鈴木文部科学副大臣定例記者会見 教育の情報化(抜粋) 2010/04/152010-04-15

http://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/1292793.htm

副大臣)
今日の午後にお配りさせていただきましたが、「学校教育の情報化に関する懇談
会」を設置することといたしました。社会の情報化の急速な進展に伴って21世紀
にふさわしい学校や学びを作っていくといった目的の下、この懇談会では、今後
の学校教育、特に初等中等教育段階の情報化に関する総合的な推進方策、教育の
情報化ビジョンを策定していきたいというふうに思っております。そのために、
既にお配りいたしました有識者等々との意見交換を行う予定でございます。委員
の皆様方には、これもお配りいたしておりますけれども、学識経験者をはじめ、
地方公共団体、学校関係者、経済界といった方々にお入りいただこうと思ってお
ります。具体的には、授業でICTをどういうふうに活用していくのか、あるいは
教員の校務をどう支援していくのか、あるいはICT活用に関する教員の支援とい
ったことを議題として議論していきたいと思っております。第一回を4月の22日
に行う予定でございまして、概算要求ぐらいまでには中間的な方針を出して、取
りまとめていきたいというふうに思っております。IT戦略本部の中でも、21世紀
のスクールあるいはラーニングといったことも議論されておりますので、そのこ
とも受けて教育の情報化ビジョンを作っていきたいという考え方でございます。

--中略--

記者)
教育の情報化なんですけれども、教育を情報化することによって、具体的に子ど
もたちに、どういうことができて、どういうふうなメリットがあるのかというよ
うなことについて聞かせてください。

副大臣)
この前もIT戦略本部で私も発言したんですけれど、やはり個別化教育、あるいは
個別学習、要するにそれぞれの生徒の状況、あるいは生徒の学び方に応じて、生
徒ごと、児童ごとの学びの環境というものをデザインできるということが情報化
の最大のメリットだというのが一つ。もう一つはグループで、もちろん地域の違
う、拠点が違う、要するにITというのは時間と空間を超えるメディアですから、
コラボレーションできながら、異文化あるいはかなり異なったバックグラウンド
の子どもたちがコミュニケーションしながら、一つの学びのグループとして学ん
でいけるというのは、これも大きなことだと思います。もう一つ、デジタルの特
徴としてはアーカイブということでありまして、それまでの学習というものを全
部アーカイブすることができる、これは個別学習ともつながりますけれども、要
するに子どもたちの学習履歴、あるいは学んだことの内容といったものをシェア
することができる。それは個別もそうだし、グループとしてもそうだし、あるい
は学校としてもそうだと。だからアーカイブできるっていうことはどういうこと
かっていうと、前の学年、1年上の先輩たちが同じ課題についてどういうものを
取り組んだかということも蓄積することができるわけです。そうしますと、学び
というのは守破離の部分もかなりありますから、どんどん溜まってくれば5年前
の先輩たち、10年前の先輩たちになるわけですけれども、少なくとも同じ学年だ
った先輩たちが、どういうことをやったのかっていうことを容易に見れるという
ことは、その課題についてのアプローチを3合目とか4合目からやることができま
すから、そういう意味では学習効率といいますか、効果も高くなるというような
ことだと思います。

記者)
使用するハードとしては、例えばi-Podみたいな携帯の端末なんかを配備すると
いうふうなことを想定されていると思いますけれども、そのあたりの議論という
のはこれからどういうふうに作られていくんでしょうか。

副大臣)
先ほどの御質問にもちょっと絡みますが、ブロードバンド時代の、ハイスペック
なIT機器時代の学びということで申し上げると、更に付け加えるべきは動画って
いうことですね。動画による教材というものが自由自在に作ることもできるし、
もちろんそれを見ることも活用することもできるということで学習のパフォーマ
ンスが上がります。今の質問はそのことの裏腹なんですけれども、結局どういう
学びをどれぐらいしたいのか、それをどういう人たちとしたいのかということな
んだと思います。そうすると、それの配分というか案配というか、それによって
適切なハードの環境というのは決まってくるということになりますので、まずは
それがありきで、当然小学校の、例えば低学年と高学年でも違うし、中学校、高
等学校ということになってくるとまた違ってくるというふうに思いますので、一
概にというよりもむしろ3年刻みぐらいのことは意識しながら考えていきたいな
というふうに思っています。例えば、小学校1年生から鉛筆を持たさないという
のは、私はどうかなと思っています。やっぱり、ノートと鉛筆というのはいろん
な意味で副次的効果というか、集中力とか認知科学的なこととか、ですから、こ
こをいじるっていうことは、小学校低学年については、少なくともかなり慎重に
すべきだと思っています。もちろん、それを基調としつつ何かを追加するという
ことはあり得たとしても、ノートと鉛筆は大事なことだと思います。しかしなが
ら、中学生あるいは高校生ということになってくれば、その割合はかなり変わっ
ていって良いと思います。あまりにないと、我々なんかが最近、鉛筆を持たない
ので漢字が書けないとか、そういう問題もありますから、ゼロにするという意味
では全くありませんけれども、何をどのように学ぶかということによって、ITの
機器との関わりということは当然変わってくると思います。

記者)
教科書と教材といったものが、こん然一体化しているものだというふうなイメー
ジだと思いますけれど、この場合、教科書検定制度といったものとの兼ね合いと
いった論点については、今後どのように話し合われていくのですか。

副大臣)
中期的には、ITというのはそういうもので、それを導入することによって、別に
教育の分野だけじゃなくて既存のいろんな枠組みが、根底から再構成される契機
になってきたわけですけれども、今おっしゃるようにどこまでが教科書でどこか
らが教材かということの線引きがかなりあいまいになるということは事実だと思
います、少なくとも学習者サイドから見てますとね。当然、予算の仕切りとかは、
ここまでは教科書予算、ここからはみたいな話があるかもしれませんけれども。
特に今までは、なかなか教材、副教材一つ買うのでも予算上の制約を気にしなが
ら、そこにどうやってプライオリティを付けていくのかみたいなことが、学校現
場で悩みだったわけですけれども、そういうこともデジタルということになって
くると、ゼロにはなりませんけれども、かなり副教材、教材の負担感ということ
も変わってくるんだろうと思います。したがって、その辺りもゆくゆくは議論に
なるんだと思いますが、まずは子どもたちの学びというものをより良いものにし
ていくという観点から、学習者本位のまとめ方をしたいなと思っています。その
結果として必要なことが出てくればやっていくということになりますが、それは
これから議論をしていくということだと思います。--略