インクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進について2012-09-14

【お知らせ】「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のため
       の特別支援教育の推進」について
                     〔初等中等教育局特別支援教育課〕

 障害者の権利に関する条約(以下「条約」という。)の批准に向け、政府全体
で、障害者制度改革の検討が行われており、教育では、主に、障害のある子ども
と障害のない子どもが共に学ぶ、という条約にあるインクルーシブ教育システム
の構築が課題になっています。

 文部科学省では、中央教育審議会初等中等教育分科会の下に設置された特別支
援教育の在り方に関する特別委員会において、平成22年7月から条約の理念を踏
まえた特別支援教育の在り方について審議が行われ、本年7月23日の中央教育審
議会総会において、初等中等教育分科会報告として報告されました。

本報告書では、
 1.共生社会の形成に向けて
 2.就学相談・就学先決定の在り方について
 3.障害のある子どもが十分に教育を受けられるための合理的配慮及びその基礎
  となる環境整備
 4.多様な学びの場の整備と学校間連携の推進
 5.特別支援教育を充実させるための教職員の専門性向上等
について、まとめられており、このうち、「1.共生社会の形成に向けて」におい
ては、

○インクルーシブ教育システムにおいては、同じ場で共に学ぶことを追求するとと
もに、個別の教育的ニーズのある幼児児童生徒に対して、自立と社会参加を見据え
て、その時点で教育的ニーズに最も的確に応える指導を提供できる、多様で柔軟な
仕組みを整備することが重要である。小・中学校における通常の学級、通級による
指導、特別支援学級、特別支援学校といった、連続性のある「多様な学びの場」を
用意しておくことが必要である。

○特別支援教育は、共生社会の形成に向けて、インクルーシブ教育システム構築の
ために必要不可欠なものである。そのため、以下の(1)から(3)までの考え方に
基づき、特別支援教育を発展させていくことが必要である。このような形で特別支
援教育を推進していくことは、子ども一人一人の教育的ニーズを把握し、適切な指
導及び必要な支援を行うものであり、この観点から教育を進めていくことにより、
障害のある子どもにも、障害があることが周囲から認識されていないものの学習上
又は生活上の困難のある子どもにも、更には全ての子どもにとっても、良い効果を
もたらすことができるものと考えられる。
(1)障害のある子どもが、その能力や可能性を最大限に伸ばし、自立し社会参加す
  ることができるよう、医療、保健、福祉、労働等との連携を強化し、社会全体
  の様々な機能を活用して、十分な教育が受けられるよう、障害のある子どもの
  教育の充実を図ることが重要である。
(2)障害のある子どもが、地域社会の中で積極的に活動し、その一員として豊かに
  生きることができるよう、地域の同世代の子どもや人々の交流等を通して、地
  域での生活基盤を形成することが求められている。このため、可能な限り共に
  学ぶことができるよう配慮することが重要である。
(3)特別支援教育に関連して、障害者理解を推進することにより、周囲の人々が、
  障害のある人や子どもと共に学び合い生きる中で、公平性を確保しつつ社会の
  構成員としての基礎を作っていくことが重要である。

  次代を担う子どもに対し、学校において、これを率先して進めていくことは、
 インクルーシブな社会の構築につながる。

○基本的な方向性としては、障害のある子どもと障害のない子どもが、できるだけ
 同じ場で共に学ぶことを目指すべきである。その場合には、それぞれの子どもが、
 授業内容が分かり学習活動に参加している実感・達成感を持ちながら、充実した
 時間を過ごしつつ、生きる力を身に付けていけるかどうか、これが最も本質的な
 視点であり、そのための環境整備が必要である。

○今後の進め方については、施策を短期(条約批准まで)と中長期(条約批准後の
 10年間程度)に整理した上で、段階的に実施していく必要がある。

短期:就学相談・就学先決定の在り方に係る制度改革の実施、教職員の研修等の
    充実、当面必要な環境整備の実施。「合理的配慮」の充実のための取組。
    それらに必要な財源を確保して順次実施。
中長期:短期の施策の進捗状況を踏まえ、追加的な環境整備や教職員の専門性向
    上のための方策を検討していく。最終的には、条約の理念が目指す共生社
    会の形成に向けてインクルーシブ教育システムを構築していくことを目指
    す。
等について指摘されています。

今後は、本報告を踏まえ、共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム
構築のための特別支援教育が推進されることが期待されます。

報告書の詳細については、以下のホームページを御覧ください。
 (報告書概要、本文、別表、参考資料、別添へのリンク)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/houkoku/1321667.htm

                    (お問合せ先)
                     初等中等教育局特別支援教育課
                     企画調査係
                     TEL:03-5253-4111(内線3193)

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