事務連絡 教科用特定図書等の提供方法等について 平成24年 2月13日2012-02-13

http://degisaitama.web.fc2.com/20120213.pdf

                     事務連絡 平成24年2月13日

各都道府県教育委員会 教科用特定図書等担当者 殿

文部科学省初等中等教育局教科書課 文化庁長官官房著作権課

教科用特定図書等の提供方法等について

このたび、公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会からの教科用特定図
書等の提供方法等に係る問い合わせについて、別添のとおり回答しましたので、
お知らせします。

ついては、教科用特定図書等を必要とする児童生徒が在籍している域内の学校の
設置者に周知を図っていただくとともに、学校等から当該教科用特定図書等の活
用に関して御相談のあった際において参考資料としてご活用下さい。

【本件連絡先】
文部科学省初等中等教育局教科書課教科用特定図書普及促進係
TEL 03-5254-4111 (内線4743 )FAX 03-6734-3739
文化庁長官官房著作権課企画審議係
TEL 03-5254-4111 (内線2982)FAX 03-6734-3813

別紙

問 教科用特定図書等を教員等が見ることは可能か。

(答)
○ 「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関す
る法律」においては、教科用特定図書等※を発行するボランティア団体等に対し
て、検定教科書等の教科書デジタルデータの提供を行うことが規定されており、
ボランティア団体等から希望のあった教科書デジタルデータの提供を行っている。

※「教科用特定図書等」とは「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書
等の普及の促進等に関する法律」により定義された下記のものをいう。

○1 視覚障害のある児童及び生徒の学習の用に供するため文字、図形等を拡大
 して検定教科書等を複製した図書
○2 点字により検定教科書等を複製した図書
○3 障害のある児童及び生徒の学習の用に供するため作成した教材であって検
 定教科書等に代えて使用し得るもの

○ 教科書デジタルデータを使って作成したいわゆる「デイジー教科書」につい
ては、障害のある児童及び生徒の学習の用に供するための教材である。よって、
当該障害のある児童生徒の学習の用に供するため、当該児童生徒を指導する教員
等が、当該教材の内容や操作方法等の確認等を目的として見ることは可能である。

○ なお、作成されたいわゆる「デイジー教科書」を障害のある児童及び生徒に
提供する場合には、著作権法上の規定に留意した上で行うことが必要である。

問 著作権法第33条の2の規定に基づき、リハビリテーション協会が作成した
いわゆる「デイジー教科書」の複製物を児童生徒に提供する場合に、どのような
メディアによって当該提供を行うことは可能か。また、当該複製物について郵送
以外の提供方法はあるのか。

※ リハビリテーション協会の問題意識
・ 複製物のメディアに係る限定があるのか。
・ 具体の複製物の提供方法について郵送以外の方法はあるのか。

(答)
○ 著作権法第33条の2においては、視覚障害、発達障害その他の障害により
教科用図書に掲載された著作物を使用することが困難な児童生徒の学習の用に供
するため、当該児童生徒が当該著作物を使用するために必要な方式(DAISY形式
を含む)により複製することができる旨が定められている。

○ 作成された複製物のメディアについては、特に限定されるものではなく、
CD-ROMやDVD等の各種メディアによる当該複製物の提供が可能である。一方、HP
上に当該複製物をアップロードする行為は著作権法上の「公衆送信」に該当する
こととなるが、著作権法第33条の2においては、公衆送信権については権利制
限の対象とはなっていないことから、障害を持つ児童生徒に対して送信を行う場
合であっても、その実施のためには権利者の許諾を得ることが必要となると解さ
れる。

(○ なお、著作権法第37条第3項の規定により作成された複製物については、
権利者の許諾を得ずに「公衆送信」を行うことが可能であり、ID管理によるアク
セス制限等を行った上で、複製物の利用者(障害を持つ児童生徒等)にHPから当
該複製物をダウンロードさせることなどが可能であると考えられる。)

問 著作権法第33条の2及び第37条第3項の規定に基づいて作成された複製
物を学校図書館や教育センター、公共図書館等に置いた上で、当該複製物の提供
を受ける児童生徒の教員や保護者に対して閲覧させることや貸出をすることは可
能か。

※ リハビリテーション協会の問題意識
・ 著作権法第33条の2及び第37条第3項の規定に基づいて作成された複製
物を学校図書館等で教員等に対して閲覧させることや貸出を行うことは可能か。
(リハビリテーション協会としては、教育センター等にサンプルとして置くこと
で、特別支援学校の教員等が常時閲覧等を行うことができるようにしたい。)

(答)
○ 著作権法第33条の2及び第37条第3項の規定に基づいて作成された複製
物を用いて障害を持つ児童生徒が学校図書館等において学習を行う場合には、当
該複製物を当該学校図書館等に置いておくことが可能であり、この場合において、
事前に当該複製物の内容や操作方法の確認等を目的として、教員や保護者が当該
複製物を閲覧することは許容されるものと考えられる。

○ 一方、上記の場合において、図書館等に置かれた当該複製物を教員等が自宅
等に持ち帰ることなどにより一定期間以上の持ち出しを行うことについては許容
されるものではないと考えられる。

(以上)

「電子出版アクセシビリティ・シンポジウム」/如水会館 2012/02/132012-02-13

【題目】「電子出版アクセシビリティ・シンポジウム」

【日時】2012年2月13日(月)13:00~16:45

【場所】如水会館 スターホール[地図・交通案内]

【対象】電流協会員及び一般 (参加無料)

【定員】先着300名

【申込みページ】 http://aebs.or.jp/seminar.html

【主催】一般社団法人 電子出版制作・流通協議会(電流協)

【共催】
 東洋大学特別研究「電子書籍プラットフォーム分析」(tu-Rip)
 立命館大学R-GIROプログラム
  「電子書籍普及に伴う読書バリアフリー化の総合的研究」(IRIS)

【後援】総務省
【内容予定】
 第一部 パネルディスカッション
  「電子出版におけるアクセシビリティの今後のあり方を考える」

 第二部 アクセシビリティ研究中間発表
 ・東洋大学特別研究発表
  『「出版のデジタル化」におけるプラットフォームの分析』
 ・立命館大学IRIS研究発表
  「電子書籍アクセシビリティに関する出版社アンケートについて」
 ・電流協特別委員会 研究部会発表

理的配慮等環境整備検討ワーキンググループ 報告 平成24年2月13日2012-02-13

理的配慮等環境整備検討ワーキンググループ 報告  平成24年2月13日
合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループ

合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループ 報告 概要
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/046/attach/1316182.htm
合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループ 報告
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/046/attach/1316184.htm
合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループ 報告 別表
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/046/attach/1316185.htm
合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループ 報告 参考資料
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/046/attach/1316186.htm

お問い合わせ先 初等中等教育局特別支援教育課

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(4)教材の確保
(ア)現状

 小・中・高等学校等や特別支援学校では、教科書を使用するほか、各学校の判
断により有益適切な教材を使用することができ、国は教材整備費について地方財
政措置を講じている。
 教科書については、文部科学省において、視覚障害者用の点字教科書、聴覚障
害者用の言語指導や音楽の教科書、知的障害者用の国語、算数・数学、音楽の教
科書を作成している。
 また、「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に
関する法律」に基づき、教科書発行者の発行する検定済教科書に対応した拡大教
科書のうち、小学校用の拡大教科書はその全点が発行されており、中学校用の拡
大教科書についても、平成24年度以降、全点が発行される予定である。さらに、
同法に基づき、教科書発行者が保有する教科書のデジタルデータを、文部科学省
等を通じて、ボランティア団体等に対して提供することにより、拡大教科書等の
作成に係る負担の軽減が図られている。

(イ)課題

 視覚障害のある児童生徒のための音声教材、発達障害のある児童生徒が使用す
る教材等の整備充実を図ることが求められる。また、高等学校用の拡大教科書の
発行の促進が求められる。

合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループ 報告 はじめに2012-02-13

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/046/attach/1316184.htm

はじめに

○1 「障害者の権利に関する条約」の批准に向けた検討のため、平成21年12月
に、内閣総理大臣を本部長とし、文部科学大臣も含め全閣僚で構成される「障が
い者制度改革推進本部」が設置された。同本部は、当面5年間を障害者制度改革
の集中期間と位置付け、改革の推進に関する総合調整、改革推進の基本的な方針
の案の作成及び推進に関する検討等を行うこととしている。同本部の下に、障害
者施策の推進に関する事項について意見を求めるために「障がい者制度改革推進
会議」が設置され、平成22年6月7日、同会議による第一次意見が取りまとめられ
た。上記第一次意見を踏まえた平成22年6月29日の閣議決定において、各個別分
野については、事項ごとに関係府省において検討することとされ、平成22年7月
12日に、文部科学省より中央教育審議会初等中等教育分科会に対し審議要請があ
り、同分科会の下に、「特別支援教育の在り方に関する特別委員会」が設置され
た。同特別委員会においては、8回にわたる検討を経て、平成22年12月に、その
審議を「論点整理」として取りまとめたところである。

○2 同特別委員会は、「論点整理」において今後の検討課題とされていた、合
理的配慮等の環境整備について、

合理的配慮について(障害種別(視覚障害、聴覚障害、知的障害、肢体不自由、
病弱及び発達障害)並びにこれら障害種に共通する事項)
その他の環境整備について
の二つについて検討事項を審議するため、平成23年5月27日、本ワーキンググル
ープを設置することを決定した。

○3 本ワーキンググループにおいては、まず、障害当事者及び保護者より、障
害種別における「合理的配慮」を含む配慮すべき事項等について聴取した後、委
員による障害種別の検討を行いつつ、それら障害種を超えた共通事項を整理する
過程の中で、「合理的配慮」の観点について整理した。また併行して、障害者の
権利に関する条約における「合理的配慮」について、本ワーキンググループとし
ての定義を行った。本報告は、8回にわたる審議について整理し、特別委員会に
報告するものである。

○4 学校教育においては、学校の設置者及び学校により、個々の幼児児童生徒
の発達や年齢に応じた個別の配慮が行われている。教育基本法第6条第2項におい
ても、「(前略)教育の目的が達成されるよう、教育を受ける者の心身の発達に
応じて、体系的な教育が組織的に行われなければならない。この場合において、
教育を受ける者が、学校生活を営む上で必要な規律を重んずるとともに、自ら進
んで学習に取り組む意欲を高めることを重視して行わなければならない。」とさ
れている。

○5 今般、障害者の権利に関する条約の批准のための障害者基本法の改正によ
り、障害者に対して、合理的な配慮を行うことが示された。また、教育分野につ
いては、第16条第1項において、「国及び地方公共団体は、障害者が、その年齢
及び能力に応じ、かつ、その特性を踏まえた十分な教育が受けられるようにする
ため、可能な限り障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及び生徒と共に
教育を受けられるよう配慮しつつ、教育の内容及び方法の改善及び充実を図る等
必要な施策を講じなければならない」とされた。さらに、第16条第4項において、
「国及び地方公共団体は、障害者の教育に関し、調査及び研究並びに人材の確保
及び資質の向上、適切な教材等の提供、学校施設の整備その他の環境の整備を促
進しなければならない」とされている。(参考資料1:障害者基本法(抄))

○6 「合理的配慮」は新しい概念であり、また、上記のとおり、障害者基本法
において、新たに「可能な限り障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及
び生徒と共に教育を受けられるよう配慮しつつ」と規定された趣旨をも踏まえて、
本ワーキンググループにおいて、障害者の権利に関する条約の理念を踏まえた障
害のある子どもに対する「合理的配慮」の観点について整理を行った。学校教育
においてこれまで行われてきた配慮を、今回、本ワーキンググループにおいて
「合理的配慮」の観点として改めて整理したことで、それぞれの学校における障
害のある子どもへの教育が一層充実したものになっていくことを願ってやまない。
また、「合理的配慮」については、教育委員会、学校、各教員が正しく認識して
取り組むとともに、当事者及び保護者に適切な情報提供を行うことが求められる。
さらに、地域における理解啓発を図るための活動を進めることが求められる。

合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループ「合理的配慮」の定義等2012-02-13

1.「合理的配慮」の定義等について
(1)「合理的配慮」の定義
○1 「合理的配慮」についての条約上の定義

 「障害者の権利に関する条約」においては、 第24条(教育)において、教育
についての障害者の権利を認め、この権利を差別なしに、かつ、機会の均等を基
礎として実現するため、障害者を包容する教育制度(インクルーシブ教育システ
ム;inclusive education system)等を確保することとし、その権利の実現に当
たり確保するものの一つとして、「個人に必要とされる合理的配慮が提供される
こと」とされている。
 また、第2条の定義において、「合理的配慮」とは、「障害者が他の者と平等
にすべての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必
要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであ
り、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう」とされている。
なお、「負担」については、「変更及び調整」を行う主体に課される負担を指す
とされている。
 さらに、第2条(定義)において、「障害を理由とする差別」として、「障害
を理由とするあらゆる区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、
文化的、市民的その他のあらゆる分野において、他の者と平等にすべての人権及
び基本的自由を認識し、享有し、又は行使することを害し、又は妨げる目的又は
効果を有するものをいう。障害を理由とする差別には、あらゆる形態の差別(合
理的配慮の否定を含む。)を含む」とされている。(参考資料2:障害者の権利
に関する条約(抄)、参考資料3:合理的配慮について)

○2 本ワーキンググループにおける「合理的配慮」の定義

 上記の定義に照らし、本ワーキンググループにおける「合理的配慮」とは、
「障害のある子どもが、他の子どもと平等に「教育を受ける権利」を享有・行使
することを確保するために、学校の設置者及び学校が必要かつ適当な変更・調整
を行うことであり、障害のある子どもに対し、その状況に応じて、学校教育を受
ける場合に個別に必要とされるもの」であり、「学校の設置者及び学校に対して、
体制面、財政面において、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」、とす
る。なお、障害者の権利に関する条約において、「合理的配慮」の否定は、障害
を理由とする差別に含まれるとされていることに留意する必要がある。

○3 「均衡を失した」又は「過度の」負担について

 「合理的配慮」の決定・提供に当たっては、各学校の設置者及び学校が体制面、
財政面をも勘案し、「均衡を失した」又は「過度の」負担について、個別に判断
することとなる。各学校の設置者及び学校は、障害のある子どもと障害のない子
どもが共に教育を受けるというインクルーシブ教育システムの構築に向けた取組
として、「合理的配慮」の提供に努める必要がある。その際、現在必要とされて
いる「合理的配慮」は何か、何を優先して提供する必要があるかなどについて共
通理解を図る必要がある。

(2)「合理的配慮」と「基礎的環境整備」
○1 障害のある子どもに対する支援については、法令に基づき又は財政措置に
より、国は全国規模で、都道府県は各都道府県内で、市町村は各市町村内で、教
育環境の整備をそれぞれ行う。これらは、「合理的配慮」の基礎となる環境整備
であり、それを「基礎的環境整備」と呼ぶこととする。これらの環境整備は、そ
の整備の状況により異なるところではあるが、これらを基に、設置者及び学校が、
各学校において、障害のある子どもに対し、その状況に応じて、「合理的配慮」
を提供する。(参考資料4:合理的配慮と基礎的環境整備の関係)

○2 学校の設置者及び学校は、個々の障害のある子どもに対し、「合理的配慮」
を提供する。「合理的配慮」を各学校の設置者及び学校が行う上で、国、都道府
県、市町村による「基礎的環境整備」は重要であり、本ワーキンググループにお
いては、「基礎的環境整備」について現状と課題を整理した。

○3 また、「合理的配慮」については、個別の状況に応じて提供されるもので
あり、これを具体的かつ網羅的に記述することは困難であることから、本ワーキ
ンググループにおいては、「合理的配慮」を提供するに当たっての観点を「合理
的配慮」の観点として、○1 教育内容・方法、○2 支援体制、○3 施設・設備に
ついて、それぞれを類型化するとともに、観点ごとに、各障害種に応じた「合理
的配慮」を例示するという構成で整理した。

合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループ報告 学校における観点2012-02-13

4.学校における「合理的配慮」の観点
○1 「合理的配慮」は、個々の障害のある幼児児童生徒の状態等に応じて提供
されるものであり、多様かつ個別性が高いものであることから、本ワーキンググ
ループにおいては、その観点について以下のとおり整理した。

○2 障害のある幼児児童生徒については、障害の状態が多様なだけでなく、障
害を併せ有する場合や、障害の状態や病状が変化する場合もあることから、時間
的な経緯により必要な支援が異なることに留意する必要がある。また、障害の状
態等に応じた「合理的配慮」を決定する上で、ICF(国際生活機能分類)を活用
することが考えられる。(参考資料6:ICFについて)

○3 各学校の設置者及び学校が体制面、財政面をも勘案し、「均衡を失した」
又は「過度の」負担について、個別に判断することとなる。その際は、「合理的
配慮」を決定する際において、現在必要とされている「合理的配慮」は何か、何
を優先して提供するかなどについて関係者間で共通理解を図る必要がある。

○4 障害種別に応じた「合理的配慮」は、全ての場合を網羅することはできな
いため、その代表的なものと考えられる例を以下に示している。ここに示されて
いるもの以外は「合理的配慮」として提供する必要がないということではなく、
一人一人の障害の状態や教育的ニーズ等に応じて決定されることが望ましい。ま
た、障害種別に応じた「合理的配慮」を例示しているが、複数の種類の障害を併
せ有する場合には、各障害種別に例示している「合理的配慮」を柔軟に組み合わ
せることが適当である。

○5 「合理的配慮」は、一人一人の障害の状態や教育的ニーズ等に応じて決定
されるものであり、全てが同じように決定されるものではない。設置者及び学校
が決定するに当たっては、本人及び保護者と、個別の教育支援計画を作成する中
で、「合理的配慮」の観点を踏まえ、「合理的配慮」について可能な限り合意形
成を図った上で決定し、提供されることが望ましい。例えば、設置者及び学校が、
学校における保護者の待機を安易に求めるような対応をすることは適切ではない。

<「合理的配慮」の観点(1)教育内容・方法>
<(1)-1 教育内容>
(1)-1-1 学習上又は生活上の困難を改善・克服するための配慮(別表1)
 障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するため、また、個
性や障害の特性に応じて、その持てる力を高めるため、必要な知識、技能、態度、
習慣を身に付けられるよう支援する。

(1)-1-2 学習内容の変更・調整(別表2)
 認知の特性、身体の動き等に応じて、具体の学習活動の内容や量、評価の方法
等を工夫する。障害の状態、発達の段階、年齢等を考慮しつつ、卒業後の生活や
進路を見据えた学習内容を考慮するとともに、学習過程において人間関係を広げ
ることや自己選択・自己判断の機会を増やすこと等に留意する。

<(1)-2 教育方法>
(1)-2-1 情報・コミュニケーション及び教材の配慮(別表3)
 障害の状態等に応じた情報保障やコミュニケーションの方法について配慮する
とともに、教材(ICT及び補助用具を含む)の活用について配慮する。

(1)-2-2 学習機会や体験の確保(別表4)
 治療のため学習空白が生じることや障害の状態により経験が不足することに対
し、学習機会や体験を確保する方法を工夫する。また、感覚と体験を総合的に活
用できる学習活動を通じて概念形成を促進する。さらに、入学試験やその他の試
験において配慮する。

(1)-2-3 心理面・健康面の配慮(別表5)
 適切な人間関係を構築するため、集団におけるコミュニケーションについて配
慮するとともに、他の幼児児童生徒が障害について理解を深めることができるよ
うにする。学習に見通しが持てるようにしたり、周囲の状況を判断できるように
したりして心理的不安を取り除く。また、健康状態により、学習内容・方法を柔
軟に調整し、障害に起因した不安感や孤独感を解消し自己肯定感を高める。
 学習の予定や進め方を分かりやすい方法で知らせておくことや、それを確認で
きるようにすることで、心理的不安を取り除くとともに、周囲の状況を判断でき
るようにする。

<「合理的配慮」の観点(2) 支援体制>
(2)-1 専門性のある指導体制の整備(別表6)
 校長がリーダーシップを発揮し、学校全体として専門性のある指導体制を確保
することに努める。そのため、個別の教育支援計画や個別の指導計画を作成する
などにより、学校内外の関係者の共通理解を図るとともに、役割分担を行う。ま
た、学習の場面等を考慮した校内の役割分担を行う。
 必要に応じ、適切な人的配置(支援員等)を行うほか、学校内外の教育資源
(通級による指導や特別支援学級、特別支援学校のセンター的機能、専門家チー
ム等による助言等)の活用や医療、福祉、労働等関係機関との連携を行う。

(2)-2 幼児児童生徒、教職員、保護者、地域の理解啓発を図るための配慮
(別表7)
 障害のある幼児児童生徒に関して、障害によって日常生活や学習場面において
様々な困難が生じることについて周囲の幼児児童生徒の理解啓発を図る。共生の
理念を涵養するため、障害のある幼児児童生徒の集団参加の方法について、障害
のない幼児児童生徒が考え実践する機会や障害のある幼児児童生徒自身が障害に
ついて周囲の人に理解を広げる方法等を考え実践する機会を設定する。また、保
護者、地域に対しても理解啓発を図るための活動を行う。

(2)-3 災害時等の支援体制の整備(別表8)
 災害時等の対応について、障害のある幼児児童生徒の状態を考慮し、危機の予
測、避難方法、災害時の人的体制等、災害時体制マニュアルを整備する。また、
災害時等における対応が十分にできるよう、避難訓練等の取組に当たっては、一
人一人の障害の状態等を考慮する。

<「合理的配慮」の観点(3) 施設・設備>
(3)-1 校内環境のバリアフリー化(別表9)
 障害のある幼児児童生徒が安全かつ円滑に学校生活を送ることができるよう、
障害の状態等に応じた環境にするために、スロープや手すり、便所、出入口、エ
レベーター等について施設の整備を計画する際に配慮する。また、既存の学校施
設のバリアフリー化についても、障害のある幼児児童生徒の在籍状況等を踏まえ、
学校施設に関する合理的な整備計画を策定し、計画的にバリアフリー化を推進で
きるよう配慮する。

(3)-2 発達、障害の状態及び特性等に応じた指導ができる施設・設備の配慮
(別表10)
 幼児児童生徒一人一人が障害の状態等に応じ、十分に学習に取り組めるよう、
必要に応じて様々な教育機器等の導入や施設の整備を行う。また、一人一人の障
害の状態、障害の特性、認知特性、体の動き、感覚等に応じて、その持てる能力
を最大限活用して自主的、自発的に学習や生活ができるよう、各教室等の施設・
設備について、分かりやすさ等に配慮を行うとともに、日照、室温、音の影響等
に配慮する。さらに、心のケアを必要とする幼児児童生徒への配慮を行う。

(3)-3 災害時等への対応に必要な施設・設備の配慮(別表11)
 災害時等への対応のため、障害の状態等に応じた施設・設備を整備する。

ワーキンググループ報告別表3 情報コミュニケーション及び教材の配慮2012-02-13

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/046/attach/1316185.htm

別表3

(1)-2-1 情報・コミュニケーション及び教材の配慮

障害の状態等に応じた情報保障やコミュニケーションの方法について配慮すると
ともに、教材(ICT及び補助用具を含む)の活用について配慮する。

視覚障害
見えにくさに応じた教材及び情報の提供を行う。(聞くことで内容が理解でき
る説明や資料、拡大コピー、拡大文字を用いた資料、触ることができないもの
(遠くのものや動きの速いもの等)を確認できる模型や写真 等)また、視覚障
害を補う視覚補助具やICTを活用した情報の保障を図る。(画面拡大や色の調整、
読み上げソフトウェア 等)

聴覚障害
聞こえにくさに応じた視覚的な情報の提供を行う。(分かりやすい板書、教科
書の音読箇所の位置の明示、要点を視覚的な情報で提示、身振り、簡単な手話等
の使用 等)また、聞こえにくさに応じた聴覚的な情報・環境の提供を図る。
(座席の位置、話者の音量調整、机・椅子の脚のノイズ軽減対策(使用済みテニ
スボールの利用等)、防音環境のある指導室、必要に応じてFM式補聴器等の使用
 等)

知的障害
知的発達の遅れに応じた分かりやすい指示や教材・教具を提供する。(文字の
拡大や読み仮名の付加、話し方の工夫、文の長さの調整、具体的な用語の使用、
動作化や視覚化の活用、数量等の理解を促すための絵カードや文字カード、数え
棒、パソコンの活用 等)

肢体不自由
書字や計算が困難な子どもに対し上肢の機能に応じた教材や機器を提供する。
(書字の能力に応じたプリント、計算ドリルの学習にパソコンを使用、話し言葉
が不自由な子どもにはコミュニケーションを支援する機器(文字盤や音声出力型
の機器等)の活用 等)

病弱
病気のため移動範囲や活動量が制限されている場合に、ICT等を活用し、間接的
な体験や他の人とのコミュニケーションの機会を提供する。(友達との手紙やメ
ールの交換、テレビ会議システム等を活用したリアルタイムのコミュニケーショ
ン、インターネット等を活用した疑似体験 等)

言語障害
発音が不明瞭な場合には、代替手段によるコミュニケーションを行う。
(筆談、ICT機器の活用等)

自閉症・情緒障害
自閉症の特性を考慮し、視覚を活用した情報を提供する。(写真や図面、模型、
実物等の活用)また、細かな制作等に苦手さが目立つ場合が多いことから、扱い
やすい道具を用意したり、補助具を効果的に利用したりする。

学習障害
読み書きに時間がかかる場合、本人の能力に合わせた情報を提供する。(文章
を読みやすくするために体裁を変える、拡大文字を用いた資料、振り仮名をつけ
る、音声やコンピュータの読み上げ、聴覚情報を併用して伝える 等)

注意欠陥多動性障害
聞き逃しや見逃し、書類の紛失等が多い場合には伝達する情報を整理して提供
する。(掲示物の整理整頓・精選、目を合わせての指示、メモ等の視覚情報の活
用、静かで集中できる環境づくり 等)

重複障害
(視覚障害と聴覚障害)障害の重複の状態と学習の状況に応じた適切なコミュ
ニケーション手段を選択するとともに、必要に応じて状況説明を含めた情報提供
を行う。(補聴器、弱視レンズ、拡大文字、簡単な手話の効果的な活用 等)