国立国会図書館宛要望書/特定非営利活動法人全国視覚障害者情報提供施設協会 2009/06/222009-06-25

国立国会図書館長 長尾 真 様

                               平成21年6月22日
        特定非営利活動法人全国視覚障害者情報提供施設協会
                                 理事長 岩井 和彦

   デジタルアーカイブ整備についての障害者対応に関する要望

 日頃より、視覚障害者をはじめ、様々な読書障害者についての貴館のご配慮を深く
感謝申し上げます。
 さて、先日成立いたしました平成21年度補正予算に、貴館が提案されておられま
したデジタルアーカイブ整備費が含まれました。しかるに、その方式につきまして
は、PDFファイルとされているだけで、視覚障害者をはじめとする、通常の視覚に
よる
読書に困難な読書障害者のアクセシビリティにつきましては、配慮されていないと
伺っております。
 2006年12月に制定されました障害者権利条約につきましては、日本も翌年9月に
署名し、現在は批准に向けて国内法の整備の努力が始まっているところです。言うま
でもなく、様々な読書障害者も、同じ国民として、国会図書館の様々なコンテンツを
可能な限り利用する対象者とされています。
 いま、視覚による資料につきましても、デジタルデータとすることで読書障害者へ
のアクセシビリティが著しく向上していることはご存じのとおりです。今回の膨大な
アーカイブ整備事業はデジタル化であり、読書障害者も利用できる形態にできること
は言うまでもありません。デジタル化に取り組みながら、見ることのみを重視した
PDFファイルだけで、読書障害者が利用できるデータにしないとしたら、権利侵害
と言わざるを得ないことになります。
 このような状況にあることをご理解いただき、次の項目につきまして緊急に要望
いたします。早急なご配慮をお願いいたします。

                  記

 一 貴館が有するまたは新規制作するデジタルデータを、視覚障害者などの読書障
害者が利用し得るテキストデータとして制作保存すること。特に、貴館が平成21年度
から整備を始めるデジタルアーカイブ整備事業については、読書障害者が利用し得る
テキストデータ化を含めるとともに、その利用にあたっては、視覚障害者などの読書
障害者が容易に利用できるよう十分な配慮を行うこと。

 二 全国の点字図書館をはじめ様々な団体で製作されている全国最大のDAISY
資料や点字データ資料等を有する特定非営利活動法人全国視覚障害者情報提供施設協
会が運営し、平成21年度の補正予算によって、テキストデータとしての電子書籍
ネットワークシステムを含めて総合的に新規設計する「総合ネットワークシステム」
とのリンクを十分に図ること。

                                          以上

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