合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループ 報告 はじめに2012-02-13

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/046/attach/1316184.htm

はじめに

○1 「障害者の権利に関する条約」の批准に向けた検討のため、平成21年12月
に、内閣総理大臣を本部長とし、文部科学大臣も含め全閣僚で構成される「障が
い者制度改革推進本部」が設置された。同本部は、当面5年間を障害者制度改革
の集中期間と位置付け、改革の推進に関する総合調整、改革推進の基本的な方針
の案の作成及び推進に関する検討等を行うこととしている。同本部の下に、障害
者施策の推進に関する事項について意見を求めるために「障がい者制度改革推進
会議」が設置され、平成22年6月7日、同会議による第一次意見が取りまとめられ
た。上記第一次意見を踏まえた平成22年6月29日の閣議決定において、各個別分
野については、事項ごとに関係府省において検討することとされ、平成22年7月
12日に、文部科学省より中央教育審議会初等中等教育分科会に対し審議要請があ
り、同分科会の下に、「特別支援教育の在り方に関する特別委員会」が設置され
た。同特別委員会においては、8回にわたる検討を経て、平成22年12月に、その
審議を「論点整理」として取りまとめたところである。

○2 同特別委員会は、「論点整理」において今後の検討課題とされていた、合
理的配慮等の環境整備について、

合理的配慮について(障害種別(視覚障害、聴覚障害、知的障害、肢体不自由、
病弱及び発達障害)並びにこれら障害種に共通する事項)
その他の環境整備について
の二つについて検討事項を審議するため、平成23年5月27日、本ワーキンググル
ープを設置することを決定した。

○3 本ワーキンググループにおいては、まず、障害当事者及び保護者より、障
害種別における「合理的配慮」を含む配慮すべき事項等について聴取した後、委
員による障害種別の検討を行いつつ、それら障害種を超えた共通事項を整理する
過程の中で、「合理的配慮」の観点について整理した。また併行して、障害者の
権利に関する条約における「合理的配慮」について、本ワーキンググループとし
ての定義を行った。本報告は、8回にわたる審議について整理し、特別委員会に
報告するものである。

○4 学校教育においては、学校の設置者及び学校により、個々の幼児児童生徒
の発達や年齢に応じた個別の配慮が行われている。教育基本法第6条第2項におい
ても、「(前略)教育の目的が達成されるよう、教育を受ける者の心身の発達に
応じて、体系的な教育が組織的に行われなければならない。この場合において、
教育を受ける者が、学校生活を営む上で必要な規律を重んずるとともに、自ら進
んで学習に取り組む意欲を高めることを重視して行わなければならない。」とさ
れている。

○5 今般、障害者の権利に関する条約の批准のための障害者基本法の改正によ
り、障害者に対して、合理的な配慮を行うことが示された。また、教育分野につ
いては、第16条第1項において、「国及び地方公共団体は、障害者が、その年齢
及び能力に応じ、かつ、その特性を踏まえた十分な教育が受けられるようにする
ため、可能な限り障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及び生徒と共に
教育を受けられるよう配慮しつつ、教育の内容及び方法の改善及び充実を図る等
必要な施策を講じなければならない」とされた。さらに、第16条第4項において、
「国及び地方公共団体は、障害者の教育に関し、調査及び研究並びに人材の確保
及び資質の向上、適切な教材等の提供、学校施設の整備その他の環境の整備を促
進しなければならない」とされている。(参考資料1:障害者基本法(抄))

○6 「合理的配慮」は新しい概念であり、また、上記のとおり、障害者基本法
において、新たに「可能な限り障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及
び生徒と共に教育を受けられるよう配慮しつつ」と規定された趣旨をも踏まえて、
本ワーキンググループにおいて、障害者の権利に関する条約の理念を踏まえた障
害のある子どもに対する「合理的配慮」の観点について整理を行った。学校教育
においてこれまで行われてきた配慮を、今回、本ワーキンググループにおいて
「合理的配慮」の観点として改めて整理したことで、それぞれの学校における障
害のある子どもへの教育が一層充実したものになっていくことを願ってやまない。
また、「合理的配慮」については、教育委員会、学校、各教員が正しく認識して
取り組むとともに、当事者及び保護者に適切な情報提供を行うことが求められる。
さらに、地域における理解啓発を図るための活動を進めることが求められる。

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