間超で
あることから、8時間を境にしている。
 また入所施設や精神病院への入院・入所者の地域生活移行等を促進するため、
例えば居住地と出身地で費用を分担するような方式が考えられないか。(下図
参照)

III 関連する他の法律との関係
【項目】
III-1 医療

 医療・合同作業チームでは、障害者の医療をめぐる現状を踏まえつつ、障害
者は保護の対象ではなく権利の主体であるとの考えに立ち、障害当事者の経験
に即した視点から、諸課題への解決策につながるよう、制度の在り方につき検
討を行った。
(第1期(H22.10~12月)には精神医療を中心に、第2期(H23.1~6月)には、
障害の種別を問わず、障害者の生活を支える地域医療を主題として検討。)

【表題】「地域における障害者の生活を支える医療」の実現に向けた理念と制
度基盤の構築
【結論】
○障害者が地域で暮らし社会参加できるようにするためには、適切な医療の提
 供が不可欠である。医療は、福祉サービス及び保健サービスとの有機的連携
 を確保しながら提供される必要があるという、総合福祉法(仮称)の理念は
 医療保健の分野にかかる法律においても確立されるべきである。
○また、包括的なサービス提供の基盤となるものとして、個々の障害者に対す
 る相談支援の際、当該障害者の福祉・保健・医療にわたるニーズに合った総
 合的な相談支援が自己決定への支援と一体的に提供されることが必要であ
 る。このような本人の希望を踏まえた総合的な支援が総合福祉法(仮称)の
 みならず、医療保健の分野にかかる法律においても実施できるよう、基盤整
 備が有機的連携の下になされなければならない。
【説明】
 障害者に対する医療は、疾病に対する治療を提供する医療(医療モデルに基
づく医療)とは在るべき姿を異にする。医療モデルではなく個々の障害者の生
活の状況を基盤として、日常生活を支える不可欠のサービスとして、医療が、
保健、福祉、生活支援のサービスと有機的連携を確保しつつ提供されることが
重要である。このような観点から、障害者に対する地域医療をさらに向上発展
させていくための理念と制度基盤の構築が、総合福祉法(仮称)のみならず医
療法、地域保健法等の関係法令のもとでも必要である。

【表題】障害者の医療費公費負担制度の見直し
【結論】
○障害者の医療費公費負担制度の見直しに際しては、現行の自立支援医療制度
 のみならず、特定疾患治療研究事業、小児慢性特定疾患治療研究事業、高額
 療養費制度、都道府県の重度心身障害児者医療費助成制度等を総合的に検討
 の対象とする必要がある。
【説明】
 地域で生活する障害者は、障害の種類にもよるが、外来等により反復継続し
て医療を受ける必要がある場合が多く、その経済的負担は本人の負担能力に比
して過重となりやすい。また、必要な医療が適時的確に受けられるようにする
ことは障害の重度化を予防する観点からも重要であり、経済的負担の過重感か
らこれが妨げられることがあってはならない。こうした観点から、自立支援医
療のみならず、様々な医療費公費負担制度に基づき講じられている負担軽減の
仕組みを総合的に検討していく必要がある。

【表題】医療的ケアのにない手の確保
【結論】
○重度の障害者の地域生活を支援するため、日常的に必要となる医療的ケアの
 にない手を増やしていく必要があり、介護職員等に関する法令上の規定の整
備や医療関連職種に関する法令との調整が必要である。
○その際、介護職員等が不特定多数の対象者へ当該医療的ケアを行う場合(入
 所施設でのケア等)と、にない手が個別的に特定の対象者へ特定のケアを行
 う場合(学校や在宅でのケア等)を区別し、それぞれに相応しい柔軟な実施
 体制の整備が図られるべき。
【説明】
 平成23年の社会福祉士法、介護福祉士法の改正により、平成24年度から、
たんの吸引と経管栄養について、看護師等だけでなく、一定の研修を受けた介
護職員等も行うことができるようになった。研修受講の便宜を図りつつ、これ
らの医療的ケアをになう介護職員等を増やしていくとともに、医療的ケアを日
常的に必要とするより多くの障害者が地域で円滑に生活を送れるよう介護職員
等が実施できる医療的ケアの範囲をさらに拡大することも検討する必要がある。

【表題】重度身体障害児者、重症心身障害児者の医療と地域生活
【結論】
○重度身体障害児者や重症心身障害児者にとっては、総合福祉法による長時間
 介助サービスと相まって、地域生活を送るうえでのニーズに即した医療サー
 ビスが身近なところで受けられる体制と、日常的な医療的ケアが日頃介助し
 ている介助者によって行いうる体制を構築することが必要である。同時に、
 ショートステイも含めた施設への入院・入所機能の確保も重要である。
【説明】
 障害が重度であっても地域で生活できるよう支援を講じていくことが重要。
このためには、長時間介助サービスの提供と相まって、日常的な医療の提供が
確保されること、また、生命と生活のセーフティネットとしての施設機能が確
保されることが重要であり、そのための関係法令の整備が必要となる。

【表題】難病等のある障害者の医療と地域生活
【結論】
○難病その他の希少疾患等のある障害者にとっては、身近なところで専門性の
 ある医療を受けることができる体制及び医療を受けながら働き続けること
 のできる就労環境が求められ、このための法令の整備が必要である。
【説明】
 難病等にかかる障害者について、概念整理を進める必要があるが、難治性慢
性疾患のある人も含むよう幅広くとらえ、それらの人に対しては総合福祉法(仮
称)にもとづく生活支援が講じられるとともに、医療及び就労分野の法令にお
いて、医療を受けながら地域生活、特に働き続けることができる環境の整備に
ついて規定していくことが必要である。

【表題】精神障害者の医療と地域生活
【結論】
○精神障害者にとっては、総合福祉法において、安心して地域社会で自立した
 生活を送るための生活支援や相談支援が求められるが、医療の分野において
 は福祉サービスと連携しつつ、地域の身近なところで必要な通院医療や訪問
 診療を受けられる体制が求められる。
○精神障害者が調子を崩したとき、家族との関係が一時的に悪化したとき等に、
 入所、入院を防ぐあるいは再発予防のためのドロップインセンターとして、
 必要時にすぐに使えるレスパイトやショートステイが必要である。その際、
 障害程度区分に依らず使える仕組みとすることが必要である。
【説明】
 地域移行、支給決定、相談支援の項におけるセンターの機能は、この項とも
密接に関係する。
(※ なお、人権保障の観点からの社会的入院の解消、地域移行等については、
別項で記述する。)

【表題】発達障害者の医療と地域生活
【結論】
○発達障害者にとって、地域で生活できるためには、総合福祉法に基づく生活
 支援とともに、身近なところで専門的な治療や療育をうけられる体制の整備
 が求められる。
【説明】
 特に、発達障害の診断・治療・療育に係る指針等を普及させ、これらを担う
能力を十分に備えた医師等の医療従事者を増やすことにより、医療の質を上げ
る(不必要な投薬を避け、適切な支援を提供する)ことが求められる。

【表題】精神障害者に係る非自発的入院や入院中の行動制限
【結論】
○関係する法律(精神保健福祉法、医療法等)を抜本的に見直し、以下の事項
 を盛り込むべきである。
・いわゆる社会的入院を解消し、精神障害者が地域社会で自立(自律)した生
 活を営むことができるよう、権利の保障を踏まえた規定を整備すること
・非自発的な入院や入院中の行動制限については、人権制約を伴うものである
 ことから、本人の意に反した又は本人の意思を確認することができない状況
 下での適正な手続に係る規定とともに、人権保障の観点から第三者機関によ
 る監視を含む適切な運用がなされることを担保する規定を整備すること
・その際、第三者機関の必要経費は、国庫が負担すること
【説明】
 関連して、精神疾患の入院ニーズを精査し、国並びに都道府県は精神科病床
の削減計画を立て、入院に代わる地域での医療体制を構築することが必要であ
る。これは、地域移行、資源整備の項における計画とも密接に関連する。
 同時に、医師や看護師等の精神医療に充てる人員の標準を一般医療より少な
く設定している現行の基準を改め、必要最低限の適正な病床数と必要な人員を
配置し、精神医療の質を向上するための根拠となる規定を設ける必要がある。

【表題】保護者制度
【結論】
○保護者制度は廃止し、これに代わる公的制度を確立するべきである。
【説明】
 医療保護入院に係る同意を含む「保護者制度」の問題点を解消するために、
自らの判断と選択による医療の利用が保障されるべきことを確認するとともに、
非自発的な入院等の際に公的機関がその責任を果たす制度を構築し、その導入
に伴い保護者制度は廃止する。

【表題】精神障害者の入院に係る病室の規定の見直し
【結論】
○精神病患者を精神病室でない病室に入院させないこととしている医療法施
行規則第10条三項を廃止する。
【説明】
 精神障害者が精神疾患を持ちながら地域で生活するには、一般病院を含め身
近なところで通院や往診などを受診できることが重要となる。精神疾患の治療
の場を他疾患と同様に一般医療の中に組み込み精神科医療へのアクセスをよく
することは、再発予防や早期発見につながる。また、医療従事者や市民が抱く
精神科医療への抵抗感や偏見をなくし、ひいては地域移行の推進にもつながる。
その障壁となっている当該規定は廃止すべき。

【表題】障害者に対する歯科保健・歯科医療の充実
【結論】
○障害者、特にアテトーゼや行動障害を伴う障害者に対し、身近なところで歯
科保健サービス及び歯科医療を提供する体制の整備・充実のため、院内で治
療できるよう、物的設備の整備支援、医師等に対する障害に関する研修、訪
問治療等につき、医療法等の関連法令の規定の見直しが必要である。
【説明】
 障害者にとって歯科治療を円滑に受けることが困難な状況が依然として存在
する。歯科医療及び予防は、障害者にとって、健康保持、学習発達(特に障害
児)、生活機能の回復向上に重要であり、現状の改善が不可欠である。

【項目】
III-2 障害児
 「障害者制度改革の推進のための基本的な方向性について」(平成22年6月
29日閣議決定)で示された次の2点について、平成23年内に結論を得るべ
く論点を整理するよう、障害児支援合同作業チームが設置された。
・地域の身近なところで提供される障害児やその保護者に対する相談支援と療
 育等の在り方について
・障害児への支援が、利用しやすい形で提供されるための具体的方策について

1.児童福祉法関係
【表題】権利擁護
【結論】
○障害児を含むすべての子どもの基本的権利を保障する仕組みの創設が望まれ
ることから、児童福祉法でオンブズパーソンを制度化するべきである。その
ために、社会保障審議会児童部会に検討の場を設け、検討を進めること。
【説明】
 障害の有無や程度にかかわらずすべての子どものための権利擁護の仕組みを
市町村に設けるために、オンブズパーソンを、国連の子どもの権利委員会の勧
告(CRC/C/JPN/CO/3, 2010.6.)を踏まえ、児童福祉法で制度化するべきである。
特に、障害児は契約当事者が保護者であるため、子どもの視点から最善の利益
を保障できる権利擁護の仕組みが必要である。既に自治体で取組まれている先
行事例等もあることから、社会保障審議会児童部会で検討を進め、オンブズパ
ーソンの制度化を図るべきである。

【表題】早期支援
【結論】
○母子保健法に基づく障害の早期発見を、保健指導や医療の保障にとどまらず、
障害児が地域の子どもとしての育ちを保障されるよう、児童福祉法の子育て
支援事業と連携し実施すること。
○健康診査等による要支援児に対しては、家庭への訪問・巡回等、家庭での育
児支援を基本的な在り方とし、児童及び保護者の意思に基づいて、児童発達
支援センター、医療機関、入所施設等を活用できるようにすること。
【説明】
 母子保健法は、学校保健安全法、児童福祉法等に基づく事業と協調するよう
規定されているが、現状は、障害の発見から療育、特別支援教育へと「特別な
支援過程」につながるだけのことが多い。障害の発見を地域の子育て支援、さ
らに地域の学校への就学につなぐことの出来る制度設計が必要である。
 
【表題】一般児童施策の利用が障害を理由に制限されないこと
【結論】
○児童福祉法の保育所の入所要件には、障害を理由に利用を制限する規定がな
 いことを踏まえ、今後の「子ども園」(仮称)の制度化において、障害児の
 入園が拒否されないように応諾義務を課すこと。また、必要な支援を確保す
 るよう、必要な規定を児童福祉法もしくは「子ども園」に係る新法に設ける
 こ と。
○障害児が、放課後児童クラブへの参加を希望する場合には、障害を理由に拒
 否されないこと。また、指導員の加配や医療的ケアを必要とする子には看護
 師を配置する等、必要な支援を講じること。
【説明】
 児童一般施策と障害児施策の両方があることによって、障害児が児童一般施
策を利用しにくい、あるいは利用できないということがないようにするべきで
ある。
 子ども・子育て新システムの「子ども・子育て会議(仮称)」や「新システム
事業計画(仮称)」等も、上記の理念の下に検討が進められるよう障害児、家族
及び支援者が参画し、障害を理由に利用が拒否されないよう、かつ、必要な支
援が確保されるよう「子ども園」(仮称)が制度化されるべきである。放課後
児童クラブについても、同様に整備されるべきである。

【表題】療育
【結論】
○地域社会の身近な場所において専門性の高い療育(障害児に対する発達支
 援・育児支援・相談支援・医療的支援)を利用できるようにすること。
○障害者基本法の「可能な限りその身近な場所において療育その他これに関連
 する支援を受けられるようにするため」の規定を踏まえ、児童福祉法の療育
 の規定を整理すること。
【説明】
 障害児の個々の特性を踏まえた専門性の高い療育を身近な地域で得られるよ
うにすべきである。児童福祉法には「療育の指導等」が規定されているが、規
定の仕方が狭いため、地域社会の身近な場所で療育が利用できるように整理す
べきである。

【表題】通所支援
【結論】
○保育所等訪問支援事業や巡回支援専門員整備事業、障害児等療育支援事業の
 拡充を図るとともに、児童発達支援センターもその対象に加えること。
○児童発達支援センターは、様々なニーズのある障害児に対応できる職員配置
 基準が必要であるため、保育士及び児童指導員に加え、看護師や療法士等の
 専門職を適正に配置できるようにすること。
【説明】
 障害児通園施設が障害種別に分かれて培ってきた「専門性」を、他の児童発
達支援センターや放課後等デイサービス事業所等に提供して相互のレベルアッ
プを図ることに加え、福祉型センターには看護師や療法士等、医療型センター
には保育士等の必要な職員を確保して発達支援機能を向上させ、真の意味の
「一元化」を目指すことが必要である。

【表題】障害児入所施設
【結論】
○障害児の自立生活にむけて、「自立支援計画」の策定を障害児入所施設に義
 務付けること。その根拠規定を児童福祉法、児童福祉施設最低基準に設け、
 運 営ガイドラインを整備すること。
○入所決定、入所後であっても、地域の子どもとして意識されるよう、児童相
 談所等に加え、市町村が関与できるようにすること。
○入所支援から地域生活に移行にあたっては、在宅生活が可能となるよう地域
 資源を整備し、家庭に帰れない場合でも、障害児専門の里親制度の拡充や障
 害児を対象とするファミリーホームなど、できるだけ家庭に近い養育環境を
 整備すること。また障害児入所施設の小規模化、ユニット化を促進するため、
 加算措置をすること。
○NICU(新生児集中治療室)から在宅生活に移行するに当たり、その移行準備
 や障害が発見された直後の親に対するカウンセリング、養育指導においては、
 医療型障害児入所施設の母子入園での支援が有効であることから、これを拡
 充すること。
○入所施設は、社会資源の一つとして、保育所を含む地域機関や家庭への訪問、
 巡回型の支援が行えるようにし、すべての障害児入所施設にショートステイ
 枠を増設すること。
【説明】
 児童養護施設等に義務付けられている自立支援計画は、障害児入所施設には
義務付けられていない。障害児入所施設に、児童相談所等との協議にもとづき
将来の自立生活に向けた「自立支援計画」の策定を義務化するべきである。地
域の子どもとして育つことができるよう、市町村が入所決定等で関与し、長期
休暇等の自宅で過ごす際に、措置で入所した子どもであっても居宅サービス等、
必要なサービスを利用できるようにすべきである。入所施設は、小規模化し、
できるだけ家庭に近い環境で養育できるよう整備し、地域移行が可能となるよ
うショートステイ枠の創設やファミリーホーム等の環境整備が必要である。

【表題】地域の身近な場所での相談支援体制
【結論】
○相談支援は、障害が特定されない時期から、身近な地域の通いやすい場で提
 供されること。相談支援事業者でのサービス利用の手続を簡素化し、本人・
 保護者の同意に基づいて利用する事業の代理申請を可能にすること。
○地域子育て支援拠点事業に、障害児子育ての相談対応者を職員として配置す
 ること。障害児相談支援事業所と連携を図ること。
【説明】
 相談支援は、地域の身近な場所においてワンストップ型で提供されなければ
ならない。そのために、相談支援事業者でのサービス利用の手続の簡素化が必
要である。また、障害児の相談に対応できる職員の養成が必要である。

【表題】ケアマネジメントと「個別支援計画」
【結論】
○「個別支援計画」は、障害児・家族にとって身近な地域における支援を利用
 しやすくするため、福祉、教育、医療等の利用するサービスを一つの計画と
 して策定されること。6カ月程度の適当な期間で見直され、支援の調整、改
 善が図られるようケアマネジメントすること。
○障害児が支援を受けつつ意思を表明し、その意向に沿った計画を策定できる
 ように、計画に意見表明の欄を設けること。保護者の同意なくしては履行で
 きない仕組みにすること。
○乳幼児期の「個別支援計画」は、保護者・きょうだいへの支援を含むものと
 して策定されること。
【説明】
 障害児に対するケアマネジメントは、単にサービス利用計画の策定にとどま
らず福祉、教育、医療等の総合的な計画として策定され、必要な期間で見直さ
れ、サービス調整を障害児及び保護者の同意のもとに行うべきである。その際、
「地域での育ち」を促進するよう、きょうだい支援を含めたものとするととも
に、特に乳幼児期には保護者への「育児支援」を含めるべきである。

【表題】要保護児童対策地域協議会と地域自立支援協議会の連携
【結論】
○要保護児童対策地域協議会と地域自立支援協議会とで検討が重なる子どもに
 ついては、保護者の同意の下に合同で協議会を持つことができるようにする
 こと。
【説明】
 要保護児童対策地域協議会と地域自立支援協議会が、それぞれに障害児の検
討をするのではなく、一元化すべきである。また、要保護児童対策地域協議会
の構成員として、障害児福祉関係者(障害児相談支援事業所や児童発達支援事
業所等)が加わり、検討できる体制を整えるべきである。

【表題】家族支援ときょうだい支援
【結論】
○障害児が家族の一員として、地域の子どもとして成長できるよう、育児支援、
 家族支援を行うこと。保育所等訪問支援事業の対象に「家庭」を加えること。
○きょうだいのグループ活動等を支援し、障害児ときょうだいが一緒に参加で
 きる事業を児童発達支援センター等が実施すること。
【説明】
 障害児の育児支援、家族支援を家庭でできるように、保育所等訪問支援事業
の訪問対象に家庭を加え、外出できない家族への支援を可能とすべきである。
また、きょうだいへの支援は現在のところ事業化されていないことから、活動
支援や一緒に参加できるプログラムを実施できるようにすべきである。

2.学校教育法関係
【表題】寄宿舎
【結論】
○特別支援学校の寄宿舎の本来の目的は通学を保障することにあり、自宅のあ
 る地域社会から分離されないよう運用されること。寄宿舎の実態を調査し、
 地域社会への移行に向けた方策を検討すること。
【説明】
 寄宿舎は本来広域学区である特別支援学校への通学保障のために設置された
ものであるため、学校が休みになる土・日や長期休暇は家庭に戻るように、運
用されるべきである。

【項目】
III-3.労働と雇用
 就労合同作業チームは、従来、障害者自立支援法などで規定されてきた福祉
的就労を総合福祉法(仮称)でどのように規定するかの検討とあわせ、障害者
雇用促進法などを中心としてすすめられてきた一般就労・自営施策のあり方に
ついても検討するため設置された。委員は、障がい者制度改革推進会議構成員4
名と総合福祉部会構成員6名から構成された。
 本作業チームで検討した主な内容は、次のとおりである。
[1]障害者基本法に盛り込むべき就労に関する基本的事項
[2]総合福祉法の守備範囲(労働分野との機能分担など)
[3]福祉と労働及び雇用にまたがる制度と労働者性の確保のあり方
[4]就労移行支援事業、就労継続支援A型・B型事業、生産活動に取り組む生活
  介護事業、地域活動支援センターや小規模作業所のあり方
[5]雇用率制度及び差別禁止と合理的配慮を含む、一般就労・自営のあり方
[6]多様な就業の場としての社会的雇用・社会的事業所・社会支援雇用のあり方

1.障害者雇用促進法に関わる事項
【表題】雇用の質を確保するための法改正
【結論】
○障害者権利条約第27条[労働及び雇用]で求められる労働への権利、障害に基
 づく差別の禁止、職場での合理的配慮の提供を確保するための規定を設ける。
【説明】
 大企業に限らず中小の企業においても、障害者が他の者と平等な雇用条件や
昇給・昇進、希望職種・業務の充足といった雇用の質が確保できるようにする
ために、労働の権利、障害に基づく差別の禁止、職場における合理的配慮の提
供の確保等に関する必要な規定を設けるべきである。

【表題】雇用施策の対象とする障害者に就業上必要な支援を認定する仕組み
【結論】
○障害者雇用率制度に基づく雇用義務の対象を、あらゆる種類の障害者に広げ
ると共に、雇用率達成のため事業主への支援を拡充する必要がある。また障
害者にとって就業上必要な支援を明らかにする総合的なアセスメントを整備
する。
【説明】
 精神障害者については上記結論と併せて、職場で安定的に就業するための配
慮と職場環境の整備が不可欠である。
 個々の障害者が具体的な就業の場においてどのような支援を必要とするかに
ついて、当該障害者の就業にかかわるすべての利害関係者(障害当事者も含む。)
がチームとしてアセスメントを行う仕組みを整備する必要がある。そうしたア
セスメントは、状況の変化に応じた柔軟な見直しが求められる。

【表題】障害者雇用率制度および納付金制度の見直し
【結論】
○障害者雇用率制度の対象者の拡大に関連して、法定雇用率および納付金制度
 は、調査に基づいて課題と限界を検証し、必要な見直しを行うべきである。
【説明】
 法定雇用率については、社会モデルに基づいた障害の範囲の拡大、就労系事
業などへの仕事の発注額などに応じて当該企業の障害者雇用率に算定する見な
し雇用の制度化などを踏まえて、大幅に引き上げる方向での見直しが求められ
る。重度障害者を雇用した場合、1人を2人分として算定するダブルカウントに
ついては、社会モデルに基づいた制度に見直すべきであるとの意見があったが、
障害者の範囲の見直しが先に行われるべきであるとの意見もあった。
 障害者雇用納付金制度は、助成額の引き上げや給付期間の恒久化に加え、助
成申請手続きの簡便化も必要である。また、助成金は事業主の申請により給付
されるため必ずしも障害者の雇用を支えるために有効に活用されていないとの
指摘があり、障害者自身が申請できるようにする必要がある。

【表題】職場における合理的配慮提供の確保
【結論】
○事業主が障害者に合理的配慮を提供するのに必要な経済的・技術的支援を受
 けられるような仕組みとともに、合理的配慮が提供されない場合、苦情の申
 し立てと救済措置が受けられるような仕組みを整備する必要がある。
【説明】
 就労系事業、特例子会社、重度障害者多数雇用事業所等での合理的配慮の実
践例を企業に示すことで、企業の理解を求める。合理的配慮の類型化や事例の
ガイドブックの整備等も企業の取組みを進める上で有効と思われる。それにあ
わせ、合理的配慮に係る費用負担のあり方も整理する必要がある。
 また、合理的配慮が提供されない場合、障害者が苦情を申し立て、救済措置
が受けられるような第三者性を確保した仕組みについては、職場内および労働
審判制度の整備を含めて平成24年度内を目途に得られる差別禁止部会および労
働政策審議会の検討結果等を踏まえ、適切な措置を講じる必要がある。

2.障害者雇用促進法以外の法律にも関わる事項
【表題】就労系事業に関する試行事業(パイロット・スタディ)の実施
【結論】
○安定した雇用・就労に結びついていない障害者に適切な就業の機会を確保す
 るため、試行事業(パイロット・スタディ)として賃金補填等の他、多様な
 働き方の就業系事業を実施する。
【説明】
 全国で80ヵ所程度を指定し、賃金補填(使途に規制がなく、障害従業員の賃
金補填にも充当しうる、柔軟な助成措置を含む。)および官公需や民需の優先発
注等を伴う、多様な就業系事業(社会的雇用・社会的事業所・社会支援雇用な
どを指す。詳細は就労合同作業チーム報告参照。)が障害者就業施策にもたらす
効果を実証的に検証することにより、同制度化に向けた課題を整理する。対象
とするのは、[1]最低賃金の減額特例を受けている就労継続支援A型事業所、
[2]最低賃金の1/4以上の工賃を支払っている就労継続支援B型事業所、
[3]箕面市や滋賀県など、地方公共団体独自の制度として賃金補填を実施して
いる事業所の他、新たに起業する事業所等。これらに対し、障害従業員への賃金
補填を含む事業所への運営費補助及び官公需や民需の優先発注などによる仕事を
確保するための支援を行う。
 検証事項は、主に[1]障害者自身の働く意欲への影響や、ともに働く障害の
ない者の意識の変化、[2]対象とすべき障害者や事業所の要件、[3]事業者が
提示する賃金への影響、[4]障害従業員の心身・労働能力の変化の状況、
[5]収益の配分とその決定の仕組み、[6]事業者の生産性・付加価値引き上げ
の取組み、[7]民間企業と就労系事業が連携する取組み、[8]総合的アセスメ
ントの仕組みなど、新たな就労系事業の制度化にあたって予想される課題の整理
である。 現在の国の制度では、一般就労と福祉的就労しか選択肢がなく、しか
も賃金(工賃)や位置づけ(労働者か利用者か)についても大きな乖離がある。
そのため、両者の間に第三の選択肢をつくることや福祉的就労に労働法規を適用
すること、さらには多様な働き方を保障することなど、種々の検討すべき課題が
ある。

【表題】賃金補填と所得保障制度(障害基礎年金等)の調整
【結論】
○就労系事業に従事する障害者が賃金補填を受ける場合、原則として年金支給
 は一部ないし全額停止することで、年金財源を賃金補填に振り替えうる仕組
 みをつくる。そのためには、賃金補填と所得保障の関係について、障害基礎
 年金の支給調整ラインの検討が必要である。また、賃金補填の対象となる障
 害者の認定の仕組みを検討する必要がある。賃金補填を行う場合の事業者の
 モラルハザードをどうするかについても検討が必要という意見もある。
【説明】
 障害基礎年金における所得制限は、20歳前に障害者となった人の場合につい
て、所得が398万円4,000円を超えると半額支給停止、500万1,000円を超える
と全額支給停止となる。しかし、最低賃金(時給)で働いた場合の年間の所得
は100数十万円程度であり、到底、現行の支給調整ラインには届かない。よっ
て、賃金補填を受けない障害者との公平性を担保するには、支給調整ラインを
さらに低い金額で設定することを検討する必要がある。また、20歳前に障害者
となった人以外の場合は、障害厚生年金や稼働所得と賃金補填との調整をどう
するか等の検討課題がある。 なお、賃金補填の導入によって事業者がモラル
ハザードを起こさないよう、生産性や付加価値を高めるとともに、障害従業員
の能力開発により賃金補填額の縮小、あるいは賃金補填がなくとも最低賃金以
上の賃金を支払うことを目指すような制度設計とすることについても検討する
必要がある。

【表題】障害者雇用・就労にかかる労働施策と福祉施策を一体的に展開するた
めの体制の整備
【結論】
○障害者の雇用・就労にかかる労働施策と福祉施策を一体的に展開しうるよう、
 関係行政組織を再編成するとともに、地方公共団体レベルで雇用・就労、福祉
 および年金等に係る総合的な相談支援窓口(ワンストップサービス)を置く。
【説明】
 現在、一般就労・自営は労働行政等、また福祉的就労は福祉行政の所管とな
っているが、それらを一体的に展開するには、中央レベルの行政組織を再編成
するとともに、地域レベルで就労・生活支援にかかわる、ハローワーク、福祉
事務所、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターおよび地方
公共団体が設置する就労支援機関、地域自立支援協議会、発達障害者支援セン
ターならびに特別支援学校などの関係機関のネットワークが有効に機能する仕
組みを整備する。

【表題】就労合同作業チームの検討課題についてフォローし、実現化をめざす
ための検討体制の整備
【結論】
○推進会議のもとに就労部会または就労検討チームを設置して、就労系事業に
 かかる試行事業の検証を含む検討課題についての結論を得る。そのメンバー
 は経済団体、労働団体、学識経験者(労働法、労働経済学、経営学、社会保
 障論などの分野の専門家等)、事業者団体および地方公共団体等から構成す
る。
【説明】
 就労合同作業チームではきわめて広範囲にわたる、一般就労・自営および就
労系事業に係る課題について検討したが、構成員の専門領域が限られていたこ
とや検討期間および時間が短かったため、結論を得るまでには至らなかった。
従って、推進会議のもとに新たにつくられる部会または検討チームには幅広い
専門領域の構成員を加え、十分議論を尽くし、結論をえる。

【表題】全国民のなかでの障害者の生活実態等を明らかにする基礎資料の整備
【結論】
○障害の社会モデルを基礎として雇用・就労施策を検討する基礎資料をえるた
 めに、国の基幹統計調査(全国消費実態調査や国民生活基礎調査等)におい
 て障害の有無を尋ねる設問を入れた全国調査を実施する。
【説明】
 厚生労働省では、身体・知的・精神、3障害の就業実態調査や障害者雇用実態
調査を行ってきているが、いずれも手帳所持者やすでに雇用されている人など、
限定された障害者集団の状況しか明らかにできない。障害ゆえに雇用・就労の
機会を得がたい者は、それらの障害者以外にも数多く存在する。いわゆる制度
の谷間で公的支援を受けることができない人びとを支援してこそ、障害者雇
用・就労の裾野を広げることができる。
 また、障害の社会モデルを基礎とした雇用・就労施策を検討する基礎資料と
して、全国民のなかでの障害者の経済活動や生活実態を明らかにすることが重
要である。そのためには、国の基幹統計調査(全国消費実態調査や国民生活基
礎調査等の全国民を対象とした大規模社会調査)において、少なくとも一時点
で病気や障害によって活動が一定期間以上制限されているかどうかを聞く設問
を追加し、その調査結果を分析する必要がある。

III 関連する他の法律との関係
III-4.その他

I-1 法の理念目的より

【「能力に応じ」という表記について】
○社会福祉法第3条に「能力に応じ」という表記があるが、これは能力主義を
 想起させ「インクルーシブな社会を目指す」という改革の趣旨とは整合しない
 ので、削除する。

I-5 権利擁護より

【苦情解決機関(社会福祉法)について】
○苦情解決制度は、現行の社会福祉法に基づく仕組みを、権利擁護の観点から
 抜本的に見直す。そのポイントは下記の2点である。
 ・都道府県社会福祉協議会に設置されている福祉サービス運営適正化委員会
  の下の苦情解決合議体が、苦情を受ける当事者である事業所との関係で独
  立性を担保されていること。
 ・この合議体によるあっせん、意見具申が苦情解決に当たって有効であった
  かを検証し、その機能を高めること。

【オンブズパーソン制度と虐待防止について】
○今年6月に成立した障害者虐待防止法では、都道府県や市町村は虐待を防止
 するために、オンブズパーソン活動を行う団体など、民間の団体と連携協力
 することとされており、この連携を強化することが重要である。
○障害者虐待防止法では、福祉施設で働く人やオンブズパーソンなどが虐待を
 発見した時には、市町村に通報しなければならないとされている。従って、
 虐待の発見や通報に関しても、市町村とオンブズパーソンの連携が重要にな
 る。
○オンブズパーソンの制度化は、総合福祉法に位置付けるのか虐待防止法に位
置付けるのかを含めて、今後の重要な課題である。

【モニタリング機関について】
○総合福祉法の実施状況に対するモニタリングは、改正障害者基本法で示され
 た国、都道府県、市町村に設置される「審議会その他の合議制の機関(以下、
 モニタリング機関という)」において行う。
○総合福祉法の実施状況については、国、都道府県、市町村に設置されるモニ
 タリング機関においてモニタリングを実施し、その結果に関する勧告を含む
 意見等は、国(所管省庁の大臣)に対して、または、都道府県および市町村
 の関係行政機関や地域の自立支援協議会などに報告される。
○市町村のモニタリング機関は、総合福祉法の当該市町村(広域連合を含む)
 の施策展開状況や障害福祉計画の達成状況について評価・分析・問題点抽
 出(調査・審議)を行い、必要に応じて、当該市町村の関係行政機関をはじ
 め地域自立支援協議会などの関係機関や団体に対して改善の提案を行う。な
 お、市町村のモニタリング機関の必置については、障害者施策の市町村格差
 をなくす観点から今後の課題として引きつづき検討する。
○都道府県のモニタリング機関は、市町村モニタリング機関から集められた全
 県的課題を整理した上で、その評価・分析・問題点抽出(調査・審議)を行
 い、必要に応じて、当該都道府県の関係行政機関や自立支援協議会などの関
 係機関や団体に改善の提案を行う。
○都道府県、市町村のモニタリング機関には、実際にサービスを利用する障害
 当事者の参画も必要不可欠である。 
○都道府県、市町村の地域自立支援協議会では、障害福祉計画の進行管理や次
 期計画の作成などにおいて、モニタリング内容を踏まえた検討行い、整備水
 準を高めることとする。
○個別ケースではない地域課題の問題については、障害当事者や相談支援機関
 がモニタリング機関に課題提起をすることができるようにする。

【権利擁護と差別禁止の普及啓発について】
○障害のある人とない人が地域で共に暮らすためには、障害者理解や権利擁護、
 差別の禁止などの普及啓発に向けた取組みが国と地方自治体の双方で必要で
 ある。これにより、総合福祉法は実質的に機能することになる。
○国においては、情報提供や相談対応等の支給決定プロセスから福祉サービス
 利用における不利益取扱いを禁止し、また権利擁護と差別禁止を普及啓発す
 ること等を法定化した差別禁止法制の制定が求められる。
○市町村、都道府県においても差別禁止の普及啓発と、差別事案が発生したと
 きのあっせん・調整・相手方への勧告等の仕組みを盛り込んだ差別禁止条例
 が必要である。
○普及啓発については、権利の形成や獲得とその支援に関して、鳥取県・島根
 県で進められている「あいサポート運動」(※)のような活動が不可欠であ
 る。(※)「あいサポート運動」とは、地域の理解が不可欠という考え方を
 もとに、障害のある人が地域の一員としていきいきと暮らすため、住民に障
 害の特性や障害のある人への配慮の仕方などを理解・実践してもらう運動で
 ある。
 平成21年より取組まれ、一般市民、障害者団体や県内外の民間企業等が“あ
 いサポーター”として参加協力し、暮らしやすい地域社会づくりのために
 運動を繰り広げている。

I-6 支援体系より

【公営住宅や民間賃貸住宅の活用について】
○公営住宅の障害者優先枠を拡大する。
○民間賃貸住宅の一定割合を公営住宅として借り上げる、一定規模以上の民間
 賃貸住宅には障害者に配慮した住宅の設置を義務付けこれに公的補助を行う
等、民間賃貸住宅への入居を進めるために必要な施策を講じる。
○民間賃貸住宅におけるグループホーム設置を一層促進する。そのために、建
 築基準法を見直し、防火壁などの工事を必要とする等の現在の厳しい基準をな
 くして、グループホームを一般住居として扱うこと。
○事業者に対する税制の優遇(不動産取得税、固定資産税、都市計画税等の減
 額もしくは免除)を設け、住居提供者に対する経済的支援策や優遇策を講じる。

【一般住宅に住む障害者への家賃補助、住宅手当などについて】
○一般住宅に住む障害者への経済的支援について、家賃補助や住宅手当の創設
 等を含め、関係する省庁による連携の下、検討を進める。

I-10 地域移行より

【地域移行・地域生活の資源整備に欠かせない住宅確保の施策について】
○長期入院を余儀なくされ、そのために住居を失うもしくは家族と疎遠になり、
 住む場がない人には、民間賃貸住宅の一定割合を公営住宅として借り上げる
 などの仕組みが急務である。グループホームも含め、多様な居住サービスの
 提供を、年次目標を提示しながら進めるべきである。
○保証人がいないために住居が確保できない入所者・入院者にとって、公的保
 証人制度は必要であり、自治体が保証人となるべきである。

おわりに

 「ある社会がその構成員のいくらかの人々を閉め出すような場合、それは弱
くもろい社会である」。
 これは、1979年の国際障害者年行動計画の一文です。この歴史的課題の解決
がなされないまま、30余年を経た今、社会保障・社会福祉をはじめとする制度
のほころびが各方面から指摘され、「無縁社会」と称されるまでになっています。
 「推進会議」と「部会」は、「障害の有無にかかわらず国民が分け隔てられる
ことのない共生社会」の実現とそのための制度改革を目指しています。それは、
とりもなおさず、「弱くもろい社会」から、誰もが排除されることなく全ての人
が社会的に包摂される社会づくりに寄与するものであると確信しています。

 地震と津波、原発事故によって未曾有の被害がもたらされた東日本大震災は、
障害者を含む被災地の人たちにきわめて大きな困難を与えています。被災され
た皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
 今、日本中が協力して災害からの新生・復興をすすめ、すべての人が尊重さ
れ、安心して暮らせる社会を作ろうとしています。本提言がめざす共生社会は、
この新生・復興の日本社会の不可欠の一部となると信じます。障害者が暮らし
やすい社会はすべての人が暮らしやすい社会でもあります。
 そうした点からも、政府が本提言を受け止め、障害者総合福祉法が制定・実
施されることを心より願うものです。

特別支援教育特別委員会合理的配慮等環境整備検討WG(第3回)議事録1 平成23年8月18日2011-08-10

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/046/gijiroku/1312423.htm

特別支援教育の在り方に関する特別委員会
合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループ(第3回) 議事録

1.日 時 平成23年8月18日(木曜日)13時30分~16時30分

2.場 所 三田共用会議所講堂

3.議 題
  1.障害者本人及び保護者からのヒアリング
  2.その他

4.議事録

【市川氏】 それでは、私は、自閉症のある子どもの保護者の立場からというこ
とで話をさせていただきたいと思います。
 皆さんのお手元に、意見表明については一応書いてありますので、自分の子ど
ものことをお話しさせていただきたいと思います。
 特別支援教育について、私自身、様々な立場で関わらせていただいております
が、自閉症の親として、ちょっと違う視点で話をさせていただきたいと思います。
 私の子どもは1歳までおとなしく、全く手がかかりませんでした。1歳半から引
っ越しを契機に、視線が合わず、呼びかけに反応が鈍くなり、幾つか出ていた言
葉もなくなりました。これは医療的には折れ線型と言われる自閉症の特徴です。
私が自閉症と診断しましたが、有意味語はありませんし、知的障害児の通所施設
に通いましたが、あまり大きな変化はございませんでした。
 知的障害児を受け入れてくれる保育園に入りましたが、おとなしく、ほとんど
お客さん状態でした。ある日、体の様々なところに歯形がついて帰ってきまして、
おたくのお子さんは自傷行為が出ましたという説明がありました。家では全くそ
ういう状況がありませんので、自宅で見たことはありませんと申し上げたのです
が、きちんとお子さんの観察をしてくださいと逆にしかられました。その後、し
ばらくして園から済みませんでしたと電話がかかってきました。背中の真ん中に
歯形ができたので、これは絶対違うということがわかったからだと思います。本
人は自分から説明できませんし、逃げることもできませんから、こういうことが
起きるのだろうと思います。多分、自閉症には、臨床的に積極・奇異型、孤立型、
受け身型がありますが、私の子どもはこの最後の型であったからだと思います。
 心障学級に入学しましたが、小2の頃には何回かおしりに大きなあざを作って
帰ってくることがありました。介助の先生が理解力がない子どもに腹を立ててた
たいていたということが後で分かりました。学校ではほとんど問題を起こしませ
んから、いつもほうっておかれるタイプです。身辺自立は一応できておりますし、
みんなの集団の中に後からついていくような立場でした。もっと手のかかるお子
さんがいますから、当然、先生方にとってはやむを得ないのですが、こういう子
どもを持ちますと、保護者から、うちの子の面倒を見てくれれば良いのにという
台詞がよく出ることになります。
 また、音に対しては過敏ですので、私はどこかに書いてありますが、運動会が
来ると大体調子が悪くなりました。これは非常にがんがん音をかけて予行演習を
やるからでありまして、私はこれを運動会症候群と名付けているんですが、その
あたりをもう少し配慮していただきたいと思います。あるいは、運動会のときに
ピストルの音がすると具合が悪くなってしまう場合もあります。そのときだけホ
イッスルを鳴らしていただければいいのですが、先生によっては絶対譲らないと
頑張ってくださる先生もいらっしゃるというのが現状です。
 それから、音に対しても過敏なところがあります。また、大体、卒業式の頃は
暖房を入れますので、どうも暑いようで、調子が悪くなります。卒業式だから頑
張りなさいというよりは、上着を1枚脱がしていただければそれですべて解決と
いうことになります。
 小5の頃は養護学校に転校しました。担任の先生が毎日のようにうちの妻に、
おたくの子どもはうちの学校にいるはずではないと言われ、あるいはほっとかれ
ているのに、ついに切れてしまったということで転校させたということだと思い
ます。
 小5、6は、本人の水準に合わせて、無理をしない先生でしたので、比較的安定
して過ごしておりました。別に会話もないし、特に何かするわけでもありません
が、好きな先生がいるようで、その先生が研修でいない日は、自分のかさぶたを
はがしてしまうという自傷行為が見られました。
 中学部に進学しましたが、小学部からの情報はほとんど伝わっていないようで
した。これは、私が外来をやっておりまして、大体4月になると多くの保護者が、
今年は当たりでしたとか、外れでしたという話をするのは、この先生はうちの子
をわかってくれそうか、わかってくれなさそうかということを伝えているのだろ
うと思います。
 また、このときには、非常に熱心な、もちろん括弧つきですが、ベテランの先
生が担任になって張り切られておりました。夏休みに自閉症の講習会をその先生
は受けられまして、括弧つきの自閉症の専門家になったようです。2学期になり
ますと、自閉症児のためのドリルが配付されました。うちの子は字も書けないし、
理解もできませんからとお断りしましたが、先生は胸を張って、私は自閉症の講
習会を受けてきたんです、何を言うんです、自閉症ならできないわけがありませ
んと頑張ってらっしゃいました。妻が困りまして、どうしようかと相談に来たの
で、仕方がないからおまえが書いておけといったら、つたない線や字でドリルに
記入して提出しておりました。2カ月ほどしまして、先生から、大分良くなって
きましたとお褒めの言葉をいただきまして、おまえも自閉症だったのかという話
になりました。
 自閉症には機能による違いがあるということを御存じなかったようです。しば
らくして、私の子どもだけドリルが来なくなりました。どうも父親が自閉症の専
門家らしいとうわさが飛んだからです。このときだけ妻から感謝されました。熱
心な先生に当たりますと、うちの子は学校では問題を起こしませんが、自宅に帰
って夜中になるとパニック状態を毎日起こします。嫌なことを思い出して多分騒
ぐのだろうと思います。学校が休みの日は何事もないので、多分そうだったのだ
ろうと推測しました。
 高等部に入ってからは、10数名のクラスに入って、担任はほかのお子さんに手
をかけるため、ほとんどほうっておかれましたので、かえって落ちついたかなと
思いました。担任の先生も正直な方で、おたくのお子さんがいるということをす
ぐに忘れてしまうと言っておりました。
 今は33歳になりましたので、現在は大分事情が違っていると思われますけれど、
うちの子が在籍している頃はこんな状況でした。
 それからもう1点、私は約30年間、医学問診という形で就学相談に関わってお
りましたので、この点から保護者のことを見ましたので、お話しさせていただき
たいと思います。
 30年ほど前の就学指導は、保護者にとって極めて評判の悪いものでした。障害
のある子どもをふるい落とすという色彩が強かったからだろうと思います。どん
なに障害の重い子でも、うちの子はある日、急に良くなるのではないかという希
望を保護者は持っております。この気持ちがあるからこそ、保護者は子どもにエ
ネルギーを注げるわけです。この気持ちを大切にしなければ、この子はほうって
おいて、ほかの、もう1人の子にエネルギーを注ごうということになってしまう
かもしれません。子どもの成長とともに、障害についての理解が進んでいくと思
います。
 一方的に就学指導を当時は拒否される保護者や、判定を不服として委員会の事
務職員を責め続ける方もいました。以前も文部科学省の会議で申し上げましたが、
就学指導というのは、あれほど人と時間とお金をかけて、あれほど保護者に恨ま
れる仕事はないと思ったものです。私の仕事は、親に責められて疲弊し切った事
務職員の精神療法だったような気がしております。
 子どもが大きくなればなるほど、保護者は、早く子どもの障害を知れば良かっ
た、早く教えてくれれば良かったとおっしゃいます。一方で、お子さんの年齢が
小さいほど、子どもを特別扱いしたくない、子どもにレッテルを張りたくないと
保護者は思うものだと思います。
 保護者が子どもの障害に気づき、理解することを手伝うことはできますが、一
方的に障害を認めさせようとする姿勢は慎むべきだと私は思っております。まだ
障害受容ができてない保護者などという台詞は、上から目線以外の何ものでもな
いと私は思います。
 教育にとって都合の良い論理を展開するのではなく、保護者目線を注視するべ
きだと思います。
 最近も就学相談をやっておりますが、そこまでの保護者にお会いすることはあ
まりなくなりました。行政単位にもよりますが、年少の頃から何らかの気づきを
もとに療育を行っている例が増えているからではないかと思っております。
 また、通常学級、特別支援学級、特別支援学校の垣根が低くなったと感じるよ
うに思います。このことも保護者の意識の変化には大きいと思います。特別支援
教育をハード、ソフトの両面でより充実させていただくということは、保護者の
要望にも応えるものではないかと思っております。
 このような視点に立ちますと、平成19年に始まった特別支援教育は、確実に良
い方向に向かっていると私は思っております。もちろん、地域による温度差はあ
りますが、着実にこの歩みを進めていただければと思います。
 それから、皆さんに出しました意見表明につきましては、お読みいただければ
よろしいと思いますが、幾つか気になるところだけをお話しします。
 1つは、7ポツの3番目のところに書いておきましたが、義務教育を修了した特
別支援学級等の生徒の受け皿の確立ということで、これにつきましては、高等学
校に特別支援学級がないということで、高機能自閉症等の生徒の受け皿が明確に
はないと思います。東京や埼玉では高等特別支援学校も今作っておりますが、私
が関係している高等特別支援学校は、約3分の2の生徒は通常学級の中学を卒業し
ておりますし、残り3分の1の生徒は心障学級の中学を卒業している方です。その
中に1人か2人、特別支援学級の中等部を卒業した方がいるというのが現状かもし
れません。
 いずれにせよ、知的障害の存在が前提になっております。したがって、厳密に
言えば、高機能自閉症等の方は入れないのかもしれません。また、民間では、サ
ポート校が東京などでは随分ありますが、やはり経済的な余裕がないと通うこと
はなかなか厳しいという現実もあります。
 最後に、その他の配慮事項の2番目に書いたのですが、自閉症について、やは
り私の印象としては、学校の先生はまじめですから、一生懸命自閉症の特性を直
そうとされるのではないかと思います。このことは、その人の存在そのものを否
定していることになってしまいますので、私は先ほどから何回か申し上げていま
すが、社会不適応の部分だけを直していただき、そこをうまくフォローしていた
だければ、それは非常にありがたいことだと思っております。
 もちろん、国によって考え方は違いますが、彼らの持つ異能性は重要であって、
これを何とか生かせないかと考えている国もあります。そういう点を指摘させて
いただきたいと思います。
 以上で私のお話にさせていただきます。

【尾崎主査】 ありがとうございました。
 それでは、質疑応答に入りたいと思います。御質問ある委員の方、いらっしゃ
いますでしょうか。
 それでは、ないようですから、私から1つだけよろしいですか。最後に市川さ
んがおっしゃられた自閉症の特性は残して、社会不適応の部分を改善するという
話は、そのような教育を求めるという意味で受け取ってよろしいでしょうか。

【市川氏】 私はそのようにしていただくとありがたいと思っております。

【尾崎主査】 教育の内容ではなく、対応の部分でということでしょうか。

【市川氏】 そうですね。もちろんハードの部分も重要ですが、まだまだソフト
でいろいろできる部分があると私は考えておりますので、今日お話しした中では、
その点を強調したつもりです。

【尾崎主査】 石川委員、お願いいたします。

【石川オブザーバー】 オブザーバーですが、質問させていただきます。
 レジュメを拝見しまして、自閉症を中心とする発達障害という書き方が複数さ
れていて、意識的というか自覚的にお使いだと思いますが、一方でミスリードす
る可能性もあるかなという感じがしましたので、どのような意味においてこの表
現をあえてお使いなのかお聞きできればと思います。

【市川氏】 分かりました。私がなぜそういう書き方をしているかと申し上げま
すと、発達障害者支援法の中に発達障害が定義されておりまして、その中に広汎
性発達障害、ADHD、学習障害等ということになっておりまして、数の上で多いの
はやはり広汎性発達障害と思うので、そういう書き方をしておりますし、おそら
く現在、厚生労働行政ではそのような使い方が一般の言葉だと考えております。

【尾崎主査】 よろしいですか。

【石川オブザーバー】 はい。

【市川氏】 先ほどの石川委員の御質問に対する答えですが、私、医療、福祉の
考え方で発達障害があって、それが一番、今、数も多いですし、対応が難しいも
のは自閉症という意識で申し上げましたが、ここは教育の場であって、文部科学
省の場ですので、数が一番多いというのは少なくとも間違いですので、その点に
ついては訂正させていただきたいと思います。

青年期成人期の発達障害者へのネットワーク支援に関するガイドライン2011-08-11

http://bit.ly/oCEaZY

青年期・成人期の発達障害者へのネットワーク支援に関するガイドライン
(PDF:1.2MB)

 青年期・成人期の発達障害ケースに対するネットワーク支援の方法論を示し、
医療、福祉、保健、教育、司法、矯正などの分野で活用していただくことを目的
としたガイドラインが作成されました。対象は高校生以上で、知的障害を伴わな
い、いわゆる高機能群の発達障害者を想定しています。
(厚生労働省、平成23年5月)

国総研 デジタル教科書・教材及び ICTの活用に関する基礎調査・研究2011-08-12

http://www.nise.go.jp/cms////8,4175,18,105.html

独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所(平成23年度)
デジタル教科書・教材及びICTの活用に関する基礎調査・研究 [中期特定研究]

研究代表者 金森克浩

研究分担者 棟方哲弥、田中良広、中村 均、梅田真理、土井幸輝

所内研究協力者 齊藤由美子、久保山茂樹、横尾 俊、植木田潤

所外研究協力者(50音順)
・上野一彦氏(大学入試センター)
・梅垣正宏氏(ユーディット)
・太田容次氏(滋賀県立三雲養護学校)
・近藤武夫氏(東京大学)
・坂井聡氏(香川大学)
・中野泰志氏(慶応大学)
・丹羽登氏(文部科学省)

研究班 ICT・AT班

概要
 本研究では、障害のある子どもが教育にアクセスするための重要なツールとな
るICTの活用に向けて、その中核となるデジタル教科書・教材の活用についての
ガイドライン(試案)を作成し、併せて、ICTを活用した教育の改善について必
要な基礎的情報収集を行います。
研究の進め方としては、早急にガイドラインを策定する必要があるデジタル教科
書・教材に関する研究と、それ以外のICT活用に関する研究を並列的に進めるこ
ととします。それぞれの研究は以下のとおりです。
・デジタル教科書・教材に関する研究について
海外の先進的な事例調査、国内のアンケート調査、関係者との協議を行うことに
より、障害のある子どもに対応するデジタル教科書・教材のガイドライン(試案)
を作成します。

・ICT活用に関する研究について
先進的な学校への実地調査、学校、大学等からの研究協力者との研究協議等によ
り、各障害におけるICTの教育的活用の内容や方法、ICTを活用した授業改善、
ICTを活用した特別支援教育の専門性の向上に関する情報を収集・分析し基礎的
な資料をまとめます。

本研究の成果物としては、以下の2点について取りまとめます。
(1) デジタル教科書のガイドライン(試案)
(2) 特別支援教育におけるICTの教育的活用の内容や方法・授業改善・特別支援
教育の専門性の向上に関する基礎的な資料

これらのうち、(1)のガイドライン(試案)については、教科書・教材を開発す
る関係機関等への情報提供も行います。

世界自閉症啓発デー2011シンポジウム 2011/06/18 動画公開しました2011-08-12

http://www.worldautismawarenessday.jp/htdocs/index.php?action=pages_view_main&page_id=729

日 時:2011年6月18日(土) 10:00 ~ 17:30

会 場:灘尾ホール (新霞ヶ関ビル) 東京都千代田区霞が関3-3-2

定 員:約500名

大会テーマ:「災害と自閉症 -共に支え合い、共に生きる-」

<プログラム>

総合司会 国沢 真弓

 9:00~ 受付

10:00~10:30 開会式
   主催者挨拶、来賓挨拶、国連事務総長メッセージ

10:40~11:45 報告1 『被災地からの報告』
  司会:小林真理子(厚生労働省)
     藤平俊幸(発達障害者支援センター全国連絡協議会)
     岩手県 (熊本葉一  岩手県自閉症協会会長)
     宮城県 (柴田和子  宮城県自閉症協会副会長)
     茨城県 (仲澤隆子  茨城県自閉症協会事務局)
     福島県 (酒主照之  福島県自閉症協会会長からのメッセージ)

大阪府支援教育研究会ICT活用プロジェクト 夏期講座 2011/08/16-172011-08-17

http://daishienken.visithp.com/annai/ict1107.htm

テーマ:2学期から使える支援教育でのICT活用

日 時:2011年8月16日(火)17日(水)
    午前 9:30~12:30
    午後 13:30~16:30
    各3時間で講座により複数の時間帯にまたがるものあり
会 場:大阪府教育センター
参加費:無料(材料費が必要な講座あり)
申込み:e-mailまたはfaxにて下記まで。各講座先着順定員まで
    平峰厚正(泉南郡熊取町立南小学校)
    fax:072-452-2972 e-mail:ict2011@daishienken.visithp.com
    件名:大支援研ICT活用夏期講座申込み
    下記内容を記入
    1)氏名・所属
    2)連絡先(e-mailまたはfax)
    3)参加希望講座記号
    4)懇親会参加の有無(16日講座終了後開催)

講座内容(抜粋)

講座K「マルチメデイアDAISYの紹介と事例報告」 定員40名
  講師:田中直壽 先生(大阪府立和泉支援学校 指導教諭)
  時間帯:16日午前

講座L「DAISYの概要と実習」 定員40名
  講師:濱田麻邑 先生(日本DAISYコンソーシアム)
  時間帯:17日午後

特別支援教育の在り方特別委合理的配慮等環境整備検討WG 第3回議事録 平成23年8月18日2011-08-18

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/046/gijiroku/1312423.htm

1.日 時 平成23年8月18日(木曜日)13時30分~16時30分

2.場 所 三田共用会議所講堂

3.議 題
  1.障害者本人及び保護者からのヒアリング
  2.その他

【山岡委員】 それでは、日本発達障害ネットワークと全国LD親の会ということ
で出てきております山岡です。よろしくお願いいたします。
 今回は、学習障害について、その保護者の立場でということですが、いろいろ
な団体の役員もしております関係で、この日本発達障害ネットワーク、それから
全国LD親の会、日本LD学会、あるいはディスレクシアの団体であるNPO法人エッ
ジ、そういった団体からも意見を聞いてまとめさせていただいております。この
意見につきましては、最終的には個人的な意見ですが、いろいろな団体の意見も
聞いてまとめさせていただきましたので、資料としては7-5を御覧いただきたい
と思います。
 まず、今回、学習障害を中心としまして、知的障害を伴わない発達障害の特性
ということをまずお話ししたいと思います。
 知的障害を伴わない発達障害については、親部会でも出ておりましたが、発達
障害は高頻度障害でありまして、2002年の文部科学省の全国的調査でも、通常学
級の中に6.3%程度在籍するということが言われておりまして、各クラスに2人か
ら3人いるということです。今回、この合理的配慮ということを考えるときに、
通常の学級において、この子どもたちにどんな配慮が必要か、何ができるかとい
うことを考えるわけですが、障害のあるお子さんに対して、将来に向けてどうす
るかという対応ではなくて、この知的障害を伴わない発達障害の場合は、既に通
常の学級にいるということです。ですから、将来こういう対策や配慮が必要とい
うことだけではなくて、今必要だということと、発達障害のある児童生徒の大半
は、現在も多数通常の学級に在籍しているということを念頭に置いていただきた
いと思います。
 発達障害は、分かりづらい、分かりにくい障害です。能力にでこぼこがありま
して、例えば忘れ物が多いとか、あるいは注意、集中が続かないとかいうことに
ついては、怠けているとかやる気がないとかいうように思われがちで、そういう
表面的な行動に対する対応をとられると、間違った指導が行われるということで
す。そのような障害の特性について理解をしていただいた上での配慮が必要だと
いうことです。
 ここで例として挙げていますが、読み書きは得意で、漢字も難しい漢字が書け
ますが、例えば算数、計算については小学校1年生レベルのものしかできないと
いうようなことです。ぱっと見たところ、そんなことあり得ないと思うので、間
違った指導や判断をしがちになります。
 それから、視力は正常なのに、文字、文章を読み取ることができない。これは
ディスレクシアというタイプです。ぱっと見たところ、分かりづらいですが、文
章をきちっと読んで理解することが難しいお子さんがいます。
 ADHD系のお子さんもいますが、授業中に先生の声に傾聴できません。音を聞き
分ける能力がないので、いろいろな雑音とか周りの声が同じように聞こえてしま
って注意、集中ができないということです。そういうときに、やる気がないとか
集中しろとか言われても、なかなかそれはできません。
 また、感覚過敏もあります。自閉症の話にありましたが、接触とかにおいとか、
特に過敏なお子さんがいます。後ろから背中をたたかれることがすごく嫌なお子
さんがいます。それから、コミュニケーションに問題があるお子さんがいます。
 このように、見た目ではちょっと分かりづらい障害なので、個々の特性をきち
っと理解した上で配慮いただくことが必要だと思います。
 その発達障害のお子さんにもいろいろなタイプのお子さんがいらっしゃって、
個々に特性が違うということです。先ほど市川先生も、自閉症だからこうだとい
う話がありましたが、いろいろな特性のお子さんがいらっしゃるので、障害名だ
けで判断しないで、個々の特性を見て配慮いただくことが大切なのです。先ほど
も申し上げましたが、このような発達障害の特性を持つお子さんは、現に通常の
学級にたくさんいらっしゃるのだということを前提に、必要な合理的配慮とは何
かということを、今回いただいた8つのテーマに沿ってお話を差し上げます。
 1つ目の子どもの成長のために学校教育に期待することです。これは、通常の
学校や学級に在籍していても、資料にお示ししたような教育・支援を受けられる
ことが重要であるとしています。
 内容は、「一人一人のニーズや特性に合わせたきめ細かな支援」、「将来の自
立や社会参加に向けた教育」、あるいは「社会性やコミュニケーションを身に付
けられるような教育」としておりますが、実はこれは、特別支援教育とは何かと
いう理念そのものです。これが通常の学級にいても、通常の学校にいても、きち
んと受けられるような体制が必要だと考えております。
 2番目の早期からの教育支援についての配慮事項です。項目は一々申し上げま
せんが、どこの幼稚園や保育所においても、例えば早期発見とか早期の支援、あ
るいは就学に向けた早期からの相談支援や支援がきちんと受けられるような体制
の整備が必要であると思います。
 3つ目の教育内容や方法についての配慮事項について、少し詳しく申し上げま
す。
 ここでは6点挙げさせていただいております。1つ目ですが、個々の子どもの表
面的な困難だけではなく、認知特性や行動特性をしっかり把握して、個々の特性
に合わせた支援を行うことが重要であるとしております。先ほども同じようなこ
とを申し上げましたが、認知特性等の背景要因を考慮せずに、表面的な困難に対
して一般的な対処方法、例えば努力をしろとか、あるいは頑張りましょうという
対応をとると、逆効果になってしまうことが多いということです。
 例えば、先ほど言いましたが、計算障害のあるお子さんですと、数の概念がつ
いてないケースがありまして、1桁足す1桁の足し算について、例えば小学校の中
学年ぐらいになっても困難を持っているお子さんがいます。
 健常なお子さんの場合は、繰り返し練習することによってできるようになりま
すので、一生懸命頑張りなさいとか、繰り返し練習しなさいとか、5回ずつ練習
でだめなら、20回練習してこいとか、そういうことが一般的に考えられるやり方
なのですが、計算障害のある子どもは努力をしてもできないので、かえって本人
が傷ついたりします。ですから、そこのつまずいているところ、数の概念がつい
ていない、あるいは短期記憶が悪いとか、そういうことの認知能力とか、そうい
ったところをきちっと鑑別していただいて、工夫した指導というものが必要だと
いうことです。
 例えば、もう一つは行動面になりますが、音とか声に傾聴する能力に欠けるお
子さんがいます。学校の中では、授業中、先生の声に傾聴しなければいけません
が、窓の外で聞こえる自動車の音だとか子どもの声とか、隣で消しゴムを落とし
た音とか、そういったことに気を取られてしまって、先生の声に集中できないタ
イプのお子さんがいます。
 そういう特性をわかっていないと、集中力が欠けることに、あるいはよく聞い
てなかったことについて、努力不足とか、一生懸命頑張っていないとかいうこと
になって、努力を強いたりしますが、それも、そういった認知能力の困難が原因
だとわかっていただくと、対応が違ってくると思います。
 2つ目ですが、学習障害ということで言いますと、教科学習に非常に困難を持
っているケースがあります。現在の教科課程の中ですが、例えば学習指導要領な
どで一昨年の改訂において、行動面の問題については少し書き込まれたところが
ありますが、教科補充とか教科の面についてはあまりうたわれてなかったと思い
ます。ですから、学習面の困難は、学習障害を主訴とするお子さんだけでなく、
実はADHDのお子さんや自閉症のお子さんも学習面に困難を持っているお子さんも
あります。この学習面の困難については、1つ上の項目にもありましたが、認知
特性等の特性に基づいた個々の特性に合わせた指導方法を学習指導要領等にうた
っていく必要があるだろうと思います。
 それから、3つ目ですが、今度は行動面、生活面の問題です。小中学校の通常
の学級において、発達障害のある児童生徒が持つ生活面、行動面の困難に対して、
個々のニーズや特性に合わせた支援をしていくことが重要ということを言ってい
ます。
 例えば例としましては、45分間の授業時間中、注意、集中力が続かないお子さ
んがいます。15分ぐらいが限度だというお子さんが結構いたりしますが、そうい
ったお子さんについて、単に45分我慢をしなさいとか、注意、集中しなかったら
罰のように廊下に立たせるとか、そういう対応をするとかえって逆効果になりま
す。例えば15分たったらタイムアウトをとってあげるとか、目標、決めた時間を
達成したら御褒美シールを上げるとか、そのようなことを積み重ねることによっ
て自信をつけたり、そのような指導をすることによって徐々に解決をしていく、
そういう力をつけていくということができると思いますが、そういった指導の工
夫が必要であると思います。
 これも一昨年改訂された学習指導要領の中では、特別支援学校用の学習指導要
領をひもといていくと、解説編に、発達障害に関わるような中身がうたわれてい
て、ひもといていくと、そこの指導方法が書かれています。ここに書き込まれた
ことは実は画期的なことではあったのですが、小中学校におけるそういう面の指
導方法というのは、本来は小中学校用の学習指導要領にきちっとうたうべきだろ
うと思っております。
 それから、4つ目ですが、小中学校や通常学級において、個々の特性に対する
理解、配慮が行われることが望まれるとしております。感覚過敏とか集団行動が
苦手とか、急な予定変更についていけないというお子さんがいまして、これらも
ちょっと目で見ると、わがままとかしつけがなってないとか我慢が足りないとと
られがちです。しかし、そういう特性を持ったお子さんであるということを理解
していただいて対応していただくことが大切であると思います。
 次へ行きまして、5つ目は、個別の教育支援計画や個別の指導計画をきちっと
使っていただいて、個々のニーズに合わせた計画的な指導、支援が通常の学級、
学校においても行われるべきだということを申し上げております。
 それから、最後ですが、ここでICT機器等の利用について申し上げます。例え
ばさっき言いましたディスレクシアのお子さんでありますとか、聴覚認知とか視
覚認知に問題のあるお子さんの場合は、パソコンその他のICT機器等を利用する
と結構学習が進みやすいという例があります。例えばそういう機器を学校で使い
たいと申し出ても、なかなか認められないというケースがあるとの意見が出てお
りました。合理的配慮の観点から柔軟に対応いただくことが必要であると思いま
す。
 それから、テーマの4つ目ですが、学校における支援体制についての配慮事項
です。ここでは5つほど挙げていますが、重要な点だけ申し上げていきます。
 1つ目です。通常の学級において、適切な支援ができる体制づくりが重要であ
るとさせていただいております。通常の学級における支援体制につきましては、
これは平成15年ぐらいから文部科学省で特別支援教育体制の推進事業ということ
で取り組んでいただいておりまして、学校の中には校内委員会ができたり、特別
支援教育コーディネーターが設置されたりということが行われております。ただ、
実態としまして、通常の学級において、これで支援体制ができているかというと、
なかなかうまくいっていないところもあると思いますが、基本的には、特別支援
教育あるいは通常の学級において、発達障害のお子さん等に支援するときには、
お1人の先生の力ではなかなか難しいところがあるので、校内でのチーム支援体
制を充実していただくことが大切であると思います。
 それから、2番目に挙げていますのは、担任教員に対する支援体制ということ
ですが、今は担任の先生、頑張ってくださいとなっていますが、担任の先生もお
忙しいですし、なかなか専門的な知識をお持ちでもないですし、頑張れと言われ
ても、なかなか頑張れないと思います。大変お気の毒なところがあると思います。
担任の先生に対する支援体制をきちんと拡充してあげる。学校でのチーム支援体
制であり、あるいはTTの補充、拡充でもいいですし、巡回支援とか、先生が困っ
たときに相談できるような体制をとるとか、教材・教具に関する情報提供を充実
するとか、そのような担任の先生方への情報提供や支援の積み重ねで、担任の先
生がお1人で頑張らなくて良い体制を作っていただきたいと思っております。
 それから、学習支援員とか特別支援教育支援員、既に平成19年度からかと思い
ますが、今3万人以上の方が予算としてついて活用されていますが、現状、その
質とか量の拡充ということ、研修をちゃんと受けてらっしゃるだろうかとか、あ
るいはちゃんと支援ができるような資質のある方であるかというところについて、
まだばらつきがあると思いますので、これらを拡充いただきたいと思っておりま
す。
 それから、4つ目が非常に大事でありまして、通常の学級においてお子さん方
に支援するためには、クラスメートなどの周りの方の理解が必要です。そこがで
きないために、ネックになっているケースがあります。そこで、クラスメートや
保護者の方の理解を醸成するような仕組みや取り組みを是非進めていただきたい
と思っております。
 時間もありますので、5番目に行きます。施設・設備についての配慮事項です。
現在、通級による指導が行われておりますが、合理的配慮という観点からします
と課題かなと思うところがあります。現在、通級による指導においては、他校に
通級しているケースが比率として結構多く見られます。例えば東京でいきますと、
通級制度は、拠点校方式をとっていますので、数校に1校、通級の教室を作って、
そこに周辺の学校から通う形になっています。
 最終的には、合理的配慮というからには、自校通級が望ましいわけで、他校通
級をするということは、それだけ通級をするために通学に時間をとられたり、保
護者がそこに手を取られたりすることになっております。すなわち、合理的配慮
という観点からすると、負担がかかっているところだと思いますので、是非、原
則自校通級が原則できるように取り組んでいただきたいということです。それと、
そこに行くためには、多分、特別支援教室構想とあわせて検討していかないと難
しいかと思いますが、この「特別支援教室構想」についてもきちんと検討いただ
きたいと思っております。
 施設や設備につきましては、教室等の構造化とか表示の工夫とか、視覚認知や
聴覚認知、あるいは感覚過敏のあるお子さんも結構ありますので、そういったこ
とに対する配慮が必要だと思っております。
 それから6番目は、学校外における支援体制への配慮事項についてです。発達
障害だけに限ったことではありませんが、障害のあるお子さんに対する支援は、
学校だけでできるものではありません。基本的には、学校と家庭、あるいは周り
の支援機関との連携ということが必要かと思いますが、こういった連携のときに
難しいのが情報の共有化ということです。例えば個人情報保護法の関係とかでで
きないとか、いろいろなことがあるかと思います。個別の教育支援計画は、医療、
福祉、労働等の関係機関との連携をもとに作るとなっていますが、この個別の教
育支援計画を制度化していただいて、きちんとした連携がとれるようにしていた
だきたいと思っております。
 7番目ですが、幼、小、中、高の各段階における配慮事項ということです。こ
の部分は大事なところだけ申し上げますと、小学校から中学校ぐらいの年齢の発
達障害のお子さんは、二次的障害に陥るケースが結構あります。ただし、ここは
きちっとケアをしていくことによって、二次的障害はかなり予防できるだろうと
私は思っています。ですから、このことが重要だということが1つです。
 それから、高等学校の段階は、先ほど市川先生も高等学校のところをおっしゃ
っていましたが、入試における配慮とか、取組が遅れている面がありますので、
ここを重点的に拡充していただきたいというところです。
 時間も来ておりますので、ここで終わらせていただきます。どうもありがとう
ございました。

【尾崎主査】 ありがとうございました。
 それでは、質疑応答に入りたいと思います。
 ?橋委員、お願いいたします。

【?橋委員】 山岡委員、ありがとうございました。参考にさせていただこうと
思っています。
 今発表されました学習障害ですが、学校現場で見分けにくい、見つけにくいと
いうことで、一番難しい問題であると思っています。生育歴その他もありますし、
児童虐待の問題もあります。それから、教員の指導力の問題もありまして、果た
してこの子が学習障害(LD)なのかどうかを見分けることが難しくて、むしろ、
学校で間違った指導がなされている。家庭的にこういう問題があるから、今こう
なっている、こういう状況でいるということ、その前提に立ったカウンセリング、
その他を実施しまして、今委員がおっしゃったような指導がなされてないケース
が多いのですが、これを学校現場の校長先生に理解していただくこと。それから、
家庭との連携のあり方について、家庭の理解を得る、これもまた難しいことです
が、良いお答えがありましたら、教えていただければと思います。よろしくお願
いします。

【尾崎主査】 よろしくお願いします。

【山岡委員】 ありがとうございます。まずは、私が答えることかどうか分かり
ませんが、お子さんの状態について、先生方が気になる段階があると思います。
気になるお子さんというか、何かつまずきがあるお子さんという段階では、なか
なか特性は把握できないと思います。各学校や地域においてこういうことをやら
れると思うんですが、気になる段階で学校で検討いただいて、今度は専門家チー
ムに投げていただいて、必要があれば、そういった診断や実態把握をきちんとし
ていただくということです。発達障害のお子さんだけではないと思いますが、や
る気がないお子さんや、家庭の環境の問題で勉強ができないお子さん、怠学とい
うか勉強をサボってるお子さんに対する対応とは違いまして、背景に発達障害等
があるお子さんについては、きちんとした認知特性や行動特性などをとらえた診
断や鑑別をした上で、それに合わせた対応をしなければいけないと思いますので、
そういった方法をとっていただくことが大事であると思います。
 それから、家庭との連携ということにつきましては、多くが保護者との間のコ
ミュニケーションをきちんととっていただくことによって解決することが多いと
思います。詳しくは今述べる時間はありませんが、そういった体制をとっていた
だくことによって役割分担をして、お子さんの発達の支援のために一緒に頑張っ
ていただくといいますか、取り組んでいただくということが大事だと思いますの
で、まずはそういった姿勢が大切であると思っております。
 以上です。

【?橋委員】 ありがとうございました。

【尾崎主査】 ほかに質問等ございますか。
 山中委員、お願いいたします。

【山中委員】 調和小学校の山中です。
 山岡委員の発表で、4ポツの学校における支援体制についての配慮事項の最後
のところに、「必要に応じて、少人数・個別等の特別な場での支援が受けられる
ことが望まれる」と書かれていますが、その下の施設・設備についての配慮事項
では、「通級による指導拡充が重要である」の2つ目のところに、「特別支援教
室構想の実現が望まれる」とあります。特別支援教室というものが今後いろいろ
出てくると思うのですが、これが4ポツの最後のところに書いてある特別な場と
いうのが山岡委員の今書かれていることでいいんですが、これが特別支援教室と
いうことなのか、通級による指導の拡充、通級で他校に行っている場合があって、
できれば自校にということをおっしゃっていましたが、自校通級を原則にする、
そういうことが特別支援教室なのか、もしもこの特別支援教室構想について、お
考えがあればお伺いしたいと思いました。

【山岡委員】 2つありまして、通級については、合理的配慮という観点でいき
ますと、他校通級をするということは、明らかに自校通級よりも負担がかかるわ
けで、障害のあることによって他校に通級しなければいけないということは合理
的配慮の観点から見ると、自校で通級できるようにしていくべきだろうというこ
とです。
 それから、特別支援教室については2つありまして、1つは、通級を自校通級で
できるよう、各学校に通級教室を作っていくときに、特別支援学級と通級を発展
的に一緒にしていくことによって、各学校に特別支援の特別の場を作っていく考
え方が、以前の検討の中であったと思います。
 それから、通級の制度は、基本的には、週に3時間から8時間の対応ですが、今
は少し柔軟性を持って対応できるようになっております。一方、特別支援学級に
ついては、基本的には、週28時間、100%そこにいることが前提になっていて、
その2つの間には結構落差があるということです。もちろん、交流や共同学習な
どもあるわけですが、その落差をなくして、柔軟性のある体制にしていこうとい
うことが特別支援教室の1つの狙いで、その2つがあるので、このような書き方に
なっています。
 それから、4ポツの最後の方にある、「必要に応じて、少人数・個別等の特別
な場での支援が受けられることが望まれる」という記載は、通常の学級だけでは
発達障害のあるお子さん、あるいは学習障害のあるお子さんについて、指導が十
分にできないだろうということで、すべてが通常の学級での指導ではなくて、通
級あるいは特別支援教室などの特別の場、通常学級を離れた場における少人数あ
るいは個別の支援、指導が必要であるということを書いております。
 お答えになったかどうか分かりませんが、以上です。

【市川氏】 先ほどの石川委員の御質問に対する答えですが、私、医療、福祉の
考え方で発達障害があって、それが一番、今、数も多いですし、対応が難しいも
のは自閉症という意識で申し上げましたが、ここは教育の場であって、文部科学
省の場ですので、数が一番多いというのは少なくとも間違いですので、その点に
ついては訂正させていただきたいと思います。

【石川オブザーバー】 このワーキンググループでの議論を踏まえて、委員会で
また議論することになります。明日も議論がありますので、そういった観点から
1点発言させていただきたいと思います。
 前回と今回、ワーキンググループの話を聞かせていただいて、合理的配慮につ
いて、いろいろな考え方、いろいろな受けとめ方があるということ、予想以上に
それがあるということも分かりまして、そうであればこそ、なおさら、各障害別
に合理的配慮について、例えば優先度を決めながら、それを単にリストしていっ
たりというだけでは済まなくて、やはり合理的配慮とは一体どういうことなのか
ということについてきちんと整理して、それを報告書の中に生かしていく必要が
あるのではないかと感じました。
 例えば合理的配慮を行うことによって、かえって教育的には配慮にならない場
合があるのではないかとか、あるいは合理的配慮がないことが、教育的配慮であ
る場合があるといった話にならないようにというか、つまり合理的配慮という概
念規定をきちんとして、現場でいろいろな解釈や、いろいろな見方が広がって収
拾がつかなくならないような工夫が必要ではないかと感じました。
 先ほど河本委員がおっしゃったように、合理的配慮というものは、そんなに難
しいことではなくて、一人一人の子どもに対して実質的な教育の平等を提供する
ということであって、例えば教育が適度な負荷を与えることだとすれば、一人一
人の子どもによってそれは違うわけで、過度な負荷を与えてしまうと、それはや
っぱり壊れてしまうし、負荷が足りないと育たない。せっかく育つ可能性を持っ
ているのに育たないということにもなるので、それを障害という種別だけで横断
的に、視覚の場合はこうだとか、聴覚の場合はこうだとかという話だけではなく
て、個人個人で違いがあるだろうし、そういったことも含めて整理していくとい
うことではないかと思います。
 ですので、合理的配慮をどのようにとらえるかということについての共通の基
盤となるような考え方をワーキンググループ及び委員会の中で合意形成をして、
それでもいろいろな議論はあると思いますが、共通基盤を作っていって、その上
に合理的配慮の指針というか、ガイドラインみたいなものを作っていく必要があ
るのではないかと感じました。

特別支援教育特別委員会合理的配慮等環境整備検討WG(第3回)議事録22011-08-18

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/046/gijiroku/1312423.htm

特別支援教育の在り方に関する特別委員会
合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループ(第3回) 議事録

1.日 時 平成23年8月18日(木曜日)13時30分~16時30分

2.場 所 三田共用会議所講堂

3.議 題
  1.障害者本人及び保護者からのヒアリング
  2.その他

4.議事録

【高山氏】 えじそんくらぶ代表の高山恵子と申します。貴重な機会を与えてい
ただいて本当に感謝しております。今日はどうぞよろしくお願いいたします。
 私自身、ADHDとLDの診断を受けています。日本にいたときは全く自分が障害者
であるということは気がつかなかったのですが、約十二、三年前にアメリカの大
学院で教育学を学んでいるときにADHDを学び、自分自身がADHDであるということ
が分かりました。えじそんくらぶは、ADHDの当事者支援と、親支援、それから学
校の先生などの支援もさせていただいています。その中で日々感じることをお伝
えしていきたいと思っております。
 私は巡回支援などもさせていただいていますが、親御さんの悩みをお聞きした
り、いろいろしていく中で、子どもの成長のために学校教育に期待すること、一
番大きな点はいじめなどの防止ということで、人権教育をきちんとお願いしたい
と思っています。違いを受け入れる。これは、ADHDだけではなく、すべての障害
を持った、障害だけではなく、ちょっと人と違ったものを持っているというだけ
で排除につながりやすい価値観を持っていますので、非常に重要なところであろ
うと考えています。
 また、児童生徒のキーパーソンはやはり母親です。ADHDの子は、ADHDがあると
いうことが発見できないと、多くの場合、虐待を誘発いたします。そして、杉山
先生のデータにもありますが、ADHDプラス虐待があると、二次障害を引き起こし
たり、非行に走る確率が高くなっているというデータが出ています。ですから、
親への支援も是非お願いしたいと思っております。
 早期からの教育支援についての配慮ですが、私が巡回支援をさせていただいて
痛切に感じることは、情報の共有ができていないということで、親御さんが何回
も何回もいろいろなところに同じ説明をしなければいけない、そこでへとへとに
なってしまうというところがあります。例えばWISCのデータなど、児童相談所や
療育機関でとったデータが幼稚園の先生や小学校の先生のところに来ない。もし
くは、巡回支援をしている支援員のところに来ないということで、せっかく支援
が進んでいるのに、とてももったいないと思っています。
 それから、ADHDの子は集団でのアセスメントということが非常に重要だと思っ
ています。是非巡回支援を強化していただき、子どもの特性をきちんと理解して
いただければありがたいと思っています。
 教育内容・方法についての配慮事項ですが、ありがたいことに、最近は非常に
研修が進んで、ADHDの定義を話せる先生は非常に増えています。大変ありがたい
と思っています。もしかしたら、小児科医よりも学校の先生の方がADHDの定義に
ついて答えられるのではないかと思うぐらい、本当に研修が進んでありがたいと
思っています。
 ところが、表面的な行動観察だけで、それがADHDによるものなのかどうかとい
う、ここのアセスメント、日常生活での困り感のアセスメントが本当にポイント
になってきていると思います。特に、不注意優先のADHDの場合は多動がありませ
ん。多動があると誰でも目立つわけですが、本当に見えにくい障害なので、ぼー
っとしているということになりかねません。そこで、是非しっかりとしたアセス
メントをお願いしたいと思います。
 専門性を高めるという話がよく出ていますが、それはやはり事例検討会、そし
てフィードバック、次の学年、次の学校に行ったときのその子の状態のフィード
バックというところがとても大切であると思います。私は高校時代に覚醒が悪く
て大病院に行きましたが、不定愁訴と言われ、何でもないと言われました、しか
し、ADHDということが知られていたら、薬が処方されて、そのときにまた人生が
変わっていたのではないかと思っています。実際、薬を飲んで非常に集中力が高
まったことがありました。
 現在、薬はまだ15歳以上しか使用できない等なかなか条件が厳しかったりしま
すので、やはりここは教育の力に私は期待しています。環境調整、その子の動機
づけ、そこのところをきちんとやっていただくことによって、ADHD症状は緩和し
ます。完治はしませんが、緩和します。是非この点をお願いしたいと思っている
ところです。
 そのような状況で、本当にうっかりなので、自尊感情の低下ということが一番
の問題になっています。加配の先生に対しても、ぴったりくっついてしまい、そ
れが不登校の原因になるということもありますので、御配慮をお願いしたいと思
います。
 学校における支援体制の配慮ということですが、ADHDの子はスケジュール管理
や提出物の管理、自己管理が非常に苦手です。カウンセリング以外に学習コーチ
ングのような具体的な目標設定と、それに対する支援が有効ですので、こちらも
研修などでお願いできればと思っています。
 また、人事異動によって、よく内容のわかった先生がいなくなってしまったり
します。支援体制にギャップがないようにお願いしたいと思っています。
 設備・施設についての配慮事項ですが、イギリス、アメリカの学校などは、
ADHDの子は情報収集が苦手だということで、学校のホームページに各クラスの宿
題や課題など、また提出日などを記載していたりします。このようなちょっとし
た御配慮、それからDO-ITプログラム、東大の中邑先生が中心になって行ってい
らっしゃるスマートフォンなどを使っての支援なども是非合理的に使っていただ
きたいと思っています。
 あと、学校外における支援体制についての配慮ですが、ADHDの症状を一時的に
緩和する薬があります。是非医療機関、保健所、養護教諭、コーディネーター、
そして親と連携して、正確な薬の情報提供、そして薬の効果測定をしていただく
のは、学校にいるときに学校の先生ということになりますので、よろしくお願い
したいと思っています。
 また、巡回支援の有効活用ということで、関係機関の情報の共有、これを是非
お願いしたいと思っています。親御さんは関係機関に相談に行くことに抵抗を持
っている場合がありますので、巡回支援時に親支援というか、親の面談がその現
場でできると、非常に効果があると実際にそれを実施していて痛感しているとこ
ろです。
 次に、各段階における配慮事項です。今まで発達障害関係の話のところで共通
している部分もありますので省きたいと思いますが、ADHDのお子さんに非常に重
要なのは、アンガーマネジメントやストレスマネジメントの個別指導です。これ
は、子どもによって違うということと、ADHDだけではなく、いろいろな障害の合
併がありますので、これをきちんとやっていただくことによって、能力を最大限
発揮することができます。
 また、高校、大学の進学、入学についても、配慮を是非積極的にお願いしたい
と思います。
 もう一つ是非お願いしたいと思っていることは、大学などもGPで、障害学生の
ための相談室というものを設置していますが、障害学生とついただけで、実は相
談に1人しか来なかったという実例があります。ですから、診断名がついてない
学生も支援するという幅広いスタンスを持っていただけるとありがたいと思って
います。
 最後になりましたが、是非お願いしたいのは、私立学校の特別支援教育です。
ここは本当に欠落していて、例えば英単語とか漢字のテストがあったとき、合格
点がとれないとノート1冊書くみたいな、そのような罰といいますか、そのよう
な指導をしている学校が普通にたくさんあります。是非私立の学校の特別支援教
育にも力を入れていただきたいと思います。
 ありがとうございました。

特別支援教育の在り方に関する特別委員会 合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループ(第3回)の開催について2011-08-18

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/kaisai/1309672.htm

平成23年8月11日
文部科学省

 合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループ(第3回)を下記のとおり開催いたしますので、お知らせいたします。

1.日 時 平成23年8月18日(木曜日)13時30分~16時30分

2.場 所 三田共用会議所 講堂
      東京都港区三田2-1-8

3.議 題
障害者本人及び保護者からのヒアリング
その他

4.傍聴・取材

・会議は、原則として一般に公開する形で開催いたします。
・会議の傍聴を希望される方は、8月16日(火曜日)18時までに、お問い合わせ先に記載のメールアドレスに会議名、氏名、所属、連絡先(送付したメールアドレスと異なる場合のみ)をご記入の上、お申し込みください。お申し込みをされない場合には、会場に入場できない場合がございます。
・車椅子で傍聴を希望される方・手話通訳等を希望される方は、その旨お書き添えください。また、介助の方がいらっしゃる場合は、その方の氏名も併せてお書き添えください。
・席に限りがありますので、当日傍聴を希望される方が多数の場合には、抽選となる場合もございます。あらかじめ御了承ください。
・報道関係者は、原則として1社1人とさせていただきます。
・カメラ撮影を希望される場合は、傍聴登録時にその旨も併せて記入してください。
・入室やカメラ撮影等は、事務局からの指示に従ってください。

お問い合わせ先
初等中等教育局特別支援教育課企画調査係
電話番号:03-5253-4111(内線3193)
ファクシミリ番号:03-6734-3737
メールアドレス:tokubetu@mext.go.jp

合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループ(第3回) 配付資料 2011/08/182011-08-18

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/046/siryo/1309944.htm

特別支援教育の在り方に関する特別委員会
合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループ(第3回) 配付資料

1.日 時 平成23年8月18日(木曜日)13時30分~16時30分

2.場 所 三田共用会議所 講堂

3.議 題
 障害者本人及び保護者からのヒアリング
 その他

4.配付資料
資料1:合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループの当面の進め方
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/046/siryo/attach/1308838.htm
資料2:ワーキンググループにおけるヒアリングについて
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/046/siryo/attach/1308839.htm
資料3:合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループ(第3回)
ヒアリング出席者
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/046/siryo/attach/1310095.htm
資料4-1:障害者基本法の一部を改正する法律について
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/046/siryo/attach/1310096.htm
資料4-2:障害者基本法の一部を改正する法律関連資料
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/046/siryo/attach/1310098.htm
資料5:障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する
法律について
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/046/siryo/attach/1310099.htm
資料6:たんの吸引等の実施のための制度について(文部科学省関係)
(社会福祉士及び介護福祉士法関係)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/046/siryo/attach/1310100.htm
資料7-1:中村文子委員 提出資料
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/046/siryo/attach/1310101.htm
資料7-2:石塚由江氏 提出資料
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/046/siryo/attach/1310102.htm
資料7-3:濱川浩子氏 提出資料
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/046/siryo/attach/1310103.htm
資料7-4:市川宏伸氏 提出資料
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/046/siryo/attach/1310104.htm
資料7-5:山岡修委員 提出資料
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/046/siryo/attach/1310105.htm
資料7-6:高山恵子氏 提出資料
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/046/siryo/attach/1310106.htm
資料7-7:岩城節子氏 提出資料
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/046/siryo/attach/1310107.htm
資料8:福島慎吾委員 提出資料
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/046/siryo/attach/1310108.htm

お問い合わせ先 初等中等教育局特別支援教育課