合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループ第5回 西滝委員提出資料 平成23年10月24日2011-10-24

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/046/siryo/attach/1312497.htm

特別支援教育の在り方に関する特別委員会 合理的配慮等環境整備検討
ワーキンググループ(第5回) 配付資料 資料6:西滝委員 提出資料

     合理的配慮および必要な支援について
                   財団法人全日本ろうあ連盟 西滝憲彦

 障害者権利条約において、締約国は教育についての障害者の権利を実現するに
あたり、「個人の必要とされる合理的配慮が提供されること」(第24条2項(c))
と定めています。

 また、第5条「平等及び無差別」3項においても、「平等を促進し、及び差別を
撤廃することを目的として、合理的配慮が提供されることを確保するためのすべ
ての適当な措置をとる。」とあります。

 即ち、どのような実情や制限があろうと、それぞれの障害者個人に対する合理
的配慮が施行されないのであれば、それは障害者権利条約に違反し、障害者の権
利を妨げる差別となります。

 合理的配慮を提供するための措置、または、その合理的配慮が提供されなかっ
た場合の「差別」に対する救済措置を講じる必要があります。本会議にて合理的
配慮とはどこからどこまでの範囲かという審議がありましたが、特別支援教育の
在り方を検討する発端となった障害者権利条約にて定められていることを原点と
し、そのうえで審議することが適当であると考えます。

【インクルーシブ教育における必要な支援】

○1 全ての障害に共通する合理的配慮および必要な支援
・学級を構成する児童・生徒全員が参加できるよう教授方法の創意・工夫
・試験方法の工夫、試験時間の延長、試験環境の整備および評価方法の工夫
・点字、手話、デイジー教材(注1)等のデジタル教材等のコミュニケーション
 方法および手段の確保
・個々の障害の状態やニーズに対応した教科における配慮(例:視覚障害の図工
・美術・体育、聴覚障害の音楽・体育・英語、肢体不自由の図工・美術・音楽・
 体育等)
・バリアフリーおよびユニバーサルデザインの観点を踏まえた個々の障害の状態
 やニーズに対応した適切な施設整備
・障害の状態やニーズに対応した身体活動(行動)スペースや遊具・運動器具等
 の確保
・個々の障害やニーズに対応した教材等の確保(例:デジタル教材、ICT機器等
 の利用)
・学級担当教員(担任)への負荷が集中しないための副担任の配置
・障害の状態やニーズに対応した専門性を有する教員、カウンセラー等の配置
・移動や日常生活の介助、情報やコミュニケーション保障及び学習面を支援する
 人材の配置
・個々の障害の状態やニーズに対応した指導方法等について指導・助言する理学
 療法士、作業療法士、言語聴覚士、社会福祉士、精神保健福祉士等専門家等の
 確保
・カウンセラー、専門性を有する教員、支援する人材および上記専門家等の配置
 や条件整備をコーデイネートするコーデネイターの配置

○2 全ての障害に共通する条件整備
・介助員、通訳者、カウンセラー、専門家等の人材養成、派遣、配置制度の整備
・移動、交通バリアフリー法、著作権法、放送法、総合福祉法、情報・コミュニ
 ケーション法等の法整備
・関係機関(障害者支援センター、情報提供施設、医療機関等)との連携
・個々の障害の状態やニーズに対応した支援や指導システムについての研修制度
 の整備
・個々の障害の状態やニーズに対応したコミュニケーションツール(点字、手話
 等)の学習・研修体制整備

注1:DAISY(Digital Accessible Information System、日本では『アクセシブ
ルな情報システム』と訳されている)図書は、視覚障害、学習障害、知的障害、
精神障害の児童生徒に有効であり、聴覚障害児にとっても、日本語の読み書きに
ハンディを持つ場合は効果がある。デイジー図書・教材を整備するため著作権法
を改正し、デイジー図書・教材とそのための機器を整備していく事業が必要であ
る。

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