特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議 (第9回) 議事要旨2009-06-14

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/054/shiryo/1218245_4984.html

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1.日時 平成20年11月25日(火曜日)13時30分~16時

2.場所 中央合同庁舎第7号館東館3階文部科学省3F1特別会議室

3.議題
 1.障害のある子どもの早期支援及び就学指導の在り方について
 2.自由討議
 3.その他
 4.議事要旨
(1)高倉座長より挨拶が行われた。
(2)事務局より配付資料の確認が行われた。
(3)事務局より、1.関係団体からのヒアリングについて、2.障害のある子ども
  の早期支援及び就学指導の在り方について説明のあった後、自由討議となっ
  た。その概要は以下のとおり。

〔概要〕 ○:委員 △:事務局

○資料2のタイトルが「障害のある子どもの早期支援及び就学指導の在り方につ
いて」となっているが、「障害のある子どもの」ではなく、「スペシャル・ニー
ドがある子どもへの」という表現にすべきではないか。

△「スペシャル・ニード」とした場合、例えば生徒指導上課題を抱える子どもた
ちや外国人の子どもたちなど、かなり範囲が広がってくる。当会議はそれらの問
題についての直接的な議論をできる場ではないと考えており、当会議においては、
障害のある子どもたちへの対応についてご議論いただければと思う。

○実際に、学校の現場では、虐待児も含め、教育以前の課題のある子が非常に多
く、それらが特別支援教育のほうに流れ込んでくる。ギフテッドの問題もある。
そのような子どもたちをしっかりと個別に対応していくことが特別支援教育の理
念だと思うので、障害ということに限定してしまうのはよくないのではないか。
折衷案として「障害のある(特別な支援を要する)子どもの」というような表現に
するなど、範囲を広げることが肝要。

○そのような考え方について、大きな柱のところで書くのか、または説明の中で
書き込みをしておくのかという議論もあろうかと思う。柱立てとしては、当面は
ずっと「障害のある子どもの」という表現で進めてきているので、この表現で進
めていきながらどこかにご指摘のような基本的な考え方を書き込んでいくという
ことでもよいのではないか。

○幼稚園の先生や保育士は、様々なニーズがある子どもたちに気づいている。早
期からの支援のため、できるだけ対象から外れてしまう子を最小限にしていくと
いうことが大事。そのためには、障害があるということがまだはっきりしなくて
も、幼児期から保護者・保育士等の気になる子どもを拾っておくことが大切。そ
れらのことをアピールするためにも、タイトルに入れるべき。

○特別支援教育が制度化された際に対象とされた子どもの範囲やこれまでの会議
の流れを踏まえると、論点を絞る意味でも、例えばいじめや不登校等の子どもに
ついては別途検討する課題としたほうがよいのではないか。

○現状の「障害のある子どもの」という表現がよい。学校教育法等では、「障害
による学習上又は生活上の困難」等の言葉を使っている。また、平成18年の学校
教育法施行規則の一部改正など、通級による指導の対象障害種も少しずつ範囲を
拡大している。ここでは現行の障害に限って扱い、虐待等の様々な問題が絡んで
いることについては、今後の重要課題として整理するのがよい。

○特に幼児期において、虐待や登園拒否等に注目した結果として子どもの障害や
困難を把握できることもある。障害だけを子どもへのアプローチの入り口にして
しまうと、漏れてしまう子どもたちも多いのではないか。知的程度が境界領域の
子どもたちも、漏れてしまうかと思う。

○学校現場は、特別支援教育の理念に基づいて、障害の有無にかかわらず、目の
前の困っている子ども一人一人にきめ細かい支援をしようと全力で取り組んでい
る。一番困っているのは、療育機関・医療機関と連携していないグレーゾーンの
子どもであり、現場も混乱している。そのような中、就学指導等の範囲を線引き
して分けてしまうのは、現場との整合性との関係で心配。タイトルは特別な教育
的ニーズのある子どもを対象とするという趣旨の表現にしてほしい。

○平成17年12月の中央教育審議会答申の中で、「学校全体で特別支援教育を推進
することにより、いじめや不登校を未然に防止する効果も期待される」、「特別
支援教育の理念と基本的考え方が普及・定着することは、現在の学校が抱えてい
る様々な課題の解決や改革に大いに資すると考えられる」等の記載がある。当教
育委員会の特別支援教育担当課でも障害に起因する様々な課題に対応していこう
としており、現在も児童生徒指導担当や不登校担当課等との関わりをより深めて
いる。タイトルについても、このような現状に即した、特別支援教育という新た
な概念をより具体的に説明するような形で盛り込むことができれば、現場にとっ
ても理解しやすい。

○議論がなかなかまとまらないので、報告書に向けたドラフトについての検討段
階に入っていく次回会議以降で、これまでの議論を表現できるような工夫をして
いきたい。

○厚生労働省の障害児支援の見直しに関する検討会の報告書が本年7月にまとめ
られたが、早期における障害の有無が明確でない「気になる」段階の子どもにつ
いて、「親にとって身近な敷居の低い場所で支援が受けられるようにしていくこ
とが必要」ということや、「例えば、親の心が揺れているような段階に、発達支
援のサービスを体験利用できるようにすることも考えられる」ということが盛り
込まれている。早期支援については、障害のある子どもだけでなく、やや間口を
幅広く設けるという姿勢を出してほしい。

○幼稚園という段階は法的にはすべての子どもを受け入れるところであり、幼児
期の教育では一人一人が違うということを前提としているので、すべての子があ
る意味では気になる子。幼稚園の先生は、一人一人の子どもの姿をどう見ていく
のかという勉強はよくしているが、免許取得の際に特別支援教育の基礎的な勉強
はあまりしていない。問題だと感じるのは、あまり障害ということを明確にして
いこうとし過ぎることでレッテルを張られてしまう子どもたちが出てくるという
点や、早期発見ということをあまり前面に出しすぎることでもともと専門ではな
い幼稚園教員がその負担を負ってしまうという点。早期支援は大事だが、早期か
らの個別の教育支援計画の作成やしっかりとした研修体制の充実が重要なのだと
いうことこそ強調すべき。

○教育相談や支援に活用する手帳やファイル等について各地で作成・活用の動き
があるが、大人になってからも幼児期からの成育歴等を整理するというような取
組も全国で始まりつつある。学校教育と福祉におけるそれぞれの取組が接点を持
ちながら、同じようなものでどちらにも使えるようなものを作るべきではないか。
 また、障害児を抱える家族は様々な不安を抱えており就学先についても迷いな
がら決めるケースが多いので、就学後も途中でモニタリング等を行い、状況に応
じて就学先を変更することができるという選択肢が必要。

○早期支援のためには早期発見が必要であり、保護者が子どもについて相談でき
る場を作らなくてはいけない。乳幼児検診・一歳半検診・三歳児検診があるが、
その後の期間はまた待たなくてはならず、親は受け身。親が相談にいける場を、
教育委員会がつくることが必要。また、親は障害についての理解や在り方につい
てよく分からないのが現実だと思うので、もし気づきや障害があれば親に説明を
してあげられるよう、相談機関の中で専門官が立ち会うということも必要ではな
いかと思う。

○早期からの教育相談は重要だが、関係団体のヒアリングでは早期発見の段階か
らの支援についての意見が多かった。早期からの教育相談を教育委員会がやるな
どという記載ではどうしても就学絡みの話になってしまうので、それ以前の段階
については厚生労働省の報告にあるからよいということではなく、文部科学省と
厚生労働省の両方が書いていくような形にしていかなくては、縦割りというイメ
ージが拭えない。もう少し、早期段階について書き込んでほしい。

○発達上のでこぼこはマイナスとは限らないにもかかわらずマイナス・イメージ
のラベリングをされてしまうのは、障害は一生を通じて治癒しないというモデル
があるから。発達障害者支援法と特別支援教育によって対象が非常に広くなって
きており、パラダイム転換が行われたことを明言すべき。その上で、就学先の決
定をよりフレキシブルにやっていいということが謳われると、そのようなラベリ
ングから来る抵抗は随分減るのではないか。

○パラダイム転換について当会議で議論するとなると、発達障害だけでなく、従
来の視覚障害・聴覚障害・肢体不自由等を全部含めて検討した上で書き込むとい
うことが必要であり、非常に丁寧に、しかも膨大な時間をかけてやらないといけ
ないなので、当会議では保留にしておくべきではないか。

○パラダイム転換の具体的な内容は、障害種別と程度に応じて行う特殊教育の在
り方から障害種別を超えて一人一人のニーズをとらえて丁寧に支援をしていくと
いうことと、乳幼児から学校卒業までの長期的展望に立って支援をしていくとい
うことの2つであり、パラダイム転換は既に起きているはず。その考えに基づい
て報告書をまとめていくべき。例えば障害のレッテルを張られたとしても、それ
に対して適切な支援があればレッテル張りにはならないし、例えば特別支援学校
から通常の学校への転籍など、転籍の方向を一方通行ではなくフレキシブルにす
ればレッテル張りではなくなる。

○資料2のP3にあるように、文部科学省による認定就学の状況調査において、特
別支援学校の就学基準を満たしている子ども6,791人中、1,363人が最終的に教育
委員会の判断によって小学校に就学しており、認定就学とは別の仕組みが実際に
動いている。認定就学に関わる考え方や、P5に記載されている就学する学校の決
定について、整理する必要がある。19年4月から保護者の意見表明権が法令上明
確に位置づけられたことも明記しておかないと誤解を与えるし、最終的に市町村
教育委員会が決定するという形になるにせよ、保護者の意見表明権は重要。市町
村も保護者の意見を受けとめて就学先を決定している部分が多いので、現状を十
分把握しながら検討すべき。
 また、資料2のP4にある、幼稚園が中心となり作成する個別の教育支援計画か
ら情報提供を受けて市町村教育委員会が個別の教育支援計画を作成することにつ
いて、これは例えば「就学支援計画」等の名称にしたほうがはっきりするのでは
ないか。就学支援をしていくという趣旨が明確になることで、就学する学校の決
定にも生きるのではないか。

○団体ヒアリングにおける教育委員会の発表の中に、認定就学の子どもがあった
場合の様々な条件整備についての話があったが、認定就学制度がかえって重いも
ののようになってしまい、教育委員会において、障害のある子どもが小・中学校
に就学したときには大変という考え方があるとしたら良くない。認定就学制度に
は学校の施設・設備等、いろいろな前提条件があるが、その前提条件についてど
う具体的に考えていくかということよりも、問題の解決に向けた実践的な取組や
関係機関との提携等が必要。最終的には、資料2のP5にあるように、市町村教育
委員会が最終的に就学先を決定することが適当と考える。

○資料2のP5に「義務教育を実施する責任を負う市町村教育委員会が最終的に就
学先を決定することが適当」とあるが、義務教育を実施する責任を負うことと、
就学先を決定することはどのような関係があるか。

△人的配置や施設整備等、義務教育を実施するための条件整備について、市町村
教育委員会が基本的に責任を持っている。そのようなことも踏まえ、市町村教育
委員会が総合的に就学先を決定する必要があるという意味。

○義務教育諸学校の設置義務とは、建物が建てばそれでよいというような単純な
ものではなく、人的・物的な措置や経営等をトータル的に行っていく義務。就学
先の決定についても、それらの義務に含まれるという考え方。

○個別の教育支援計画を作る以上は、就学先にかかわらず適切な支援が十分行き
届くようにしなくてはならない。就学指導においても親・関係機関・教育者が、
個別の教育支援計画をどのように相応しい教育を提示していくための参考にして
いくかという視点が重要。
 また、おそらく教育委員会としては、就学指導委員会の決定に基づいて保護者
と十分に話をしても十分納得が得られなかったり保護者に強い希望があったりし
て、最終的に保護者に同意したというようなケースが多いのではないかと思う。
資料2のP5の「市町村教育委員会が最終的に就学先を決定することが適当」との
記載があるが、結局は保護者の意見に同意するような形になるのではないか。
 それから、特別支援学校への就学が決定された場合には、調査員による相談等
によって子どものニーズについてはある程度つかんでいるが、小学校の場合は学
校が関与していない。小学校としては、どのような子どもが入ってくるのかが分
からず、教育委員会の決定によっていきなり「この子どもをお願いします」と言
われても唐突感がある。就学先を小学校に決定するとしても、教育委員会の決定
だけではなく、接続の部分を明確にしなくてはならない。

○義務教育を実施する責任を負う市町村教育委員会が最終的に就学先を決定する
ということでよいと思う。ただし、現状で充足していない部分を見直し、保護者
の理解を得た上で就学ができるような仕組みをどのようにつくっていくかという
ことが論点。現状の就学指導・相談はある一定の時期に限られており、保護者も
十分理解できないままの就学になってしまっているが、継続的に就学指導・相談
が行われるようより長いスパンで考えていかなくてはならない。その手段として、
個別の教育支援計画が1つの大きな取っかかりになると思う。ただ、就学の段階
にメインとして活用するものであれば、「就学支援計画」等の名称にするかどう
かということも踏まえて議論すべきかと思う。
 また、小・中学校で子どもを特別支援学級に入れるかどうかについては校長が
判断しないといけないと思うが、教育委員会に言われるがままに支援体制が十分
でない状態で特別支援学級に入れてしまうということが現状としてあるので、そ
のつなぎの部分の整備が重要。

○第6回会議において、就学前の段階で市町村教育委員会が個別の教育支援計画
を作成することについて、新たに多数の計画を作成することを考えるとかなり大
変だが、当市における相談報告書等、現在の取組を活用するなどの工夫によって
大きな負担とはならないのではないかという話をした。ただし、当市では専門的
な相談ができる相談者がいるが、市町村によってはかなり厳しい状況が予想され、
人的整備等、教育委員会の条件整備が課題。また、平成17年の中央教育審議会答
申でも「「個別の支援計画」を関係機関等が連携協力して策定するときに、学校
や教育機関等が中心となる場合に、「個別の教育支援計画」と呼称している」と
いう記述があり、教育委員会が個別の教育支援計画を作成するということが、そ
の時点で既に明確に書かれている。ただし、名称については、現場が混乱しない
ための見直しが必要。
 資料2のP6において「認定就学は、新しい仕組みの中でその趣旨が実現される
こととなり発展的に解消。」とされているが、適切な就学のための物的・人的環
境が整備されているかどうかということの重要性を教育委員会に意識づけたとい
う意味では、しばらくの間でも認定就学制度がとられたことには大きな意義があ
った。
 なお、当市では現状でもある程度継続的な相談は行っているが、障害があると
思われても教育委員会による就学相談を受けずに入学する子どももあり、その場
合は、その子に係る客観性のあるデータがなく、学校が苦慮しているケースも多
い。

○資料2のP6の点線内だけを読むと、子どもの将来の自立と社会参加に向けての
最も適切な就学先の判断は、保護者にはできないというような意味に読み取れる
と思う。また、「市町村教育委員会が最終的に就学先を決定することが適当」と
いう記載は、今まで話し合ってきたことやパラダイム転換等が全くなかったもの
のようにも思われる程の影響力があるということをきちんと認めることが必要。

○資料2のP6の「(3)必要な条件整備」という項目には体制に関する記載しかな
いが、点線内の内容を実現するのであれば、他のことについても条件整備は必要。
個別の教育支援計画は場を決めるものではなく支援方法を決めるものであり、そ
こで保護者が納得した上で支援方法が決められるという前提がある。それを条件
整備の部分にしっかりと記載すべき。
 また、特別支援学校から通常の学校に毎年4,000人が転籍しているとのことだ
が、幼・小・中・高の段階別や障害種別の数字を教えてほしい。そのようにフレ
キシブルに転籍できる状態が確保されるということがもう1つの条件。

○P6の点線部分については、この子どもはこの学校の体制ではやれませんという
ことを、教育委員会が保護者に告げることができるという意味だと思う。無理に
親の要求だけに従っていった結果、教育ネグレクトになってしまうという状況が
多く、専門的な見地から教育委員会や学校が提言するということは大事なこと。
誤解を招かないよう、文章についてはもう少し推敲が必要。

○基本的に就学相談は学校指導と一体になっていなければならず、教育委員会と
して適切な就学先を判断すると同時に、実際に入学した学校が判断したに値する
指導・支援をきちんとできるかということが重要。教育委員会が学校訪問による
指導を日常的に行うのは難しいが、最大限努力して、相談だけで終わらないよう
努力している。
 また、当市では、本来は小・中学校に在籍をしている予定の子どもが障害があ
ることで特別支援学校に通い、専門的な指導を受けているという考え方の下で、
副学籍による交流教育を希望する子ども・保護者については、教育委員会が交流
を行う学校を指定している。しかし、副学籍による交流教育はあくまでも1つの
手段であり、それだけで全てが解決するものではないということも併せて学校に
説明をしている。

○居住地校交流については当校でも取り組んでいるが、定期的ではなく決められ
た日程で実施しているのでなかなか広がっていかないという実態がある。副籍・
支援籍等の取組によって、受け入れ側で自分の学校の子どもでもあるのだという
意識がより芽生えていく。
 また、小学校に就学してから特別な支援の必要性が発見される子どもが多い。
早期発見と同時に継続的な就学指導も必要であり、そのための体制づくりをして
いく必要がある。必ずしも就学先の変更ということではなく、まずその学校でど
のように支援をするかという意味での学校体制が必要。
 資料2のP7の市町村教育委員会等の体制整備について、経験豊かな教員の配置
や、就学指導における専門性の高い人材の配置等の記載があるが、そうすると、
専門的な力のある教員が行政のほうに引っ張られてしまうことになりかねないの
で考慮すべき。計画的に専門性の高い教員を養成していくための国による財政的
支援等の体制を確立する必要があり、その旨も書き込んでほしい。

○市町村教育委員会が最終的に就学先を決定するということは大変よいことであ
り、就学後のフォローアップも非常に大切。
 また、居住地校交流もぜひ実施していくべき。教育活動の中でできないことは
ないと思うが、危険や無理がある場合もあるので保護者に十分理解をしてもらう
ということと、学校の状況を判断して交流をしていくことが重要。
 それから、団体ヒアリングを通じて、幼稚園から小学校、小学校から中学校の
接続が弱いということを感じた。自分のところで手いっぱいであるということが
理由なのではないかと思うので、資料3にあるように、教育委員会が個別の教育
支援計画を作成・活用し、子どもの発達段階や子どものよさを引き継いでいくこ
とが大切。
 教員の資質の問題については、クラスに障害のある子がいた場合には、板書の
仕方・教材の使い方・声のかけ方・ノートのとり方等、全科の教員が細かく指導
するための専門性を身につけるべき。そのことがまだ教員の間で浸透していない
ので深めていかなくてはならない。

○以前、重度の視覚障害の子どもが普通の高等学校に入学したケースがあった。
受かるか受からないかわからない入試の段階から人的配置等の体制づくりを短期
間で行う必要があり、本来は人事異動が終わっている時期でもあるので、校長は
大変だったと思う。特別支援学校適でありながら保護者が地元の小・中学校を希
望した場合にも、日程的に体制整備は難しいのではないか。通常の学校が障害の
ある子どもを受け入れるには、人的な配置がないと難しい。

○特別支援学校幼稚部の子どもは就学の2、3年前から個別の支援計画を作ってお
り、「個別の教育支援計画」という名称は矛盾を感じる。また、資料2のP4にお
いて「(2)就学指導の在り方について」の直後に「1.個別の教育支援計画の作
成」と記載すると、教育委員会は仰天するのではないかという印象を受けた。
 継続的な就学相談・指導については、校内委員会ではフォローできないかもし
れないし、市町村の就学指導委員会にその機能を持たせるのも厳しいと思われる
ので、具体的にどのような体制がよいのかも書き込めたらよいと思う。
 また、居住地校交流については、小学校に対して特別支援学校に通っている子
どもも地域の子どもであるという意識啓発つながるということと併せて、市町村
の教育委員会の意識を高めるという意味からも、よい取組。
 それから、P7に都道府県教育委員会も市町村教育委員会を支援することが必要
という内容の記載があるが、特に、特別支援学校には力のある教員も数多くいる
ので、センター的機能を活性化し、市町村教育委員会や小・中学校等の支援等を
行っていくとよいと思う。
 就学先の決定に際して情報の共有化を推進するための体制整備については、行
政の縦割りの問題や保護者の了解等を得ることの難しさから十分にできていない
ところもあるが、これができている市町村は就学指導・相談についても非常にう
まくいっているので、しっかりと考えて取り組んでいくべき。

○資料2のP8の「特別支援教育は、障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に
・・・」 という記載について、「障害のある」を、「特別な教育的ニードがあ
る」にしてほしい。

○専門性の高い人材を呼ぼうとしても、そのような人材は少ないというのが現状
のように感じる。例えば東京都では外部専門家制度があるが、特別支援学校等を
定年退職しているベテラン教員を導入するよう求めているところ。現場が大好き
で、現場の状況をよく分かっている退職教員を外部専門家として導入することは
有効ではないか。

△例えば、現在国が地方財政措置している特別支援教育支援員についても、教職
経験があって、子どもが好きで、情熱を持っている方々を市町村が特別支援教育
支援員として受け入れたりするシステムも進んでおり、外部専門家についても、
現在文部科学省において様々な調査・研究を行っている。

○就学先の決定等は障害者の権利条約にも関係するところであると思うが、当会
議は障害者の権利条約の批准に向けての作業はしなくてよいということでよいか。

○障害者権利条約の批准について当会議が直接関わる云々ということは特に考え
ていないと思う。

△障害者の権利条約については、外務省を中心に政府全体として解釈等の作業を
進めている。障害者権利条約には就学の在り方と関連する部分もあるので、当会
議としてはこのように捉えるという、解釈というよりもむしろ当会議としての考
えをまとめていただきたいということで、文案として提案させていただいている。

(4) 事務局より今後の会議の運営について説明があり、閉会した。

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